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  2. 医療介護経営者×ファストドクター代表 菊池亮 特別対談
  3. 金町駅前脳神経内科院長 内野勝行先生

高齢化社会において、どのような地域医療のあり方が求められているのか。
2014年より葛飾区金町で脳神経内科を運営されている、内野先生にお話を伺いました。

認知症の患者さんを抱えるご家族のストレスは、第三者が考えるよりもずっと大きい。そんな中でも誰にも相談ができずに苦しんでいるご家族や患者さんの助けになりたいと考えています。

内野 勝行
金町駅前脳神経内科 院長
帝京大学医学部医学科 卒業
帝京大学医学部附属病院 脳神経内科 非常勤医
金町駅前脳神経内科 開設

患者さんに癒しを与えられるような医療を提供したい

菊池
内野先生は、2015年に「金町駅前脳神経内科」を開業されました。脳神経内科は高齢者との接点が多い領域と思います。高齢化社会において、どのような地域医療が求められているのか、先生のお考えをお聞かせください。
内野院長
当院の理念の一つに「スターバックスに負けるな」という考えがあります。スターバックスって他のコーヒーショップよりも価格帯は高価なのにお客さんが入りますよね。あれってお客さんはコーヒーもそうだけど、癒しを求めにいくのだと思っています。
クリニックもそうあるべきだと思っていて、患者さんの心配事を解決できて、結果的に安心感や癒しを与えられる存在であることが大切だと思っています。
菊池
共感します。多くの患者さんはかかりつけ医に安心を求めているように感じます。
内野院長
金町という土地は東京23区の中で最もクリニックが密集している地域です。1km圏内に30軒ほどクリニックが存在します。多くの患者さんを診察している中で、少しずつ自分の中での治療方針が変わっていきました。当初は、症状を良くすることを一番に考えていましたが、今では、患者さんが心配に感じていることに対して必要な検査を迅速にする。そして、その心配事が大きな病気なのか一時的なものなのか「白黒つける」ことが、患者さんのためになるような気がしています。

認知症治療への想い

菊池
今後、高齢化が進んでいくと、認知症の患者さんが増えてくると予想されます。内野先生の認知症治療に対する考えをお聞かせください。
内野院長
認知症に対する治療方針は、施設によって差が大きいかもしれませんが、僕の場合は、軽症例はなるべく投薬をしない、中等例は、少量の投薬と介護サービスを活用しながら管理する。重症例は、本人と家族の意思を尊重しながら、特に家族のケアを大事にするようにしています。
認知症の患者さんを抱えるご家族のストレスは、第三者が考えるよりもずっと大きくて、そんな中でも誰にも相談ができずに苦しんでいるご家族が多くいらっしゃいます。こうした患者さんやご家族の助けになりたいと考えています。
内野先生

地域を巻き込んだ医療教育

菊池
先生は、地域の医療従事者を対象にセミナーを主催されているとお聞きしました。 
内野院長
最近も、内野アカデミーというセミナーを開催しました。参加者は、ケアマネージャーや訪問看護などの介護に関わる方たちです。私は、今後は、介護スタッフの皆さんの医療スキルをレベルアップしていくことが重要と考えています。
菊池
高齢化社会においては、介護チームの役目が重要になるということですね。
内野院長
彼らは家族や患者さんに一番接する立場ですよね。当院では在宅医療もしていますが、その中で看取りに対する家族の意識づけができていないことが多いんです。俗にいうACP(※)ができていない。そういうことに直面したときに家族の教育も大事だし、そういうことをチーム医療で対応できると良いなと感じました。
※ACP…アドバンス・ケア・プランニング。

今後も、医療と介護をつなぐための勉強会を続けていきたいと思います。

地域の患者さんへ安心を提供したい。

内野院長
当院においては、日中には私が、夜間休日帯はファストドクターさんが診療(臨時当直医)を行う24時間体制としています。医療側にとっても負担が少ない形で、持続的に患者さんへ安心を提供できることが大切だと感じています。
菊池
患者さんのことを一番理解しているのはかかりつけ医の先生です。私たちはそこのサポート役ができればと思っています。今後ともご指導をお願いします。本日は誠にありがとうございました。
内野先生 x 菊池
ファストドクター株式会社 代表取締役・医師 菊池 亮
菊池 亮
ファストドクター株式会社 代表取締役・医師
2010年帝京大学医学部卒業。帝京大学医学部附属病院、関連病院にて整形外科に従事後、2016年にファストドクター株式会社を創業し代表取締役に就任。帝京大学医学部救急医学講座を兼務。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、一般社団法人日本在宅救急医学会評議員。