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LDLコレステロールを下げる食べ物は?高くなったら気をつけたいこと

健康診断で「LDLコレステロール値」などが基準値より高く、医療機関への受診を勧められたことはありますか?健康診断で受診を勧められた場合、体に異常は感じなくてもすみやかに受診しましょう。

この記事では、健康診断で生活改善を指導され、再度検査を受けるように指示された場合の食事のポイント、とくにLDLコレステロールを下げる食べ物について解説します。

また、「LDLコレステロールが高い」ことがなぜ悪いのかについても再確認しましょう。ぜひ最後までお読みください。

記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

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LDLコレステロールを下げる食事とは

LDLコレステロールを下げるといわれている食事の仕方について解説します。

摂取カロリーを制限する

LDLコレステロールを下げるためには以下のことが奨励されています。[1]

  1. 総エネルギー摂取量(いわゆる摂取カロリー)を正しく制限し、適正な体重を保ち、肥満を予防・改善する
  2. 脂肪エネルギー比率(食品中の脂肪から得るエネルギー量が総エネルギー摂取量に占める割合)を適切に維持

コレステロールを下げる食品であっても、たくさん摂取すると総エネルギー摂取量が増え、太ってしまいます。逆効果となりますので気をつけましょう。

控えた方が良い食品

飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールを含む食品はなるべく控えましょう。[1]

LDLコレステロールを上げるとされているためです。

それぞれ詳しく解説します。

飽和脂肪酸

脂肪酸は食品に含まれる脂肪の主要な構成要素です。構造の違いにより「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類に分類できます。

飽和脂肪酸は、牛脂、ラード、肉の脂身、マーガリン、バター、チーズ、生クリーム、パーム油、ココアバター(カカオ脂)などに多く含まれています。

常温で固体である脂には飽和脂肪酸が多く、液体である油には不飽和脂肪酸が多く含まれるのが一般的です。[2]

トランス脂肪酸

前述のとおり、脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸は、さらに構造の違いでトランス型とシス型の2通りあり、天然はほとんどシス型で存在します。

トランス型の不飽和脂肪酸を「トランス脂肪酸」といいます。トランス脂肪酸は牛や羊などの反芻動物の胃の中で作られるため、牛肉・羊肉、乳製品などに微量含まれます。
また、油脂を加工・精製することによって油脂中の不飽和脂肪酸がシス型からトランス型に変化してできます。

植物油を加工して作るマーガリンやショートニング、これらを使って作られたパン、菓子、植物油を精製したサラダ油などにトランス脂肪酸が含まれるのはそのためです。[3]

コレステロール

コレステロールは脂質の一種で、人の体内では肝臓などで糖や脂肪から合成されるほか、食べ物からも摂取されます。コレステロールを多く含む食品は、鶏卵や魚卵、鶏・豚・牛レバーなどです。[2]

コレステロールの摂取を200mg/日未満に制限するとLDLコレステロールが低下することが認められました。[1]

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摂取した方が良い食品

適正な総摂取カロリーと脂肪エネルギー比率を守った上で、食物繊維、不飽和脂肪酸の摂取量を増やしましょう。LDLコレステロールを下げることが認められています。[1] 

不飽和脂肪酸の摂取量を増やすかわりに、同じエネルギー量となる飽和脂肪酸の摂取量を減らしましょう。脂肪エネルギー比率を守るためです。

それぞれ詳しく解説します。

食物繊維

食物繊維は食べ物が胃に留まる時間を長くし、排便を促進する作用があります。また、コレステロールの吸収を抑制する作用も持っています。

食物繊維の多い食品は玄米、七分づき米、麦飯、雑穀、納豆、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなどです。果物にも食物繊維は多く含まれていますが、果物には果糖も多く含まれます。食べ過ぎるとカロリーオーバーとなり、中性脂肪を上げてしまうので注意が必要です。[1] 

不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」、「多価不飽和脂肪酸」に分類されます。「一価不飽和脂肪酸」にはオレイン酸(オリーブオイルの主要成分)、「多価不飽和脂肪酸」にはリノール酸、α-リノレン酸、EPA、DHAなどがあります。

多価不飽和脂肪酸であるリノール酸は、大豆油、コーン油、サンフラワー油など植物油の主要成分です。α-リノレン酸は、シソ油、エゴマ油、キャノーラ油、大豆油などの主要成分です。EPA(イコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、共に主にイワシ、サバなどの青魚に含まれます。[4]

LDLコレステロール以外に注意すべき項目

LDLコレステロールと関連する「血中脂質」の検査項目として、「HDLコレステロール」や「中性脂肪(トリグリセライド)」があります。これらの3項目のいずれかが異常値となると「脂質異常症」と診断され、動脈硬化の要因とされています。[2]

HDLコレステロールが低いと注意されたら?

HDLコレステロールは基準値より低いと異常値とされます。

HDL コレステロールを上げるためには、禁煙や運動が効果的であるとの報告があります。なお、一般的に中性脂肪が上昇すると HDL コレステロールは低くなる傾向があります。中性脂肪を下げることも大切です。[2][5]

中性脂肪(トリグリセライド)が高いときは?原因や対策を紹介

総エネルギー摂取量が多すぎると、中性脂肪が高くなります。特に糖質、油脂、アルコール、甘いソフトドリンクのとり過ぎに注意が必要です。総エネルギー摂取量や摂取する脂質の割合は増やさず、多価不飽和脂肪酸を多く含む青魚の油をとりましょう。中性脂肪を下げることが認められています。[2]

そもそもコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)とは何か

LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)とは何かについて、詳しく解説します。

LDLコレステロールとHDLコレステロールの違い

コレステロールとは脂質の一種であり、細胞膜や各種ホルモンなどの材料となるものです。70~80%は体内で合成され、残り20~30%は食品から摂取されます。体内でコレステロールは中性脂肪やタンパク質と結合し、「リポタンパク」という水溶性の粒子となります。コレステロールのままでは血液中に溶けません。しかし、「リポタンパク」になると水溶性になり、血液中に溶け込んで体内を巡ります。

「リポタンパク」は比重によって分類され、その中に「LDL(低密度リポタンパク)」、「HDL(高密度リポタンパク)」があります。LDLに含まれるコレステロールを「LDLコレステロール」、HDLに含まれるコレステロールを「HDLコレステロール」と呼びます。

LDLは血液中で最も数が多い粒子です。全身の組織や細胞にコレステロールを運びます。血管壁にコレステロールが取り込まれ、過剰に蓄積すると、動脈硬化の原因となります。

HDLは細胞から使われなくなったコレステロールを取り込み、肝臓に運ぶ粒子です。動脈硬化を起こした血管に蓄積しているコレステロールを回収し、動脈硬化を改善します。

そのため、LDLコレステロールを「悪玉コレステロール」、HDLコレステロールを「善玉コレステロール」と呼ぶことがあります。[6]

中性脂肪(トリグリセライド)とは?

中性脂肪(トリグリセライド)は3つの脂肪酸がグリセロールと呼ばれる物質に結合した構造です。単に脂肪ともいいますが、中性を示すので中性脂肪と呼ばれています。

その構成成分である脂肪酸の種類によって中性脂肪の性質が変わります。飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪は常温で固体ですが、不飽和脂肪酸が多い植物性脂肪は液体です。

中性脂肪は重要なエネルギー源であり、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の摂取のために必要ですが、摂り過ぎると体脂肪として蓄えられて肥満の原因となります。[7]

また、中性脂肪が高くなるとHDLコレステロールが下がり、中性脂肪が低くなるとHDLは高くなる傾向があります。[2]

そのため、高すぎる中性脂肪を下げることは結果的に動脈硬化を防ぐために必要です。

動脈硬化とは

LDLコレステロールや中性脂肪が多すぎると、動脈硬化を起こす可能性があります。動脈硬化とはどんな状態なのでしょうか?

全身に栄養分や酸素を運ぶ役割を持つのが動脈です。この動脈の壁が、血圧上昇などの原因で傷つくと、そこからLDLコレステロールが入り込みます。それにより、プラークと呼ばれる塊が動脈壁にできた状態が動脈硬化です。[8]

ここでは、動脈硬化のリスクを上げる要因や、動脈硬化によって起こる病気について紹介します。

動脈硬化のリスクを上げる要因

動脈硬化は脂質異常症のほか、喫煙、飲酒のような生活習慣やメタボリックシンドローム、高血圧症、糖尿病、慢性腎臓病のような持病も一因となります。いくつか重複して該当する場合は、より注意が必要です。もちろん、病院で治療を受けることが重要です。[7]

動脈硬化が引き起こす病気

動脈硬化により血管の内腔が狭くなり、詰まりやすくなると「脳梗塞」や「心筋梗塞」などの重大な病気を引き起こすことがあります。

脳梗塞

「脳梗塞」は脳血管が詰まり、酸素不足によって脳細胞が壊死する病気です。手足の麻痺・しびれ、言語障害、視野が欠ける、めまい、意識障害などが突然発症し、後遺症を残したり、死亡に至ったりすることもあります。また、認知症の原因ともなります。[9]

心筋梗塞

「心筋梗塞」は冠動脈(心臓に酸素と栄養を送るための血管)が詰まり、心筋に血液が流れなくなって心筋が壊死する病気です。症状としては、突然、締め付けられるような強い胸の痛みや圧迫感が現れます。肩、腕、首、歯に痛みがひろがることもあります。治療を受けても、後遺症が残り、死亡する可能性がある病気です。なお、「狭心症」は冠動脈の血管は完全に詰まってはいませんが、血管内腔が狭くなってる状態で発症します。また、冠動脈が一時的にけいれんを起こして狭くなって起きることもあります。[10]

LDLコレステロールが高めの人が食事以外に気をつけることは?

LDLコレステロールを下げるためは食事療法のほか、運動療法も効果的です。適度な運動はHDLコレステロールを増やして中性脂肪を低下させ、結果的にLDLコレステロールも減少させることが知られています。[1]

適度な運動はどのようなものかについて解説します。

適正体重の維持

身長(m)×身長(m)×BMI が適正体重の目安となります。

年齢(歳)目標とするBMI(kg/㎡)
18~4918.5~24.9
50~6420.0~24.9
65以上21.5~24.9

運動療法を行う際は、この体重を維持するように努めましょう。

運動療法

LDLコレステロール高値を含む脂質異常症の改善には有酸素運動(ウォーキング、水泳、サイクリング等)を実施することが推奨されています。その運動量は1日合計30分以上を週3回以上(なるべく毎日)、または週に150分以上中強度以上が適切とされています。中強度の目安は、通常速度のウォーキングに相当し、「楽である~ややきつい」と感じる程度です。また、日常生活ではできるだけ座ったままの生活を避けることも有効です。

いずれの場合も、持病など健康上の問題がある場合は必ず主治医に相談しましょう。

Q&A

LDLコレステロールに関するよくある質問を解説します。

LDLコレステロールを下げる食品は?

食物繊維の多い食品(玄米、七分づき米、麦飯、雑穀、大豆・納豆、野菜、果物、海藻、きのこ、こんにゃくなど)、不飽和脂肪酸を多く含む植物油・魚油です。ただし、総摂取カロリーと、脂肪からとるカロリーが占める割合を上げないようにしましょう。特に果物を取り過ぎないことと動物性油脂を控える代わりに植物油・魚油を増やすことが大切です。[1]

LDLコレステロールを下げる飲み物は?

緑茶に含まれる茶カテキンはコレステロールの吸収を抑え、LDLコレステロールを低下させるという報告もあります。[11]茶カテキンは緑茶に多く含まれています。同じように、茶カテキンが含まれているのは、茶葉を使用して作る紅茶やウーロン茶です。

痩せているのにLDLコレステロールが高いのはなぜですか?

総摂取カロリーが多くなくても、食べている食品の選び方が悪いと、LDLコレステロールが高くなる場合があります。例えば、同じカロリーの油脂を摂取していても、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪の割合が多く、植物油や魚油の割合が低いような場合です。糖質制限を行い、肉類を多く食べている場合も注意が必要です。[12]

また、遺伝的にLDLコレステロールが高くなる「家族性高コレステロール血症」という病気もあります。これは生活習慣に関係なく発症します。次のような項目に当てはまる場合は医療機関で相談しましょう。[13]

  1. LDLコレステロールが非常に高い(180mg/dL以上)
  2. 家族(両親、祖父母、おじ・おば、兄弟、子)に家族性高コレステロール血症の人や狭心症や心筋梗塞を起こした人(男性55歳未満、女性65歳未満)がいる
  3. アキレス腱や皮膚に脂肪の塊がある

まとめ

高すぎるLDLコレステロールを下げることは、動脈硬化を防ぐために必要です。これさえ食べればLDLコレステロールが下がると言うものはありません。食べ過ぎや栄養バランスに注意した食事をとることが大切です。具体的には①肉の脂を控えて代わりに青魚や植物油をとる、②食物繊維を多くとる、の2つがポイントです。

また、適度な運動はLDLコレステロールを下げて動脈硬化を防ぐだけでなく、他の病気の予防にもなりますので、ぜひ続けましょう。

参考文献

[1] 動脈硬化性疾患予防 ガイドライン

[2] 脂質異常症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

[3] トランス脂肪酸に関する情報(農林水産省)

[4] 脂肪酸:農林水産省

[5] 健康診断で異常を言われたら?(日本動脈硬化学会)

[6] コレステロール摂取に関するQ&A【日本動脈硬化学会】

[7] 中性脂肪 / トリグリセリド | e-ヘルスネット(厚生労働省)

[8] 動脈硬化性疾患とは?(日本動脈硬化学会)

[9] 脳梗塞 – 東京逓信病院

[10] 急性心筋梗塞|国立循環器病研究センター冠疾患科

[11] 特定保健用食品について | 消費者庁

[12] やせていてもLDLコレステロール値が高いのは、なぜ? 問題あるの?[13] 家族性高コレステロール血症(FH)とは?【日本動脈硬化学会】