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糖尿病と動脈硬化の関係とは? 症状や診断、治療法について解説!

糖尿病と動脈硬化、それぞれ別の疾患にも思えるこの2つには、密接な関係があります。

ここでは糖尿病と動脈硬化、そしてそれぞれの関係性について説明していきます。

記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

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糖尿病と動脈硬化の関係

糖尿病と動脈硬化がどのような病気なのか、その2つにはどのような関係があるのかを見ていきましょう。

糖尿病とは?

糖尿病とは、血糖値が高い状態が続くことで、さまざまな合併症を引き起こす病気です。1型糖尿病と2型糖尿病に分類されます。

糖尿病で恐ろしいのは、血糖値が高い状態が続くことで次第に血管が傷つき、合併症と呼ばれる他の病気を引き起こすことです。

糖尿病の合併症には、3大合併症といわれる、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害がありますが、その他にも脳卒中や心筋梗塞などが挙げられます。

動脈硬化とは?

動脈硬化とは、血管の弾力が失われ固くなった状態です。

動脈は本来、弾力があり、内膜はとてもなめらかな構造をしています。

しかし、さまざまな要因により動脈硬化が進むと、血管が硬くなるだけではなく内膜のなめらかさが失われ、さらに血管が細くなって血流が悪化します。この動脈硬化が、脳血管障害や冠動脈障害などの重大な疾患を引き起こす一因となるのです。

動脈硬化には3つの種類があります。

動脈硬化といえば一般的にはアテローム硬化を指します。

血管の内膜にコレステロールが溜まることで、血管が細くなったり固くなったりします。

大動脈や冠動脈、脳動脈に起こりやすい動脈硬化です。

血管の中膜にカルシウムが沈着し石灰化することで起こります。

頸動脈や腎動脈で起こりやすいとされています。

脳や腎臓、目などの細動脈に起こる動脈硬化を細動脈硬化と呼びます。

固くなった血管は破れやすくなるため、脳出血などにつながりやすくなります。

糖尿病が動脈効果を進めてしまう原因とは?

糖尿病が動脈硬化を進めてしまう理由は、高血糖により血管が傷つくことにあります。

血液中のブドウ糖はエネルギー源として重要ですが、多すぎると徐々に血管に負担がかかり、血管壁に傷をつけたり、炎症を引き起こしたりするのです。

血管壁に傷がつくと、それを治すためにマクロファージが集まります。このときに血液中のコレステロールが血管内皮に取り込まれ、蓄積することでプラークと呼ばれる粥状のコブをつくります。このプラークができた状態がアテローム硬化です。

動脈硬化の症状は?

動脈硬化の初期には症状がほとんどなく、採血などの検査で発見されることが多い疾患です。

動脈硬化による自覚症状は主に、血流の悪化による虚血で起こりますが、自覚症状が出た時には、合併症が進行した状態になっていることが多いのです。

動脈硬化の合併症による状態は、虚血が発生する部位によって分かれます。

手足の麻痺、頭痛、めまい、言葉がうまく話せないなど

胸の痛み、動悸、疲れやすさ

足のしびれや痛み、冷え

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糖尿病動脈硬化が進行したことによる合併症

糖尿病などの要因により動脈硬化が進行すると、血管が狭くなって血流が悪くなる、血栓ができやすくなる、血管が破れて出血しやすくなるなどの悪影響があります。それにより引き起こされる病気を合併症と呼びます。

脳梗塞

脳の血管が狭くなったり、血栓が詰まったりすると脳が虚血状態になって、脳梗塞を発症します。

脳梗塞の原因となる動脈硬化は、脳の血管だけでなく首の血管でも起こります。

首の血管のプラークに血栓が発生し、それが脳に飛ぶことで脳梗塞になるのです。

心筋梗塞・狭心症

心臓に酸素や栄養を運ぶ冠動脈が動脈硬化を起こすことで、心筋梗塞や狭心症を発症します。

動脈硬化により血管が細くなると冠動脈の血流が悪化します。これにより、心筋が酸素不足になり発症するのが狭心症です。

狭心症の症状は、胸の痛みの他に左腕や左肩の痛みとしても現れます。

痛みは一時的なもので数分で治まることがほとんどです。

心筋梗塞は血栓により冠動脈が完全に詰まった状態です。

動脈硬化により作られたアテロームは不安定で傷がつきやすく、傷がつくとその周りに血栓ができます。

この血栓が大きくなったり、血流に乗って運ばれて血管を完全に塞いでしまうことで、心筋梗塞になるのです。

心筋梗塞の主な症状は胸の痛みですが、これは非常に強い痛みで、吐き気や冷や汗を伴うこともあります。

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化による血管の狭窄や閉塞が手足で起こることで発症します。

軽度であれば、軽いしびれ程度の症状ですが、重症になると手足の切断に至るなど、生活に大きな影響を与える疾患です。

閉塞性動脈硬化症の症状はⅠ〜Ⅳ度に分類されます。

Ⅰ度

閉塞性動脈硬化症の初期であるⅠ度では、自覚症状がないか、軽度のしびれ感や冷感を感じる程度で、日常生活にはほとんど影響がありません。

Ⅱ度

動脈の閉塞が進行してくると長時間歩けなくなる「間欠性跛行」の症状が現れます。

間欠性跛行では、しばらく歩くと足に痛みやしびれが出るようになり、以前は歩けた距離でも休憩が必要になります。

しばらく休むと症状が改善するのが特徴です。

Ⅲ度

安静にしていても痛みやしびれを感じるようになります。

夜に眠れなくなるなど生活に大きな影響を与え始めます。

Ⅳ度

血流の悪化により、抹消に十分な栄養が行き渡らなくなります。これにより、皮膚の壊死や潰瘍が起こり、重症の場合は切断をしなければならなくなります。

動脈硬化の検査

動脈硬化の検査には、採血やエコーなどがあります。

ここでは動脈硬化を調べるための検査について解説していきます。

血液検査は動脈硬化の危険因子が無いかを調べるものです。

LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血糖値、HbA1cなどの値を調べます。

エコーで頸動脈を見ることでプラークの状態や血管のつまり具合、血栓の有無などを確認します。

頸動脈で動脈硬化が進行している場合、他の血管でも動脈硬化が進行している可能性があります。

両手両足の血圧と脈波を測定し、血管の状態を確認する検査です。

血圧の値から血管のつまりを、脈波の伝わり方から血管の硬さを予測できます。

糖尿病動脈硬化を改善するための治療法

動脈硬化を起こした血管を改善する方法は、いまだに研究段階で確立されていません。

そのため、これ以上、動脈硬化が進行しないように予防することが重要となります。

糖尿病で動脈硬化を合併している場合、糖尿病のない動脈硬化の患者さんにくらべて、重症で病変が広範囲に及んでいる可能性が高いのです。

そのため糖尿病の方は、血糖値をしっかりと管理していくことが動脈硬化予防になると言えます。

動脈硬化を予防するためには?

動脈硬化のリスク因子のひとつとして糖尿病がありますが、動脈硬化は複合的な要因により進行するため、血糖値のコントロールのみで動脈硬化を完全に予防することはできません。

糖尿病以外のリスク因子として、脂質異常症や高血圧も挙げられるため、生活習慣病を持っている方は、しっかりと治療することが必要です。

糖尿病をはじめとするリスク因子による動脈硬化を予防するには、食事にも気をつけることが重要となるでしょう。

また、喫煙や多量の飲酒、運動不足などもリスク因子となります。

Q&A

糖尿病で動脈硬化になるのはなぜ?糖分は動脈硬化に影響しますか?

糖尿病で動脈硬化になるのは、高血糖により血管が傷つくためです。

動脈硬化は、血管に傷がつくことで血管壁にコレステロールが入り込み、血管が細くなったり、固くなったりする病気です。

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、血管に負担がかかり、結果として動脈硬化が進みやすくなります。

糖尿病の動脈硬化の症状は?

初期の動脈硬化では、自覚症状はほとんど現れません。自覚症状がないまま進行するため、合併症が発症してから気がつくこともあります。

動脈硬化の合併症として、脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈障害、手足の血管に起こる閉塞性動脈硬化症があります。

それぞれの合併症の症状は、脳血管障害では頭痛や手足の麻痺など、冠動脈障害では胸の痛み、閉塞性動脈硬化症では手足のしびれが代表的です。

しかし、このような症状が現れたときには動脈硬化がかなり進展しているため、その後の日常生活に大きな影響を与えてしまいます。

動脈硬化では症状がないからと油断はせず、合併症を発症しないように予防していくことが重要です。

糖尿病に多く見られる動脈硬化とは?

動脈硬化とは、血管が固くなったり細くなったりすることで、さまざまな合併症を起こす病気です。

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、血管に負担がかかり動脈硬化が進みます。

動脈硬化が進むと、血流が悪くなるだけでなく、血管のつまりが起こって、脳梗塞や心筋梗塞に繋がることもあります。

まとめ

ここまで糖尿病と動脈硬化の関係や症状、治療法について説明してきました。

動脈硬化は自覚症状がない上、一度固くなった血管を改善する方法もなく、知らないうちに進行して合併症を発症することが多い病気です。

糖尿病だけがリスク因子ではありませんが、血糖値を良好に保つことは動脈硬化を予防するために重要になります。

重大な合併症を防ぐためにも、動脈硬化と糖尿病の関係を理解して、糖尿病の治療や生活習慣の改善に役立ててください。