暑さに強い体づくりのためにできること
熱中症予防には、適切な運動・睡眠・食事によって、暑さに強い体づくりを心がけることが大切です。
日頃から暑い環境で運動し、暑さに慣れておくことで熱中症になりにくい体質をつくれます。
また睡眠時間の確保や、水分やミネラルを多く含む食事をとることも、体調を整え、熱中症予防に役立ちます。
熱中症予防のための運動や睡眠、食事の具体的なやり方についてみていきましょう。
運動
本格的な暑さが到来する前の5~6月に「やや暑い環境」で「ややきついと感じる運動」をすると、熱中症のリスクを下げられます。
これは「暑熱順化(しょねつじゅんか)」といいます。日頃から暑い環境に慣れておくことで、いざ熱中症が起きやすい環境においても適切に汗をかくなどして、速やかに体温を下げられるメカニズムです。
【暑さに慣れるための「ややきつい運動」】[1]
体力の程度 |
運動の内容 |
頻度 |
体力に自信がない方 |
「大股で腕を振って、かかとで着地する」ような速歩きを3分間と、ゆっくり歩きとを3分間。上記を繰り返す。 |
1日5回以上 週4回以上 計4週間 |
体力に自信がある方 |
「運動を始めて5分後の心拍数」が、1分間あたり120回(20代)〜130回(40代)程度になるような負荷の運動。 例)ジョギング、トレッドミル、自転車エルゴメータ |
1日30分間 週5回ほど 1~4週間 |
なお子どもでも、適度に暑い環境に慣れさせておくことは効果的です。
具体的な運動の頻度や内容はとくに決まっていませんが、日頃から外遊びをさせて身体を慣れさせておくのがよいでしょう。
睡眠
熱中症対策には睡眠も重要です。
睡眠不足や体調が悪いときは、とくに熱中症を発症しやすくなります[1]。
適切な睡眠をとることで体調が整い、熱中症のリスクを下げられますので「睡眠のポイント」について紹介します。
【熱中症対策に必要な「睡眠のポイント」】
年齢層 |
睡眠のポイント |
子ども |
乳幼児は(月齢などによっても前後するが)10〜15時間。 小学生は9〜12時間。中高生は8〜10時間。 朝に太陽の光を浴びて、日中にしっかり運動をする。 午後の昼寝もよい。 夜ふかしを避ける。 |
成人 |
6時間以上を目安にする。 |
高齢者 |
8時間以上にならないようにする。 日中の長時間の昼寝は避ける(夜に良質な睡眠がとれなくなる)。 |
とくに都市部においては、最低気温25℃以上の熱帯夜も多いため、寝ている間は冷房のタイマー停止設定をせず、ずっとつけておくことも大切です。
年齢に応じた睡眠時間を確保し、また睡眠中の室温にも気を配ることで、熱中症のリスクを下げられます。
食事
毎食しっかりとること、水分やミネラルを多く含む食事をとることが、熱中症対策になります。
【熱中症対策に効果的な食べ物の例】[4]
下記の食べ物は、水分やミネラルを含むため、熱中症対策に効果的です。
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スイカ
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キウイフルーツ
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オレンジ
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パイナップル
-
きゅうり
ただし塩分のとりすぎには注意しましょう。
成人において1日のナトリウム(食塩相当量)目標量は約6.5~7.5gですが、日本人は平均して約10gも摂取しています。
普段の食事や飲み物でも、塩分は十分に補給できていることがほとんどです。
とくに子どもの場合は、食塩の摂取量に制限があります。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」[5]によれば、たとえば1歳未満では、1日のナトリウム(食塩相当量)の上限量は1.5gです。
年齢が上がるにつれて上限量も上がりますが、成人と同程度の上限量になるのは、12歳以上からです。
母乳やミルク、食事で必要な塩分は十分にとれることが多いため、子どもの熱中症対策においても、塩分を余計に追加する必要はありません。
毎食しっかりととり、水分やミネラルを多く含む食事も意識し、熱中症のリスクを下げましょう。
関連記事:熱中症を予防する方法を詳しく解説!カラダを守る4つの心得
部屋の中で気をつけるべき熱中症対策5つ
室内でも熱中症のリスクがあるため、対策が必要です。
令和5年の5月~9月の熱中症による救急搬送の報告では、熱中症の発生場所は住居が最も多く全体の約40%を占めていました。[6]
室温、服装、水分補給、風通し、日差しの5つの観点から注意すべきことを紹介します。
室温を調節する
室温が28℃以上にならないよう、積極的に冷房を使用しましょう。
ただし、湿度や換気の状況によって冷房の設定温度と、室内の実際の温度とに差が生じることがあるので注意してくださいね。
室外の気温と室内の温度とで差が大きいと「ヒートショック」という血圧の急な変動を引き起こすことがあります。
そのため、外気温と室温の温度差は5〜7℃以内になるようにしましょう。
体育館など、風がなくしめ切った場所も要注意です。
活動や競技の都合でどうしても室温が調整できない場合は、下につづく対策を積極的に行いましょう。
服装を工夫する
室内では、タンクトップにハーフパンツなど、皮膚の露出が大きく、開口部の大きい服装が望ましいです。
素材は汗をかいても蒸発しやすい通気性がよいもの、吸湿・吸水性にすぐれたもの、速乾性があるものを選びましょう。
こまめに水分補給する
日常生活に必要な水分の量を把握し、運動や活動の前後に適切に水分・塩分を補いましょう。
大人の場合、日常生活で食事以外に必要な水分量は1日あたり1.2リットルが目安です[2]。
大量に汗をかいた際には、スポーツ飲料など、塩分が 0.2%程度の水分を摂取します。
さらに運動の前後で、積極的に水分・塩分を摂取しましょう。
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運動前:コップ1〜2杯(200〜400mLほど)
-
運動中:20〜30分おきに、コップ半分〜1杯
-
運動後:30分以内に、任意の量を摂取
暑い時期に飲酒をする際も、積極的な水分摂取が大切です。
アルコール飲料は利尿作用があるため、普段より尿(水分)が出やすい状態になっているからです。
冷房を使うと空気が乾燥するので、喉の渇きを感じる前に水分補給することも意識しましょう。
子どもの場合、必要な水分は「子どもの体重」によって変わります。
大まかな目安ですが、日常生活において必要な水分量と、熱中症対策として追加で必要な水分量は、下記になっておりますので参考にしてください。
【熱中症対策に必要な水分量(子ども)】
子どもの体重 |
熱中症対策としての水分量 |
乳児(0歳代) |
体重1kgあたり30〜50mL (たとえば10kgの子どもなら300〜500mL) |
幼児 |
300〜600mL |
(参考:熱中症診療ガイドライン2015[7])
追加摂取する水分として、月齢・年齢相当のイオン飲料が推奨されます。
ただし糖分やカロリーが多く含まれるため、摂取しすぎると食事量が減ったり、虫歯の原因になったりします。イオン飲料やスポーツドリンクは毎日、予防的に飲む必要はなく、あくまで汗をたくさんかいたときに、麦茶やお水などと併用すれば十分です。
まだ母乳やミルクしか飲んでいない乳幼児の場合は、それらにもミネラルが含まれているので、無理にイオン飲料を新しく飲ませる必要はありません。
また子どもの場合、親が思うように水分をとってくれないこともありますよね。
食事のときに味噌汁やスープを出せば飲んでくれる子どももいます。嫌がらず、無理のない方法で水分摂取できるとよいですね。
大人も子どもも、日常生活に必要な水分の量、また運動や活動の前後に適切に水分・塩分を補って、熱中症のリスクを下げましょう。
部屋の風通しをよくする
風のないしめ切った空間は、熱中症のリスクが高くなります。
風が入ってくる方角の窓と、反対の方角にある側の窓を両方開けることで風通しがよくなります[2]。高さの違う窓を開けることも効果的です。
逆に、冷房などの空調を使う場合は、効果を高めるために窓は閉めるようにしましょう。
窓からの日差しをさえぎる
すだれや「緑のカーテン」などで窓からの日差しをさえぎりましょう[1]。
「緑のカーテン」とはゴーヤ、へちま、朝顔などの植物を窓際で育て、ネット一面に葉や茎を沿わせた植物で作る大きなカーテンのことです。
室内でも、直射日光を避けて室温や体温の上昇をおさえることで、熱中症のリスクを下げられます。
部屋の外で気をつけるべき熱中症対策3つ
室外は外の気温や湿度の影響を直に受ける環境なので、より熱中症に注意しましょう。
熱中症リスクを下げるための対策を3つ紹介します。
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直射日光が当たらないような服装
-
こまめかつ適切な水分補給
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日差しを避ける
それぞれについて、下記にくわしく説明します。
また、このような対策のほかに「暑い中では決して無理をしないこと」を心にとめておきましょう。
服装を工夫する
室外では、直射日光が肌に当たらないような服装をしましょう[1]。
室内では、少しでも肌を露出することが大切でした。
ただし室外では逆に、露出をおさえることが重要です。直射日光が当たることで、体温が上昇しやすくなるからです。吸湿性や通気性のある、ゆとりのある洋服がよいですね。太陽光を吸収しない薄めの色の服もおすすめです。
こまめに水分補給する
室内のとき以上に、室外では水分補給をさらに心がけましょう。
大人の場合、必要な水分量は1日あたり1.2リットルが目安です[1]。
運動前にコップ1〜2杯(200〜400mLほど)、運動中も20〜30分おきにコップ半分〜1杯の水分・塩分を摂取します。
運動後も30分以内に水分・塩分を補給しましょう。飲酒時や空調使用時も、積極的な摂取を心がけましょう。
なお子どもの水分補給については、前述の「部屋の中で気をつけるべき熱中症対策5つ」を参照ください。
日差しを避ける
直射日光を避けることは、日焼け対策としてだけでなく、熱中症対策としても大切です。
日傘やつばの広い帽子などを利用しましょう。
ベビーカーのカバー(日よけ)を使ったり、なるべく日陰の道を通ったりすることもよいでしょう。
熱中症が疑われる人を見つけたときの5つの対処法
熱中症は、重症度に応じて下記のようにさまざまな症状がみられます[8]。
【熱中症の重症度と症状】
重症度 |
症状 |
軽症(1度) |
めまい、立ちくらみ、筋肉痛(こむら返り、足がつるなど)、大量の発汗、しびれなど |
中等症(2度) |
頭痛、吐き気、おう吐など |
重症(3度) |
意識がもうろうとする、けいれん、異常な高体温、汗が出ないなど |
暑い中で作業をしたあとにこのような症状がみられたら熱中症を疑います。
涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、体を冷やしながら水分摂取することが大切です。
また水分がとれないほどの状態のときは、受診を考慮したり、救急車を呼んだり呼だんりしましょう。
とくに高齢者や子どもの場合は、自分の症状を適切に自覚したり、周りに表現できなかったりします。
なんとなくぐったりしている、疲れているように見えるのが、実は熱中症のサインということもあります。少しでも疑ったら適切な対策をとり、回復に努めましょう。
関連記事:熱中症の症状チェック|頭痛も熱中症のサイン?治し方も解説
涼しい場所へ移動させる
クーラーのきいた室内や、風通しのよい日陰などへ移動し、あおむけに寝かせます。
衣服をゆるめる
ネクタイやベルトをしている場合はゆるめたり、下着のしめつけをゆるめたりしてあげます。
身体を冷やす
とくに大きな血管が通っているところを重点的に冷やすと効果的です(首、脇の下、太もものつけ根など)。
冷たい水を服の上からかけたり、濡れタオルで体をふいたり、タオルでくるんだ保冷剤をあてたりしましょう。
自分で飲み物を飲ませる
意識がもうろうとしていたり、おう吐していたりするときは、かえって誤嚥のリスクが高まるので危険です。自力で飲めない場合は、受診が必要な状況と考えてください。
意識がはっきりしない場合は救急車を呼ぶ
下記の場合は救急車を呼んでください。
-
呼びかけや刺激への反応が少しでもおかしいと思われる場合
-
けいれんがある場合
このような症状は重症にあたり、命の危険があります。
いざというときは、気が動転してしまうもの。
日頃から、受診や救急車を呼ぶべき基準をおさえておきましょう。
熱中症対策のために参考にしたい指標
熱中症発生リスクを下げるために参考にできる指標として
-
暑さ指数(WBGT)
-
熱中症に関するアラート
この2つがあります。
気温や日射、湿度から算出した数値をもとに、活動や日常生活の行動の計画を立てる目安にするものです。
これらを参考にすることで熱中症になりやすいリスクを回避できます。
それぞれについてくわしく説明していきます。
暑さ指数WBGT(湿球黒球温度)
WBGT(湿球黒球温度、Wet Bulb Globe Temperature)とは、熱中症予防のために作られた指標です。
「湿度」 「日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境」 「気温」の3つを取り入れた指標で、WBGTが28を超えると、熱中症患者が著しく増加します。
下記を目安に、日常生活や運動、外での活動において対策を行いましょう。
なお環境省熱中症予防情報サイト[9]で、各地域のWBGTを確認できます。
【暑さ指数(WBGT)と活動における注意事項】
気温 (参考) |
暑さ指数 (WBGT) |
活動における注意事項 |
35℃以上 |
31以上 |
【日常生活】 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。 【運動】 運動は原則中止する(とくに子どもは中止すべき)。 |
31℃以上 35℃未満 |
28以上 31未満 |
【日常生活】 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。 【運動】 体温が上昇しやすい運動は避ける(激しい運動、持久走など)。 10~20分おきに休憩し、水分・塩分を補給する。 暑さに弱い人、体力が低い人などは、運動を軽減または中止する。 |
28℃以上 31℃未満 |
25以上 28未満 |
【日常生活】 激しい作業をする際は、定期的に充分に休息をはさむ。 【運動】 積極的に休憩し、水分・塩分を補給する。 激しい運動では、30分おきくらいに休憩をはさむ。 |
24℃以上 28℃未満 |
21以上 25未満 |
【日常生活】 一般に熱中症の危険性は少ないが、重労働時などには発生する危険性がある。 【運動】 熱中症の兆候に注意し、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。 |
24℃未満 |
21未満 |
【日常生活】 一般に熱中症の危険性は少ないが、重労働時などには発生する危険性がある。 【運動】 通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である(市民マラソンなどでは発症の危険性あり)。 |
(参考:環境省熱中症予防情報サイト[9])
WBGTを参考に熱中症リスクを確認し、活動の判断や休憩、水分補給の計画を立てましょう。
熱中症警戒アラート
熱中症への警戒を呼びかけるアラートには「熱中症警戒アラート」と「熱中症特別警戒アラート」の2つがあります。
「熱中症警戒アラート」とは、令和5年(2023年)から運用され[10]、熱中症の危険性が極めて高い状況が予想される場合に、熱中症への警戒を呼びかけるものです。
「熱中症特別警戒アラート」とは、令和6年(2024年)4月から運用が始まりました。
過去に例のない危険な暑さが予測される状況で、熱中症を防ぐ行動を積極的に実践するための警報です。「熱中症特別警戒アラート」は上記の「熱中症警戒アラート」よりも一段階上のものです。
暑さ指数(WBGT)は、その指数に応じて、無理のない日常生活活動や運動の範囲を示すものでした。
一方でこれらのアラートは、どのような活動においても、積極的に熱中症対策を意識したり、そのための行動をしたりすることを目的としています。
またWBGTは環境省のサイト[9]を確認しなければいけませんが、これらのアラートはメール配信サービスやLINE配信によって、情報を受け取れます。
あらかじめ登録しておくと、安全かつ便利ですね。
【「熱中症警戒アラート」と「熱中症特別警戒アラート」の比較】
熱中症警戒アラート |
熱中症特別警戒アラート | |
暑さ指数 (WBGT) |
予報区内のどこかで33以上 |
都道府県全域で33以上 |
発表時間 |
前日17時 当日5時 |
前日14時 |
目的 |
熱中症の危険性に気づいてもらうため |
熱中症を防ぐ行動を実践してもらうため (熱中症弱者である高齢者や乳幼児などに対する、積極的な見守りをする) |
(参考:環境省熱中症予防情報サイト「熱中症警戒情報とは」[11]「熱中症特別警戒情報とは」[12])
熱中症警戒アラート、熱中症特別警戒アラートを参考に、熱中症を事前に防ぐ行動をしていきましょう。
熱中症にとくに注意が必要な人は声かけ、見守りをしよう
症状を正確に訴えられなかったり、もともとの病気があったりすると、熱中症になるリスクが高まります。とくに子どもや高齢者、また障がいのある方々は、熱中症になりやすい「熱中症弱者」と呼ばれ、周りの人たちの注意が必要です。
ここからはとくに注意が必要な人たちへの見守りのポイントを紹介します。
子ども
子どもが熱中症になりやすいのは以下の理由があります。
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暑い中でも遊びに夢中になりやすい
-
自分で症状を適切に訴えるのが難しい
-
体温調節能力が不十分
不機嫌、ぐったりしているなどの様子がみられたら、熱中症のサインかもしれません。
少しでも疑ったら大人から積極的に声をかけて休ませたり、涼しい場所に移動したり、水分補給したりして対応しましょう。
体調を崩しているときも熱中症になりやすいので、活動を無理のない範囲にとどめるなど、大人の工夫が必要です。
また身長の低さに加えて、ベビーカーやバギーも地面に近く、体温が高くなりやすいというリスクもあります。
ときどきベビーカーやバギーに乗っている子どもの顔色など、様子を観察してください。
さらに少しの時間でも、車内などに置き去りにすることは、絶対にやってはいけません。
高齢者
年齢層別に熱中症で救急搬送された数をみると、最も多いのは高齢者です(令和5年の5月~9月の統計で、65歳以上が54.9%を占めます)[6]。
自身で症状に気づきにくいこと、基礎疾患などの病気の影響が熱中症になりやすい原因です。
とくに暑さ指数(WBGT)が31以上の場合、安静状態でも熱中症を発症する危険性が高まります。
室内室外ともに環境調整に気を配るとともに、体調不良時や飲酒時にはよりいっそう、症状に注意しましょう。
障がいのある方
障がいがある方は症状を適切に訴えられないことが多く、また場合によっては体温調整がうまくいかず、熱中症になるリスクが高まります。
付き添いの方に、事前に障がいの内容をよく確認しておいたり、なにかあったときの連絡先や対応などを把握しておくことが大切です。
外出時は事前に休憩できる場所を確認するなどして、熱中症対策をしましょう。
小さいこどもや高齢者、基礎疾患のある人、障がいがある人などは
自分で体調不良に気付くことができず周りに訴えられなかったり、
重症化リスクが高い場合があります。
ファストドクターは症状のことで困った時や判断に迷った時、いつでも看護師に相談できる無料医療相談を受け付けています。
身近な人の様子が何だか変、具合が悪そうといった時はいつでもご相談ください。
熱中症対策グッズ
熱中症対策に役立つ、飲み物や食べ物、その他のグッズを紹介します。上記の対策とともに使用して、熱中症予防に役立てましょう。
熱中症対策の飲み物
汗によって失うミネラル(主にナトリウム、塩分)を補える飲み物が最適です。
イオン飲料やスポーツドリンクがよいですね。
乳幼児向けのイオン飲料もあり、月齢・年齢にあった商品や量を使用するようにしましょう。
また母乳やミルクだけでも十分な水分・塩分補給になります。普段飲み慣れないイオン飲料を嫌がる場合はスープや味噌汁など、食事でも工夫できるとよいでしょう。
熱中症対策の食べ物
飲み物以外に食べ物でも、ナトリウム・塩分を補えます。
まず朝食をしっかりとること。スイカやキウイフルーツ、きゅうりなど水分やミネラルを含む食品を積極的にとりましょう。
ただし塩分のとりすぎには注意。塩分を含む飴は、お楽しみ程度にはよいですが、食べすぎると子どもの場合は塩分摂取過剰になりうるので気をつけましょう。
飴の誤飲にも注意が必要です。
遊びながら、動きながら食べないなど、安全なルールのもとで食べましょう。
熱中症対策のグッズ
熱中症対策に使えるグッズは、いろいろなものが発売されています。下記に一例を紹介します。
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洋服(淡い色、通気性・吸湿性のよいものなど)
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帽子
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ネッククーラー
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ハンディファン
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空調服
子どもをベビーカーに乗せる場合、子どもの背中にあたる部分に、保冷剤を入れられるアイテムも売っています。ベビーカーの日よけとともに使いたいアイテムですね。
よくある質問
熱中症対策についてよくある質問をまとめました。
熱中症対策はどうすればいいですか?
まずは予防が大切です。
睡眠・食事によって体調を整えておくと同時に、日頃から適度に暑い中で運動をしておくことで、熱中症になりにくくなります。
運動する前に水分補給をしておくことも大切ですね。
さらに室内も熱中症のリスクがあることを認識して、室温・服装・換気の調整を行いましょう。
室外ではWBGT(暑さ指数)や熱中症に関するアラートを参考に、安全な範囲での活動を行います。
一方で暑さ指数にとらわれず、乳幼児や高齢者などは熱中症になりやすいことを意識し、積極的に休憩や水分補給をするなど、熱中症弱者へのケアにも気を配りましょう。
熱中症に効く飲み物は?
ミネラルを補えるイオン飲料、スポーツ飲料がよいでしょう。
子どもでも月齢・年齢に応じて使用できます。
嫌がる場合は、スープや味噌汁など食事でも工夫を。一方で、母乳やミルクにも十分なミネラルが含まれています。イオン飲料の飲ませすぎで食事が進まなくなる例もあるので、麦茶などと組み合わせて使いましょう。
暑さに弱い人はどうすればいいですか?
本格的に暑くなる前から、暑さに身体を慣らしておくことが大切です。日頃から暑い環境に慣れておくことで、いざ熱中症が起きやすい環境においても適切に汗をかくなどして、速やかに体温を下げられます。
それぞれの体力に合わせた運動を紹介するので、意識してみましょう。
体力の程度 |
運動の内容 |
頻度 |
体力に自信がない方 |
「大股で腕を振って、かかとで着地する」ような速歩きを3分間と、ゆっくり歩きとを3分間。上記を繰り返す。 |
1日5回以上 週4回以上 計4週間 |
体力に自信がある方 |
「運動を始めて5分後の心拍数」が、1分間あたり120回(20代)〜130回(40代)程度になるような負荷の運動。 例)ジョギング、トレッドミル、自転車エルゴメータ |
1日30分間 週5回ほど 1~4週間 |
症状を適切に自覚したり、訴えたりしづらい乳幼児や高齢者、障がいのある方は、周囲の保護者が積極的に様子を観察し、声かけしたり、休憩を促したりして、予防しましょう。
まとめ
今回は熱中症対策として大切なポイントを解説しました。
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熱中症に強い体づくりの方法:
運動・睡眠・食事を見直すこと。日頃から体調を整えておくことが大切です。
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部屋の中で気をつけるべき熱中症対策5つ:
室内でも熱中症のリスクがあります。
室温や服装の調整、室内でもこまめな水分補給、換気や直射日光をさえぎることを意識しましょう。
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部屋の外で気をつけるべき熱中症対策3つ:
直射日光が当たらないような服装、よりこまめな水分補給、日よけや日陰などを活用して直射日光を避けることを紹介しました。
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熱中症が疑われる人を見つけたときの5つの対処法:涼しい場所へ移動すること、衣服をゆるめること、身体を冷やすこと、飲み物を飲ませること、意識がはっきりしない場合は救急車を呼ぶことが大切です。
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熱中症対策のために参考にしたい指標:
暑さ指数WBGT(湿球黒球温度)や、熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートを参考に、安全な活動を行いましょう。
ポイントをよく意識し、守ったうえで、安全・安心に暑い季節を乗り切りましょう!
オンライン診療・往診サービスのファストドクターでは
熱中症の診察も受け付けています。
・夜間休日で病院があいていない
・症状がつらくて移動できない
・受診する必要があるのかまず相談したい
こんな場合は気軽にファストドクターにご相談ください。
看護師が電話でヒアリングしたあと、医師が必要と判断した場合は点滴をもってご自宅に伺うことが可能です。
参考文献
[1]日本生気象学会、「日常生活における熱中症予防指針」Ver.4
[4]高橋ほか、食事・栄養と運動による熱中症の予防、名古屋文理大学紀要第22号(2022年)
[6]総務省、令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
[8]政府広報オンライン、熱中症は予防が大事!熱中症特別警戒アラートが始まります
[9]環境省、熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。