熱中症で熱が出ることはあるの?
熱中症が原因で発熱することはあります。
重症になると40℃を超える高熱が出ることもあり、命の危険がある42℃を超える場合もあります。
初期段階では微熱で済みますが、対処を誤ると重症化してしまうので微熱だからと甘くみてはいけません。
熱中症での発熱の原因は、体温の調節機能がうまく働かなくなることです。
人間は汗をかいて蒸発させることで体温が上がりすぎないように調節していますが、熱中症の症状が進行して大量に汗をかいてしまうと体内の水分が少なくなり、汗をかけなくなります。[1]
その結果体温が上がり、熱が出てしまいます。
熱中症で発熱している状態は体温調節機能が失われている、もしくは失われそうになっているサインです。
体温が42℃を超えると命の危険があるとされているため、適切な処置をして早く熱を下げることが重要です。
熱中症による熱の特徴
熱中症による発熱では、急激に熱が上がることもあれば翌日に熱が出ることもあります。
また熱の高さも微熱で済んだり命の危険のある42℃まで上がることもあったりと、重症度によって異なります。
つまり熱中症の熱の特徴はさまざまだということです。
重症度によって体調不良の程度に大きな差があり、また暑い場所にいたあとの体調不良はすべて熱中症の可能性があると言えます。
回復までの期間は処置の方法や体が受けたダメージの程度によって変わりますが、軽症の場合は正しい応急処置をおこなえば24時間程度で熱が下がるでしょう。
しかし中には翌日まで症状が長引いたり、反対に翌日から症状が出る場合もあります。
ここからはいくつかのケースをご紹介します。
熱中症になった翌日に発熱することがある
暑い日の当日に症状がなくても、翌日以降に発熱することがあります。
たとえば暑い日に大量に汗をかいたものの、とくに深刻な症状が出ていないために水分や塩分の補給を怠ってしまったケースなどが考えられます。
熱中症による発熱の主な原因は体の脱水にあるためです。
熱中症の翌日も脱水状態が続いていると段々と汗をかけなくなり、体温が上昇して発熱する可能性があります。
また熱中症で負担を受けた体の疲労による発熱も考えられるでしょう。
気温の高い環境にいると 臓器の機能が低下し、その影響により体調不良になりますがすぐに分かりやすい 症状が出るとは限りません。
症状を自覚するまでに24時間以上かかることもあります。 しかし熱中症になって1時間程度で急激に体温が上がることもあるので、熱中症による発熱のタイミングはさまざまだと言えます。[2]
熱中症の熱は上がったり下がったりすることもある
重症の熱中症での発熱は40℃以上の高熱になりやすく、冷却処置で一度体温が下がったあとにまた上がることもあります。
脱水症状が原因の高熱の持続による多臓器不全や、体温調節機構が破綻すること により体温調節ができなくなっているためです。
また軽症や中等症であっても体は脱水状態にあるため汗をかきづらくなっており、体温調節がうまくできません。
体温調節ができなくなると、体温が上がったり下がったりする現象が発生します。[5]
子どもは夜に熱中症で発熱することがある
子どもは大人に比べて体温調節機能が十分に発達しておらず、さらに地面からの照り返しの影響を受けやすいため熱中症になりやすいです。
体温調節機能が未熟な理由は、汗腺の密度が高いことやひとつの汗腺からかくことのできる汗の量が少ないためです。 [6]
また幼少期の子どもは身長が低いため、照り返しの影響を強く受けます。
大人の顔の高さで32℃のとき、子どもの顔の高さでは35℃程度になるので大人が感じている以上の高温下にいると言えます。[3]
総じて子どもは大人に比べて暑さに弱いということです。
さらに夜は熱中症になりやすい条件がそろっています。
冷房機器の使用方法によっては夜間は高温多湿になりやすく、さらに睡眠中は水分補給ができないためです。[7]
また前述の日中に熱中症になってから症状が出るまでに時間のかかるケースも考えられます。
熱中症の熱は何日続くの?
数時間で下がることもあれば数日間続くこともあります。原因である脱水症状の程度や、ダメージを受けた臓器の回復の程度によるためです。
自分で対処ができるⅠ度の熱中症 であれば、正しい応急処置をおこなえば翌日に治ることが多いです。
以下の基本的な3つの対処をおこなって十分な栄養と休養をとれば、長くても24時間程度で回復するでしょう。
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涼しい場所に移動する
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服をゆるめ、体を冷やす
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水分と塩分をとる
正しい応急処置についてはこちらの記事もご覧ください。
関連記事:熱中症の対処方法と間違いやすい応急処置について解説
もし1日以上経っても症状が改善しない場合は、Ⅱ度(中等症)の熱中症もしくは熱中症以外の疾患の可能性があります。
いずれ にしても専門的な処置が必要ですので医療機関を受診しましょう。
また39℃や40℃などの高熱が続いている場合は、全身の臓器にかなりの負担がかかっている状態です。
解熱後に意図しない障害を残してしまうことがあるため、 すみやかな受診が必要です。
熱中症と熱射病|対応方法の違いについて
熱中症と熱射病の違いをご存じでしょうか。
熱中症には重症度があり、 熱射病はⅢ度(重症)にあたります。
重症度によって症状と対応方法が異なるため表にまとめました。
重症度 |
症状 |
対応方法 |
症状で分類した呼び方 |
Ⅰ度(軽症) |
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現場で処置をして経過観察 |
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Ⅱ度(中等症) |
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医療機関を受診 |
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Ⅲ度(重症) |
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救急車を呼ぶ |
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熱中症と熱射病の違いは?
熱射病は熱中症の一種であり、一番症状の重いⅢ度(重症)のことを指します。
熱射病がほかの熱中症と異なる点は意識障害の有無です。
熱中症が重症になると体温が過度に上昇しているため、脳の機能に異常が出て意識障害があらわれます。
意識障害とは次の2つのような状態を指します。
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呼びかけへの反応が鈍かったり、おかしなことを言ったりする
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1が進行すると昏睡状態になり、呼びかけに反応しなくなる
熱射病は死亡率が30%を超える危険な状態であり、めまいや立ちくらみなどがみられるⅠ度(軽症)、頭痛や吐き気などがみられるⅡ度(中等症)とは緊急度が大きく異なります。[4]
高体温の状態が続くと脳以外の臓器にも悪影響を及ぼすため、一刻も早く冷却処置をしなければなりません。
自力では対処できないため、すみやかに救急車を要請しましょう。[2]
熱中症による熱の対処法について
熱の程度により対処法が異なります。
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37℃~38℃前半の発熱
正しい応急処置をおこなえば自然に下がることが多いため、以下の基本的な3つの対処をおこないます。
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涼しい場所に移動する
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服をゆるめ、体を冷やす
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水分と塩分をとる
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38℃後半~40℃を超える高熱
Ⅱ度(中等症)以上の熱中症である可能性が高いため、すみやかに医療機関を受診してください。
脱水症状が進行して失われた水分や塩分を、点滴で補う処置などがおこなわれます。
受診するまでの間も体を冷やす、水分と塩分をとるなどの自力でできる応急処置はおこないましょう。
もし異常行動や意識障害がみられたり自力で水分をとれなかったりする場合は、一刻も早い対応が必要なため救急車を呼んでください。
熱中症の応急処置や重症度別の対処方法については、こちらの記事でも解説していますのであわせてご覧ください。
関連記事:熱中症の対処方法と間違いやすい応急処置について解説
熱中症の熱が下がらないときはどうしたらいい?
熱が下がらない場合は医療機関を受診しましょう。
様子見をしていてよいのは、応急処置をして回復がみられるときのみです。
目安はおおよそ24時間以内に、だるさや食欲がないなどの症状がなく、普段通り過ごせるかどうかです。[8]
応急処置で症状がよくならないときはⅡ度(中等症)の熱中症にあたりますので、医療機関で適切な処置を受ける必要があります。
とくに注意が必要なのは、40℃以上の高熱が続く場合です。
高体温が続くと脳だけでなく他の臓器にも障害があらわれやすくなるため、死亡率が30%超と高くなります。[2]
一刻をあらそう状況ですので、すみやかに救急車を呼びましょう。
解熱剤を飲んでもいいの?
熱中症による発熱では解熱剤を飲まない方がよいでしょう。
解熱剤に使用されているロキソプロフェン や、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)は、熱中症に対して効果が期待できず、リスクがあるためです。
それぞれ詳しく説明します。
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熱中症による発熱は、高い気温や脱水症状などによって体温を調節できなくなることが原因。NSAIDsが作用する解熱の仕組みとは違うため効果が期待できない。
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脱水状態でNSAIDsを使用すると、腎障害のリスクを高める可能性がある。[2]
発熱の原因が熱中症だと思われるときは、自己判断で薬を服用せずに適切な応急処置をおこないましょう。
熱中症で寒いと感じることはある?
一般的な症状ではありませんが、寒気を感じる可能性はあります。
寒気は体温の調節機能が乱れたときに起こるためです。
熱中症になると大量の汗をかいて体内の水分が失われるため体温の調節機能が乱れやすくなります。
また寒気が症状としてあらわれることもあります。
しかし発熱を伴う寒気は風邪や新型コロナウイルス感染症などでも感じやすいため、見分けることは難しいでしょう。
Q&A
ここでは熱中症の熱に関するよくある質問について回答します。
熱中症で熱が出ることはありますか?
37℃台の発熱は熱中症でよくみられる症状です。体が脱水状態になると汗をかけなくなり、体温が上昇しやすくなるためです。
しかし39℃や40℃などの高熱は重症化した熱中症の症状なため、稀であると言えるとともに危険な状態であると言えます。
軽症や中等症では熱が出ないこともあります。
熱中症になると熱は何度ぐらい?
微熱で済むこともありますが、重症になると40℃を超える高熱が出ることもあります。
体温が38℃後半であるときは自力の対処では回復が難しいこともありますので医療機関を受診しましょう。
39℃以上ある場合は脱水状態が進行している危険な状態です。ただちに救急車を呼んでください。
熱中症になると熱が出るのはなぜ?
脱水症状で体温の調節機能がうまく働かなくなるためです。
人間は汗をかいて蒸発させることで体温が上がりすぎないように調節していますが、熱中症の症状が進行して大量に汗をかいてしまうと体内の水分が少なくなり、汗をかけなくなります。[1]
その結果体温が上がり、熱が出てしまいます。
熱中症で発熱している状態は体温調節機能が失われている、もしくは失われそうになっているサインです。
熱中症で熱がでたらどうしたらいいですか?
37℃~38℃前半の発熱の場合は以下の基本的な3つの対処をおこないましょう。
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涼しい場所に移動する
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服をゆるめ、体を冷やす
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水分と塩分をとる
それぞれの具体的な方法はこちらの記事で解説していますのであわせてご覧ください。
関連記事:熱中症の対処方法と間違いやすい応急処置について解説
38℃後半~40℃を超える高熱の場合はすみやかに医療機関を受診してください。
Ⅱ度(中等症)以上の熱中症である可能性が高いためです。
受診するまでの間も体を冷やす、水分と塩分をとるなどの自力でできる応急処置はおこないましょう。
もし異常行動や意識障害がみられたり自力で水分をとれなかったりする場合は、一刻も早い対応が必要なため救急車を呼んでください。
まとめ
この記事では熱中症で発熱することがあるのか、何日程度で下がるのか、対処法について解説しました。
熱中症による発熱は風邪や新型コロナウイルス感染症と見分けがつきづらく対処方法に悩みますよね。
高温や多湿の場所に長くいたり、汗を大量にかいたりしたあとの発熱の場合は熱中症の可能性があります。
発熱のほかにも頭痛、めまい、吐き気などが併発しやすい症状ですのでよく体調を観察しましょう。
最後にポイントを表にまとめましたのでご覧ください。
特徴 |
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対処法 |
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もし頭痛も同時に起きている場合は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
関連記事:熱中症の頭痛を速攻で治す方法はある?薬を飲んではいけない理由とは
熱中症は、気付いた時にはかなり脱水症状が進行していたり、判断が遅れて重症化するケースがあります。
ファストドクターのオンライン診療では、熱中症が疑われる症状への対応が可能です。
緊急性の判断などにもご利用いただけます。
もしものときに備えてアプリをインストールし、情報登録までしておくと安心です。
参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。