インフルエンザの治療薬、タミフルについて解説!飲み方や効果、副作用は?

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/29
インフルエンザの治療薬であるタミフルは、2001年に日本で発売されてから、多くの患者さんに使用されてきました。 そんなタミフルですが、一時期は異常行動と関係があるのではないかと考えられ、一部では使用を控える動きがありました。 現在では異常行動がタミフルの服用によるものではないことがわかっていますが、タミフルについて不安が拭えない方もいるのではないでしょうか。 この記事を読めば、抗インフルエンザ薬のタミフルに対しての不安感や疑問が少しでも和らぐはずです。 飲み方や効果、副作用についても解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
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目次

インフルエンザとは?

インフルエンザとはインフルエンザウイルスによって引き起こされる、高熱を主訴とする感染症です。

一般的な風邪との違いは、風邪が徐々に症状がでて咳や鼻水、咽頭痛、37度台の発熱などが現れるのに対して、インフルエンザは急激な高熱(38〜39度台)や筋肉痛、関節痛などの全身症状が現れることです。

潜伏期間は1〜3日ほどで、発症してからは発熱が3日前後続きます。その後は徐々に改善し、1週間ほどで回復することが一般的です。

しかし、中には重症化して肺炎や脳炎を引き起こすこともあります。インフルエンザが重症化すると入院治療が必要になるだけではなく命に関わることもあります。

高齢者や乳幼児、妊婦、慢性疾患を持つ人は重症化しやすい傾向があるため注意が必要です。

インフルエンザの感染経路は飛沫感染が主で、感染している人の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。

インフルエンザ治療薬「タミフル」とは?

タミフルの効果

タミフルはA型とB型インフルエンザの治療と予防に使用されるお薬です。

インフルエンザの症状がでて48時間位内に服用することで、発熱などの症状を約1日短縮することができます。

なお、治療と予防では服用法が異なります。

  • 治療:タミフルカプセル1回1カプセル 1日2回、5日間服用

  • 予防:タミフルカプセル1回1カプセル 1日1回、7〜10日間服用

[1]

タミフルはノイラミニダーゼという酵素を阻害することによってウイルスの増殖を抑える作用があります。

インフルエンザウイルスは細胞に入り込んで増殖し、細胞外に出ていくことでさらに感染を広げます。

この時、増殖したウイルスが細胞から出ていくためにノイラミニダーゼが必要となるのです。

タミフルはこのノイラミニダーゼを阻害することで、インフルエンザウイルスが他の細胞に感染していくのを防ぎます。

タミフルの副作用

タミフルは比較的安全に使用できるお薬ですが、主な副作用としては吐き気やめまいなどの消化器系、神経系の症状があげられます。

  • 消化器系症状
    下痢、腹痛、悪心、嘔吐など
  • 神経系症状
    めまい、頭痛、不眠など

その他、低体温や出血などの報告もあります。[1]

いずれの副作用も頻度は高くないため過剰に心配する必要はありません。もし、タミフルを服用していて特に気になる事があれば、医師や薬剤師に相談してください。

インフルエンザ治療薬「タミフル」と異常行動について

タミフルと異常行動の関係

以前、インフルエンザ罹患中に「急に走り出した」「飛び降りた」など、異常行動が問題となったことをご存知の方も多いでしょう。

当初は、異常行動とタミフルの因果関係が不明だったため、異常行動の報告が多かった10代に対して、タミフルの処方を控える処置が取られました。

その後、多くのデータが検討され、抗インフルエンザ薬の服用に関わらず、解熱剤のみの治療や薬による治療をしてない症例でも異常行動を起こす可能性がわかりました。

現在では異常行動がタミフルの服用によるものではなくインフルエンザそのものによる症状であると考えられています。[2]

異常行動が起きやすい人とは?

異常行動の報告として次のような傾向があります。

  • 年齢 乳幼児〜10代

  • 男女比 男性>女性

  • 発生日時 発熱してから2日以内、睡眠から覚めた後に多く発生

[2]

なお、これはあくまで傾向ですので、インフルエンザ罹患中はしっかりと経過を観察し、異常行動に注意する必要があります。

異常行動に対する対策

異常行動の報告としては「突然走り出した」「飛び降りた」などがあげられます。

このような行動による転落事故などを予防するために次の点に注意しましょう。

  • 発熱から2日間はひとりにしない

  • 玄関や窓に施錠する

  • 戸建てであれば1階の部屋で寝る

インフルエンザにかかったらタミフルはいつからいつまで飲むの?

タミフルは1日2回、5日間服用する薬です。インフルエンザと診断されたらなるべく早く服用を開始しましょう。

タミフルはウイルスの増殖を抑える薬ですので、早めの服用が効果的です。

食事の影響は受けにくいため、食事が摂れなくても服用して構いません。

症状が改善しても薬剤耐性ウイルスの出現を防ぐために5日間の飲みきりが基本となります。

タミフルを飲み忘れたら?

タミフルを飲み忘れたときは、気がついた時点で1回分を服用してください。

2回分を一度に服用すると過量投与になりますので1回量を守りましょう。

次回の服用が近いときは無理に服用する必要はありません。次の服用時間に1回分を服用してください。

次回の服用までどの程度時間をあけるか、明確な規定はないため、医師や薬剤師の指示に従いましょう。[3]

タミフルを途中でやめてもいいの?

タミフルは基本的には5日間の飲みきりとなります。発熱などの症状が治まっても処方された分は飲みきってください。

タミフルの服用を中断するとタミフルに耐性を持ったウイルスが出現しやすくなり、薬が効かなくなるのです。

また、タミフルを途中でやめることで治まりかけていた症状がぶり返すこともあります。

さらに、熱が下がっても痰や鼻水からウイルスの排出は続いていますので、タミフルを途中でやめることにより、感染を広げやすくする危険もあります。

このような理由により、基本的にタミフルは飲みきるようにしてください。

インフルエンザ治療薬「タミフル」は子供にどうやって飲ませる?

タミフルにはカプセルとドライシロップ(粉)のタイプがあります。

成人や37.5kg以上の小児であればカプセルで問題ありませんが、体重の少ない小児や乳幼児にはドライシロップが処方されます。

ここでは小児への薬の飲ませ方や、うまく飲めなかった時の対処法について説明していきましょう。

タミフルドライシロップの飲ませ方

タミフルの成分であるオセルタミビルにはもともと苦みがあります。タミフルドライシロップは甘く味をつけてありますが、苦みを完全に消せるわけではありません。

通常は水やぬるま湯で服用しますが、飲みにくい場合はチョコアイスやオレンジジュース、スポーツドリンクに混ぜると飲みやすくなります。

乳酸菌飲料やりんごジュース、バニラアイスなどは飲みづらくなるため避けたほうが良いでしょう。

また、お薬を飲み物などに混ぜる場合は、量が多いと飲みきれなくなるため注意が必要です。

乳児の場合は、ミルクに混ぜると味が変化してミルクを嫌がる原因になることがあるため、ミルクには混ぜないでください。[4]

タミフルドライシロップの服用法はこちらも参考にしてください。

参考:中外株式会社|タミフルドライシロップを服用される患者さんへ

飲んだけど吐き出してしまった場合はどうする?

お薬を飲んですぐに吐き出してしまった場合、ほとんど吐き出しているようであれば、もう一度服用してください。

お薬を飲んでから時間が経っていたり、少量の吐き戻しであれば、お薬が吸収されている可能性があるため、追加の服用は行わずに次の服用時間に1回分を服用しましょう。

インフルエンザはタミフルを飲まないと治らないの?

体にはもともと免疫機能が備わっており、ウイルスや細菌に打ち勝つ力があります。

インフルエンザでは、高熱や関節痛など、通常の風邪と比べて強い症状が現れますが、健康な人であればタミフルなどの抗ウイルス薬を使用しなくても1週間ほどで自然と治ります。

タミフルの役割はインフルエンザウイルスが増えるのを抑えて、治癒するまでの時間を短縮することです。

タミフルを服用しなかった場合と比べて、発熱時間を約1日ほど短くする効果があります。

インフルエンザは、まれに重症化したり脳炎を起こしたりすることがあります。インフルエンザを疑った場合は放置せずに、医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。

インフルエンザ薬「タミフル」の予防投与について

インフルエンザの予防はワクチン接種が基本です。

しかし、重症化リスクが高い方で身近にインフルエンザ患者がいる場合には、タミフルによるインフルエンザの予防が考慮されます。

予防投与の対象になる方は、原則としてインフルエンザと診断された方と同居している方で、以下に当てはまる方です。

  • 65歳以上の高齢者

  • 慢性呼吸器疾患または慢性心疾患の方

  • 糖尿病等などの代謝性疾患の方

  • 腎機能障害の方

これに当てはまらない方に対して、処方できないというわけではありませんが、重篤な副作用が起きた場合、厚生労働省による救済措置の対象にならない可能性があります。

タミフルの予防投与は治療目的ではないため保険は適応されません。診察代、お薬代ともに自費となります。

タミフル以外のインフルエンザ治療薬

インフルエンザの治療に使われる薬は、タミフル以外にもあります。

それぞれの薬の特徴を見ていきましょう。

  • ゾフルーザ

1回の服用で治療が終了する内服薬。

他の治療薬とは作用が異なり、エンドヌクレアーゼという酵素を阻害することで効果を発揮する。

(参照:塩野義製薬)

  • リレンザ

1日2回、5日間使用する吸入薬。

専用の吸入器を使用するため、吸入器の操作を理解する必要がある。

(参照:グラクソ・スミスクライン)

  • イナビル

1回で治療が完結する吸入薬。

上手く吸えなかった場合は十分な効果が得られない可能性がある。

(参照:第一三共)

  • ラピアクタ 

唯一の点滴薬。

経口摂取が困難な患者や入院患者に使用しやすい。

(参照:塩野義製薬)

Q&A

インフルエンザにかかったらタミフルは必須ですか?

健康な方であればインフルエンザにかかっても、1週間程度で症状が改善します。

タミフルは必須ではありません。

しかし、周りの方にうつしたり、重症化や脳症を発症したりするリスクもあるため、治療については受診して医師の指示を仰ぎましょう。

インフルエンザにタミフルは効くの?何日以内に飲めばいい?

タミフルは発症後48時間位内に服用するのが有効とされています。

ウイルスの増加を防ぐための薬なので、検査でインフルエンザ陽性となった場合は、なるべく早く1回分を服用しましょう。

タミフルを服用することで発熱などの症状を約1日短縮できるとされています。

インフルエンザの薬は10代でも使えますか?

抗インフルエンザ薬はタミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザ、ラピアクタの5種類がありますが、10代にはすべての薬剤が承認されています。

以前は、タミフルと異常行動の関係が明らかになっていなかったため、10代へのタミフルの使用が控えられていました。

現在では、タミフルと異常行動の関係は否定されているため、10代でも問題なく使用できます。

まとめ

ここまでインフルエンザの治療薬であるタミフルについて解説してきました。

インフルエンザは高熱や関節痛、筋肉痛など、風邪と比べて強い症状が現れます。

タミフルは、インフルエンザ発症後48時間位内に服用することで、ウイルスの増殖をおさえ、症状を早く改善する効果が期待できます。

さらに、重症化のリスクを減らしたり、ウイルスの排出期間を短縮したりする効果も認められているのです。

インフルエンザと診断された場合に必ずタミフルが必要になるわけではありません。

しかし、タミフルの必要性を判断するためにも、インフルエンザを疑ったときは医療機関を受診して医師の判断を仰ぎましょう。

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もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。

参考文献

[1]タミフル添付文書

[2]インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究

[3]中外株式会社|タミフル 飲み忘れた場合の対応

[4]中外株式会社|タミフルドライシロップを服用される患者さんへ

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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