うつ病の初期症状・周りが感じるサインとは?自分にも当てはまるのか確認しよう

公開日: 2025/04/19 更新日: 2025/04/19
「最近気分があがらない」「何をしても楽しくない」 ゆううつな気持ちが続いたり、眠れなくなったりして「もしかしてうつ病なのかな…」 と不安になっていませんか? 仕事を休みがちになった家族を心配している方もいるでしょう。 うつ病の初期症状は心の変化だけではありません。体の不調や行動の変化としてもあらわれます。 しかし「ただの疲れだろう」と思い、見過ごしてしまうことも少なくありません。 本記事ではうつ病の初期症状について詳しく解説します。 うつ病は誰しもが起こりうるものであり、心と体が休息を求めているサインです。 周りの人が気づくポイントとセルフケアについてもご紹介しますので、不調を感じている方や家族の様子が心配な方は、ぜひ参考にしてください。
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うつ病の初期症状は?

うつ病の初期症状は、大きくわけて以下3つの変化があります。

  • 精神的な変化

  • 身体的な変化

  • 行動の変化

「やる気が出ない」「ゆううつな気分がする」といった気持ちは、誰もが一度は感じたことがあるでしょう。うつ病ではこうした症状が2週間以上続き、 日常生活に支障をきたします [1]

倦怠感や頭痛など体の不調があらわれるケースも多く、うつ病とは気づかず長い間苦しむ人もいます。

「時間が経てば治るだろう」と見過ごさず、ご自身の変化をうつ病の初期症状と照らしあわせてみてください。

精神的な変化

うつ病の気持ちの変化として、以下のような症状があらわれます。[2][3][4][5][6][7][8]

精神的な変化

内容

気分が沈む

  • 悲しくゆううつな気分が続く

  • 何をしていても楽しくない

  • これまで好きだったことに興味がなくなる

  • 何ごとにもやる気になれない

  • 涙もろくなる

自信がなくなる

  • 自分を責めてしまう

  • 周囲に迷惑をかけていると思う

  • 自分がダメな人間と感じてしまう

  • 自分には価値がないと感じる

  • 失敗から立ち直れない

  • 失敗した経験が頭からはなれない

イライラしやすくなる

  • 落ち着きがなく怒りっぽくなる

  • なんとなく不安で焦る

  • 短気になる

死について考えてしまう

  • 消えてしまいたいと思う

  • いなければよかったと思う

  • つらさから解放されて楽になりたいと思う

心の不調が「ほとんど一日中」「ほとんど毎日」続く場合、うつ病が疑われます。[8]

とくに以下のどちらかに当てはまる場合はうつ病の可能性が高いとされます。[3]

  • 悲しい気持ちやゆううつな気分が続く(抑うつ気分)

  • 喜び・興味の感情がもてなくなった(興味・喜びの消失)

症状は時間帯によって変化することがあります。

朝は調子が悪く夕方にかけて症状が改善していく傾向は、うつ病の特徴のひとつです。 [8]

身体的な変化

うつ病の初期症状は、精神的な変化よりも体の不調が目立つことも多くあります。

おもに以下があげられます。[2][3][4][5][6][7][8]

身体的な変化

内容

不眠になる[9]

  • 寝つきが悪い

  • 夜中に目が覚める

  • 熟睡感がない

  • 朝早く目が覚める

食欲が低下する、または過食がみられる

  • 何を食べてもおいしく感じない

  • お腹が空いても食べようという気持ちにならない

  • 味がわからない

  • 食べすぎてしまう

体重減少や増加がみられる

  • 食事が進まず体重が減った

  • 過食してしまい体重が増えた

倦怠感がある

  • 常に疲れていると感じる

  • 元気がない

  • 動作が遅くなる

  • めまいや吐き気がある

頭痛がある

  • 頭が重い、痛い

  • 肩こりともなう頭痛がする

  • のぼせた感じがする

便秘や下痢になる

  • 便秘と下痢を繰り返す

  • 下痢が続く

うつ病ではなんらかの身体的な不調がともないます。多くの場合、複数の症状が同時にあらわれます。[8]

不眠は約85%の人にみられ、悩みとなる症状のひとつです。[7]

倦怠感や頭痛、下痢などの症状があらわれる場合もあります。疲れや風邪との区別がつきにくく、仕事や学校が忙しいと「一時的な体調不良だろう」と考えがちです。

内科を受診しても検査で異常が見つからないため、診断が遅れることも少なくありません。[8]

行動の変化

今までと比べて「何ごとにもおっくうに感じる」「時間がかかる」などの変化があらわれることがあります。

行動の変化として、以下の症状がみられます。[2][3][4][5][6][7][8]

行動の変化

内容

集中力・決断力・判断力が低下する

  • 仕事でミスが増える

  • 勉強に集中できない

  • 読書していても頭に入らない

  • 外食のメニューが決められない

  • ぼーっとして考えがまとまらない

  • 心配ごとが頭からはなれない

  • 考えごとがぐるぐる回る

仕事などの効率が落ちる

  • 仕事にとりかかる気にならない

  • 仕事にとりかかっても根気が出ない

  • 数時間で疲れてしまう

  • 家事がはかどらなくなる

外出や人と会うことを避けるようになる

  • 趣味をやめてしまう

  • 人に会いたくない

  • 仕事を休みがちになる

何をするにも面倒だと感じる

  • 朝布団から出たくない

  • 歯磨きや入浴もおっくうに感じる

  • テレビをみる気になれない

  • 身だしなみを気にしなくなる

アルコールなどに依存する

  • 今までより飲酒の量が増える

  • 気分をまぎわらしたいと思い飲酒する

気持ちとは裏腹に、思うように行動できなくなることがあります。仕事や家事のペースが落ち、とりかかるまでに時間がかかることも特徴です。

身の回りのことをおっくうに感じても「自分のなまけだろう」と考えてしまう人もいるでしょう。

「周囲に迷惑をかけたくない」「これ以上ミスしてはいけない」といった責任感から、無理を重ねてしまいがちです。[2]

周りの人から見たうつ病の人の初期症状は?

本人よりも先に周囲の家族がうつ病の初期症状に気づくことがあります。以下のような変化がみられる場合、うつ病のサインかもしれません。[1][6]

  • 不安げで表情が暗い

  • 自分を責めてばかりいる

  • 急に涙を流したり、涙もろくなった

  • 反応が遅くなった

  • 落ち着かずそわそわしている

  • 飲酒量が増える

  • 遅刻・欠席が増える

  • 身だしなみが乱れる

  • 口数が少なくなった

  • イライラしている

  • マイナス思考である

表情や態度、行動の変化は周囲も感じやすいポイントです。

家族の様子を心配に思う人もいるでしょう。本人は自覚していない場合も多いため、身近な家族の感じる違和感は早期発見に重要です。

もし家族の変化に気づいたら、本人に寄り添いながら専門家の助けを借りることも考えましょう。

受診に抵抗がある場合、保健所など地域の相談窓口を利用してみてください。来所だけでなく電話相談も可能です。

うつ病の初期症状かもと思ったときのセルフケアは?

うつ病かもしれないと感じたら「心と体の休息」と「規則正しい生活」を意識しましょう。心身のバランスと生活リズムを整えるためには「食事」「運動」「睡眠」が大切です。

具体的なセルフケアは以下のとおりです。[1][7][8]

セルフケア

具体的な内容

休息する

  • 仕事を無理せず休む

  • 残業しない

  • 意識的に横になる時間をつくる

規則正しい生活を送る

  • 毎朝同じ時刻に起きる

  • 起床後に光を浴び体内時計をリセットする

  • 「寝だめ※」をしない[10]

  • なるべく昼寝しない

  • 昼寝するなら15時まで、20~30分にとどめる

健康的な食事をとる[11][12]

  • 「主食・主菜・副菜」でバランスのよい食事を意識する

  • 1日3食の食事をとる

  • 魚や野菜を積極的にとる

ストレスを溜め込まない

  • 好きな音楽を聞く

  • アロマをたく(ラベンダー、カモミールなど)

  • 瞑想する

  • 深呼吸をする

  • 読書する

適度に運動をする[13][14]

  • ストレッチやヨガ、散歩など軽く運動する

  • 1回10~20分程度の無理ない範囲でおこなう

  • 「頑張りすぎない」を目安にとりいれる

睡眠を大切にする

  • 不眠の場合「日中の眠気が困らなければよし」とする

  • 寝る前のカフェインや飲酒を控える

  • 寝る前にテレビやスマホの利用を避ける

  • 眠たくなってから布団に入る

  • 寝る1~2時間前に入浴をすませる[10]

※平日の睡眠不足を休日にとり戻そうとする習慣。

食事は心と体の健康に深く関係しています 。[12]

食欲がない人も、まずは「1日3食」を目標にしてみてください。

気分の安定に役立つ栄養素には、ビタミンB群やオメガ3脂肪酸が知られています。 [11]

ビタミンB群は緑黄色野菜や豆類などに、オメガ3脂肪酸はサバやサンマなどの青魚に多く含まれています。 家族の不調をサポートしたいときは、魚・野菜・豆類を中心にした食事を意識しましょう。 [12]

睡眠も心身のバランスを整えるうえで大切です。

「しっかり寝ないと」と意識するほど、かえって寝つけないこともあります。睡眠時間にこだわりすぎず、眠くなってから布団に入ってみてください [7]

19〜22時は覚醒(かくせい)しやすい時間帯である「入眠禁止ゾーン」です。眠ろうとしても寝つきにくいため、22時以降に布団に入るのもよいでしょう。[8]

軽く体を動かすと気分のリフレッシュやリラックス効果が得られ、睡眠の質向上も期待できます。 [13]

10分間運動すれば、思考がクリアになり物事を整理しやすくなるとの報告もあります。 [14]

朝の光を浴びながら深呼吸するだけでも、気持ちが落ち着くかもしれません。最初は体を動かす気になれないかもしれませんが、まずは毎朝同じ時刻に起きて背伸びすることからはじめてみませんか?

15人に1人はうつ病を経験するといわれており、決して珍しい病気ではありません。[6]

誰もが起こりうるものであり「なまけ」や「心の弱さ」が原因でもありません。[8][15]

しかし放置すると状態は悪化し、回復や治療に時間がかかることもあります。「うつ病かもしれない…」と不安に感じる今こそ、適切に対処すれば悪化を防げます。

もし2週間以上不調が続いていれば、心療内科や精神科などの医療機関に相談してみませんか?

受診に抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、初期症状の段階で行動すれば、つらい不調から抜け出すヒントが得られるかもしれません。

診察の結果治療する必要がなければ、今ある心配な気持ちは解消されます。本格的なうつ病の発症を防ぐきっかけにもなるでしょう。

ひとりで抱え込まず、早めに周囲に相談することを考えてみてください。

よくある質問

不調が続くと「うつ病のサインなの?」「どのように対応したら楽になる?」と不安になりますよね。家族の様子が心配で「どうにかしてあげられないだろうか…」と悩んでいる人もいるでしょう。

ここではうつ病の初期症状についてよくある質問にお答えします。

うつ病の初期の心理状態はどのようなものですか?

うつ病の初期段階では「なんとなく調子が悪い」「理由はわからないけれど気分が晴れない」と感じる傾向があります。たとえば以下のような心理状態がみられます。

  • 気分が落ち込む

  • 今まで楽しめたことに興味がわかなくなる

  • 何をしても楽しめない

  • なんとなく不安でイライラする

  • 何ごとにもやる気になれない

  • 自分に価値がないように思える

こうした心理状態は、一時的な気分の浮き沈みとはことなり2週間以上続くことが特徴です。とくに「気分の落ち込み」や「興味や喜びの気持ちの消失」が続く場合は、うつ病の症状の可能性があります。

ささいな心の変化を見過ごさず、早めにセルフケアすることが大切です。「最近調子が悪いかも」と感じたら、まずは生活リズムを整え意識的に休息をとりましょう。

心の変化には本人が気づいていないこともあります。家族がつらそうな様子であれば、心療内科や精神科など専門医への相談も検討してください。

うつ病の初期症状で涙は出ますか?

うつ病の初期症状として、涙もろくなることがあります。以下のような症状はうつ病のサインの一例です。

  • わけもなく涙が出る

  • ささいなことで泣いてしまう

  • 「自分は何をやってもダメだ」と思い、涙が出てしまう

うつ病では脳内のホルモンがうまく働かず、感情のコントロールができなくなるとされています。普段なら気にしないことでも涙が出たり、感情が抑えられなくなることがあります。

「自分はダメだ」「迷惑をかけている」といった自己否定的な考えが強くなり、悲しみを感じやすくなるのも要因のひとつです。

自分の気持ちと関係なく涙があふれることがあれば、心が休息を求めているサインかもしれません。

うつ病になりかけのときの対処法はありますか?

「うつ病かもしれない」と感じたときこそセルフケアが大切です。次のポイントを心がけてみましょう。

対処法

ポイント

意識的に休息をとる

立ち止まって休む時間をつくる

規則正しい生活を心がける

毎朝同じ時間に起き、体内リズムを整える

ストレスを管理する

リラックス方法をもつ

バランスのよい食事をとる

1日3食とり「主食・主菜・副菜」を意識する

適度に運動する

ストレッチや散歩など、軽い運動をとりいれる

睡眠がとれる環境を整える

寝る前のカフェインやスマホの利用を避ける

眠たくなってから布団に入る

仕事や家事が思うように進まず、焦る気持ちがあるかもしれません。まじめな人や頑張りすぎる人ほど「周りに迷惑をかけたくない」と無理してしまいがちです。

しかし立ち止まって休息すれば、心と体の回復が進み不調がやわらぐこともあります。

規則正しい生活を心がけ、栄養のある食事や適度な運動をとりいれると、心身のバランスが整いやすくなります。

「少し調子が悪いかも」と感じたサインを見逃さず、まずはしっかり休むことを優先してください。

うつ病の前兆となるサインはありますか?

以下のような症状が2週間以上続く場合は、心と体が疲れているサインかもしれません。

気分が沈みがちになる

  • 悲しくゆううつな気持ちが続く

  • 楽しいと感じない

倦怠感がある

  • 常にだるさがある

  • 朝起きるのがつらい

物事に集中できない

  • 仕事や勉強に集中できない

  • 考えがまとまらない

興味や関心が薄れる

  • 好きだったことに興味がわかない

  • 外出や人と会うのがおっくう

感情が不安定になる

  • わけもなく涙が出る

  • イライラしやすくなる

睡眠や食欲の変化

  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚める

  • 食欲が落ちる、または食べすぎる

「疲れているだけ」と思って無理しすぎると、症状が悪化しうつ病へと進行することもあります。

心身をいたわり、生活リズムを整えることが大切です。

気分の落ち込みや不調が2週間以上続く場合は、専門家に相談することを検討しましょう。

まとめ

うつ病の初期症状は、精神的な変化だけでなく、身体的な不調や行動の変化としてもあらわれます。

気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、不眠や食欲の変化、集中力の低下などもサインとなります。本人よりも周囲の家族が先に異変に気づくことも少なくありません。

うつ病は誰にでも起こりうるものであり、決して「なまけ」や「心の弱さ」が原因ではありません。

「最近調子が悪いな」と感じたら、無理せず少し立ち止まってみてください。

心と体の休息をとるために、睡眠・食事・運動・ストレス管理などセルフケアを心がけましょう。

不調が2週間以上続く場合は、心療内科など医療機関への相談を検討してください。早めに適切な治療を受けることで、症状がよくなることが多いとされています。

受診は心の状態を知るための第一歩です。

ひとりで抱え込まず、まずは信頼できる身近な人や専門家に相談してみませんか?

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参考文献

[1]うつ病看護ガイドライン

[2]うつ病の診断と治療

[3]Depression - StatPearls - NCBI Bookshelf

[4]うつ病|こころの病気について知る

[5]コラム・活動事例・資料 編

[6]うつ病を知る

[7]日本うつ病学会治療ガイドラインうつ病(DSM-5)大うつ病性障害2016

[8]内科医が知っておくべき精神科疾患

[9]うつ病・うつ状態の睡眠障害

[10]健康づくりのための睡眠ガイド2023

[11]科学的根拠に基づく食によるメンタルヘルスへの アプローチ

[12]食事・栄養学的側面からの女性のメンタルヘルス

[13]体を動かす|こころと体のセルフケア|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省

[14]抑うつ改善に及ぼす運動の効果

[15]Depression/WHO

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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