メンタルヘルス不調で休職を考えている方へ ~知っておきたい休職制度の基礎知識

公開日: 2024/08/27 更新日: 2024/08/27
「最近、なんだか体調が良くないし仕事が思うように進まない」 「ゆっくり休みたいけど、仕事を休んでも良いのかな」 このように、心身の不調で時間をかけて仕事を休みたい場合には、休職制度を利用すると良いでしょう。 休職(休職制度)では、職場に在籍したまま仕事をお休みすることができます。 メンタルの不調であらわれる身体や心の症状は時間をかけて改善させていく必要があり、休職して心身を休めることも重要です。 この記事では、一般的な休職制度の内容や、休職した方が良い心・身体の症状などについて解説します。 メンタル不調で仕事をするのがつらい方はもちろん、そうでない方も、いざという時のために制度について知っておきましょう。

休職制度とは

休職(休職制度)は、雇用関係を維持したまま仕事をお休みできる制度です。

休職の理由はさまざまですが、ほとんどが病気や留学などの従業員側の都合によるものです。

休職制度は法律で定められたものではないため、休職制度の有無やその内容は企業により異なります。

しかし、ほとんどの企業では、従業員の心身の健康を守るため休職制度を設け、休職期間や賃金の支払いなどについて定めています。

欠勤や休業との違い

休職は欠勤や休業とよく混同されがちですが、次のような違いがあります。

休職

雇用関係を維持(企業に在籍)したまま、業務をお休みできる制度。休職期間や賃金の支払いなどについては、企業が自由に定めることができる。


欠勤


労働の義務は発生しているにもかかわらず、業務をお休みしている状態。企業に賃金の支払い義務は生じない。

休業

企業都合の休業と従業員都合の休業(育児休業や介護休業など)がある。

休職制度の詳細は、就業規則に定められています。

一般的な休職理由

ここでは、一般的に休職が許可される理由について解説します。
休職や復職の可否は、企業の許可が必要です。

傷病休職

病気やケガの治療、療養などのための休職。

休職するためには、診断書などの書類が必要になることが多い。

適応障害やうつ病などの精神疾患で休職する人も多い。

自己都合休職

自己都合で休職する場合に活用可能。

留学やボランティア、家庭の事情などで利用する人もいる。

事故欠勤休職

傷病休職以外の理由で、従業員都合の欠勤が続く場合に適用される。

起訴休職

被告人として起訴されてしまった場合の休職。

従業員の業務遂行が難しい場合や企業の信用に問題が生じてしまう場合に活用される。

 

メンタル不調に休職が役立つ理由

日常を送っていると、日々の疲れや対人関係のストレス、環境の変化などによってメンタル不調があらわれてしまうことも少なくありません。

メンタル不調により日々の業務をすることが難しいと感じるのなら、休職制度の利用を検討してみましょう。

一例として、次のような心と体の症状があらわれている場合には、メンタル不調として適応障害やうつ病を発症している可能性があります。

こころの症状

  • 悲しく憂うつな気分が一日中続く
  • これまで好きだったことをしても楽しくない
  • 何でも悪い方ばかりに考えてしまう
  • イライラする、焦りを感じる
  • 疲れやすく、何もやる気になれない
  • 自分には価値がないと思う
  • 集中力がなくなる、物事が決断できない
  • 死にたい、消えてしまいたいと思う

体の症状

  • 食欲がない、もしくは食欲が異常に増す
  • 眠れない、もしくは寝すぎてしまう
  • 性欲がない
  • 胃の不快感、便秘や下痢などの消化器症状
  • 体がだるく疲れやすい
  • 頭痛や肩こり
  • 動悸、めまい

このようなメンタル不調をやわらげていくためには、じっくりと休養をとりながら時間をかけて治療していくことが必要です。

日常のストレスを減らしていくことが回復の近道となることもあるため、休職制度の利用が治療に役立つ可能性もあります。

特に、今の職場を辞めたくない場合には、休職制度を利用しながらメンタル不調から回復することも検討してみてはいかがでしょうか。

休職期間中の過ごし方について知りたい方はこちら    
休職~復職までの流れについて知りたい方はこちら

受診を迷われている方へ

現在、メンタル不調によりこころや体に症状が出ている場合には、早めに専門家に相談することをおすすめします。

メンタル不調は放っておくと症状がどんどん深刻化していきます。

早い段階で適切な治療を受けることが大切です。

 

また、傷病による休職の場合、職場から医師による「診断書」の提出を求められることがほとんどです。

さらに、休職中に給与が十分に支払われない場合には、健康保険から傷病手当金を受給できる場合もあります。

受給にはいくつかの条件がありますが、診察をした医師が記入する欄がある「傷病手当金申請書」という書類の提出が必要となります。[2]

 

メンタル不調を改善したい場合には、生活上の不安を少しでも取り除きたいですよね。

安心して休職し、休職中の生活の不安を減らしたい方は、受診して治療を受けるとともに、診断書と傷病手当金申請書の記入を病院に相談してみましょう。

傷病手当金について詳しく知りたい方はこちら

まとめ

この記事では、メンタルの不調で仕事を休みたいときに使える「休職制度」について解説しました。

休職制度は、現在多くの企業で採用されています。

休職期間や賃金の支払いについては企業により異なりますが、傷病手当金を受給すれば金銭的にも安心して療養できます。

メンタル不調を理由にお仕事を休むことは決して甘えではありません。

ご自身の不調を改善して職場へ復帰したい方は、休職制度の利用を検討してみてください。

ご自身の症状を改善するためには休職が必要なのかどうかわからない場合でも、メンタル不調があるのなら病院への受診をしてみましょう。

医師に症状を伝えたうえで、休職をした方が良いか相談することも可能です。

療養しながら診断書や傷病手当金申請書を受け取りたい方も、定期的に受診をするよう心がけましょう。

 

※メディカルカウンセリングではカウンセラーによるカウンセリングを受けられます。医師による診察や診断書の発行をご希望の場合は、ファストドクターメンタルクリニックをご利用ください。

 

参考資料

[1]厚生労働省『e-ヘルスネット』「うつ」に気づいたときの対処法は?
[2]全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

近所に心療内科・精神科がない方、通院を周りに知られたくない方へ
受診するか悩んでいる方、薬にあまり頼りたくない方へ
ファストドクターメディカルカウンセリング
ご利用前にお読みください
以下の症状が見られる場合は、お近くの病院で対面での受診をおすすめします。
  • 自傷他害のおそれがある場合
    • 自分を傷つけたいと思う
    • 具体的に死ぬ方法について考えている
  • 身体疾患が強く疑われる場合
    • 高熱がある
    • 呼びかけてももうろうとしている
    • 意識がない
  • 緊急性が認められる場合
    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
TOP医療コラムメンタルヘルス不調で休職を考えている方へ ~知っておきたい休職制度の基礎知識