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喘息が治ることってあるの?
喘息が治るかどうかは大人と子どもで異なります。
子どもの場合、思春期に症状が自然に軽くなり、治るケースも多いです。一方で大人の喘息は完治が難しく、症状も悪化しやすいです。
ただし大人の場合も治療を続けることで症状を抑え、つらい喘息の症状に苦しまないようコントロールできます。
大人の喘息は完治しないことがほとんど
大人の喘息は重症になりやすく、完治は難しいとされています。
しかし適切な治療を続けることで、症状を抑えながら日常生活を送ることが可能です。
喘息が悪化しないようにするには早期の治療が重要です。とくに高齢者の場合、喘息の症状悪化が肺機能の低下や心臓病などほかの病気のリスクを高め、命に関わることがあります。
2006年の厚生労働省統計では、喘息死の86.2%が65歳以上の高齢者であると報告されています。[1]
定期的に医師の診察を受け、治療を継続することが大切です。
子どもの喘息は治ることもある
子どもの喘息は適切な治療を続けると、60〜80%が思春期を迎えるころまでに自然に治ると報告されています。[1]
そもそも子どもの気道はまだ発達途中のため、冷たい空気や匂いなどのささいな刺激にも反応しやすいです。この気道の敏感さが子どもの喘息につながります。
しかし成長するにつれ気道が発達し刺激に強くなると、症状が軽くなることもあるのです。[2]
ただし約30%の子どもは大人になっても喘息の症状が続くとされ、一度症状が消えた子どもも30%弱が成人後に再発すると言われています。
思春期に症状が改善しても定期的に医師の診察を受け、適切な管理を続けるとよいでしょう。[1]
喘息が治ったら薬はやめてよい?
喘息が治ったように感じても、医師の指示がない限り薬をやめてはいけません。
症状が一時的に出ていなくても、気管支には炎症が残っている可能性があります。
炎症が残っていると、喘息が再発しやすくなります。また治療を自己判断で中止すると症状の悪化を招くリスクもあるのです。[1]
ただし以下の場合で長期間症状があらわれない場合、医師の判断で治療を終了することもあります。
-
子どもの喘息
-
咳喘息(気管支喘息の前段階)の場合
上記の場合でも診察や検査をおこない治療終了の判断をするため、自己判断で薬をやめるのは避けましょう。医師の指示に従い、適切な治療で症状をコントロールしましょう。
関連記事:喘息の検査と診断、呼気NO検査やスパイロメトリーについても解説
気管支喘息について
気管支喘息は、気管支と呼ばれる空気のとおり道が慢性的な炎症によって徐々に狭くなる病気です。
息苦しさ、咳、喘鳴(ぜんめい)という呼吸音があらわれることがあります。放っておくと、日常生活に影響を与え、重症化してしまうリスクのある病気です。
原因はさまざまで、アレルギーや風邪、遺伝などとされています。
気管支喘息の治療では、原因を取り除きつつ、症状が出ないようにコントロールすることが大切です。
喘息は子どもから大人まで誰にでも起こる可能性があります。原因や治療方法を知っておきましょう。
原因と症状
喘息の原因はさまざまありますが、大きく次のようなものが挙げられます。
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ダニや花粉、ペットの毛などのアレルギー
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家族に喘息やアレルギーをもつ人がいる
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風邪などの感染症
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大気汚染やPM2.5、冷たい空気など
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喫煙や受動喫煙(周りの人のタバコの煙を吸うこと)
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過度なストレス
子どもの場合はアレルギーが原因になることが多いですが、大人は風邪や喫煙などアレルギー以外の原因も関わっていることが多いです。
厚生労働省の報告によると、大人になって初めて喘息を発症した人のうち、45.9%は感染症が原因と示されています。また31.3%がアレルギーと感染症が混ざり合った混合型です。[1]
さまざまな原因が組み合わさることで、喘息を発症しやすくなってしまいます。
症状は軽いものから重いものまでさまざまあります。[1]
-
息苦しさ:とくに夜間や早朝に呼吸しづらくなる
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咳:乾いた咳が続き、夜になると悪化しやすい
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喘鳴:呼吸するときに「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」と音がする
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胸の苦しさ:胸が押しつぶされそうな圧迫感がある
一般的に夜間から早朝にかけて発作が起こりやすいです。季節の変わり目や気温の急激な変化、とくに寒暖差が大きい時期にも症状が出やすくなります。
ただし症状があらわれるタイミングは個人差があるため、喘息かなと思う症状があれば、早めに医師に相談しましょう。
治療方法
気管支喘息治療の基本は症状をコントロールして発作を防ぐことです。
治療薬は大きく「長期管理薬(コントローラー)」と「発作治療薬(リリーバー)」にわかれます。
特徴 |
作用の仕方 |
種類 |
服用方法 | |
長期管理薬 |
|
気管支の炎症を抑える |
ステロイド薬 |
吸入、経口 |
抗アレルギー薬 |
経口 | |||
気管支を広げる |
長時間作用性β2刺激薬 |
吸入、貼付 | ||
テオフィリン薬 |
経口 | |||
長時間作用性抗コリン薬 |
吸入 | |||
発作治療薬 |
|
速やかに気管支を広げる |
短時間作用性β2刺激薬 |
吸入 |
テオフィリン薬 |
経口 | |||
短時間作用性抗コリン薬 |
吸入 |
重症の喘息の場合は一般的な治療方法に加えて、症状を効果的に抑えるための治療方法を取り入れるケースがあります。
「生物学的製剤」は最新の治療として注目されており、重度の喘息に効果が期待できるとされています。
おもに用いられる製剤は、炎症に関係する白血球の増加を抑える「抗IL-5抗体製剤」とアレルギー反応を抑える「抗IgE抗体製剤」です。
また吸入ステロイド薬よりも強力な「経口ステロイド薬」を用いるケースもあります。
炎症が非常に強い場合に短期間使用する薬です。ただし顔が満月のように膨らむ「ムーンフェイス」や消化器症状が副作用としてあらわれることもあります。
喘息患者ひとりひとりの症状や状態に応じた適切な治療法があるため、医師の指示どおりに治療を受けましょう。[3]
喘息が治らない原因は気管支リモデリング
喘息がなかなか治らない原因のひとつに「気管支リモデリング」という現象があります。[4]
喘息では気管支の炎症が続くことで、気管支の組織が炎症をカバーしようと新しく生まれ変わることがあります。この過程が「気管支リモデリング」です。
リモデリングが進むと気管支の壁が厚くなり、空気のとおり道が狭くなります。
また気道が硬くなり、伸び縮みしにくくなるため、気道は狭くなったまま元に戻りにくくなってしまうのです。
気道が狭くなった結果、わずかな刺激でも咳や喘息が起こりやすい「気道過敏」の状態が生じます。
喘息の悪化を防ぐためには、炎症を防ぎリモデリングの進行を抑えることがとても大切です。
とくに咳や息苦しさといった症状がないときでも、気管支では炎症が起きている可能性があります。
医師の指示に従い、症状がないときも毎日きちんと治療を続けましょう。
喘息の症状を抑えるためにできること
喘息は完治が難しい病気ですが、適切な治療を続けることで症状をコントロールできます。治療は自己判断で中断せず、医師の指示に従いながら毎日の治療を続けましょう。
またハウスダストやタバコの煙、冷たい空気など発作を引き起こす要因を減らす工夫も必要です。日常生活では睡眠不足やストレスを避け、規則正しい生活を心がけましょう。
苦しい発作を少しでも防ぎ、快適な日常生活を送れるよう参考にしてください。
治療薬を正しく使う
喘息の治療で大事なのは、医師の指示に従って治療薬を正しく使うことです。喘息の薬には気管支の炎症を抑える薬(長期管理薬)と発作を抑える薬(発作治療薬)があります。
発作のときだけ薬を使うのではなく、普段から長期管理薬を使うことで気管支の炎症を抑え、症状が出ない状態をキープできます。
また症状が出ない状態が続いても自己判断で薬を中断するのは危険です。
治療を中断すると炎症がさらに進み気管支リモデリングを引き起こす可能性があります。気管支リモデリングの状態になると、気管支が狭くなり喘息が悪化しやすくなります。
症状が出なくなっても、医師に「もう治療を続けなくてよい」と判断されるまで、定期的に医療機関を受診しましょう。
生活習慣や環境を見直す
喘息の症状を抑えるには、生活習慣を整え、発作を引き起こす原因を取り除くことも重要です。
基本的なことですが毎日決まった時間に寝起きし、十分な睡眠をとることが大切です。疲れすぎや不規則な生活は喘息を悪化させる原因になります。
また喘息を悪化させる要因をできるだけ避ける工夫をしましょう。
喘息を悪化させる要因と対処法
要因 |
対処法 |
ストレス |
リラックスできる時間をつくる |
大気汚染 |
工場や車の排気ガスなど汚れた空気を避ける マスクを活用する |
ダニやほこり |
布団やカーペットは定期的に掃除する空気清浄機を使う |
喫煙 |
禁煙する 家族や周りの人にもタバコを控えてもらう |
まとめ|喘息は完治できなくても症状を減らせる!コツコツ治療を続けよう
喘息は慢性的な病気で、とくに大人の喘息は完治が難しいとされています。
子どもの場合は適切な治療と気道の発達によって、思春期ころに症状が自然に軽減し、治るケースもあります。
ただし再発する場合もあるため、症状が治っても医師の指示従って診察を受けましょう。
子どもも大人も症状が落ち着いていると「薬をやめても大丈夫なのでは」と考えがちです。医師の指示がない限り、自己判断で治療を中断するのは避けましょう。
自己判断で治療を中断すると、気がつかない間に気道の炎症が進み、喘息の再発や悪化を招く恐れがあります。
喘息を悪化させないためには、正しい治療と生活環境や習慣の改善が重要です。
日々の生活のなかで喘息の症状を抑えるために、できることを積み重ねていきましょう。喘息と向き合いながらも健康な人と同じように生活を送ることができます。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。