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新型コロナになった!つらい高熱や強いのどの痛み、関節痛などコロナに効く解熱剤は?

新型コロナ感染症を発症すると、症状はそれぞれ違いますが、高熱や強いのどの痛み、頭痛や関節痛が出現する場合があります。
そんなつらい症状には解熱剤や鎮痛薬を使いたいですね。
大人用、子ども用、妊婦さんなど、それぞれに合わせた解熱剤を使用しましょう。
コロナによる症状ではどんな解熱剤を使用した方がよいのか、使用するタイミングや効果、副作用、服用後の注意点についても解説します。

記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

コロナで解熱剤を使うタイミングとは

新型コロナ感染症になると、症状に個人差はありますがほとんどの方は入院することなく回復します。
そのため自宅療養をする方がほとんどですので、症状に対し自分で判断して薬を使用する必要があります。

特に頭痛、喉の痛み、高熱、関節痛などは解熱剤、鎮痛薬を使ってつらい症状を抑えながら療養すると身体への負担を少なくすることができるでしょう。
処方薬の頓服指示の際の解熱剤を使用するタイミングと、市販薬の解熱剤を使用するタイミングについて説明します。

 コロナで見られる症状とは

新型コロナ感染症になると出現する症状は個人差がありますが、WHOで発表している症状には以下のものが挙げられます。


コロナの最も一般的な症状

・熱
・咳
・倦怠感
・味覚や嗅覚がなくなる

そのほかの症状

・喉の痛み
・頭痛
・下痢
・皮膚に発疹ができる、または手足の指が変色する
・赤目になる、または目が炎症をおこす

深刻な症状

・呼吸困難や息切れ
・うまく話せない、うまく動けない、またはさくらん状態になる
・胸の痛み

このなかで深刻な症状に当てはまる場合は自宅療養ではなく、医師の診察を受ける必要があるので医療機関に受診するための電話をしましょう。1)

新型コロナ感染症の一般的な症状やそのほかの症状のなかには解熱剤や鎮痛薬を使用すると楽になるものがあります。
特に高熱が出ると倦怠感や関節痛も伴うことがあるので、一定の体温の上昇があれば解熱剤を使用すると身体が楽になってよいでしょう。

 解熱剤を使うタイミング

一般的に解熱剤というと、熱だけを下げるの?と思われがちですが、処方薬や市販薬でも解熱剤といわれているほどんどが鎮痛剤や消炎剤としても効果があるので、効果は発熱に対してだけではありません。

熱、喉の痛み、頭痛、熱の上昇に伴う関節痛や倦怠感にも効果があると考えてよいでしょう。
解熱剤を使用するタイミングは、処方薬では一般的に38度以上の発熱で使用することという指示が多いでしょう。

人間の身体が発熱するのは、身体のなかに入った菌やウィルスと身体が戦っているためなので、むやみに解熱剤を使うと症状を長引かせる可能性があります。
そのため処方薬の指示は一般的に身体がつらいと感じる38度以上になってからが目安になっています。

痛みや身体のつらさの感じ方は人それぞれなので無理をする必要はありませんが、身体の機能として発熱するのは菌やウィルスが戦って頑張っていることを知っておくと解熱剤を使用するタイミングが理解できます。

しかし、喉の痛みや頭痛で使用する場合には、熱の高い低いに関わらず痛みの程度に合わせて使用をしましょう。

コロナで使える解熱剤とは

では、実際に新型コロナ感染症になった時に使える解熱剤にはどんなものがあるのでしょうか。
薬には商品になる前のもともとの名前があります。

もともとの薬の名前をもじって商品名がつけられるので、いろんな薬があるように感じます。
しかし、もともとの名前がその解熱剤の薬の名前なので、市販薬では成分表に記載のある名前を見て確認するようにしましょう。

主に解熱剤としてよく聞くのはイブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェンではないでしょうか。
新型コロナ感染症には、厚労省よりアセトアミノフェンの服用が推奨されています。

市販薬でアセトアミノフェン入りのものを選びたい場合には、商品名ではなく成分表にアセトアミノフェンが入ってるかを確認しましょう。

 イブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリンの使用は慎重に

イブプロフェンとロキソプロフェンは非ステロイド性の抗炎症薬の分類で、熱や痛みや炎症を引き起こす物質が作られるのを防ぎ、炎症に伴う腫れや痛みをやわらげて熱を下げる効果があります。
イブプロフェンは、鎮痛保助成分である、アリルイソプロピルアセチル尿素や無水カフェインを配合すると、鎮痛効果が強力になる特徴があります。

イブプロフェンとロキソプロフェンの副作用には胃腸障害があるので、食後や胃粘膜を保護する薬などと一緒に服用する必要があります。
イブプロフェンやロキソプロフェンはインフルエンザでは使用しないことが多く、新型コロナ感染症の場合でも同じです。それは、新型コロナ感染症でイブプロフェンとロキソプロフェンの使用に対する安全性が明確になっていないためです。

イブプロフェンとロキプロフェンは、厚労省よりワクチン接種後の痛みに対しては服用してよいと許可されていますがインフルエンザやコロナでは使用は推奨されていませんので、市販薬を購入する際は注意しましょう。

アスピリンは非ステロイド性抗炎症薬で、昔からよく使われている薬ですが、抗血小板作用で血を固まりにくくしたり、喘息のある方では悪化させたり、飲み合わせに注意が必要な面もあります。

子どものインフルエンザではアスピリンの服用で脳症を発生するリスクがあり使用しません。
厚生労働省では新型コロナ感染症にかかった患者に対して、アセトアミノフェンの使用を推奨しています。

 アセトアミノフェンが推奨されている

アセトアミノフェンは非ピリン系解熱鎮痛薬で、イブプロフェンやロキソプロフェンのメカニズムとは違い、脳の中枢神経や、体温調節中枢に働きかけて熱を下げます。
ロキソプロフェンやイブプロフェンに比べると効果は穏やかです。

主な副作用には発疹、嘔吐や食欲不振があります。
妊婦さんや子どもにも処方することができ、幅広い年代で使用できる薬です。

処方薬ではカロナールが有名で、市販薬ではタイレノールやアセトアミノフェンAF、ノーシンなどがあります。
錠剤、シロップ、坐剤まであり、大人は錠剤で子どもはシロップなど使いやすさで選ぶこともできます。

5歳から、7歳から、15歳からなどアセトアミノフェンであっても市販薬では容量も違うので、誰に使うのか、容量は合っているか、よく確認して買いましょう。

症状、年齢、体質などにあわせて薬を選ぶ

ひとことで解熱薬を使うといっても、使用する方は年齢や性別や体質もさまざまです。
薬は身体に害を及ぼす場合もあり、特に子どもや妊婦さんではその扱いに注意が必要です。

子どもでは解熱剤の中には禁忌薬(きんきやく)といって使用してはならない薬もあり、アスピリンではライ症候群を発症すると重篤な副作用を起こす可能性があります。
妊婦さんでは、イブプロフェンは妊娠後期に使用すると赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。

大人でも人によってはアレルギー症状などをおこす可能性のある解熱剤もあるでしょう。
年齢や、体質、状況に合わせて薬を選ぶことを忘れないようにしましょう。

内服後に注意してほしいこと

解熱剤を内服した後には注意してほしいことがあります。
解熱剤の特性として、水分をたくさん必要とする成分や、胃を荒らしてしまう成分も含まれているためです。

そのため服用には、服用のルールは守れているか、飲んだ後には効果が出ているか、副作用が強くないか、水分摂取ができているか、などを観察しましょう。

 服用間隔

解熱剤の使用は、一般的には6時間の間隔をあけます。
使用する薬によって違いがあるので、服用する薬の使用間隔を確認しましょう。

薬の間隔をあける理由としては、薬の効果がなくなってくるためや、服用が頻回になると胃を荒らしたりするなどの理由があります。

 水分補給

解熱剤にはその成分のなかに、水分を使って熱を下げる性質があります。
また、熱が出ていると身体からいつもより多く水分が出ていくために、身体は脱水に傾きます。

そのために、水分は少量ずつでよいのでこまめに取って不足しないようにすることも薬の効果を上げるために必要なことです。

 症状の変化

薬を服用すると身体に吸収されて効果が出るまでに30分から1時間くらいかかります。
服用してからしばらく待ちましょう。

また、時間の経過とともに効果があるのかないのかを観察するようにしましょう。
効果がない場合にむやみに続けていても意味がないので注意が必要です。

あまり効果のない時には、処方薬なら医師に相談し、市販薬なら薬剤師さんに相談して薬を変えてみましょう。

 副作用

服用を続けていると、解熱剤の副作用によるものは胃の痛みやむかつきがあります。
何も食べないで飲むと胃を荒らす成分で、胃の不快感をおこすことがあるので食後に服用するのが一般的です。

食事をしない場合には必ず胃粘膜の保護薬を飲んでから解熱薬を服用するようにしましょう。

まとめ

新型コロナ感染症で高熱や頭痛や関節痛が出現したら、解熱剤にはアセトアミノフェンの使用が厚労省から推奨されています。
インフルエンザや新型コロナ感染症を発症しているときにイブプロフェンやロキソプロフェンを使用することの安全性ははっきりと明確になっていないためです。

解熱剤としてアセトアミノフェンを使用する際には、用法、用量をよく守って使用しましょう。

参考文献

WHO

ロキソプロフェン 厚生労働省

アセトアミノフェンの安定供給について 厚生労働省

KEGG MEDICUS アスピリン

KEGG MEDICUS イブプロフェン

EMA は、COVID-19 に対する非ステロイド性抗炎症薬の使用についてアドバイスを提供します  EUROPEAN メディスンエージェンシー 

新型コロナワクチンについて 厚生労働省