熱中症を予防する方法を詳しく解説!熱中症にならない体づくりとは?

公開日: 2024/06/24 更新日: 2024/07/25
「熱中症予防についてくわしく知りたい」 「子どもの習い事がスポーツだけど、水分補給以外に注意することってなに?」 熱中症は、適切な対策をとることで発症を未然に防げます。 スポーツ時はとくに熱中症になりやすいため、気温や湿度に合わせた対策が欠かせません。 そこで本記事では、熱中症の予防策からスポーツ時の注意点までくわしく解説します。 夏の本格的な暑さに備えて熱中症予防の理解を深め、暑い夏を乗り切りましょう。
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目次

熱中症を予防するためには

熱中症を予防するために、どのようなことに気をつければよいかを、大きく4つにわけました。

  • こまめな水分補給

  • からだに熱をこもらせない

  • 見守り・声かけ

  • 「暑さ指数(熱中症指数)」「熱中症警戒アラート」をチェック

例年、多くのかたが救急搬送される熱中症。

2023年は9万人以上が救急搬送され、5~7月および9月の搬送者数は過去2番目の多さとなりました。[1]

そんな熱中症を防ぐためにできることをそれぞれくわしく解説します。

こまめな水分補給

こまめな水分補給は熱中症を予防するために非常に大切です。

熱中症はからだの水分が失われ体温調節がうまく働かなくなり、からだの中に熱がたまって体温が上がることで引き起こされます。

人のからだは汗をかかなくても尿や便、呼吸などで1日2.5Lの水分が失われるといわれているのをご存じでしょうか?

食事や代謝によって1.3L前後は補給できることから、摂取する水分量は1日1.2Lが望ましいとされています。[2]

室内や屋外にかかわらず、のどの渇きを感じていなくても水分をこまめにとることが水分補給のポイントです。

関連記事:熱中症の対策と対処法を知って暑い夏にそなえよう

汗をたくさんかいたときは塩分もとりましょう

普段よりもたくさん汗をかいたときは、塩分も一緒にとりましょう。

というのも、汗をたくさんかくことでからだに必要な塩分が失われるためです。

からだの塩分が少ない状態で水分補給だけをおこなうと、からだの水分と塩分のバランスがくずれ、かえって熱中症を引き起こしかねません。[3]

また、塩分には発汗をうながす働きがあります。

発汗が円滑におこなわれることで体温の調節がスムーズになり、熱中症を発症するリスクがさがります。

こうした理由から、水分とともに塩分を摂取することが熱中症予防に効果的です。

熱中症予防には、水1Lに対して1〜2gの塩分をとることが推奨されています。[3]

スポーツドリンクは、水分と塩分を同時に補給できるため、効率よく熱中症を予防できます。

スポーツ中や炎天下での作業をする場合は、水やお茶などとスポーツドリンクを併用するとよいでしょう。

からだに熱をこもらせないようにする

からだに熱をこもらせない対策も、熱中症予防には大切です。

対策として以下の6つのポイントがあげられます。

  • 温度と湿度をこまめに調節

  • 暑さをやわらげる

  • 日差しを防ぐ

  • 衣類を調整する

  • 冷却グッズを利用する

  • 無理せず休憩する

それぞれの具体的な方法を解説します。

温度と湿度をこまめに調節

エアコンや扇風機、除湿器などを併用して、部屋の温度と湿度をこまめに調節してください。

室内の温度は「28℃」、湿度は「40〜55%」を保つとよいでしょう。

このとき「室温」が28℃である ことに注意してください。

室外の温度や湿度などによって室内の温度は変化します。

エアコンの設定温度を28℃にしても室温が28℃になるとは限らないため、室内温度計を確認しましょう。

気温だけでなく湿度のコントロールも重要です。湿度は40〜55%を目安にしましょう。

というのも、気温が同じでも湿度が高いほうが熱中症になるリスクが高いためです。

湿度の違いによる熱中症患者の搬送者数を比較すると、湿度があがるほど搬送者数が増えていることがわかります。

最高気温32.5℃であった日の湿度による搬送者数の変化(2011年度)

 

7月6日

7月9日

湿度

41%

56%

熱中症搬送者数

50人

94人

参考:暑さ指数(WBGT)について|熱中症予防情報サイト 環境省[4]

このことからも、温度管理だけでなく湿度も調整することで熱中症になるリスクを下げられるといえます。

室内にいるからと油断せず、熱中症対策を怠らないようにしましょう。

湿度を下げる具体的な方法は大きくわけて以下の3つです。

  • 除湿器の使用

  • エアコンの除湿機能の使用

  • 換気

暑さをやわらげる

室内で涼しく過ごすために、暑さをやわらげる工夫をしましょう。

具体的な方法は以下のとおりです。

暑さをやわらげる工夫

具体例

風通しをよくする

  • 換気口や窓を開ける

  • 玄関に網戸をつけて扉を開放する

  • 向かい合わせに設置された窓同士を開ける

窓からの日差しをさえぎる

  • ブラインドやすだれを使用する

  • 緑のカーテンを使用する

  • 日射遮断フィルムを窓に貼る

空調設備を使う

  • 冷房を使用し、扇風機も併用する

気化熱(水が蒸発するときに周りの熱を下げること)を利用する

  • 夕方に打ち水をする

外部からの熱をさえぎる

  • 自宅の断熱性能が低い場合、改善を検討する

  • 屋根の材料を、光を反射しやすい素材に変更する

参考:熱中症環境保健マニュアル2022|環境省[2]

上記の対策をとることで、熱中症になるリスクをさげられるでしょう。

日差しを防ぐ

外出時に直接日差しをあびないようにすることも熱中症対策のひとつです。

強い日差しを長時間あびることで体温が上がったり、汗をかきすぎたりするため、熱中症のリスクが高まります。

そのため熱中症が発症しやすい真夏の昼間は、日陰を選んで行動したり、日よけ対策をしたりすることが重要です。

日よけ対策には、帽子の着用や日傘の使用がおすすめです。

衣類を調整する

熱中症対策には、衣類の調整が欠かせません。

その大きな理由は、体温調節を助けるためと、熱がこもることを防止するためです。

熱中症対策に効果的な衣類の特徴は、以下のとおりです。

  • 通気性や吸湿、速乾性にすぐれている

  • ゆったりしている

  • 薄くて軽い

  • UVカット加工が施されている

  • 色が明るい

これらの特徴をもつ衣類を選ぶことで、熱中症のリスクが減り、快適な日常生活を過ごせるでしょう。

冷却グッズを利用する

冷却グッズを使用し、からだの外から冷やすことも重要です。

屋外でのグッズの使用はもちろん、室内でも遮光カーテンや冷感寝具などを使用して熱中症を予防する必要があります。

からだを冷やすときのポイントは、首筋やわきの下、足の付け根などの太い血管の通っている場所を冷やすことです。[5]

からだ全体を冷やすことができない場合、露出している手や腕を冷やすだけでも効果的です。

無理せず休憩する

疲れや暑さをあまり感じなくても「これくらい大丈夫」と油断せず、休憩をこまめにとりましょう。

人によって体力は異なり、日によっても体調は左右されます。

高齢者や子どもはもちろん、健康な人でも風邪気味だったり二日酔いだったりする場合も脱水になりやすく、熱中症のリスクが高まります。

こまめに休憩をはさみ、屋外では涼しい場所で安静にすることが大切です。

見守り・声かけ

熱中症になりやすいかたがいるときは、周りの人が見守りや声かけをおこなうことが大切です。

高齢者や子ども、障害や持病のあるかた、肥満のかたなどは熱中症のリスクが高いです。

異変にいち早く気づけるよう、周りの人が様子をよく観察しましょう。

観察するおもなポイントは以下の5つです。

  • 食欲はあるか

  • 元気があるか、顔色はいいか

  • 熱はないか

  • 口の中は乾燥していないか

  • 過度に汗をかいていないか

なかでも子どもは活動に夢中になるあまり、水分補給を忘れがちです。

こまめに声かけをおこない体調を観察して、水分補給を促したり衣服の調整をしたりしましょう。

子どもの熱中症は気づきにくい

子どもの熱中症は気づきにくいため、周りの大人がよく気にかけなければなりません。

子どもの熱中症の多くは、運動中や作業中に短時間で発症します(労作性熱中症:ろうさせいねっちゅうしょう)。

子どもはからだが小さく、気温や湿度の外部環境の影響を受けやすい特徴もあります。

そのうえ汗をかく力が発達しきっていないため、暑い環境では深部体温が上昇しやすく、熱中症になるリスクが高いのです。

また遊びや作業に夢中となり、水分補給がおろそかになったり体調不良に気づくのが遅れたりすることもめずらしくありません。

こうしたことから、子どもの熱中症を防ぐには顔色や汗のかきかたなどを周囲の大人がよく観察することが重要です。

暑い環境で長い時間過ごすときには、涼しい場所でのこまめな休憩と、十分な水分補給や適度な塩分摂取をうながしましょう。

「暑さ指数(熱中症指数)」「熱中症警戒アラート」をチェック

その日の行動を考える目安にするためにも、暑さ指数(熱中症指数)熱中症警戒アラートを毎日チェックしましょう。

暑さ指数が28をこえると熱中症になるリスクが高くなるため、熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒アラートが発表されます。

また暑さ指数28以上で激しい運動は禁止とされ、スポーツする場合は運動量や運動時間、休息時間の確保などの調整が必須です。

それぞれくわしく解説します。

暑さ指数(熱中症指数)

暑さ指数とは、人のからだと外気との熱のやりとりに着目して、以下の3つの要素をもとに算出される指数です。

  • 気温

  • 湿度

  • 日射・輻射(ふくしゃ)

暑さ指数が高いほど、熱中症のリスクは高まります。

実際に、2023年5〜9月の間で救急搬送された熱中症患者数は、暑さ指数の高い7〜8月にもっとも多い結果となりました。[6]

この暑さ指数をもとに、日本生気象学会や日本スポーツ協会は注意喚起や運動の指標を定めています。

以下に暑さ指数をもとにした指標をまとめました。[2]

暑さ指数

日常生活の注意事項

(日本生気象学会)

熱中症予防運動指針

(日本スポーツ協会)

【危険】

31以上

高齢者の場合は安静状態でも熱中症のリスクが高いため、不要は外出は避ける

原則運動禁止

子どもの場合はすぐに中止する

【厳重警戒】

28~30

外出時は炎天下を避ける

室内は室温上昇に注意する

激しい運動は中止

体温が上昇しやすい運動は避け、10~20分ごとに休憩する

【警戒】

25~27

激しい運動や作業をする場合は、定期的に休憩を取り入れる

積極的に休憩をとる

激しい運動の場合は30分ごとに休憩をとる

【注意】

24以下

激しい運動や重労働時には熱中症を発症するリスクがある

積極的に水分補給をおこなう

参考:熱中症環境保健マニュアル2022|環境省[2]

いずれの場合も積極的な水分補給と適度な塩分摂取が原則です。

暑さ指数は環境省の「熱中症予防情報サイト」で確認できます。[7]

本格的な暑さがやってくる前に毎日チェックする習慣を身につけておきましょう。

熱中症警戒アラートとは

熱中症警戒アラートは、観測地点の暑さ指数が33に達することが予測される場合に発表されるものです。

これは、熱中症のリスクに対する「気づき」を促す目的で、環境省と気象庁の合同で発令されます。

熱中症警戒アラートが発令された場合は、基本的な熱中症予防の対策を徹底しましょう。

そのうえでこまめな水分摂取をいつも以上に心がけたり、不要な外出を避けたりなど、普段以上の対策をしなければなりません。

高齢者や体調不良のあるかた、運動習慣のないかたなどは、とくに熱中症にならないための対策が不可欠です。

また熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性が高いと予想される日の「前日17時および当日5時に都道府県ごと」に発表されます。

発表された情報はテレビや防災無線、SNSを通じて発信されるため、情報を得やすい方法でチェックしましょう。

熱中症特別警戒情報(熱中症特別警戒アラート)とは

熱中症特別警戒情報(熱中症特別警戒アラート)とは、熱中症警戒アラート発令よりも熱中症のリスクが高い状態を知らせるものです。

2024年4月に新たに創設され、積極的な熱中症の予防行動をとってもらうことと、周囲との声の掛け合いを徹底してもらうことが目的です。

熱中症特別警戒アラートは、観測地点の暑さ指数が35以上となることが予測された場合に発表されます。[8]

発表タイミングは熱中症警戒アラートと同じ前日17時および当日5時です。

熱中症特別警戒アラートが発表された場合、過去に例のない危険な暑さが予測されます

つまり人のからだに重大な被害が生じるリスクが高い状態と言えるでしょう。

そのような危険な暑さから避難するために、市町村長は「クーリングシェルター」を指定できるようになりました。

クーリングシェルターは公共施設や民間施設(公民館、図書館、ショッピングセンターなど)が指定されています。

これらの場所は熱中症特別警戒アラートが発表されている間に、一般開放されます。

エアコンや扇風機などの冷房器具が自宅にないかたや、自発的な熱中症予防の対策がとれないかたなどはクーリングシェルターを利用するとよいでしょう。

熱中症の症状と重症度

熱中症は、症状によって3段階の重症度にわけられます。

「意識がしっかりしているか」が判断のポイントとして重要です。

意識がはっきりしない場合は、中等症以上として医療機関に行く必要があります。

また意識はあるが日時などがはっきりしない場合や意識がない場合は、重症と判断しすぐに治療を受けなければなりません。

熱中症の重症度は、軽症から重症まで3段階あります。

 

重症度

症状

Ⅰ度(軽症)

  • 意識ははっきりしている

  • めまい・失神

  • 筋肉痛・筋肉の硬直

  • 手足のしびれ

  • 気分不快

Ⅱ度(中等症)

  • 意識はあるがはっきりとしない

  • 頭痛

  • 吐き気・嘔吐

  • 倦怠感

  • からだに力が入らない

Ⅲ度(重症)

Ⅱ度の症状にくわえて以下の症状

  • 意識があるが日時がわからない、意識がない

  • けいれん

  • 手足の運動障害(まっすぐ歩けない)

  • 高体温

  • 肝・腎機能障害

  • 血液凝固障害(血が止まりにくくなる)

参考:熱中症になったときには|総務省[9]

熱中症を重症化させないために、Ⅰ度(軽症)の段階で早めに対策をしましょう。

関連記事:熱中症の症状チェック|頭痛も熱中症のサイン?治し方も解説

注意が必要な時期は?

熱中症に注意が必要な時期は以下のとおりです。[2]

  • 暑くなりはじめるとき

  • 急に暑くなる日

  • 熱帯夜の翌日

  • 厳しい暑さがつづくとき

熱中症は例年、梅雨入り前の5月ごろから発生しはじめ、梅雨明けの7〜8月ごろに患者数が増える傾向がみられます。

急に暑くなったり、暑くなりはじめの時期だったりと、からだが暑さに慣れていないことが、この時期に熱中症患者が増える原因です。

私たちのからだは暑い屋外で作業をするようになって3〜4日ほどで、汗を多くかきはじめます。そして3〜4週間たつと余計な塩分を出さないようになり、体温上昇を防げるようになります。

からだが暑さに慣れるには、時間が必要です。

暑いときは無理をせず、少しずつ暑さに慣れる工夫をしましょう。

熱中症対策

熱中症にならないために、疲労回復や免疫力アップが期待できる栄養素をバランスよくとることが大切です。

また外出時にからだを冷やすグッズを使用することや、1日の疲れを癒す睡眠環境を整えることなどが熱中症対策として有効です。

熱中症対策として効果が期待できる食べ物や飲み物、冷却グッズ、暑さに負けないからだづくりについて、くわしく解説します。

食べ物、飲み物

熱中症対策として、以下の栄養素を多く含む食べ物を摂取するとよいでしょう。

摂取したい栄養素と働き

栄養素を多く含む食べもの

【ビタミンB1】

炭水化物をエネルギーに変える

豚肉、玄米、モロヘイヤ、豆腐や味噌などの大豆製品など

【ビタミンC】

免疫力アップ、ストレス耐性アップ

赤パプリカ、黄色キウイフルーツ、ピーマン、じゃがいもなど

【クエン酸】

乳酸(疲れの原因)の発生をおさえる

梅干し、酢、グレープフルーツ、レモンなど

参考:熱中症を予防する食事のとり方とおいしいレシピ|熱中症ゼロへ 日本気象協会推進[10]

これらの栄養素だけをとるのではなく、ほかの食材と合わせて「とくに意識をして摂取する」ようにしましょう。

また飲み物は水分だけでなく塩分を同時に摂取できるスポーツドリンクやゼリー飲料が、熱中症対策に有効です。

水分ばかり摂取すると、後述する低ナトリウム血症を引き起こし、体調不良に陥ることがあります。

そのため、水分だけでなく適度な塩分摂取が必要です。

グッズ

熱中症対策グッズには、以下のものがあげられます。

外出時

自宅

  • 保冷剤

  • 冷感ウェア

  • ネッククーラー

  • 冷却タオル

  • ボディシート

  • 携帯型扇風機

  • 空調服

  • 帽子

  • 日傘

  • 遮光カーテン

  • サンシェード

  • 冷却まくら

  • 冷感寝具

首元や太ももの付け根などの太い血管が通っているところを冷やすと、効率よくからだを冷やせます。

帽子や日傘を使用して、直射日光を避けることも熱中症にならないために重要です。

暑さに負けないからだづくり

シーズンに関係なく、日頃から暑さに負けないからだづくりをしましょう。

その方法は以下のとおりです。

  • 睡眠環境を快適にする

  • 「丈夫なからだ」をつくる

それぞれくわしく解説します。

睡眠環境を快適に

からだが安らぐ睡眠環境を整えましょう。

夏は睡眠が浅くなりやすく、熱中症のリスクが高まります。[2]

人が眠るためには、からだのなかの体温(深部体温:しんぶたいおん)を下げる必要があるのです。

しかし高温多湿な日本の夏は、からだの外に熱を放出することが妨げられるため、深部体温がさがりにくく覚醒が多くなります。

また、人の体温調節の働きは寝ているときが活発になりやすいです。

夜に気温が高いままだと睡眠よりも体温調節が優先されてからだが覚醒するため、睡眠不足の原因になります。

睡眠不足を防ぐために、以下の対策をとりましょう。

  • 通気性や吸水性にすぐれた寝具を使用する

  • エアコンや扇風機を使用する

夏の睡眠不足は、翌日の眠気や疲労が増えたり、翌日の運動時の体温調節の働きが低下したりして熱中症の一因となります。

快適な睡眠環境を整え、熱中症になるリスクをさげましょう。

「丈夫なからだ」をつくる

夏の暑さに負けない丈夫なからだづくりが熱中症予防に大切です。

季節に関係なく丈夫な体づくりを習慣化しておくことで、いざ夏を迎えたときに熱中症になるリスクが低くなります。

具体的な方法は以下のとおりです。

  • バランスのよい食事をとる

  • 十分な睡眠をとる

  • 適度な運動をする

なかでも適度な運動は、熱中症にならないからだづくりに効果的です。

日頃からウォーキングや軽いジョギングなどで汗をかく習慣を身につけておくと、からだが暑さに対応できるスピードが速くなります。

効果的な体温調節ができるようになれば、熱中症のリスクが下がるでしょう。

関連記事:熱中症の対策と対処法を知って暑い夏にそなえよう

スポーツ時の熱中症予防

暑い日のスポーツは、熱中症になるリスクがより高まります。そのため、積極的にからだを冷やすことが熱中症予防につながります。

以下のポイントをおさえ、スポーツ時の熱中症を予防しましょう。

  • スポーツに適した環境かチェック

  • 服装の工夫

  • 運動量の調整

  • スポーツ時の水分補給

  • 適度にからだを冷やす

それぞれくわしく解説します。

スポーツに適した環境かチェック

スポーツに適した暑さかどうか、環境をチェックしましょう。

その指標の1つが「暑さ指数」です。

暑さ指数が31以上で、運動は原則中止です。[11]

日本スポーツ協会は「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」で暑さ指数に応じた運動量や運動時間、運動中止の基準を設けています。

暑さ指数と合わせて、気温が急に上昇する梅雨明けや厳しい暑さのつづく日などは、からだが暑さになれていないため、熱中症の発生に注意しましょう。

なかでも低学年の子ども(とくに新入生)の場合、高学年と比べてからだの体温調節が未熟です。

そのため周囲の大人が細かく気にかけて、体調不良にいち早く気づくことが大切です。

屋内でスポーツする場合はエアコンを使ったり、風通しをよくしたりすることで熱中症の発症リスクを下げられるでしょう。

服装の工夫

スポーツウエアは、通気性や速乾性にすぐれるものを選択するとよいでしょう。

通気性や汗の蒸発機能が悪いと、からだの熱が放出されにくくなり熱中症のリスクを高めます。

屋外の場合は直射日光による体温上昇を防ぐために、帽子の着用が推奨されています。

涼しく感じるようにするだけでなく、日差しを避ける工夫をしましょう。

運動量の調整

暑さ指数を目安に、運動量の調整をおこないましょう。

日本スポーツ協会は「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」で暑さ指数に応じた運動量を定めています。

暑さ指数から熱中症のリスクを考えて柔軟な練習計画を立てることが、スポーツ指導者や保護者などの大人に求められます。

スポーツ時の水分補給について

スポーツ中は汗を大量にかくため、のどが渇いたときに自由に水分補給できる環境を整えたり、こまめに休憩や給水タイムをとったりすることが大切です。

また運動中はもちろん、その前後でも水分補給が必要です。

運動前の水分補給は、スポーツ中に失われる水分に備えて体内の水分バランスを適切に保つために欠かせません。これによって脱水症状を防ぎ、体温調節の機能を維持します。

運動後は水分補給によって筋肉やからだ全体の回復を早め、疲労を残さないようにする働きが期待できます。

おすすめの飲み物

スポーツ中の熱中症予防におすすめの飲み物は、スポーツドリンクです。

スポーツドリンクは0.1〜0.2%の塩分と糖分を含んでおり、水と比べて吸収がすみやかです。水だけでは足りない水分と塩分を素早く摂取できるため、スポーツ中に適しているといえます。[11]

ただし、飲みすぎは糖分の過剰摂取につながり体重増加や血糖値の上昇を招くため、運動量が少ないときや運動を控えている場合は、摂取量を減らしましょう。

飲み物の温度は5~15℃に冷やしたものが推奨されています。

冷たい飲み物は胃にとどまる時間が短くすみやかに吸収されるため、深部体温(からだの内部の体温)を低下させて熱中症予防につながるからです。[12]

胃腸への過度な刺激や負担がかかることもあるため、一度に多く飲みすぎないよう注意しましょう。

水分補給の目安

日本スポーツ協会によると、決まった量はないとされています。[11]

これは個人によって汗の量が異なり、天気や運動の強さによっても左右されるためです。

目安としては、体重が運動前と比べて2%ほど減るくらいの摂取量が適しているといわれています。[11]

たとえば体重が50kgの人なら、運動後の体重が1kg減っている計算です。

普段からスポーツ後の体重変化を知っておくと、おおよその水分摂取量が把握できるため、熱中症のリスクをさげられるでしょう。

低ナトリウム血症について

水分補給時に注意したいのが、低ナトリウム血症です。

低ナトリウム血症は、水の飲みすぎや塩分の不足で引き起こされます。

軽症では無症状のこともありますが、吐き気や嘔吐、からだのだるさ、筋肉のこむら返りなどの症状がみられます。

重症化すると肺に水がたまったり(肺水腫:はいすいしゅ)脳がはれたり(脳浮腫:のうふしゅ)することで、呼吸困難や意識障害などの症状が起こり、入院加療が必要です。

低ナトリウム血症を防ぐために、水分補給だけでなく適切な塩分摂取(1Lに対し1g程度の塩分)を忘れないようにしましょう。

熱中症になったときの相談先はありますか?

ファストドクターでは24時間無料医療相談を受け付けており、

・もしかしたら熱中症かも...

・いますぐ病院に行くべき?

などの相談が可能です。

熱中症が疑われる場合、そのままファストドクターでの診察も可能です。

万が一のためにアプリをインストールしておいて、スムーズに電話相談ができるようにしておくのがおすすめです。

からだを冷やす方法

からだを効率的に冷やすには、からだの外と中から同時に冷やすことが有効です。

以下にそれぞれの方法をまとめました。

からだのから冷やす方法

からだのから冷やす方法

  • 保冷剤

  • 水に手足をつける

  • 扇風機やエアコンの送風

  • 水分補給

  • アイススラリー

からだの外から冷やす場合は、太い血管の走っている首筋やわきの下、太ももの付け根などを冷やすとより効果的です。

これらの方法をとり、すみやかに深部体温をさげて熱中症を予防しましょう。

関連記事:熱中症の治し方は?応急処置や症状別の対処法を解説

なぜスポーツするとき熱中症になりやすい?

スポーツ時に熱中症になりやすい理由は以下のとおりです。

  • 筋肉からの熱発生による体温上昇

  • 高温多湿・直射日光による体温上昇の加速

  • 発汗による水分や塩分の喪失

スポーツをすると筋肉がエネルギーを消費するため、大量の熱が体内で発生します。

暑い環境で運動することで、発生した熱をからだがうまく逃がせなくなってしまいます。

そこに大量の発汗が重なると、水分や塩分不足が加わり体温調整がうまく働かなくなって、からだに熱がこもりやすくなります。

そのため暑いときや運動するときは、からだが熱を逃がせるように工夫しなければなりません。

関連記事:熱中症の原因をわかりやすく解説|なりやすい条件ランキングも紹介

Q&A

熱中症予防に関するよくある質問にお答えします。

熱中症になりにくくするにはどうしたらいいですか?

熱中症になりにくくするためには、以下の対策をとりましょう。

  • 十分な水分補給(1日1.2Lが目安)

  • 適切な塩分摂取(水1Lに1g程度)

  • 十分な休息

  • 暑さ対策(からだの内外から冷やす)

  • 環境の把握(暑さ指数、体調など)

  • 暑さに負けないからだづくり(生活リズムを整える)

水分補給や暑さ対策にくわえて、暑さ指数や体調などの環境を把握することが熱中症予防につながります。

また日頃から暑さに負けないからだづくりをすることで、暑さにからだが順応できるスピードが早くなるため、熱中症になりにくくなるでしょう。

熱中症予防に飲むといいものはなんですか?

水分と同時に塩分と糖分がほどよく含まれるスポーツドリンクが熱中症対策におすすめです。

ただしスポーツドリンクの飲みすぎは、糖分の過剰摂取につながりやすいです。

運動量が少なかったり自宅で過ごすことが多かったりする場合は、水と併用するとよいでしょう。

熱中症対策によいものはなんですか?

熱中症対策として、以下が効果的といわれています。

  • 疲労回復や免疫力向上が期待できる栄養素の摂取

  • 水分補給と塩分摂取

  • 冷却グッズの使用

  • 暑さに打ち勝つ丈夫なからだづくり

熱中症は急に暑くなったり暑くなりはじめたりするときに起こりやすいです。

そのためシーズンに関係なく、環境の変化に対応できるからだづくりが熱中症対策に重要です。

また冷却グッズは屋外で使用できるものだけでなく、冷感寝具や遮光カーテンなど、室内での熱中症を予防するグッズも幅広くあります。

部屋の中にいるからと油断せず、室内でも対策を徹底することが熱中症にならないために重要です。

熱中症予防のアイデアはありますか?

熱中症予防のアイディアを以下にまとめました。

熱中症予防の対策

具体的な方法

涼しい飲み物の工夫

  • フルーツを冷凍して入れた冷たい水や紅茶

  • ミントなどのハーブを入れた香り付きの冷たい飲み物

  • スポーツドリンクに氷を入れて冷やす

冷却グッズの使用

  • ネッククーラーやミストファンなどの冷却グッズを利用する

  • 冷えたタオルを首に巻いてからだを冷やす

  • 冷却スプレーで顔や腕などを冷やす

休憩スペースの設置

  • 木陰や日除けのある休憩スペースを設ける

  • ベンチやテントなど日陰をつくれるものを用意する

  • 扇風機や冷房が利用できる休憩場所を確保する

暑さ指数の活用

  • 携帯アプリやウェブサイトで暑さ指数を確認する

  • 危険な指数のときは無理のない活動にとどめる

周囲の気づかい

  • 周りの人の様子を見守り、異常に気づいたら声をかける

  • お互いに声をかけあい、こまめに休憩を取り入れる

服装の工夫

  • 通気性にすぐれた素材の服装を選ぶ

  • 吸水速乾素材の肌着を着用する

まとめ

熱中症は適切な対策をとることで発症を予防できます。

水分補給はもちろん、塩分摂取や環境の把握、日頃からの丈夫なからだづくりが重要です。

スポーツ時は、とくに熱がこもりやすく熱中症になるリスクが高まります。

そのため暑さ指数に応じた運動量やこまめな休憩、冷却グッズの積極的な使用が推奨されます。

2024年4月から「熱中症特別警戒アラート」の運用も開始となりました。

「これくらい大丈夫」と油断せず、室内でも屋外でも熱中症対策をとることがポイントです。

夏の本格的な暑さに備えて熱中症をうまく予防し、夏を乗り切りましょう。

体調不良を疑った時の相談先なら

熱中症などの症状が出ても「病院に行くべきなのかな?」と迷うことがありますよね。

そんな時、病院を予約する前に無料で医療相談ができるのがファストドクターです。

24時間いつでも電話ができて、看護師が適切な案内をうながします。

「コロナかもしれない」「外で子供がけがをした」といった場合でも相談が可能

ご希望であればそのままファストドクターで診察することもできます。

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参考文献

[1]令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況|総務省

[2]熱中症環境保健マニュアル2022|環境省

[3]熱中症の予防・対策 | 熱中症ゼロへ 日本気象協会推進

[4]暑さ指数(WBGT)について|熱中症予防情報サイト 環境省

[5]暑さへの備え|熱中症ゼロへ 日本気象協会推進

[6]令和5(2023)年の全国の暑さ指数(WBGT)の観測状況及び熱中症による救急搬送人員数と暑さ指数(WBGT)との関係について(令和5年度最終報)|環境省

[7]全国の暑さ指数(WBGT)|環境省

[8]「熱中症特別警戒アラート」等の運用を開始します|環境省

[9]熱中症になったときには|総務省

[10]熱中症を予防する食事のとり方とおいしいレシピ|熱中症ゼロへ 日本気象協会推進

[11]スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック|日本スポーツ協会

[12]深部体温と熱中症|熱中症ゼロへ 日本気象協会推進

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