熱中症で夜や翌日に症状が出ることはあるの?原因についても解説

更新日: 2025/06/13
炎天下の中、作業したり遊んだりした翌日に頭痛や体のだるさ(倦怠感)が出てきたら、熱中症かもしれません。 熱中症の症状がすぐにあらわれず、気づかずに放置すると症状が進み、重症化してしまう可能性があります。 この記事では、熱中症の症状が夜または翌日に起きる理由や疑うべき症状、対処方法、医療機関受診の目安について詳しく解説します。 遅れてあらわれる熱中症についての理解を深め、重症化を防ぐ対応ができるようになりましょう。
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目次

熱中症で夜や翌日に症状が出るの?

日中の暑い中での活動時は、時間が経ってから熱中症の症状があらわれる場合があります。

体内の水分や塩分が不足した状態が続くと汗をかけず、体にたまった熱を逃がせなくなることが原因です。

暑いなか活動したあとに頭痛や吐き気、ふらつきなどの症状が出た場合は「もしかして熱中症かも」と疑うことが重要です。

原因

熱中症の症状が夜や翌日になって遅れて出てくる原因は、体内の水分や塩分が失われたままの状態が続くためです。

暑い場所での活動中は、多量に汗をかくことから注意して水分や塩分をとりますが、活動中だけ補給するのでは足りない場合があります。

昼間大丈夫だったからと安心して、夕方以降の当日の食事や水分補給で不足分を補えずにいると、時間が経ってから熱中症の症状があらわれることも珍しくありません。

とくに高齢者や子どもは、回復に時間がかかりやすいため注意が必要です。暑い場所で活動をした翌日までは熱中症になる可能性があると意識し、こまめに水分や塩分を補給しましょう。

翌日にあらわれやすい熱中症の症状とは?

翌日に遅れてあらわれる熱中症の症状は、頭痛や吐き気、だるさ、発熱などさまざまです。脱水状態で臓器に血液が十分届かないために起こります。

暑い中で作業した日の夜や翌日にこのような症状があらあわれた場合は「疲れから来ている症状かも」「疲れで風邪をひいてしまったのかな」と思うかもしれません。

ですが体に熱がこもっているからこそ発熱などの症状が起こる可能性が十分あるため「熱中症かも?」という視点を持つようにしましょう。

頭痛・吐き気・だるさ

頭痛や吐き気、だるさは、多量に汗をかき、体内が脱水状態になることによって引き起こされる症状です。

脱水により血の巡りが悪くなることで、必要な酸素が体中に十分行き渡らなくなることが症状につながります。

発熱

脱水状態が悪化すると、発熱の症状があらわれます。発熱は脱水により汗をかけなくなったことで体内にこもった熱を逃がせず、体温調節機能が正常に働かなくなり引き起こされます。

40度以上の発熱が起きるとさらに血の循環が悪くなり、脱水も進むため、とても危険な状態です。

熱中症の症状が夜や翌日にあらわれた場合の対処法と医療機関受診の目安

熱中症の症状が夜や翌日に出た場合の対処は、基本的な熱中症対策と同じです。

  1. 涼しい場所に移動もしくは室温を調整する

  2. 冷却シートや氷まくらなどで多くの血液が通る部分を冷やす

  3. 水分と塩分補給をおこなう

それでも症状が改善しない場合は、早急に医療機関を受診しましょう。

熱中症対策を行うためには、熱中症の進行度やそれに伴う症状について理解しておくことが重要です。

  • 熱中症の重症度を理解する
  • 夜になってから吐き気があらわれた場合
  • 翌日にだるさがある場合
  • 翌日になって38度の発熱がある場合

上記についてきちんと理解できていれば、医療機関を受診する目安や救急車を要請する目安も理解できるはずです。

熱中症の重症度を理解しておこう

熱中症の重症度は軽い順に1~3度の3段階に分かれます。

重症度別の症状と対処方法をきちんと理解しておきましょう。[1]

 

症状

対処法

1度(軽症)

  • めまいや立ちくらみ

  • 足がつる

  • 筋肉痛のようなこわばり

  • ふきでる汗

現場での応急処置で対応可能

2度(中等症)

  • 気持ち悪さなどの気分不良

  • 頭痛

  • 吐き気、嘔吐

  • だるさ

  • 力が抜けたような感覚

病院への搬送を必要とする

3度(重症)

  • けいれん

  • 手や足が動かない

  • 体の表面が熱い

  • 意識がもうろうとしている

  • 声をかけても反応がない

入院して集中治療の必要性がある

たとえ軽症であったとしても、時間が経つにつれて重症化するリスクはあるため、症状の変化に注意しましょう。

夜になってから吐き気があらわれた場合

夜間に吐き気が出る場合は室温を調整し、水分と塩分が補給できる経口補水液を10〜15分おきにとりましょう。その際は一気に飲まず、一口ずつとりながら安静に過ごしましょう。

暑い時期では夜間であっても外の気温が下がらず、熱中症が進行することがあります。熱中症予防のために室温は28度を上回らないよう、夜でもエアコンを消さないことが推奨されています。[2][3]

吐き気が強く、口から水も飲めない場合は点滴で水分を補う必要があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

だるさがある場合

だるさを感じる場合は室内を冷やし、冷却シートなどで首や脇、足の付け根などの太い血管を冷やしてください。

屋内外の活動を控え、涼しい室内で安静にしながらこまめに水分と塩分補給をおこないましょう。食欲がなくても栄養バランスの取れた食事をとり、体力を回復させることも大切です。

消化がよく、ビタミンやミネラルを多く含む食材は体温調節に効果があります。それでも症状が落ち着かず、悪化する場合は医療機関を受診しましょう。

翌日になって38度の発熱がある場合

翌日に38度の発熱が出た場合も、まずは体温を下げることが鉄則です。涼しい部屋で太い血管のある首や脇、足の付け根部分を中心に体を冷やし、こまめに水分と塩分を補給しましょう。

体温が40度を超えると重症度分類3の最重症となるため、すみやかに医療機関を受診してください。

体温を下げるために解熱鎮痛剤を使いたくなりますが、熱中症による発熱には効果がありません。解熱鎮痛薬が効果をあらわすメカニズムは、熱中症で発熱が起こる仕組みと異なるためです。

一時的に下がっても重症化を見逃すリスクにつながるため使用はしないようにしましょう。もし発熱が続き、呼びかけに反応せず意識がもうろうとしている場合は、救急搬送が必要です。

夜や翌日に熱中症の症状を起こさないための対策4つ

夜や翌日になって熱中症を起こさないよう予防するために4つの対策を知っておきましょう。

  1. 水分と塩分の補給をしっかりおこなう
  2. 涼しい環境でこまめに休憩する
  3. 食事や睡眠をしっかりとる
  4. 外の暑さにある程度慣れておく

活動中だけでなく活動後も、こまめな水分と塩分補給をおこなうことが重要です。また暑くて食欲がなくてもしっかり食事をとり、涼しい環境で十分休息をとることも熱中症予防につながります。

涼しい場所からいきなり暑いところに行くと、体がびっくりしてしまうため、ある程度の慣れは必要です。

1.水分と塩分の補給をしっかりおこなう

人は1日に1.2リットル程度の水分をとることが必要といわれています。汗で失われる場合はそれ以上必要であることを意識し、いつもより多めに水分や塩分を補給しましょう。

体内の水分バランスが整うことで体温を下げる効果もあります。

2.涼しい環境でこまめに休憩する

日中の活動中も含め、できるだけ涼しい環境下で休憩をすることが大切です。

屋外では日陰になっている風通しのよい木陰、屋内であれば28℃以下に空調が整った涼しい場所をチョイスしましょう。

炎天下で休憩をしても体から水分が奪われ、熱中症を引き起こしかねません。体を涼ませる場所できちんと休みましょう。

3.食事や睡眠をしっかりとる

食事をとらなかったり睡眠不足だったりすると、エネルギーが不足し熱中症からの回復が遅れる原因となります。

体を動かすためにエネルギーはたんぱく質や炭水化物から摂取できます。外側からえにるぎーを補給し、睡眠でしっかり体を休ませましょう。

4.外の暑さにある程度慣れておく

急に暑い中での活動を始めると体がうまく対応できず、熱中症のリスクが高まります。季節に合わせて、無理のない範囲で屋外で汗をかいておきましょう。

暑さに少しずつ体を慣らせば、汗をかく機能が正常に機能し、体温調節をスムーズにおこなえるようになります。

夜や翌日になって熱中症の症状を出さないためには、日中無事に過ごせたから大丈夫と思わず、翌日まで熱中症になるリスクがあることを知っておくことが大切です。

食事や入浴のタイミングで水分や塩分をコップ一杯でもいいのでこまめにとるようにし、28度以下の空調の効いた涼しい部屋で無理をしないで過ごしてください。

熱中症になりかけているときの対処法

熱中症になりかけているときは、熱中症になってしまったときと変わりありません。すぐに涼しい場所に移動し、水分と塩分を補給してください。

できるだけ着ている服をゆるめ、皮膚を露出させて熱を放出させましょう。

露出した皮膚に水をかけたり氷で首や脇、足の付け根などの太い血管を冷やしたりなど物理的に体を冷やすことも効果的です。

翌日になってから子どもに熱中症症状があらわれたとき

翌日になってから子どもに熱中症の症状が疑われたときも、まずは基本的な熱中症への対処をおこないましょう。[4]

  • 着ている服をゆるめる

  • 日陰の風通しの良い場所や、28℃以下に空調の整った涼しい場所へ避難し、頭を低くして寝かせる

  • 塩分や糖分の入ったイオン水を10〜15分おきに飲ませる

  • 冷たい水でぬらしたタオルで体をふく

  • 首や脇、足の付け根など太い血管がある場所を冷やす

子どもは体温調整機能が未熟、身長が低いために地面からの照り返しを受けやすいなどの理由から熱中症が重症化しやすい特徴があります。

言葉で症状をうまく表現できない場合も多く、症状が急激に悪化してしまうこともあるのでいつもと違う様子がないか注意しましょう。[5]

以下は大人が気づける子どもの熱中症のサインです。

  • 元気がない

  • 不機嫌で泣きやまない

  • 体が熱い、または赤い

  • おしっこが少ない、でない

  • いつもよりミルクや水分を欲しがる

とくに暑い中遊んだ翌日までは疲れだと決めつけず、熱中症を疑いましょう。

様子を観ていてもよくならない、またはけいれんがみられたり、呼びかけに反応しなくなったりなど悪化がみられる場合は、ためらわず早めに医療機関を受診してください。

よくある質問

熱中症に関するよくある質問を以下にまとめました。

熱中症による頭痛への対処方法や、翌日に熱中症が発症する可能性について詳しく解説します。

大人の熱中症は何日で治りますか?

健康な大人が熱中症になった場合、軽症であれば適切に対処すると数時間から数日で回復します。しかし重症の場合は入院が必要になることもあります。

元より体力が落ちている場合や、高齢者は熱中症になっていることに気付かない場合もあるため、重症化しないよう注意が必要です。

暑い中活動したあとの1日程度は、なるべく安静に過ごし様子を見るようにしましょう。

熱中症の頭痛を速攻で治す方法はありますか?

残念ながら熱中症による頭痛を速攻で治す方法はありません。熱中症による頭痛はしぶとく、吐き気につながることも多いです。

熱中症の頭痛は中等症であり、医療機関での受診が必要な状態です。意識がはっきりしているのであれば、身体を冷やす、水分や塩分をこまめにとるなどの基本的な熱中症対策をしましょう。

頭痛といえば解熱鎮痛剤を使おうと思うかもしれませんが、熱中症の頭痛には効果がなく重症化するリスクもあるため、使用しないようにしましょう。

熱中症は翌日に発症することもありますか?

熱中症は翌日に症状があらわれることもあります。体内の水分や塩分が不足した状態を、当日の食事や水分補給で補いきれなかったときに起こります。

前日に炎天下での活動があった場合、翌日までは体調の変化に注意してください。体調が改善しないもしくは症状が悪化していたら、重症化する前に医療機関を受診しましょう。

熱中症になりかけているときの初期症状は?

初期症状を、熱中症の重症度分類での1度(軽症)とすると具体的な症状は以下のとおりです。

  • 手足のしびれ

  • めまい

  • 立ちくらみ

  • 足がつる(こむら返り)

意識がはっきりしている場合は、重症化しないように室温に気を配り身体を冷やす、水分や塩分補給をするなどして、様子を観察しましょう。

軽い熱中症は何日で治りますか?

軽症の場合、熱中症の基本的な対策(涼しい場所へ移動する、身体を冷やす、水分と塩分補給する)をおこなえば、数時間〜24時間以内に症状は回復することが多いです。

しかし体調によっては軽症でも数日間の回復期間が必要だったり、10日以上の入院が必要となったりする場合もあるので症状が消えたからといって油断はできません。

熱中症が疑われた時点から早めに対処し、症状が長引く場合は医療機関へ相談しましょう。

夜や翌日に起こる熱中症の症状を知り、手遅れにならないように対処しよう

炎天下で遊んだり作業したりした日中に異変がなかったとしても、夜や翌日に熱中症の症状があらわれることがあります。

汗によって失われた水分を食事や生活の中で十分に補給できていないことや、連日のスポーツ大会などで水分が続けて失われていることが原因です。

症状は通常の熱中症と同じく、頭痛・吐き気・だるさ・発熱などがあらわれます。

その場合、以下の対処をしましょう。

  1. 28度以下の涼しい環境で安静に過ごす

  2. 太い血管が通る首や脇、足の付根を中心に体を冷やす

  3. 1日に1.2リットル以上を目安に水分や塩分を少しずつ補給する

様子をみて改善しない場合や、悪化する場合は病院へ受診してください。炎天下での活動をしていて体調に異変を感じる場合は、翌日までは熱中症がおこる可能性があります。

もしも頭痛や吐き気、だるさの症状が出た場合は「熱中症かも?」と疑う視点をもち、無理せず安静に過ごすようにしましょう。

熱中症に備えて、アプリをインストールしておきませんか?

熱中症は、気付いた時にはかなり脱水症状が進行していたり、判断が遅れて重症化するケースがあります。

ファストドクターのオンライン診療では、熱中症が疑われる症状への対応が可能です。

緊急性の判断などにもご利用いただけます。

もしものときに備えてアプリをインストールし、情報登録までしておくと安心です。

参考文献

[1]熱 中 症

[2]環境省熱中症予防情報サイト

[3]日本生気象学会

[4]公益社団法人日本小児科学会

[5]国立研究開発法人国立成育医療研究センター

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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