ゾフルーザはどんな薬?
ゾフルーザは2018年に販売された比較的新しい薬で、今までのインフルエンザ薬とは異なる作用を持つ薬です。
インフルエンザA型にもB型にも効果を示します。
以前より用いられてきたタミフルなどのインフルエンザ治療薬は、細胞外にウイルスが増殖するのを防ぐものでした。
しかし、ゾフルーザは細胞の内側でウイルスの増殖を抑制します。そのため、より高い効果が期待できると言われているのです。
そして最大の特徴は1回の内服で治療が完了することです。
すでにインフルエンザ薬のなかに1回で治療が完了するイナビルという薬があります。
イナビルは吸入薬で、人によって吸入が上手くできなかったり、むせこんでしまったりと個人差が大きいことがデメリットでした。
しかしゾフルーザの場合は、錠剤の内服による治療なので、内服が可能な方であれば誰でも飲むことができます。
また、ゾフルーザは1回の内服で終了となるため、飲み忘れることや中断することなく治療を完了することが可能です。
1回の内服で翌日のウイルス量も大幅に減少することから、周囲の方にとっても安全な薬といえるでしょう。
どのくらいで効果があらわれるの?
ゾフルーザは服用してから約54時間ほどで全ての症状の改善が認められました。
ここでいう全ての症状は頭痛、咳、発熱、のどの痛み、鼻詰まり、悪寒、筋肉・関節の痛み、疲労感のことを指します。
ゾフルーザを服用しなかった人と比べると、回復時間が大幅に短縮されているため、優れた効果を発揮していると報告されている、というのが事実です。
この結果はタミフルとさほど変わりません。[6]
また、発熱症状の改善は人によりますが、服用して24時間ほどで解熱します。
検査をしてインフルエンザに感染していると分かったのなら、早めに薬を服用した方が良いでしょう。
このことから、効果を発揮するまでの時間はタミフルとさほど変わりはないといえど、服用回数が1回で済み、ウイルスの増殖を速い段階から抑えられるゾフルーザは優れた薬であると言えます。
インフルエンザと言えば「熱や咳、鼻水」の症状をイメージするかもしれませんが、嘔吐や下痢に悩まされている人もいます。
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予防投与にも使用可能
販売当初、ゾフルーザの予防投与は認められていませんでしたが、2020年7月に販売元の塩野義製薬から、「効能・効果の追加(ゾフルーザの予防投与)が承認された」と発表がありました。[1]
1回の内服で10日間の予防効果が得られるといわれています。[2]
予防効果については、基礎疾患など重症化リスクを持つ人、12歳未満の小児、ワクチン接種の有無に関係なく効果が認められました。
実際に、同一世帯でゾフルーザを予防投与した際に感染を有意に減少させたことが報告されています。
副作用について
ゾフルーザの副作用は下痢・吐き気などの消化器症状を中心に報告されています。
下痢、腹痛、血尿、鼻血などの症状は服用してすぐではなく、数日たってからあらわれるケースもあります。
副作用かも、と思ったら早めにかかりつけの医療機関に相談してください。
今までのインフルエンザ薬、特にタミフルの副作用で問題視されていたのは精神症状です。
特に小児に多いとされていますが、ゾフルーザの場合、精神症状の副作用の報告がほとんどありません。
その点では、ゾフルーザは安心して内服ができます。
ただし精神症状がゼロというわけではありません。
そのため、服用してしばらくは家族がそばにいた方が良いでしょう。
関連記事:「ソフルーザで死亡とあるけど本当なの?副作用と耐性菌の問題点を解説」
ゾフルーザと今までの薬との違い
ゾフルーザは今までのインフルエンザ薬と違い、ウイルスそのものの増殖を防ぐことが可能です。
今までのインフルエンザ薬はすべて「ノイラミニダーゼ阻害薬」とよばれるもので、細胞で増殖したインフルエンザウイルスが細胞外に出ることを防ぐ作用があります。
一方ゾフルーザはその前段階である細胞の増殖自体を抑える作用をもつ「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬」とよばれる薬です。
急激にウイルス量が減少することがわかっており、タミフルと比較すると内服翌日のウイルス量は1/100になります。
その効果から、症状が改善するまでの時間もタミフルより短いです。
いずれのインフルエンザ薬もインフルエンザウイルスのはたらきを抑えることに変わりはありませんが、ウイルスが細胞外にでる段階でとめるか、ウイルスの増殖をとめるかという点に違いがあります。
現在知られている他のインフルエンザ薬
ゾフルーザのほかに、日本のインフルエンザ薬にはタミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタというものがあります。
以下にそれぞれの特徴をまとめました。[3]
インフルエンザ薬を処方してもらう際の参考にしてください。
タミフル |
リレンザ |
イナビル |
ラピアクタ | |
投与方法 |
内服 |
吸引 |
点滴 | |
投与回数 |
1日2回5日間 |
1回のみ | ||
予防投与 |
◯ |
✕ | ||
特徴 |
・もっとも多く使用されている ・小児の精神症状に注意 |
・肺炎や気管支喘息患者の使用は避ける ・タミフルより症状が治まるのが早い |
・肺炎や気管支喘息患者の使用は避ける ・日本でもっとも早く販売されたインフルエンザ薬 |
・内服も吸入もできない患者に使用できる ・使用できる場所が限られる |
形状や投与回数などを見てみると、それぞれ違った特徴があります。
患者の状態に合わせた処方が可能なので、その際は医師と相談しましょう。
まとめ:自分に合った服用方法でインフルエンザを乗り切りましょう
現在、日本で使用できるインフルエンザの薬は5種類あり、服用方法や形状がそれぞれ異なります。
そのなかでもゾフルーザは1回の内服でウイルス量が激減し、副作用も少ないため、患者本人にも周囲の方にも安全性の高い薬です。
インフルエンザ薬は最後まで使い切ることが大切です。
医師と相談し自分に合ったものを処方してもらいましょう。
ゾフルーザだけでなく、インフルエンザに関することなら何でもご相談ください。
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参考文献
[1]抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の日本におけるインフルエンザウイルス感染症予防に関する効能・効果追加承認について|塩野義製薬
[2]タミフル Q&A一覧|患者さん・一般の皆さま|中外製薬 (chugai-pharm.co.jp)
[4]インフルエンザの情報ならインフル・ニュース (influ-news.info)
[5]ラピアクタ点滴静注液バッグ300㎎・バイアル150㎎ | 医療用医薬品 | 塩野義製薬 医療関係者向け情報 (shionogi.co.jp)
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。