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タミフルを途中でやめるとどんなリスクがあるの?
タミフルの服用を途中でやめると、効果が十分に得られずインフルエンザウイルスが再び増殖する可能性があります。
その結果、インフルエンザの重症化や周囲への感染拡大を引き起こします。
「タミフルの副作用が不安だから途中でやめようかな」「もうインフルエンザの症状がよくなったから飲まなくてもいいや」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし自己判断で途中でやめず、決められた量と服用期間を守るのが原則です。
症状が改善しても飲み続けるべき理由
症状が改善してもタミフルを飲み続けるおもな理由は
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体内でくすぶっているインフルエンザウイルスを排除する必要がある
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インフルエンザウイルスが薬の効かない薬剤耐性ウイルスへ変化することを防ぐ
の2つです。
熱が下がり咳などの症状が改善しても、発症後約5~7日間は体内にインフルエンザウイルスが残っている可能性があります。[1]
また薬剤耐性ウイルスは、抗ウイルス剤の服用を中断したり必要以上に使ったりして発生します。
薬剤耐性インフルエンザウイルスが発見されるのは1~2%と低い確率ですが、人から人へ感染するため集団予防の面から医師の指示を守り自分の判断で中止しないことが大切です。[2]
途中で服用をやめた場合に起こりうること
タミフルを途中でやめると以下のようなリスクが起こり得ます。
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咳や鼻水などのインフルエンザ症状が再び悪化する
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インフルエンザウイルスが増殖し薬の効果を期待できなくなる
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治るまで時間がかかる
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周りへインフルエンザ感染を広げる
家族と同居している人は家庭内感染が起こり、治療期間が長くなれば学校への登校や出勤ができないなど日常生活にも支障をきたします。
症状がよくなったとしても、服用を中断しないようにしましょう。
完治までに必要な期間は?
タミフルを服用した場合、インフルエンザに感染して完治するまでの期間は約7日間です。インフルエンザ発症から回復までの経過を表にまとめました。
発症からの経過日数 |
症状・特徴 |
0~3日 |
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3~5日 |
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5~7日 |
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インフルエンザウイルスは発症後1~3日ほどで感染力のピークをむかえ、症状が治まる5~7日間ほどまではウイルスを排出している可能性があります。
また症状が治まるとともに、ウイルスが体内から排除されていきます。
7日間経過しても咳やくしゃみなど症状が続く場合は、ウイルスが排除されていないケースもあるためマスクを着用するなど感染予防を続けましょう。
タミフルは1日2回5日間飲みきるのが原則
タミフルは、インフルエンザ発症後2日以内(48時間)に以下の用法用量で処方されるのが原則です。
成人および37.5kg以上の子ども |
1回75mg 1日2回5日間 |
乳幼児 |
2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg) 1日2回5日間 |
新生児、乳児 |
3mg/kg(ドライシロップ剤として100mg/kg) 1日2回5日間 |
処方された指示を守ると、完治するまでの期間が1~2日ほど短縮します。症状が軽くなったと途中でタミフルの量を少なくしたり、服用をやめたりすると症状が悪化する可能性もあるため必ず医師の指示に従いましょう。
タミフルドライシロップは苦味を強く感じる子どももおり「5日間飲ませるのは大変」という方もいらっしゃるでしょう。子どもが服用を嫌がる場合は、飲みやすくなる食品に混ぜて飲ませてみてください。
飲みやすくなる食品 |
飲みにくくなる食品 |
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新生児や乳児で食品に混ぜられないときは、少量の水で薬を練り口の中を傷つけないように注意しながら指で上顎や頬の内側に薬をつける方法もあります。
タミフルの副作用にはどんな症状があるの?
タミフルの服用中に「副作用ではないか」「飲み続けてよいか」不安に感じることもあるでしょう。
副作用のほとんどは吐き気や胃の不快感などで深刻なものではありませんが、症状によっては注意が必要です。
タミフルの副作用を理解し、症状が重い場合は迷わず医療機関を受診しましょう。
一般的な症状
タミフルを服用した際にみられる副作用は以下のとおりです。
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腹痛(0.3%)
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下痢(0.5%)
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吐き気(0.3%)
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発疹(0.2%)
腹痛や下痢・吐き気のような消化器症状がある際はうどんや粥など消化のよい食事をとり、めまいがあらわれたときは転倒するおそれがあるため急に立ち上がるような動作は避ける必要があります。
副作用があらわれる頻度は、全体で27.5%と約3割の人にあらわれる可能性があります。タミフルの副作用はインフルエンザと同じような症状もあり、判断が難しい人もいるでしょう。
副作用かもしれないと感じたときは、自己判断で服用を中断せず医療機関へ相談することをおすすめします。
まれに起こる可能性のある症状
タミフル服用中は注意の必要な副作用があらわれる場合もあります。
副作用 |
症状 |
ショック、アナフィラキシー[3] |
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肺炎[4] |
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劇症肝炎、肝機能障害、黄疸[5] |
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急性腎障害[6] |
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皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮、壊死融解症[7] |
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精神・神経症状、異常行動 |
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白血球減少、血小板減少 |
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出血性大腸炎、虚血性大腸炎 |
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副作用は数時間から数日であらわれるため、タミフル内服中だけでなくインフルエンザの症状が治ったあともしばらくは注意しましょう。
体調の変化を自身で伝えることの難しい人や子どもは以下の症状がないか観察しましょう。
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顔色や手・足の色が紫色
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体のむくみ
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尿量や回数が減り濃い黄色もしくは茶褐色
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排便に血が混ざる、下痢
(水のような状態・ゼリー状のものが混ざっている) -
皮膚に赤い発疹や蕁麻疹ができる
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ろれつがまわらない
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しかめている、焦点が合わない など
副作用のあらわれる頻度は不明とされ、症状があらわれ始めて急速に悪化するケースもあるため迷わず医療機関へ受診することが重要です。
副作用が出たときの正しい対処方法
副作用があらわれたときは、タミフルを内服したあとどのような症状があらわれたか記録し受診した医療機関へ相談しましょう。
医療機関が夜間や休日の診療時間外のときは、休日診療している医療機関や夜間救急などに相談するのも1つの方法です。
かかりつけ医ではないところへ受診する際は、症状を記録したメモに加え薬手帳など処方薬の情報を持参しましょう。
できるだけ緊急性が伝わるように「タミフルを飲んで意識がありません」など、端的に話したあと経過を説明します。
インフルエンザを発症して発熱後数時間~48時間以内に起こるインフルエンザ脳症も、痙攣や意識障害など同じような症状がみられます。[8]
症状を正確に伝え適切な治療へつなげることもポイントです。相談した医療機関から、受診や救急車要請など指示があれば必ず従いましょう。
どのような副作用が注意を要するか理解すると慌てず対応できます。
すぐに医療機関に相談すべき症状
表のような症状があらわれた際は、すぐに医療機関へ受診しましょう。
すぐに相談すべき症状 |
特徴 |
高熱 |
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息苦しい |
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意識障害 |
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痙攣 |
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異常な行動 |
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タミフルの副作用で注意を要する症状があらわれた場合は、急激に悪化する可能性があります。
自分には関係ないと思わず「もしものとき」を考え、いつでも医療機関へ受診できる体制を整えておきましょう。
タミフル服用時の注意点について
タミフルはインフルエンザを発症して48時間以内に服用をしなければ、十分な効果を期待できません。
インフルエンザ治療薬として有効ですが、子どもが服用した際は2日間見守る必要があります。
またタミフルはインフルエンザ感染者の病気や授乳中など、状態によって処方できないケースがあることも理解する必要があります。
子どもは症状が出てから2日間は見守る
異常行動は10歳から19歳の患者に多くみられるという報告があります。[9]
タミフル服用が原因であるかは不明ですが、インフルエンザを発症した子どもにみられると理解しましょう。
突発的な行動で転落などの事故にならないよう発熱して少なくとも2日間は寝ているときも見守り、自宅のドアや玄関の鍵をかけるなどの対策が重要です。
鍵をかけるところ |
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すごす部屋 |
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また、扉はベビーロックで二重にする、玄関はチェーンをかけるなどできる対策を講じましょう。
部屋に鍵がついていないところは、ドアノブに鈴など音がなるものをさげるのも効果的です。
異常行動は予測ができないため、いつもはしないような行動にでる可能性があると理解しておくと事前に危険回避できます。
日頃から鍵をかけられる部屋などを把握しておきましょう。
発症から48時間以内の服用が効果的
抗ウイルス薬であるタミフルはインフルエンザウイルスが増殖のピークをむかえる前の48時間以内に、服用することで効果を期待できる仕組みです。
48時間以上が経過し、インフルエンザウイルスの増殖ピークを過ぎたあとはタミフルを服用しても効果は期待できません。
また、受診のタイミングも重要です。インフルエンザは発症直後に検査をしても「陽性」がでないケースもあります。
インフルエンザ感染症は発症した日を0日とし、1~3日経過した頃にウイルス増殖がピークをむかえるため、症状のあらわれた翌日に医療機関へ受診することをおすすめします。
インフルエンザの症状があらわれて、数時間で症状が悪化する場合は翌日まで待たず速やかに医療機関を受診しましょう。
服用に注意が必要な人とは
以下の表にタミフルを服用に注意が必要な人をまとめました。
腎機能障害がある |
タミフルは腎臓に負担がかかるため、腎臓の機能に応じて服用量の調整が必要 ※かかりつけ医以外の医療機関へ受診の際は、血液検査データを持参しましょう。 |
妊婦 |
タミフルの成分が胎盤を通して胎児の体内へ入るため、医師が治療上必要と判断したときのみ服用します。 ※医療機関へ受診する前にかかりつけの産婦人科へ相談し、担当医よりどのような薬を処方してもらえばよいのか教えてもらいましょう。 |
授乳中 |
母乳を通して赤ちゃんがタミフルを摂取する可能性があるため、タミフルを服用中は授乳中止を検討しましょう。 |
ワルファリン(血液をサラサラにする薬)内服中 |
タミフルを服用すると、薬の効果が強くなり血液がさらに固まりにくくなるため注意が必要です。 |
高齢者 |
持病がある、肝臓や腎臓の機能が低下しているケースがあるため注意が必要です。 |
インフルエンザ症状で医療機関を受診する際は、問診のときに妊娠中であるかなど自身の状態を伝えることで適切な治療へつながります。
持病や服用中の薬がある人は、医療機関受診のときに必ず伝えましょう。
Q&A
タミフルの服用についてよくある質問にお答えします。
自己判断で服用を中止したり、指示された服用量を守らなかったりすると適切な治療へつながりません。
タミフル服用に関して不安があるときは必ず医療機関へ相談しましょう。
副作用がでたら中止してもよい?
自己判断で、タミフル服用を中止するのはやめましょう。治まっていた症状の悪化や薬の効かない薬剤耐性ウイルスが発生する要因になるケースがあります。
タミフルを服用して体調が悪化した際は、受診した医療機関へ連絡しどのような対応をしたらよいか相談します。
タミフルの副作用で、比較的あらわれる頻度が高い症状は以下のとおりです。
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腹痛
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下痢
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吐き気
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頭痛
インフルエンザでも同じような症状があるため、副作用との区別が難しいこともあります。
自己判断で服用を中止せず、必ず医師の指示に従いましょう。
タミフルを一度飲むのをやめたけど、再開してもよい?
医師の指示がない限り、一度中止したタミフルの服用再開はおすすめしません。
タミフルの服用を途中でやめたあと、服用の再開に関しては受診した医療機関や薬を受け取った薬局薬剤師へ相談しましょう。
症状が治まらないなど治療に対して不安がある際は、担当医への相談をおすすめします。
タミフルを飲み忘れたらどうしたらいい?
飲み忘れに気づいた時点で1回分を服用します。朝服用する薬の飲み忘れに夕方気づいた場合など、次の服用時間に近いときは1回分とばして服用します。
臨床試験では少なくとも3時間以上あけるとよいとされていますので、朝夕1日2回飲んでいる人が朝の分の飲み忘れに昼頃気づいた場合は服用しても問題ありません。
万が一、2回分を飲んだなど決められた量より多く飲んだ場合は必ず受診した医療機関へ連絡してください。
タミフルを飲んだ後に嘔吐したときはどうしたらいい?
服用後30分以内に嘔吐したときは薬が血液中に吸収されていない可能性があるため、15分ほど様子をみて吐き気が治まっていたら同じ量のタミフルを飲みましょう。
服用後30分以上たって嘔吐した場合でも、吐いたものにカプセルがあるときは同じ量のタミフルを飲みます。
嘔吐の症状がみられた際は、吐物がのどにつまらないよう注意してください。吐物が口の中に残ると再び吐き気を誘発するケースがあるため、冷たい水やレモン水でのうがいがおすすめです。
うがいが難しい人や子どもの場合は濡らしたガーゼなどで口の中を拭くとよいでしょう。また、嘔吐が何度か見られる場合は医療機関へ受診し相談しましょう。
タミフルによる異常行動が不安だけど飲ませたほうがよい?
タミフルの服用による異常行動に不安がある場合は担当医師へ相談しましょう。
異常行動は、タミフル服用だけが要因ではなく、タミフルを服用していない子どもにもみられることが判明しました。
異常行動の原因は以下3つが考えられます。
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タミフルの副作用
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熱性せん妄
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インフルエンザ脳症
現時点の研究では異常行動の原因ははっきりわかっていませんが、タミフルが悪影響をおよぼすとは限らないと結論づけられています。
タミフルが処方され始めた当初は、異常行動の原因と捉えられていたため10歳以上19歳までの処方は控えられていました。
しかし、インフルエンザ発症と異常行動への調査と研究が進み、2018年より解禁されています。
異常行動はタミフルが原因でなくてもインフルエンザ発症から4日以内にみられることが多いため、目の届くところで休ませるかこまめに様子を確認しましょう。
タミフルを飲まなくてもインフルエンザは治るの?
インフルエンザはタミフルを服用しなくても10日間ほどで治まります。
タミフルの役割はインフルエンザウイルスの増殖をおさえ、治るまでの期間や発熱期間を約1~2日短縮することです。
タミフル以外にも抗インフルエンザ薬があり、適切な治療をおこなうことで、早期の体力回復にも役立ちます。
まとめ
タミフルはインフルエンザウイルスの増殖をおさえ、発熱などの症状があらわれる期間を1~2日ほど短縮する薬です。
症状の改善や不安がありタミフルを途中でやめると、抑えられていたインフルエンザウイルスが再び増殖を始め、症状の悪化や周囲へ感染を広げるリスクがあるため処方された期間服用する必要があります。
万が一タミフルを飲み忘れた際は、気づいた時点で1回分を服用し次の服用時間まで3時間未満のときは1回分をとばして飲みます。
飲み忘れたからと2回分を服用すると副作用が強くでる場合もあるため、多く飲んでしまったときは医療機関や薬剤師へ連絡しましょう。
またタミフルの副作用はほとんどが経過観察で済みますが、吐き気で服用が難しい場合や意識障害などがあらわれたときは、自己判断で服用をやめず受診した医療機関へ相談してください。
タミフルのこと、インフルエンザのほかの薬のこと、不安なことがあるとお医者さんに相談したくなりますよね。
夜間や休日も関係なくオンラインで医師の診察を受けることができるファストドクターであれば、気になったときにすぐに相談できるため便利です。
当日でもアプリからそのまますぐに予約ができるため、ぜひご活用ください。
参考文献
[1]日本感染環境学会「季節性インフルエンザのウイルス排出量をもとにした院内での隔離期間についての検討」
[5]厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル薬剤性肝障害」
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。