インフルエンザワクチンの料金の違いや自治体ごとの補助制度について解説
毎年1月からインフルエンザの流行のピークを迎えるため、11月下旬から12月上旬までには予防接種を済ませたいところです。
この記事では、インフルエンザワクチンが医療機関ごとに値段が違う理由や、平均的な価格、予防接種を安く受ける方法を解説します。
あまり知られていない自治体の補助金制度などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

名倉 義人 医師
○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院
○資格
救急科専門医
○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会
インフルエンザワクチンの料金について
インフルエンザワクチンの料金は、病院ごとに値段が違います。
成人の場合は基本的に全額自己負担となり、一般的には¥3,500前後の費用がかかります。
自由診療のため医療機関ごとに値段が違う
インフルエンザの予防接種は、保険外診療(自由診療)です。
自由診療とは、公的な医療保険が適用されない医療技術や薬剤による治療のことで、病院・クリニックごとに価格を決める権利があります。
そのため、インフルエンザのワクチン接種は医療機関によって値段が違うのです。
ワクチン接種にかかる値段は、ワクチンの仕入れ価格に、病院スタッフの人件費などの運営費などが上乗せされた価格になります。
保険適用外なので全額自己負担
インフルエンザのワクチン接種は、病気に対する治療ではないため健康保険が適用されません。
通常の治療(保険診療)の場合、診療費用の負担は3割ですが、自由診療である予防接種は全額自己負担です。
ただし、後述するようにインフルエンザの予防接種の場合は、各自治体から補助金が出ていることがあります。
予防接種の費用の平均相場は¥3,500前後
ワクチン接種費用ですが、¥3,500前後が一般的な相場です。
筆者の住む地域では、安くて¥3,000、高くても¥5,000の費用に設定されていました。
正確な統計データによると、インフルエンザワクチン接種費用の全国平均は3,631円となっています。(2019年9月30日時点)
各都道府県別の平均価格にも若干のばらつきがあり、最高価格は福岡県の3,807円、最低価格は宮崎県の3,218円でした。
引用:3Hクリニカルトライアル株式会社「生活向上WEB」調べ
また、ワクチンは海外から取り寄せるため円安・円高の影響も受け、近年では増額傾向にあります。
2回接種する子供との料金の違い
大人と子供では、インフルエンザワクチンの摂取量と回数が異なります。
年齢 | 接種回数 | 1回の注射量 |
---|---|---|
生後6ヶ月以内 | ワクチン接種不可 | – |
6ヶ月以上3歳未満 | 2回接種 ※1回目から2回目の接種は 2~4週間の間隔をあける | 0.25mL |
3歳以上13歳未満 | 2回接種 ※1回目から2回目の接種は 2~4週間の間隔をあける | 0.5mL |
13歳以上 | 原則は1回接種 | 0.5mL |
大人は1度の接種で済みますが、13歳未満の子供は2回の接種が必要となります。
その場合、2回接種の合計金額が大人より大きくなる場合があります。
値段が安くてもインフルエンザワクチンの効果は変わらない
病院で提供されているワクチンは、値段に違いがあっても、どれも効果の認められているインフルエンザワクチンです。
製造している会社に違いはありますが、どのワクチンの中身は一緒のものです。
自治体のインフルエンザ予防接種の補助制度
インフルエンザ予防接種には、自治体ごとに様々な補助制度があります。
以降では補助制度の一例をご紹介しますが、制度が適応されるのは
- 対象の市町村に住んでいる住民
- 対象の組合に所属している人
のみとなっています。
お住まいの地域のインフルエンザ予防接種の補助制度について知りたい方は、各市町村の保険センターや、市役所へお問い合わせください。
65歳以上の高齢者なら無料に
こちらは東京都江東区の制度ですが
- 65歳以上の方(令和4年12月31日までに65歳になる方)
- 60歳以上65歳未満の方のうち身体障害者手帳1級で、心臓・腎臓・呼吸器の機能又はヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害を有する方(令和4年12月31日までに60歳になる方)
上記の条件に該当する方は、インフルエンザ予防接種にかかる費用が全額助成(無料)となります。
(※接種日現在で江東区に住民票がある方に限ります)
参考:令和4年度高齢者インフルエンザ予防接種|江東区
東京都江東区に限らず、65歳以上の高齢者の方、60歳以上65歳未満の方で重大な疾患のある方は、基本的にインフルエンザ予防接種費用を無料としている自治体は多くあります。
該当者ご本人、もしくはご家族に該当者がいらっしゃる場合は、お住まいの市役所へ問い合わせするか、郵送される通知カードをご確認ください。
13歳未満の子供も無料・または一部助成あり
こちらは東京都新宿区の制度となりますが、13歳未満の子供のンフルエンザ予防接種費用を無料とする制度があります。
9月末までに区役所から予診票が送付されますので、事前申し込みは不要です。
送付された予診票をお持ちの上、区指定の医療機関で予防接種を受けると、無料でインフルエンザワクチンを接種を受けることができます。
なお、新宿区の場合は生活保護受給世帯等の方も接種費用を無料とする制度もありました。
参考:令和4年度インフルエンザ予防接種接種期間は令和4年10月1日(土)~令和5年1月31日(火):新宿区
保険組合の制度により¥1,000〜¥2,000補助
各種保険組合に加入されている方は、予防接種にかかる費用が¥1,000〜¥2,000補助される制度があります。
詳細については、各保険組合の詳細ページを参照してください。
予防接種の補助制度がある保険組合の例
- 東京食品販売国民健康保険組合(2,000円補助)
- 東京都歯科健康保険組合(2,000円補助)
- 東京機器健康保険組合(1,500円補助)
- 東京港健康保険組合(1,000円補助)
- 東京都電機健康保険組合(1,000円補助)
- 関東ITソフトウェア健康保険組合[ITS](2,000円補助)
予防接種の料金が安い病院を探したい場合は
「インフルエンザの予防接種にかかる費用をできるだけ安く抑えたい」という方も多いと思います。
しかし残念ながら、病院ごとの予防接種の費用は毎年変動しますので、どこかに一覧でまとめられているわけではありません。
お近くの病院を探す際のコツとしては、まず市役所の保健課のホームページを閲覧してみましょう。
市内でワクチン接種に実施している全ての病院を、一覧でまとめてくれている場合があります。
病院名がわかったら、病院ごとの個別のホームページを調べて費用を確認してください。
まとめ
- インフルエンザワクチンは自由診療なので、病院ごとに費用を自由に決めることができる
- 一般的な相場は¥3500前後(年々やや増額される傾向あり)
- 値段が安くてもインフルエンザワクチンの効果は変わらない
- 自治体の補助制度を利用すれば、65歳以上の高齢者、13歳以下の子供は無料になる場合がある
- 補助金制度の詳細や受診可能な病院の一覧は、市役所のホームページにまとまっている
インフルエンザの流行は毎年1月からピークを迎えるため、11月下旬から12月上旬までには予防接種を済ませたいところです。
自治体の補助制度があることはあまり知られていない場合もありますので、まずはお住まいの市町村のホームページを調べてみてください。
インフルエンザワクチンの効果や、予防方法などについてはこちらの記事を参考にしてください。