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  2. 医療介護経営者×ファストドクター代表 菊池亮 特別対談
  3. なかたこどもクリニック院長 中田昌利先生

大阪市浪速区で小児科医院を運営する中田先生にお話を伺いました。

患者さんとゆっくりお話したい。
不安や悩みを、相談しやすい環境を作っていく。

中田 昌利
なかたこどもクリニック 院長
昭和57年 大阪府堺市生まれ
平成13年 私立洛南高等学校卒業
平成19年 京都大学医学部卒業
【勤務歴】
京都大学医学部附属病院
田附興風会医学研究所北野病院
日本赤十字社和歌山医療センター

完全予約制の取組

菊池
中田先生の医院は完全予約制とお聞きしています。予防接種のみ予約制とする施設は多く見られますが、一般外来まで予約制とするところはあまり多くないように感じます。こうした仕組みを導入された背景について教えてください。
中田院長
医師としてずっと心がけていることにはなりますが、「患者さんとゆっくりお話したい」という想いから予約制を導入しました。1日に診療できる数は少なくなってしまいますが、きちんと患者さんやそのご家族と向き合って、不安を解決してあげられるという強みがあります。また、お子さんをお抱えのご家族にとって、待ち時間は大きな負担です。予約制とすることで、こうした負担を少しでも和らげてあげたいと思っています。

小児科医として

菊池
中田先生はこれまでに小児発達をご専門にされてきたとお聞きしています。
中田院長
これまで、小児発達や小児神経の領域を専門としてきました。具体的には、発達障害、てんかん、ADHDなどの疾患です。子どもの発達に関する不安は、一般的には些細なことであっても、ご両親にとっては大きな関心事項です。不安について一緒に考えてあげられるパートナーとして、頼られる存在になれれば嬉しく思います。

また、今後の日本での少子化はさらに深刻さを増してきます。来年は出生数が90万人を切ると報告されています。患者数の減少にともない、小児科の受診者数や、小児科医の数も減少していくかもしれません。その中でも、しっかりと目の前の患者さんやご家族のお話をお聞きし、ひとつひとつ不安を解決していくことが大切と考えています。不安や悩みを打ち明けやすい環境づくりを心がけていきたいと考えています。

地域の医療現場における課題

菊池
これからの地域医療を見据えられたときに、感じておられる課題感があれば教えてください。
中田院長
私が抱いている課題は、かかりつけ医で診ている患者さんが、夜間休日に悪化したときの対応です。当院では、連携する病院を受診するよう案内していますが、これからの季節においては、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの二大流行が危惧されており、医療関係者の懸念材料となっています。

そんな中、お子さんが発熱したときにどうするべきかは課題です。通院には二次感染のリスクが伴います。そうすると受診を控えるご家庭も少なからず出てくるでしょう。万が一、治療が必要な病状であっても、受診控えをしてしまうリスクについては、地域一丸となって対策を考えていかなくてはなりません。

地域の医療機能の強化に向けて

菊池
菊池:コロナ禍においては医療機関の受け入れ体制が課題になりました。受け入れが難しい医療機関においては、どのような連携体制が望ましいのか。地域医療におけるBCP(※)の視点は重要と感じます。
※事業継続計画(Business Continuity Plan)
中田院長
私たちは、小児科の10年後・20年後がどのように変わっていくのかを想像する必要があります。かかりつけ医だけでは24時間365日患者さんに向き合うことはできません。救急相談センターや地域病院、さらにファストドクターのような様々な医療サービスが、連携しながら強い地域医療を形成していくことが必要になっていくのではと感じます。
菊池
自院での取組に加えて、小児科医が目指していく未来についても言及していただき、大変勉強になりました。この度はありがとうございました。
ファストドクター株式会社 代表取締役・医師 菊池 亮
菊池 亮
ファストドクター株式会社 代表取締役・医師
2010年帝京大学医学部卒業。帝京大学医学部附属病院、関連病院にて整形外科に従事後、2016年にファストドクター株式会社を創業し代表取締役に就任。帝京大学医学部救急医学講座を兼務。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、一般社団法人日本在宅救急医学会評議員。