※本記事は内容を転載しております。記事の転載については、発行元である株式会社 佐賀新聞社様からのご許可をいただいております。厚く御礼申し上げます。
※転載元リンク:佐賀新聞社
24時間体制で救急患者を受け入れている山元記念病院(伊万里市)は、医師の働き方改革と救急医療体制の維持に向けてIT企業と連携し、外来患者へ のオンライン診療を導入している。夜間や休日など 診療時間外に訪れた軽症患者を外部の医師が遠隔で診察し、現場の看護師が補助するという全国でも珍しい取り組み。当直医の負担を減らし、緊急性が高い業務に専念できるようにしている。
働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制が、4月1日から新たに医師にも適用されている。働き方改革が急務となる中、同病院でのオンライン診療は昨年末に始めた。
外来患者へのオンライン診療に取り組む山元記念病院。外部の医師が画面越しに指示し、現場の看護師が聴診や検査をする=伊万里市
提携先は医療関連企業の 「ファストドクター」(東京都)。同社のプラットフォームに都市圏を中心に4 千人近くの医師が登録し、 全国の救急往診や在宅でのオンライン診療につなげている。今回の外来患者へのオンライン診療は同社初の試みで、他県の医療機関の先行事例も参考にしながら、プラットフォーム内の医師を活用する独自の仕組みに発展させている。
山元記念病院でのオンライン診療は、時間外に来院した患者のうち、当直の看護師が緊急性が低いと判断した場合に同意を得て実施する。マッチングした外部の医師が診察室のモニターに映り、映像や音声でやりとりをしながら、看護師らが指示を受けて聴診や各種検査をする。症状が重い患者や救急搬送には、従来通り当直医が対応する。
オンライン診療は4月末までに75人が受診した。看護師で外来師長の前田真二さん(50)は「操作に慣れれば使いやすく、患者にも『普段の診療と変わらない』と好評」と話す。現場のスタッフや設備を生かせる点が特長で、腹痛と発熱で来院した70代男性はオンラインの指示でCT検査を受けたところ、胆のう炎が見つかって早期に手術に移行できた。
同病院は150床あり、年間700台近くの救急車を受け入れている。当直時間の医師は1人で、救急や入院患者に対応する負担が大きかった。運営する社会医療法人謙仁会の山元謙太郎理事長(46)は「オンライン診療で院内に医師がもう1人いるような体制」と語る。
若手の医師は勤務地に都市部を選ぶ傾向があり、県西部(伊万里市、有田町)を含めた各地で人手不足の現状が横たわる。オンライン診療に関し、山元理事長は「少人数で当直を回している病院の助けになるのでは」と話し、ファストドクターは「限られたリソースをより集中すべきところに注ぎ込める。課題を抱える地方の役に立てたら」としている。
取材:佐賀新聞社 円田浩二 氏
※本記事は内容を転載しております。記事の転載については、発行元である株式会社 佐賀新聞社様からのご許可をいただいております。厚く御礼申し上げます。
※転載元リンク:佐賀新聞社
該当する記事が見つかりませんでした