インフルエンザにカロナールは効かない?頭痛や発熱に使用できる薬について解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/29
「インフルエンザでカロナールを処方してもらったけど熱が下がらない」「病院に行けないから市販薬で対応できないか」 などと考える方もいるでしょう。 実際にカロナールを服用しても熱が下がらないという人がいるのも事実です。 では本当にカロナールはインフルエンザに効かないのでしょうか。 この記事では、カロナールの効能や効果、そしてカロナール以外の解熱鎮痛剤を服用してもよいのか解説します。 また、市販薬で使える薬も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次

インフルエンザにカロナールは効くの?

カロナール(アセトアミノフェン)は、インフルエンザの発熱や頭痛、咽頭痛などの症状を緩和する効果をもつ薬です。

年齢や体重に応じて用法用量が決められています。しかし、処方どおり服用しないと副作用があらわれるケースも存在していること、そして服用量と体重が合っていないと十分な効果が発揮されないといったことがあることも知っておきましょう。

また、高熱時に解熱鎮痛剤を服用しても、熱が下がりきらず効果を感じづらいことがあります。

カロナールの効果

カロナールは、熱を下げたり痛みを和らげたりする作用があり、主に下記の目的で処方される薬です。[3]

  • 各種疾患及び症状における鎮痛

  • 下記疾患の解熱・鎮痛

    急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

  • 小児科領域における解熱・鎮痛

カロナールの副作用と注意点

カロナールのような解熱鎮痛剤の多くは胃痛などの消化器症状の副作用がありますが、カロナールはこうした副作用が起きにくいことが分かっています。

しかし、過量服用により肝機能障害が起こる可能性があるため、この薬を服用している間はアセトアミノフェンを含むほかの薬を服用しないこと、飲酒を避けることなどの注意点があります。[3]

カロナールは子どもでも飲めるの?

カロナールは子どもでも服用できる薬です。

しかし低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施されていないため、この条件に該当する場合に処方するかどうかは、医師によって判断が異なります。

カロナールは、錠剤のほか散剤や坐薬、シロップなど様々な剤形があり、小さな子どもでも服用しやすい薬です。

また古くから使用されていることから、子どもはもちろん高齢者や妊婦、授乳婦などにも幅広く服用できる解熱鎮痛剤とされています。[3][4]

インフルエンザにカロナールが効かないことはあるの?

インフルエンザに限ったことではありませんが、熱が上がっているときに解熱鎮痛剤を服用しても、熱が下がりきらず効果がないように見えることがあります。

また先述したようにカロナールは体重に応じて用法用量が決められていますが、服用量が少ない場合は十分な効果がみられないことがあります。

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医師が診察を行い必要であると判断した場合、薬の処方も可能です。

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カロナールを服用する上での注意点は?

カロナールは一般的に安全性の高い薬ですが、以下の点にご注意下さい。

  • 服用している期間は飲酒を避けること

  • 血液、肝臓、腎臓、心臓などに持病がある場合は、服用前に主治医に相談すること

  • 服用間隔として4~6時間はあけること

  • アセトアミノフェンを含むほかの薬の服用を避けること

  • 妊娠中もしくは妊娠している可能性がある場合は、服用前に主治医に相談すること[4]

インフルエンザのときに使える解熱鎮痛効果をもつ市販薬[5]

カロナールの成分である「アセトアミノフェン」を含む市販薬を以下の表にまとめました。 ※2024年3月時点

主な有効成分

製品名

対象年齢

NSAIDsが含まれる

飲んではいけない人

アセトアミノフェンのみ

タイレノールA

15歳以上

  

ラックル

15歳以上

 

フェニルケトン尿症の人

バファリンルナJ

7歳以上

  

小児用バファリンCII

3~14歳

  

小児用バファリン

チュアブル

3~14歳

  

こどもパブロン坐薬

1~12歳

  

また、大人の場合はNSAIDsであるロキソニンやイブプロフェンなどは大人では禁忌とはされていません。

アセトアミノフェンが手に入りにくい際は、薬剤師に相談の上これらの薬の使用も検討してみてください。

アセトアミノフェン以外の市販の解熱鎮痛剤 ※2024年3月時点

主な有効成分

製品名

対象年齢

NSAIDsが含まれる

飲んではいけない人

アセトアミノフェン+NSAIDs

セデス・ハイ

15歳以上

 

セデス・ハイG

15歳以上

ノーシン

15歳以上

ハッキリエースa

11歳以上※

ナロン錠

8歳以上※

新セデス錠

7歳以上※

 

※15歳未満の小児で水ぼうそう又はインフルエンザにかかっている又はその疑いのある場合は、薬剤師等に相談してください

イブプロフェンのみ

リングルアイビー

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

リングルアイビーα200

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

胃・十二指腸潰瘍、肝臓、腎臓、心臓又は血液の病気、高血圧の人、ジドブジンを投与中の人

イブプロフェン+

その他の成分

イブA錠

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

イブA錠EX

ノーシンピュア

メリドンEV錠

イブクイック頭痛薬DX

イブクイック頭痛薬

ディパシオIPa

イブプロフェン+

アセトアミノフェン

バファリンプレミアム

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

バファリンプレミアムDX

出産予定日12週以内の妊婦

胃・十二指腸潰瘍、肝臓、腎臓、心臓又は血液の病気、高血圧の人、ジドブジンを投与中の人

バファリンルナi

出産予定日12週以内の妊婦

イブプロフェン+

その他のNSAIDs

ナロンエースT

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

アスピリン+

その他の成分

バファリンA

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

ケロリン

ロキソプロフェン

のみ

ロキソニンS

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

胃・十二指腸潰瘍、心臓、肝臓、腎臓、血液の病気の人

ロキソプロフェン錠「クニヒロ」

ロキソプロフェン+

その他の成分

ロキソニンSプラス

15歳以上

出産予定日12週以内の妊婦

胃・十二指腸潰瘍、心臓、肝臓、腎臓、血液の病気の人

ロキソニンSクイック

ロキソニンSプレミアム

小児と大人が気をつけるべき注意点

ここまでカロナールの効果や、インフルエンザにかかった時に解熱鎮痛剤として使用できるのかなどについて説明してきました。

ここからは、小児と大人に分けて説明します。

小児の場合

日本小児科学会では、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであれば、カロナールの成分であるアセトアミノフェンが適切だとしています。

また添付文書では、小児に対してボルタレンは禁忌、ポンタールは原則禁忌となっています。

そのほかのNSAIDsについても、現段階では十分な安全性は確認できていないため、使用を避けたほうがよいでしょう。[6]

また、15歳未満の小児にはアスピリンは原則禁忌です。

インフルエンザや水痘にかかった子どもが、アスピリンという解熱鎮痛剤を服用した結果「ライ症候群」という病気にかかることがあるためです。

大人の場合

大人の場合、ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)は禁忌とされてはいませんが、NSAIDs系の中で最も強力な薬であるためインフルエンザの際は基本的には避けた方がよいでしょう。

また、その他のNSAIDsであるロキソニンやイブプロフェンなども大人では禁忌とはされていません。

しかし、インフルエンザ脳症の発症リスクを高める可能性があるため、服用の際は医師や薬剤師に相談しましょう。[5]

インフルエンザ脳症とは?

インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症のひとつで発熱後2日以内に発症することが多く、意識障害やけいれん、嘔吐、異常行動などの症状が報告されています。

発症頻度は多くはありませんが、主に5歳以下の幼児ではインフルエンザ発症時に注意が必要です。

インフルエンザ脳症を発症した場合、予後が良好な軽症例もありますが、死亡することもあり後遺症が残ることも多いため危険な病気です。

また、インフルエンザ脳症は進行のスピードが早い病気ですが、早期に治療が開始できれば軽症で済む可能性もあるため早期発見が非常に重要だといわれています。

インフルエンザ脳症の治療の特徴として、インフルエンザ脳症にかかった後に身体障害や精神障害などの後遺症が残る可能性を考慮し、主に回復期の段階から、リハビリテーションを行うという点があります。[7]

ライ症候群とは?

ライ症候群は、インフルエンザや水痘などの感染症にかかっている間にアスピリン等のサリチル酸系医薬品を服用した小児にみられる病気です。現時点では詳しい因果関係はまだ分かっていません。

嘔吐、意識障害、けいれん、高熱などの症状がみられ、肝臓やほかの臓器の脂肪変性や、CT上で脳浮腫が認められることがあります。

このような症状は、頭蓋内の圧力の上昇が原因ですが、けいれん発作や昏睡が起こり死亡することもあります。[8]

インフルエンザ脳症やライ症候群を予防するには?

インフルエンザにかからないための予防をすることがインフルエンザ脳症・ライ症候群を防ぐ一番の近道と言ってよいでしょう。

詳しい原因や因果関係は明確になってはいないものの、インフルエンザ脳症やライ症候群の原因になる可能性があるNSAIDsやアスピリンの服用は避けた方が良いでしょう。

連休中でも医師の診察が受けられる

インフルエンザは感染力が強いため、家族間で拡がりがちです。

連休中は病院がお休みの所も多いため、受診するか迷うこともあると思います。

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アプリ上で予約、ビデオ通話で医師の診察が受けられるので、連休中も素早く対応できます。

医師が診察を行い、必要であると判断した場合は薬の処方も可能です。

ぜひご活用ください。

インフルエンザの時は解熱剤は飲まないほうがいいの?

解熱剤は体温を下げる作用はありますが、インフルエンザそのものを治すものではありません。

また解熱剤を服用しなくても、インフルエンザウイルスの働きが弱まれば自然に解熱する可能性が高いでしょう。

体温が高い状態が続くと体力を消耗してしまいますが、解熱剤で熱を下げることにより体力の消耗を少しでも防ぎ、回復を早めたほうが良い場合もあります。

そのため、高熱が続いてつらい場合は、解熱鎮痛剤を服用することをおすすめします。

インフルエンザでボルタレンやポンタールを飲んでしまったら?

小児がこれらの薬を服用した場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

成人ではインフルエンザ脳症・ライ症候群との間に関連性が認められていないこともあり、ポンタールであれば事実上使用しても良いとされています。

しかし、ボルタレンを服用してしまった場合は小児同様医療機関に相談するようにしましょう。

判断が難しい場合もあるため、インフルエンザにかかった場合は安易に解熱鎮痛剤を服用せずに医療機関に相談することをおすすめします。

またどうしても市販薬で対応したいという場合には、医師や薬剤師に相談するようにして下さい。

インフルエンザの症状の特徴は?

インフルエンザにかかると、全身症状としては38℃以上の高熱や倦怠感、食欲不振、関節痛、筋肉痛などの症状が、気道症状としては鼻水や咽頭痛、咳などの症状があらわれます。

また、普通の風邪と比べて急速に症状が進行し、症状が重いケースが多いという特徴があります。

また子どもがかかった場合は、中耳炎やインフルエンザ脳症、熱性けいれん、気管支喘息などを発症してしまうこともあるため注意が必要です。[1]

関連記事:インフルエンザの症状は?感染期間中の症状の経過もチェック

インフルエンザの診断方法について

現在のインフルエンザの診断方法は、迅速抗原検査キットによる検査が一般的です。

綿棒で鼻やのどの奥をぬぐったり、鼻をかんだりして検体を採取し、ウイルスに対する抗体を反応させて診断します。

発症直後はウイルスの数が少なく正確な判断ができないことがあり、症状から診断したり、再検査を行ったりすることもあります。

正確な検査を行うために推奨されているタイミングは、発症後12〜48時間です。[2]

インフルエンザとカロナールに関するQ&A

インフルエンザやインフルエンザで使用する解熱鎮痛剤について、多くの方が感じる疑問についてお答えします。

薬について不明なことがあれば、医師または薬剤師、登録販売者に相談するようにしましょう。

カロナールはインフルエンザに効く薬ですか?

カロナールは「アセトアミノフェン」を含む解熱鎮痛剤であり、熱を下げたり頭痛や咽頭痛を和らげたりする効果が期待できます。

インフルエンザウイルスの力が強く、熱が下がらないと、服用しても効果が出ていないようにみえてしまうこともありますが、その点を理解して服用しましょう。

インフルエンザに使ってはいけない解熱剤は?[5]

小児のインフルエンザのときに禁忌とされている薬は、ポンタール、ボルタレン、アスピリンです。

ライ症候群とインフルエンザ脳症は、これらの薬を解熱鎮痛剤として服用した経緯のある方が発症している傾向があります。

ライ症候群やインフルエンザ脳症はほとんどが小児にみられるため、ポンタールやボルタレンに関しては大人は禁忌となっていませんが、小児同様避けた方がよいとされています。

ボルタレンやポンタールは解熱鎮痛剤の種類としては「NSAIDs」というものに分類されています。

NSAIDsにはロキソニンやイブプロフェンなどもあり、因果関係などが明確になっていないため、なるべく服用を避けた方がよいでしょう。

インフルエンザで熱がひどいのですが、早く下げる方法はありますか?

カロナールなどの解熱剤を服用しても、熱がなかなか下がらない場合もあるかもしれません。

しかし、インフルエンザウイルスそのものの働きが弱まれば徐々に下がるものですので、むやみに下げようとせず、ゆっくりと休むようにしましょう。

インフルエンザにかかったら必要に応じてカロナールなどの解熱鎮痛剤を服用することで体力の消耗を防ぎつつ、水分や栄養をとり十分に休養するようにして下さい。

まとめ

今回この記事では、「カロナール」の特徴や、解熱鎮痛剤によるインフルエンザ脳症について解説しました。

要点をまとめると以下の3つとなります。

  • カロナールは、インフルエンザによる38℃以上の発熱や頭痛、咽頭痛などの症状を緩和する効果を期待できる。

  • インフルエンザにかかっているときにボルタレンやポンタールを服用すると、インフルエンザ脳症を発症するリスクがある。また、アスピリンを服用するとライ症候群を発症するリスクがある。

  • インフルエンザによる発熱に対して、子どもも大人も服用できる解熱鎮痛剤は「カロナール」である。

カロナールを服用しても熱が下がらないというケースもありますが、インフルエンザウイルスの働きが落ち着けば熱も徐々におさまってきます。

そのため、むやみに薬を増やしたり変えたりせずに、水分や栄養を摂りつつ十分に休息をとって様子をみるようにしましょう。

また市販の解熱鎮痛剤を選ぶ際には、年齢や体質に合った薬を正しく選ぶ必要があります。

不明な点があれば、医師や薬剤師、登録販売者に相談するようにしましょう。

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参考文献

[1]インフルエンザかな?症状がある方へ - 厚生労働省

[2]インフルエンザ診断マニュアル (niid.go.jp)

[3]カロナール 添付文書(japic.or.jp)

[4]医薬品インタビューフォーム - 医薬情報QLifePro

[5]市販の解熱鎮痛薬の選び方 - 厚生労働省

[6]インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について

[7]インフルエンザ脳症ガイドライン 【改訂版】 - 厚生労働省

[8]小児のライ症候群等に関するジクロフェナクナトリウム の使用上の注意の改訂について

[9]脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について

 

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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