オンライン診療で対応可能です
カロナールはコロナに使えるのか
カロナールは、新型コロナウイルス感染症による発熱や痛みに使用できる薬です。厚生労働省も、使用可能な解熱鎮痛薬として示しています。[1]
「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も、解熱鎮痛薬として使用されます。
しかしNSAIDsは、胃腸に負担をかける可能性があり、胃が弱い人や胃潰瘍(いかいよう)などの経験がある人には適しません。
カロナールの成分である「アセトアミノフェン」は、胃腸への影響が少ないとされています。用量の調整がしやすく、子どもや妊婦さんにも安全に使用できます。[2]
海外の研究では、アセトアミノフェンとNSAIDsを比較した結果、新型コロナウイルス感染から回復する期間に大きな違いはみられませんでした。
アセトアミノフェンが、コロナ感染そのものを悪化させるリスクがないことも示されています。[3]
カロナールは新型コロナウイルス感染中にも安全に使用でき、十分な解熱鎮痛効果が得られるため、多くの医療機関で処方されています。ただし症状をやわらげるための「対症療法」として使用する薬です。
必要以上に服用すると、胃腸や肝臓に負担をかける可能性もあるため、熱や痛みがつらいときのみ服用しましょう。
カロナールをコロナのときに使用できるタイミング
カロナールは、以下のような症状がつらいときに服用しましょう。
-
発熱時
-
のどなどの痛みがあるとき
-
頭痛のとき
服用すると30分〜1時間程度で、熱や痛みをやわらげる効果があらわれます。
医師から特別な指示がないかぎり、症状が軽度であれば必ずしも飲む必要はありません。
「熱はないけど、のどが痛くて食事がとれない」「頭痛がひどく十分に休養できない」という場合、カロナールはつらい症状をやわらげるのに有効です。
発熱時
カロナールを服用すると、30分程度で解熱効果が得られます。
カロナールは脳の体温を調節する部位に作用し、体の外に熱を逃がすよう働きかけることで、体温をさげます。
新型コロナウイルスに感染しても軽症であれば、免疫の力による自然回復を待つことが基本です。ただし高熱が続くと、体力を消耗し、十分な休養がとれない人もいるでしょう。
カロナールは発熱によるつらい状態をやわらげるのに効果的です。
カロナールの解熱効果について調べた研究によると、15mg/kgの用量で服用した人のうち、97.6%の割合で、体温が1℃以上さがったと報告されました。[4]
カロナールを服用すると、30分後に 体温がさがりはじめ、3〜4時間後に最大の解熱効果を 発揮 し、効果はおよそ6 時間持続するとも示されています。[4]
体重に対して服用する量が多いほど、解熱効果が高いこともわかっています。[4]
しかし飲む量が多すぎると、肝臓の病気など副作用を起こすリスクが高まるため、適切な量を守らなければなりません。
このためカロナールには「1回の服用量」や「1日の服用量、服用回数」に上限が定められています。
発熱が原因で休養がとれないときには、カロナールを適切に服用し、体を休めることを優先させましょう。安全かつ十分な効果を得るためには、医師に処方された用量を守ることが大切です。
のどなどの痛みがあるとき
カロナールには熱をさげるだけでなく、痛みをやわらげる効果もあります。
新型コロナウイルス感染によるのどの痛みは、2〜5日程度続く傾向があります。[5]
のどの痛みが強く、飲食が難しい人もいるかもしれません。
回復には十分な栄養と水分が必要です。カロナールを服用すると、痛みが楽になり飲食しやすくなるでしょう。
カロナールの鎮痛メカニズムは完全には解明されていませんが、脳や脊髄(せきずい)に作用することで効果 を発揮すると考えられています。[6]
【カロナールの痛みを抑える作用のしかた】[6]
脳に作用する |
脳の「痛みにかかわる部位」に作用し、痛みの信号を弱める |
痛みを抑える働きを持つ「オピオイド」を活性化させる | |
気分や痛みをコントロールする「セロトニン」の量を増やす | |
脊髄に作用する |
脊髄後角(せきずいこうかく)という「痛みの情報が脳に送られる場所」に作用し、痛みの信号を伝わりにくくする |
カロナールの鎮痛効果を調査した資料では、服用した人の約50〜70%で痛みが軽減したとの結果が示されています。[7]
カロナールは、服用後30分〜1時間程度で血液中の濃度がピークに達し、鎮痛効果があらわれます。[8]
飲食しにくいほど痛みが強い場合は、カロナールを服用し痛みを抑え、水分や栄養をしっかりおぎないましょう。
頭痛のとき
カロナールは、新型コロナウイルス感染による頭痛をやわらげるのにも効果的です。
新型コロナウイルスに感染すると、半数以上の人が頭痛を経験すると報告されています。[9]
とくに片頭痛持ちの人は、症状が悪化しやすい傾向があります。[9]
通常の頭痛よりも生活に支障をきたしやすく、つらい症状に悩まされる人も少なくありません。カロナールはこうした頭痛の緩和にも有効です。
一部の研究によると、カロナールを服用したあとに頭痛が改善した人の割合は57.8%と示されています。プラセボ(薬の成分を含まないもの)を服用した場合の38.7%を上回る結果でした。[10]
服用2時間後に痛みが完全になくなった人の割合は、カロナールを服用した場合22.4%、プラセボでは11.3%とのデータもあります。[10]
またカロナールは、頭痛とともに生じる「光や音に敏感になる症状」をやわらげる効果もあるとされています。 [10]
新型コロナウイルスに感染すると、頭痛は2〜5日間続き、寝込む人が多い傾向です。[9]
しめつけられるような頭痛や波打つような頭痛など、症状のあらわれ方は人によってさまざまです。
生活に支障をきたすほど頭痛がつらければ、カロナールの服用を検討しましょう。
カロナールをコロナの対症療法で使用する際の注意点
カロナールを服用する際は、以下の点に気をつけましょう。
-
空腹時の服用は避ける
-
市販薬との違いを理解する
基本的には「症状がつらい」と感じた時点で服用してかまいません。ただし空腹時に服用すると、胃を刺激する可能性があるため、できるだけ空腹を避けることが推奨されています。
医療用のカロナールは、市販薬と異なり、医師が一人ひとりに適した量を処方します。カロナールを安全に使用するためには「適切な服用方法」と「指示された量」を守ることが大切です。
空腹時の服用は避ける
カロナールはなるべく食事をとってから服用しましょう。NSAIDsは胃腸への負担が懸念されますが、カロナールは胃腸への負担が少なく、安全性が高いとされる薬です。
しかし空腹時に服用すると、胃が刺激され、以下の症状が起こる可能性があります。
-
吐き気・むかつき
-
胃痛
-
食欲不振
-
腹痛・下痢
NSAIDsは、痛みにかかわる物質である「プロスタグランジン」の生成を抑えることで、鎮痛効果を発揮します。
プロスタグランジンには胃粘膜を保護する働きもあるため、NSAIDsを服用すると胃の防御力が低下し、胃が荒れてしまう可能性があります。
カロナールはプロスタグランジンを抑える働きが弱く、胃腸への影響は少ない薬です。ただし空腹の状態は胃の粘膜が刺激されやすいため、カロナールも念のため飲食後に服用することが推奨されています。
また新型コロナウイルス感染症では、腹痛や下痢、吐き気が生じるケースがあります。[11][12]
カロナールを適切に使用しなければ、新型コロナ感染の症状なのか、カロナールの副作用なのかを区別できず、対応が遅れることも懸念されます。
1日の服用量が多いと、腹痛や下痢が起こるリスクが高まるため、必要以上に服用しないことも大切です。[7]
「お腹が空いた」と感じていなくても問題ありません。「お腹に何も入っていない状態」を回避することが大事なので、バナナやおかゆ、ゼリーなど、消化のよいものを少量食べる程度で十分です。
どうしても食欲がわかない場合は、コップ1杯程度の多めの水と一緒に服用しましょう。
関連記事:新型コロナと下痢の関係性は?治療法や対処法について解説
関連記事: コロナが原因の腹痛・下痢が増えています|胃腸炎との見分け方
市販薬との違いを理解する
医療用のカロナールは、医師が体重や体格、持病の有無を考慮して、一人ひとりに適切な量を決定します。市販薬のカロナールは、飲む量や回数、使える年齢に制限があります。
医療用のカロナールと市販薬の違いは、以下のとおりです。
医療用のカロナール[13] |
市販薬 (アセトアミノフェンのみ含有の場合)[14] | |
薬の種類 |
|
|
対象年齢 |
子どもから大人まで使用できる (3ヶ月の赤ちゃんから使用可能) |
|
用法・用量 |
《大人(15歳以上):痛みを抑える目的》
《大人(15歳以上):かぜなどの解熱・鎮痛》
《子ども(15歳未満)》
|
《大人(15歳以上)》
《子ども》
《用法(大人・子ども共通)》
|
効能・効果 |
|
|
特徴 |
|
|
医療用のカロナールと市販薬は「1錠あたりの成分量」「用法・用量」「剤形の種類(錠剤、粉薬など)」に違いがあります。
たとえばアセトアミノフェンのみを有効成分とする大人用の市販薬は「1錠あたり300mg」の錠剤に限定されており、15歳以上が対象です。用法は「1日3回」までと決められています。
市販薬は自分で服用のタイミングを判断するため、適切に使用しなければ副作用のリスクが生じます。安全性を確保するために、用量や回数が制限されているのです。
医療用のカロナールは、医師が年齢や体重、持病の有無などを考慮したうえで、適切な用量と服用方法を決定します。
熱をさげる目的なのか、痛みを抑える目的なのかによって、服用量が異なる場合もあります。医師から処方された量を守り、安全に使用しましょう。
市販薬にはアセトアミノフェンのほかに、別の有効成分を組み合わせている商品もあります。アセトアミノフェンは総合感冒薬に配合されていることも多いため、成分が重複しないよう併用は避けてください。
よくある質問
カロナールを「どのくらいの量まで飲めるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
「のどの痛みには効果があるのか?」「どのくらいの時間で効きはじめるのか?」と気になる方もいるかもしれません。
以下では、カロナールに関するよくある質問にお答えします。
カロナールはコロナのとき何mgまで服用できますか?
カロナールの適切な用量は人によって異なります。
医療用のカロナールの一般的な用法用量は、以下のとおりです。
《医療用のカロナール》[2]
大人 |
子ども | ||
鎮痛目的の場合 |
解熱目的の場合 | ||
1回量 |
300~1000mg |
300~500mg |
10~15mg/kg (1回500mgを限度) |
1日の最大量 |
4000mgを限度 |
1500mgを限度 |
60mg/kg (1日1500mgを限度) |
回数、間隔 |
4~6時間あける |
原則1日2回まで |
4~6時間あける |
ただし用量はあくまでも目安です。人によっては、目安より少ない量が適切なケースもあります。
医師から処方される場合、以下のポイントを踏まえたうえで用量が決められます。
-
体重や体格
-
年齢
-
持病の有無(腎臓や肝臓の病気など)
-
鎮痛目的か、解熱目的か
医師から処方された量と回数を守って服用してください。市販薬のカロナールは、用法、用量、対象年齢がきまっています。
市販薬は手軽に購入できる反面、自己判断による服用によって副作用のリスクがともないます。
新型コロナウイルス感染症だからといって、カロナールの服用量が特別に変わることはありません。安全に使用するために、かならず決められた用法・用量を守りましょう。
カロナールはのどの痛みにも効きますか?
カロナールは、のどの痛みにも効果がある薬です。脳や脊髄に作用し、痛みの信号が脳へ伝わるのを抑えたり弱めたりすることで、鎮痛効果を発揮すると考えられています。
カロナールは服用後、30分〜1時間ほどで血液中の濃度がピークに達し、痛みを抑える効果があらわれます。個人差はあるものの、効果は4〜6時間持続するため、服用間隔に注意が必要です。
再び痛みが強まった場合、最低でも4時間以上は間隔をあけて服用してください。副作用を防ぐために、適切な量と服用回数を守りましょう。
まとめ|カロナールをコロナのときに服用する際は注意点も理解しておこう
カロナールは、コロナ感染中の熱や痛みをやわらげるのに効果的な薬です。服用後30分〜1時間程度で効果があらわれます。
「高熱や頭痛でつらい」「のどの痛みで飲食ができない」と感じたタイミングで服用すれば、つらい症状を楽にすることが可能です。
カロナールは、以下のポイントを理解して服用しましょう。
-
空腹時の服用は避ける
-
市販薬と処方薬では用法・用量が異なる場合がある
-
服用間隔は4時間以上あける
カロナールを空腹で服用すると、胃を刺激する可能性があるため、少量でも飲食してから服用してください。おかゆやゼリーなど食べやすいものでかまいません。
どうしても食事がとれなければ、多めの水で服用しましょう。同じアセトアミノフェンを有効成分とする薬でも市販薬と医療用のカロナールとでは用法・用量が異なる場合があります。
医療機関では、医師が一人ひとりに対して適切な量を処方します。自己判断で服用せず、医師の指示を守って服用してください。
カロナールの解熱鎮痛効果は、通常4〜6時間程度持続します。再び症状が強まった場合、少なくとも4時間以上の間隔をあけましょう。
新型コロナウイルス感染症では、多くの人に発熱やのどの痛み、頭痛がみられます。つらい症状が続くと、十分な休息や睡眠がとれないことも考えられます。
日常生活に支障をきたすほど強い症状であれば、無理せずカロナールの使用を検討してください。適切な使用方法で症状をやわらげながら、しっかり休息してくださいね。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
夜間や休日でもすぐに医師に相談ができるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?
参考文献
[6]Analgesic Effect of Acetaminophen: A Review of Known and Novel Mechanisms of Action - PMC
[8]Acetaminophen StatPearls NCBI Bookshelf
[9]Survey on Headache During COVID-19 Infection in People with Chronic Headache
[12]The roles of nausea and vomiting in COVID-19: did we miss something? ScienceDirect
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。