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溶連菌とは
溶連菌とは細菌の一種で感染すると、発熱・のどの痛みをはじめさまざまな症状が現れます。ここでは、溶連菌感染症の症状をはじめ、原因や潜伏期間などについて分かりやすく解説します。
溶連菌感染症の症状
溶連菌感染症はおもに発熱やのどの痛みが現れる感染症です。その症状から風邪やインフルエンザに間違えられることが多いです。しかし、一般的な風邪とは異なり、咳、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状はあまり現れません。
溶連菌感染症の主な症状を以下にまとめました。
- 全身倦怠感
- 発熱(38℃以上)
- のどの痛み
- のどや扁桃腺の腫れ(連鎖球菌性咽頭炎)
- 扁桃炎の白い膿
- 小さな赤い発疹
- イチゴ舌(舌表面に赤いブツブツ)
- 関節の痛み
その他、頭痛、首のリンパ節の腫れ、腹痛、嘔吐などの症状も現れることがあります。一般的に安静や療養で症状が改善する風邪やインフルエンザとは異なり、適切な治療が大切なので症状の違いからまずは溶連菌を疑うことが大切です。
溶連菌の種類
溶連菌にはA群・B群・C群・G群など複数の種類がありますが、症状を引き起こすのはA群が非常に多いです。そのため、一般的に溶連菌感染症はA群溶血性連鎖球菌が感染することで起こる疾患として知られています。
なお、B群溶血性連鎖球菌(GBS)は腸や腟などに存在する常在細菌の一種ですが、妊娠中に感染していると産道感染で赤ちゃんが重いGBS感染症にかかる恐れがあります。そのため、妊娠中におりもの検査をしてGBS陽性かどうかを調べ、陽性の場合は赤ちゃんの感染を防ぐために分娩時に抗生物質の点滴治療がおこなわれます。妊娠中以外は、特に問題となる菌ではありません。
溶連菌感染症の原因
感染経路は、飛沫感染と接触感染の2種類があります。
飛沫感染
咳やくしゃみなどで飛び散った菌を口・鼻から吸い込むことで感染します。溶連菌感染の多くは飛沫感染です。
接触感染
皮膚と皮膚の接触、タオルや食器の共有により、細菌が付着した手で口・鼻に触れることで感染します。
とくに大人の方は、ストレス・疲労・睡眠不足などで免疫力が低下している状態だと溶連菌に感染しやすくなるため注意が必要です。
溶連菌の潜伏期間
病気になってから症状が現れるまでの期間を潜伏期間といいますが、溶連菌の潜伏期間は約2〜5日と比較的長めです。潜伏期間中は無症状ですが、強い感染力を持っていると言われています。したがって病気に気づかず通常通りに行動してしまうため、学校や家庭内で感染が大きく広がる要因と考えられます。このことからも溶連菌は感染拡大しやすい感染症ということが言えそうですね。
溶連菌感染症の治療法
溶連菌感染症の検査・治療について詳しく解説します。
溶連菌の検査方法
溶連菌感染症の診断は、一般的に症状と迅速検査を組み合わせて行われます。溶連菌の検査には迅速検査・培養検査・血液抗体検査の3種類がありますが、最も多く用いられるのが迅速検査です。
迅速検査では、喉の奥の部分から検体を採取します。この検査では、5分程度で溶連菌に感染しているかどうかを判定することが可能です。したがって症状が出て病院へ受診した際に、まず行われる検査ということができます。
培養検査と血液抗体検査は時間がかかるため、外来診療ではあまり用いられません。しかし迅速検査と異なり細菌の濃度や抗生剤への効果などがわかるため、入院して治療を行う際などに重宝される検査となります。
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治療の基本は抗生物質
溶連菌感染症の治療は、細菌を死滅させる抗生物質(抗菌薬)の服用が基本となります。
第一選択薬は、ペニシリン系の抗生物質です。ペニシリン系の抗生物質にアレルギーがある場合は、マクロライド系の抗生物質を選択します。また同じ溶連菌でも菌の種類や検査の結果から、セフェム系などの他の抗生物質を選択することもあります。
薬の種類にもよりますが、溶連菌感染症の治療では基本的に抗生物質を7〜10日間続けて服用する必要があります。これは、治癒を早め、リウマチ熱・急性糸球体腎炎などの重い合併症を防ぐためです。抗生物質を早期に服用すればするほど、治療はスムーズです。
また、症状が改善したからといって、抗生物質の服用を途中で止めるのは危険です。
溶連菌が体内に残っている場合、服用を止めたらすぐに増殖し始め、ぶり返します。
また、溶連菌に抗生物質への耐性がつき、効かなくなって重症化するリスクも高まります。
抗生物質は必ず飲みきってください。
治療が遅れた場合
溶連菌感染に気づかず放置し、10日以上治療が遅れると、重症化や合併症(リウマチ熱・急性糸球体腎炎など)を引き起こすリスクが高まります。
自然治癒も可能ですが、早く治癒する・重症化や合併症を防ぐためには早期に抗生物質による治療を始めることが大切です。
溶連菌に関するよくある質問
溶連菌に関して、気になることや知らないことはまだまだ多いのではないでしょうか。
ここでは、溶連菌に関する質問と回答をまとめました。
溶連菌は大人にもうつる?
溶連菌は子どもの感染症というイメージが強いですが、感染力が強いので、大人も例外なく感染します。とくに、子どもがいる家庭では高確率で家族内感染する傾向にあります。なお、大人の溶連菌感染症では頭痛を併発することが多いといわれています。
溶連菌感染症になったら何日休む?
溶連菌に感染したことが判明したら、まず会社や学校をお休みします。抗生物質による治療開始後24時間経過すれば、感染力は失われると言われており、治療を開始して2〜3日ほどで症状も良くなります。治療開始後24時間以上経過し、熱などの症状が改善していれば、出社・登校は可能です。
溶連菌感染症には、インフルエンザ・流行性耳下腺などのような出席停止を義務づける法律はありません。ただし、会社や学校で規定がある場合は規定に従ってください。
溶連菌感染症が流行るのはいつ頃?
溶連菌感染症が最も流行するのは11月〜3月の冬の期間で、インフルエンザと共に流行するため、判断が難しいことがあります。
また、溶連菌&インフルエンザのダブル感染になることもあります。
さらに、6月頃の夏の時期も流行る傾向にあり、2023年は6〜8月に大流行しました。
溶連菌は1年通して感染する可能性があります。
溶連菌感染症は予防できる?
溶連菌に感染した方が近くにいる場合、以下の予防策が有効です。
- 手洗い・うがいを徹底する
- 感染者に近づかない、または隔離する
- タオルやコップを共有しない
- マスクを着用する
また、免疫力を高めて感染症にかかりにくい身体作りをすることも大切です。
免疫力を高める方法を以下にまとめました。
- 栄養バランスの良い食事を1日3食食べる
- 良質な睡眠を十分とる
- ストレスや疲労がたまる前に休んでリラックスする
- 適度な運動をする
まとめ
今回は溶連菌の感染経路や治療・予防について解説しました。特に子どもたちに影響を与える感染症であり、迅速かつ適切な治療が必要です。
本記事では、初期治療の大切さや、医師の指示に従い、適切な抗生物質を飲みきることの重要さをお伝えしました。感染拡大を防ぐためには、個人衛生の徹底と感染者との接触を避けることも肝心です。
また、合併症のリスクを最小限に抑えるためにも、万が一症状が見られた際には速やかに医療機関を受診し、専門家の指示に従いましょう。
参考文献
https://wellness.shionogi.co.jp/infections/child/streptococcal.html
https://www.c-takinogawa.jp/outpatient/department-list/internal-medicine/news09.html
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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。