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注射恐怖症とは?原因や症状、子供向けの対処法について解説

「注射が怖い」「どうしても注射ができない」そのようにお悩みの方はいませんか?
これは「注射恐怖(症)」などと呼ばれるものです。

注射恐怖症は、注射針を見るだけで心拍数が上がる、手が震えるなど、注射に対して極度の恐怖や不安を感じる状態を指します。ただの嫌いや怖いといったものを超え、生活に支障をきたすこともあるのがこの恐怖症の特徴です。

ふだんは注射が怖くても日常生活に支障はないですが、健康診断や、いつか必要になる病気の治療のため、早めに克服しておきたいですよね。この記事では、注射恐怖症の原因や症状、対処法について分かりやすく解説します。

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記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

注射恐怖症とは?

注射恐怖症とはどのような状態なのでしょうか。まずはご自身やお子さんが当てはまるかどうか、チェックしてみてください。

注射恐怖症の原因と症状

注射恐怖症は、針を使った医療行為に対して強い恐怖を感じることです。注射だけでなく、針やピン、尖ったものなどへの恐怖とも関連することがあります。

<注射恐怖症の原因>

・痛みに対して敏感
痛みを感じやすいために、注射に恐怖を感じることがあります。

・針にまつわるトラウマ的な経験
尖ったもので大怪我をした経験があるなど、トラウマによって注射に恐怖を感じてしまうことがあります。

・血管迷走神経反射の経験
血管迷走神経反射とは、注射をするときの緊張やストレスで、血圧が下がったり、脈が低下したりして、一時的に失神してしまうことです。「また失神したらどうしよう」「怖い」という気持ちから、注射を避けるようになります。

<注射恐怖症の症状>

  • 注射をするときのめまいや失神、動悸、吐き気、不安
  • 「来週注射をする予定がある」「今から注射をする」などと考えただけで強い不安やパニックに陥る
  • 注射が怖く、必要な治療やワクチン接種を避ける

注射恐怖症を生じやすい年齢層・特徴

一般的に、子どもは注射に恐怖を感じてしまうことが多いです。注射が怖く、病院で泣いたり、注射の前に暴れてしまったりすることも珍しくありません。

多くの方は成長するにつれて自然と注射恐怖が克服でき、問題なく注射や採血を受けられるようになります。ですから、子どものうちの注射恐怖は、あまり焦って治療を始めずに様子を見ていても大丈夫でしょう。

ところが、一部の方は大人になっても注射を人一倍恐怖に感じたり、大人になってから何らかのきっかけで注射恐怖症となってしまったりします。

<注射への恐怖を感じやすい方の特徴>

・注射恐怖症の家族歴
注射恐怖症には、遺伝的な要因があるかもしれないと考えられています。

・不安障害を持っている
強迫性障害、全般性不安障害などの不安障害に関連して注射恐怖症を生じることがあります。

・潔癖症
注射のために触られることへの嫌悪感や、注射によって感染症を起こすのではないかなどといった不安から注射を避けることがあります。

注射恐怖症は恥ずかしいことではありませんので、お困りの方はお気軽にご相談ください。

注射恐怖症の対処法

注射恐怖症の症状の程度によっては、必要なワクチンの接種や病気の治療などが受けられず生活に支障が出てしまいます。加齢とともに採血や注射を受ける機会も増えますので、早い段階で注射恐怖を克服できたら安心ですね。注射恐怖を克服するため、一般的におこなわれる方法をご紹介します。

症状ごとに対応する

注射恐怖に伴って生じる症状に対して、予防的に対策をとることも必要です。

「採血で具合が悪くなったことはありますか?」と聞かれたことがあるでしょう。これは、迷走神経反射を起こしたことがあるかどうかなどの確認のために聞いています。めまいや失神などを起こしたことがある方は、スタッフに伝え、横になって採血や注射の処置を受けましょう。

「痛みに敏感で注射ができない」という方は、医療スタッフにご相談ください。表面麻酔を使って、痛みを和らげる方法が取れる場合があります。また、保冷剤などで事前に冷やしておくと痛みを感じにくくなるため、手軽な方法としておすすめです。

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不安や、それによる動悸や吐き気といった症状が強い場合には、抗不安薬など緊張をやわらげる薬を事前に使うという方法もよいでしょう。医師にご相談ください。

いずれも根本的な解決にはなりませんが、症状を緩和することで注射などの治療を受けられるようになるかもしれません。

暴露療法

針や注射に触れる経験を通して、恐怖を取り除いていく方法です。

針や注射の写真を見る、注射をしている動画を見る、実際に注射器に触れてみる、など段階を踏んで針や注射に慣れていきます。時間のかかる方法ですが、注射恐怖を根本的に解決するためには有効です。

リラックス方法を学ぶ

何らかの方法で緊張をほぐすことで、落ち着いた気持ちで注射を受けられる方もいます。

深呼吸や瞑想などをすることで、リラックスをつかさどる副交感神経が優位になり、気持ちが落ち着くだけでなく筋肉もやわらぎます。

注射の必要性を知る

嫌な気持ちはあっても、「必要だから頑張ろう」「注射をしたら体調がよくなる」など、必要性を理解することで注射に向き合うことができる方もいます。

たとえば、病気を放置したらどうなってしまうのでしょうか?症状が悪化して、透析が必要になると知れば、注射の恐怖を我慢できるかもしれません。この注射をすることで体調はどうなるでしょうか?一度やってみて、体調がよくなると実感できれば、注射をしようという気持ちが生まれるかもしれません。

子ども向けの対策

子どもの注射恐怖はよくあることなので、焦って治療をする必要はありません。とはいえ、注射のたびに泣いて暴れて…とパニックを起こせば本人も疲れてしまいますし、保護者の方も不安ですよね。

子どもに採血や注射が必要なときには、以下のような対策をとってみてください。

・注射をする部屋の環境をととのえる
注射が苦手だとわかっていれば、気持ちが落ち着いてから注射器や針の準備をする、注射で泣いているほかの子どもと一緒にならないようタイミングをずらすなど、対策を取ることができます。

・注射の間、話しかけたり、好きな動画を見せたりと、気が紛れるようなことをおこなう
好きな動画やおもちゃなど、気が紛れるようなものをお持ちいただけるとスムーズです。

・「怖いんだね」「痛いから嫌なんだね」のように、注射が怖い・嫌だという気持ちを受け止める
保護者や周りの大人がわかってくれる、守ってくれると感じることができます。

・「痛かったね」「嫌だったね」ではなく「がんばったね」「ちゃんと注射できたね」と褒めるような声かけをする。少しずつ、ポジティブな体験として感じられるようになります。また、日頃からの声かけにも、ちょっとした工夫をお願いします。

・「言うこと聞かないなら、注射だよ!」など脅しに使わない
注射は嫌なことだという印象が強くなってしまいます。

・注射の目的を伝える
ある程度の年齢になったら、注射の目的を伝えるのも効果的です。ワクチンなら「こわい病気から守ってくれる注射だよ」、採血なら「悪いところを見つけて治すために血をとるよ」のように、前もって伝えましょう。

・「遊びに行くよ」などと嘘をついて病院へ連れてこない
保護者に騙された、裏切られたという事実から、恐怖だけでなく怒りや不信感を持ってしまうことがあります。

・医療スタッフと、注射を怖がることを共有する
注射が怖い場合は、特別に配慮をしますので、あらかじめお知らせください。

まとめ

今回は、注射恐怖についての詳しい解説とその対策方法をいくつかご紹介しました。採血や注射ができないと、病気の予防や治療ができなくなる可能性があるため、早めに克服したいですね。

恐怖症を抱えている自分自身や他人を理解し、適切に対処することが大切です。注射恐怖を克服し、健康のために採血や注射をおこなえるよう、今回ご紹介した対策を取り入れてみてはいかがでしょうか。

詳しくはこちら

参考

・国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/cls/cls_chusha.html