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適応障害なのに元気に見える理由とは?
適応障害で元気に見えるのは、以下の理由が考えられています。
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ストレスの原因から離れたから
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躁的防衛(そうてきぼうえい)で明るく振舞っているから
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過剰適応して周りに気づかれないから
適応障害の症状は、かならずしも外見にあらわれるわけではありません。
周りに理解してもらうために、まずは自身が元気に見える原因を知っておきましょう。
ストレスの原因から離れたから
適応障害が引き起こされるのは、特定のストレスが要因の一つと考えられています。[1]
そのため原因から一時的に離れることで症状が軽減し、元気に見えることがあります。
仕事のストレスが原因の場合、休日や休暇中は仕事から離れるため、仕事をしているときよりも元気に見えるでしょう。
しかしストレス要因に再びさらされると症状が再発する可能性もあり、元気に見えるのは一時的であることがほとんどです。
躁的防衛(そうてきぼうえい)で明るく振舞っているから
躁的防衛とは、つらい現実から目を背けるために、あえて明るく振舞う心理的な防衛機制のことです。
適応障害の場合、周囲に心配をかけたくない、弱みを見せたくないなどの理由から、無理に明るく振舞ってしまうことがあります。
過剰適応して周りに気づかれないから
適応障害の患者は、周囲に迷惑をかけないように、または期待を裏切らないようにと、必要以上に頑張ってしまう傾向があります。
これを過剰適応とよび、周囲に不調を悟られないようにふるまうため、元気に見られがちです。[2]
このような状態が続くと心身ともに疲弊し、症状が悪化するおそれがあります。
実際に適応障害と診断された5年後、40%以上の患者がうつ病に診断名が変更になったというデータもあります。[1]
「最近頑張りすぎかもしれない」と感じていたら、過剰適応のサインかもしれません。
適応障害とは?
適応障害とは日常生活で起きた大きな変化やできごとによって気持ちが落ち込んだり、不安や心配が強くなったりして普段どおりの生活ができなくなる状態のことです。[1]
<適応障害のおもな症状>
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憂うつな気分
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不安
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怒り
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焦り、緊張
よく知られる精神的な病気としてうつ病があり、適応障害と似たような症状があらわれます。
しかし適応障害とうつ病には、明らかな違いがあります。
うつ病との違い
適応障害とうつ病のおもな違いは、原因となるストレスの内容と症状の持続性にあります。[1]
病名 |
原因となるストレスの有無 |
症状の持続性 |
適応障害 |
明確にあり |
ストレスの原因から離れると症状が改善する |
うつ病 |
明らかでないことも多い |
環境が変わっても気分が晴れず憂うつな気分が続く |
うつ病の診断基準を満たす場合は、適応障害ではなくうつ病の診断が優先されることがあります。[1]
いずれにしても自己判断では見分けが難しいです。おかしいと感じたら医療機関で一度相談してみましょう。
適応障害の人の特徴は?
適応障害は人によって症状のあらわれ方が異なり、一般的には以下のような特徴がみられます。
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仕事以外は元気に見える
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涙が自然に出てくる
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余裕がなく、緊張している
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いつもぼんやりしている
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作り笑いをしている
これらの症状がみられるからといって、かならずしも適応障害であるとは限りません。
あくまでも「傾向がある」という程度に読み進めていきましょう。
仕事以外は元気に見えることもある
適応障害の症状は、ストレスの原因となる状況下で強くあらわれる傾向があります。
そのため仕事がストレスの原因である場合、仕事中はつらくてもプライベートでは比較的元気に見えることがあります。
よくなったように見えても一時的なものであり、ストレスの原因がなくならない限り根本的な解決にはつながりません。
涙が自然に出てくる
感情のコントロールが難しくなり、些細なことで涙もろくなることがあります。
とくにストレスを感じる場面や過去のつらい記憶が蘇ったときに、涙が自然とあふれてしまいがちです。
理由がなくても急に涙が出はじめることもあるため、自身でも驚くことでしょう。
余裕がなく、緊張している
適応障害の患者は常に心に余裕がなく、些細なことにも過剰に反応してしまいがちです。
神経が過敏になり緊張状態が続くと、周囲のちょっとした言葉や表情を深読みしてしまったり、ミスを極端にこわがったりすることがあります。
結果として心身が疲れやすくなり、慢性的な肩こりや頭痛、不眠などの身体症状があらわれやすくなります。
いつもぼんやりしている
集中力や注意力が散漫になり、頭がぼんやりすることがあります。
ストレスを感じる場面では思考能力や判断力が低下し、以下のような状態になりやすいです。
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人の話が頭に入ってこない
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何かを考えようとしても考えがまとまらない
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同じミスをくり返す
仕事や日常生活でのミスが増え、さらに自信を失うという悪循環に陥ることも少なくありません。
作り笑いをしている
つらい気持ちを隠すために、無理に笑顔を作ることがあります。
適応障害の患者は周りに心配をかけたくない、弱みを見せたくないという気持ちがとくに強く、作り笑いが多くなりがちです。
実際心のなかでは常に苦しさを抱えており「本当はつらいのに笑わなければならない」というストレスが積み重なります。
この状態が続くと心の負担はさらに大きくなり、ある日突然限界を迎えることもあります。
適応障害の人にかける言葉は?
適応障害の人には、以下のように相手が安心できるような言葉をかけるとよいでしょう。
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話したくなったら、いつでも聞くよ
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つらいときは頼っても大丈夫だからね
適応障害の人は「周囲に理解してもらえない」と感じることが多いため、気持ちに寄り添い自然に接することが大切です。
無理に励ましたり「頑張れ」とプレッシャーがかかるような声がけをするのは控えましょう。
「元気に見える」と言われた場合
適応障害を患っていても、ストレスの原因から離れれば、周りから元気に見えることがあります。
理解してもらいたい場合は「元気に見えるかもしれないけど、実はすごく疲れやすいんだ」と、無理のない範囲で気持ちを伝えるのも一つの方法です。
全ての人への説明は不要ですし「嘘だと思われているのでは?」と不安になる必要もありません。
理解してくれる、信頼できる人にだけ話し、無理に理解を求めようとしないことが大切です。
適応障害の治療法は?
適応障害の治療はストレスの原因を取り除く環境調整を基盤に、精神療法や薬物療法を組み合わせておこなわれます。
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ストレスとなる原因を取り除く
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精神療法(認知行動療法・問題解決技法)
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症状に対して薬を使う
それぞれの治療法には特徴があり、組み合わせることで効果的な回復が期待できます。
ストレスとなる原因を取り除く
職場の配置換えや人間関係の距離調整など、ストレスの原因を除去し、ストレスを軽減することが治療には必要です。
ただし現実的に難しいこともあるため、問題焦点型コーピング(直接的問題解決)と、情動焦点型コーピング(感情コントロール)を併用した解決策が重要となります。
コーピングとは「対処する」「切り抜ける」という意味で、ストレスコーピングは特定のストレスフルな問題や状況に対するストレス対処方法のことを指します。[3]
コーピング方法 |
説明 |
具体例 |
問題焦点型コーピング |
ストレスの原因そのものを解決する方法 |
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情動焦点型コーピング |
ストレスに対する感じ方を調整し心を落ち着かせる方法 |
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ストレスの原因を完全に取り除くことが難しくても、自分に合ったコーピング方法を身につけることで、心の負担を軽減しながら前向きに対処していけるかもしれません。
精神療法(認知行動療法・問題解決技法)
適応障害に悩む方は、ついネガティブな考えにとらわれがちです。
認知行動療法ではそんな考え方の癖をやわらげ、心が少しでも軽くなる方法を一緒に見つけていきます。[4]
また問題解決技法ではストレスの原因にどう向き合い、どんな対処ができるのかを具体的に考えます。[5]
ひとりで抱え込まず少しずつできることを増やしていけると、前向きな変化につながるでしょう。
症状に対して薬を使う
症状の程度に応じて、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などが処方されることもあります。
しかし薬物療法だけでは根本的な治療が難しく、まずは環境調整を中心に治療をおこないます。
薬物療法はあくまでも、治療をスムーズに進めるためのサポートとして認識しておきましょう。
Q&A
適応障害の特徴について、よくある質問をまとめました。適応障害を深く知り、正しい対処法をとりましょう。
適応障害の人は元気なふりをしますか?
適応障害の人は心配をかけたくない、自分の弱さを見せたくないという思いから、無理に笑顔を作って元気なふりをすることがあります。
これはあくまで表面的なもので、内心では大きなストレスを抱えている状態であることを覚えておきましょう。
適応障害の人はサボり癖がありますか?
「適応障害の人はサボり癖がある」と誤解されがちですが、実際には体力的・精神的に疲れ果てて、集中できなかったり行動に支障をきたしたりしています。
決してサボりたいわけではなく、仕事や生活に対して必要以上にプレッシャーを感じている状態です。
適応障害のトリガーとなるものは何ですか?
適応障害のトリガーは、生活のなかでの大きな変化やストレスとなるできごとです。
<適応障害のトリガーになりやすいできごと>
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職場の異動
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人間関係のトラブル
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家庭の問題
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経済的な困難
大きい変化がもたらす精神的な負担がその人の許容範囲を超え、適応障害を引き起こすことがあります。
適応障害の人の顔つきに特徴はありますか?
適応障害の人は憂うつな気分や不安などの症状が続くと、顔つきに変化があらわれることがあります。
<適応障害の人にあらわれやすい顔つきの特徴>
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無表情になる
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目つきが変化する
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緊張している
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顔色が悪い
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作り笑いをする
とはいえ「この表情だから適応障害だ」と一概に言えません。
ストレスや気分の変化など、総合的に判断することが大切です。
まとめ
適応障害は、見た目が元気に見えても深刻なストレスを抱えている場合があります。
そのため「元気そうなのに」と言われるのが負担になることも少なくありません。
しかし自分自身の状態を理解し適切な対処をすることで、周囲とのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。
無理をせず信頼できる人に気持ちを打ち明けたり、必要に応じて専門家に相談したりすることが大切です。
一人で抱え込む必要はありません。焦らず、自分に合った回復の道を見つけていきましょう。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。
参考文献
[3]ストレスコーピング:用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
[5]問題解決療法 | こころとくらし by 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。