適応障害の人に言ってはいけない言葉や注意したほうがよいこととは?受診目安についても解説

公開日: 2025/05/19 更新日: 2025/05/19
「同僚が適応障害になったみたい。なにか気をつけることってあるの?」 「『早く元気になってね』と励ましたつもりだったけど、もしかして適応障害の人に言っちゃいけなかったかな?」 このように、適応障害の患者への接し方について悩んだ経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 適応障害は、発症のきっかけとなった原因から離れると元気に見えることもあるため、つい普段と同じように接してしまいがちです。 この記事では、適応障害の患者に対して避けたい声がけや周りができるサポート、受診をすすめる目安などを解説します。 適応障害の方を傷つけず適切に対応したい方は、ぜひ参考にしてください。
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適応障害の人に言ってはいけない言葉

適応障害の方に言ってはいけない言葉の一例として、以下があげられます。

  • 気にしすぎだよ

  • 無理しちゃだめだよ

  • 甘えてないで頑張って

  • 努力すれば治るんじゃない?

  • いつになったら出社できそう?

  • 大変なのはあなただけじゃないよ

  • 元気そうに見えるけど本当に病気なの?

適応障害とは、環境の変化や強いストレスによって心がうまく対応できなくなる状態のことです。[1]

本人の「適応しようとする努力」が限界を超えた結果、心身に不調があらわれます。

このような状態にある方は「頑張らなきゃいけないのにできない」「周囲に迷惑をかけて申し訳ない」といった、自分を責める気持ちが強くなりがちです。

そのため上記のような言葉は、本人の感じている苦しさを否定したり「心の弱さが原因」と受け取られてしまったりしやすく、自己否定や孤立感を深める原因になってしまいます。

励ますつもりでかけた「頑張って」「無理しちゃだめだよ」といった言葉も「もっと頑張れってこと?」「また迷惑をかけているのかな」と受け取られてしまうことがあります。

適応障害の回復には「安心できる関係性」や「無条件に受け入れてくれる言葉」が支えです。

言葉の選び方ひとつが、相手の回復にも影響することを意識しましょう。

適応障害の人に周囲ができるサポート

適応障害の方には、気持ちに寄り添った言葉をかけることが大切です。つぎのような言葉は適応障害の方に安心感を与えられるでしょう。

かけてあげてほしい言葉

効果・理由

焦らなくていいんだよ

焦る気持ちをやわらげる

いつでも話を聞くよ

孤独感を軽減する

自分らしくいたらいいよ

自己否定を軽くし存在価値を見出す助けになる

頑張ってるね、えらいよ

努力を認めてもらえて自己肯定感が回復する

今はゆっくり休もう

自身を追い込む感情がやわらぎ「休んでもいいんだ」と思える

一言声をかけて安心して話せる雰囲気をつくることや、休むことを受け入れる姿勢が大切です。

本人の意思を尊重し、無理のない回復を見守る姿勢を心がけましょう。

適応障害の方と接する際に注意したほうがよいこと

適応障害の方への対応で注意することは、声かけの内容だけではありません。

<適応障害の方と接するときに注意すること>

  • 仕事などが休みの日に元気であっても責めない

  • 恋人や同僚に対し面倒くさそうな態度を取らない

  • 連絡がまったく返ってこなくても怒らない

上記のポイントを理解し、適切なコミュニケーションを図りましょう。

仕事などが休みの日に元気であっても責めない

適応障害の方は、特定の環境や状況に強いストレスを感じて症状があらわれます。[1]

たとえば職場に原因がある場合、仕事中は不安や憂うつ感に悩まされる一方で、休日や業務終了後などのストレス要因から離れている時間は元気に見えることもあります。[1]

明るそうな姿を見て「休みの日は元気なのに仕事を休むなんて甘えているのでは?」と誤解し、責めてしまうのは避けるべきです。

適応障害の症状は環境によって波があることを理解し、表面的な元気さだけで判断しないよう注意しましょう。

恋人や同僚に対し面倒くさそうな態度を取らない

適応障害の方は、自分のことで周囲に迷惑をかけているのではないかという罪悪感を抱きやすくなっています。

そんななか恋人や同僚など身近な人に「面倒だな」「またか」というような態度を取られると、強い自己否定感や孤立感につながり、症状が悪化する原因にもなりかねません。

無理に励ます必要はありませんが、相手が何かを話したときには真摯に耳を傾ける姿勢が大切です。

「どうすれば力になれるか」といった気持ちをもって接することで安心感を与え、回復の支えとなれるでしょう。

連絡がまったく返ってこなくても怒らない

適応障害の方は、心身の不調により人と連絡を取ることさえ負担になることがあります。

連絡をしても反応がないと、つい不安になったり、怒りたくなったりすることもあるかもしれません。

しかし適応障害の方が返信できないのは「無視している」のではなく、返事をするエネルギーがない状態であると考えられます。

そんなときには「返事はいらないけど、いつでも話したくなったら連絡してね」といったように、プレッシャーをかけずに寄り添う言葉をかけてあげましょう。

返信を強要せず、相手のペースを尊重する姿勢が信頼関係を築く鍵になります。

適応障害の人に受診をすすめる目安

適応障害の方に受診をうながす目安は、以下のような症状が2週間以上続いた場合や、日常生活に深刻な影響を与えている場合です。

<日常生活に支障をきたす具体例>

影響の出る日常生活

具体的な状況

通勤・通学

  • 朝起きられない[2]

  • 仕事や学校へ行くのに苦痛を感じる[2]

  • 仕事や学校を休む日が続く[3]

家事・日常のルーティン

  • 食事の準備や掃除、洗濯などの家事が手につかない[4]

  • 自分の生活を管理できない

社会性

  • 友人や家族との関係が薄くなり、孤立感が強まる

  • 外出することが怖い、外出を控える

感情・思考

  • 自分を責める、価値を感じない、無気力で物事を楽しめないと感じる

  • 集中力が低下し仕事や学業に支障をきたすことが増える

  • 消えたい、どこかへいなくなりたいなど悲観的な発言がある

睡眠・食事

  • 寝ても疲れが取れない

  • 過眠または不眠に悩むことが多くなる

  • 食欲がなくなったり過食に走ることもある

症状を放置してしまうと、うつ病をはじめとしたほかの精神的な病気に進行するリスクもあります。

違和感を覚えた段階で、早めの受診をすすめましょう。

よくある質問

適応障害の方に対する声がけについて、よくある質問にお答えします。

正しい知識を得て、回復をうながせるような対応を意識しましょう。

適応障害の大人の特徴はなんですか?

適応障害を大人が発症した場合、以下のような特徴がみられます。[1]

<大人の適応障害の特徴>

分類

症状の特徴

精神面

  • 不安

  • 怒り

  • 焦り

  • 緊張

  • 憂うつな気分

行動面

  • 暴食

  • けんか

  • 無断欠席

  • 荒い運転

  • 過度な飲酒

仕事や家庭などで生じた特定のストレスによって上記があらわれることが多く、ストレス源から離れると症状がやわらぐ傾向があります。[1]

適応障害の人は休みの日は元気ですか?

適応障害を抱える方は休みの日に元気に見えることもありますが、回復を意味するわけではありません。

職場にストレスの原因がある場合、休みの日にはストレスから解放されて一時的な症状の改善がみられているだけで、根本的な解決にはいたっていません。[1]

症状が強い場合は休みの日でも何もできない、家から出たくないという状態が続くこともあります。

休みの日に元気に見えることがあっても無理にその状態を続けさせようとせず、回復のペースに合わせたサポートを心がけましょう。

適応障害の人への言葉はどうしたらいいですか?

共感的でプレッシャーにならない声がけを心がけましょう。「焦らなくていいんだよ」「話したいときはいつでも聞くよ」といった言葉をかけ、安心感のある環境づくりが大切です。

くわしくは「適応障害の人に周囲ができるサポート」を参考にしてください。

適応障害は逃げになりますか?

適応障害は決して「逃げ」ではなく、環境や状況からくる心身の過度なストレスが原因で発症する病気です。

適応障害は一種の適応反応として起こるもので、特定の状況に対して心が耐えきれない場合に発症します。

したがって適応障害を抱えていることは、意志が弱いわけでも逃げたわけでもありません。

適応障害を「逃げ」と決めつけることなく、理解を深めることが大切です。

適応障害の人は移住には不向きですか?

移住してストレス要因から離れることが回復の手助けとなる場合もあるため、一概に不向きとも言いきれません。

重要なのは移住が適応障害の回復を助ける場合でも、焦らず無理なく見守ることです。

新しい環境に移る前にかかりつけ医と相談し、移住が適切かどうかを判断することが望ましいでしょう。

まとめ|心の不調は誰にでも起こりうる。思いやりをもった声かけを

適応障害は環境の変化や人間関係などが引き金となり、心やからだにさまざまな不調をもたらします。

決して本人の努力不足ではなく、適切なケアが必要な心の反応です。

適応障害の方に対する周りの声がけが、回復に影響を与えることもあります。

プレッシャーを与えない思いやりのある言葉をかけ、回復を見守りましょう。

誰にでもストレスの影響で心のバランスを崩す瞬間はあり、適応障害も他人事ではありません。

「心の不調は誰にでも起こりうる」と理解し、思いやりのある声かけで支え合うことが大切です。

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参考文献

[1]適応障害 /統合失調症|厚生労働省

[2]「女性のトップランナー」というプレッシャーから過剰なストレス状態に陥りメンタルヘルス不調が生じた事例|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

[3]家族の支援を得て円滑な職場復帰につながった事例|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

[4]海外赴任を契機に従業員と配偶者の両者にメンタルヘルス不調をもたらした事例|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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以下の症状が見られる場合は、お近くの病院で対面での受診をおすすめします。
  • 自傷他害のおそれがある場合
    • 自分を傷つけたいと思う
    • 具体的に死ぬ方法について考えている
  • 身体疾患が強く疑われる場合
    • 高熱がある
    • 呼びかけてももうろうとしている
    • 意識がない
  • 緊急性が認められる場合
    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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