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【学会発表】「24時間365日オンライン診療の有用性:かかりつけ医の補完について」(第28回 日本遠隔医療学会)

#オンライン診療

2024年11月9日・10日に開催された「第28回日本遠隔医療学会学術大会」において、当社代表の水野より、ファストドクター提携医療機関のオンライン診療患者を対象とした調査結果をふまえ、オンライン診療がかかりつけ医の機能を補完し、持続可能な地域医療体制の構築において重要な役割を果たしていることを提起しました。

発表内容(要旨)

1. 24時間365日のオンライン診療プラットフォームが、かかりつけ医機能を補完

ファストドクターのプラットフォームは、提携医療機関によるオンライン診療の実施を24時間365日体制で支援しています。

国内には多くのオンライン診療サービスがありますが、24時間365日対応が可能で、さらに初診に対応するものは限られています。この点は「いつでも(=時間外や通院困難時でも)受診・相談ができる」という役割が期待されるかかりつけ医の機能を補完する、ファストドクターのプラットフォームならではの大きな特徴です。

2.  かかりつけ医にかかれない患者に対しても、オンライン診療が受診の選択肢として機能

 ファストドクター提携医療機関のオンライン診療患者を対象に行った調査では、53.8%の患者が「かかりつけ医がいる」と回答しながらも、オンライン診療を利用していることが分かりました。その主な理由として、「かかりつけ医が診察時間外のため」「通院困難なため」「かかりつけ医で予約が取れなかったため」が全体の89%を占めています。

 この結果は、「かかりつけ医の2号機能」、すなわち診察時間外や通院困難な状況での受診対応が十分に充足されていない場面において、オンライン診療が利用されていることを示しています。
※ 「かかりつけ医機能報告制度」における「2号機能」… 時間外対応や在宅医療対応など特定の条件を満たした医療機関が報告する必要がある追加的な機能のこと

また、患者の約半数はかかりつけ医を持たない層であり、このような状況においてもオンライン診療が受診の受け皿として機能していることが明らかになりました。

3. 高い診療品質の保持

 ファストドクタープラットフォームのオンライン診療では、「医療品質」「カルテ品質」「応対品質」の3つの指標を基準に、医療品質の評価を徹底しています。オンライン診療は、初診の解禁からまだ5年未満であり、ガイドラインが整備されつつある一方で、その安全性に懸念を抱かれることも少なくありません。
当社のオンライン診療では、受診後の患者の97.7%がオンライン診療のみで治療を完結(予後良好)しており、品質管理が患者の安全性を支え、高水準の医療を提供していることを裏付けています。

4. 対面診療との連携

 診療前相談にて、医師がオンライン診療を行うことが不適切だと判断した患者(全体のうち1.3%)については、全例を対面受診へと連携しています。

また、必要な患者にはオンライン診療を行った提携医療機関から紹介状を発行し、地域の医療機関との適切に連携することで、患者の症状や状況に応じた切れ目のない医療提供体制を構築しています。

5. 地域医療との連携例

 ファストドクタープラットフォームを活用した地域医療連携の一例として、千葉県野田市での取り組みをご紹介します。野田市では、地域医療機関による365日の夜間・休日診療体制の維持が大きな課題となっていました。この課題に対応するため、夜間や休日帯はファストドクターの提携医療機関によるオンライン診療を導入しています。受診後のアンケートでは、患者の80%以上がオンライン診療の利用を「推奨する」と回答しており、高い満足度が確認されています。この取り組みにより、地域住民に対してより持続可能で利便性の高い医療サービスを提供しています。

 また、福島県福島市では、夜間・休日に一次救急医療機関への対面受診が難しい患者に対する選択肢として、「D to P with N  (Doctor to Patient with Nurse:患者が看護師等といる場合のオンライン診療)」を導入しました。D to P with Nは、患家に看護師が訪問し、オンライン診療の受診補助を行うもので、緊急性の低い軽症患者の救急搬送抑制に貢献しています。

おわりに

24時間365日対応のオンライン診療は、かかりつけ医が時間外や予約満診の場合、または在宅医療を提供しないケースにおける受け皿として機能しています。さらに、診療後のデータを活用することで、医療品質のさらなる向上が可能となります。

現在、ファストドクターは地域の医師会や自治体と密接に連携し、オンライン診療の活用を推進しています。この取り組みを通じて、かかりつけ医の普及を支援するとともに、地域医療が抱える課題の解決に向けて、今後も全力で取り組んでまいります。

大会概要

大会名: 第28回日本遠隔医療学会学術大会
テーマ: スマートな社会の実現に向けての遠隔医療
会期: 2024年11月9日(土)・10日(日)
会場: 岡山コンベンションセンター 大会長: 笠原 真悟(岡山大学学術研究院医歯薬学域 心臓血管外科)※敬称略 主催事務局:岡山大学学術研究院医歯薬学域 心臓血管外科
開催概要:https://www.kwcs.jp/jtta2024/index.html

ファストドクター株式会社

日本最大級の医療支援プラットフォーム「ファストドクター」を運営するヘルステック企業。5,000名以上の医師が参加するこのプラットフォームは患者のほか、医療・介護施設、自治体、公的研究機関、製薬や保険業界など、医療業界の多岐にわたるステークホルダーの皆さまにご利用いただくことで、地域医療を強化する新たな医療インフラの構築を実現します。 所在地:〒150-6032 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-3 設立:2016年8月 代表者:菊池 亮(医師)・水野 敬志 WEBサイト:https://www.fastdoctor.co.jp/corporate

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