睡眠障害の治し方は?タイプと原因を知り自分でもできる改善方法を解説

公開日: 2025/06/17 更新日: 2025/06/17
「布団に入ってもなかなか眠れない」 「たっぷり寝ても日中眠気がある」 そのような睡眠に関する悩みを抱えているものの、どうしたら治せるかと不安になっていませんか。 医療機関を受診した方がよいのか迷う方もいれば、すでに通院しているけど改善せずに悩んでいる方もいるでしょう。 睡眠障害の治療には生活習慣の改善と薬物治療があります。 しかし睡眠障害のタイプや原因など、その人に合った方法を選択することが重要です。 本記事では睡眠障害の治し方や睡眠障害のタイプ、原因について解説します。 睡眠障害に悩まされている方は、チェックしてみてみましょう。
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睡眠障害の治し方

睡眠障害の治し方には生活習慣の改善と薬物による治療法があります。

まずは自分の生活リズムを整えることが基本ですが、普段の生活のなかで避けた方がよい行動にも気をつけましょう。

たとえば、寝る直前のスマホやカフェインの摂取などは睡眠を妨げる原因になります。

睡眠障害の原因は生活の乱れやストレス、体内リズムのズレなど人それぞれです。

生活習慣の見直しに加えて、ストレスをためこまないようリラックスできる時間をつくることも睡眠障害改善につながります。

生活を整えても改善しない場合は、医師と相談のうえ薬を使うこともあります。

正しい知識を取り入れ、自分に合った治療法を取り入れることで、睡眠の質改善につながるでしょう。

生活習慣を改善する際のポイント

睡眠障害の多くは生活習慣の見直しで改善が期待できます。とくに、毎日のリズムを整えることが大切です。

日常生活で以下のポイントを意識するだけでも、睡眠の質が少しずつ整うでしょう。[1][2]

生活習慣のポイント

内容

カフェインを避ける

コーヒー・緑茶・チョコなどに含まれるカフェインは、眠りを妨げる可能性があります。とくに夕方以降は控えましょう。

アルコールを避ける

アルコールは一時的に眠気を誘いますが、途中で目が覚めやすくなります。

寝室の騒音を減らす

時計の音や外の車の音など、些細な音でも眠りを妨げることがあります。耳栓の活用も効果的でしょう。

睡眠時間を固定する

平日・休日を問わず、同じ時間に起きることで体内時計が整いやすくなります。

ストレスをためない

心理的なストレスは覚醒と睡眠障害につながります。就寝前に深呼吸やストレッチ、ぬるめのお風呂で心と体を落ち着けるのも効果的です。

適度な運動をする

軽い運動(ウォーキングやストレッチ)を日中におこなうと夜の眠りが深くなりやすいです。

睡眠障害の改善には、上記のような日々のちょっとした習慣の見直しが大切です。一度に全てを取り組む必要はありません。

まずは「朝決まった時間に起きる」「寝る前にスマホを見ない」など、できそうなことから始めてみましょう。

またストレスの原因をできるだけ取り除くことも重要です。実際にストレスが自律神経のバランスを崩し、睡眠の質を低下させると報告されています。[3]

仕事や人間関係など避けられないストレスもありますが、自分に合った方法で発散すれば質のよい睡眠につながります。

気分転換として運動や趣味を取り入れるのも睡眠障害の改善に効果的でしょう。

薬物治療のポイント

薬による治療は根本的な解決ではなく、つらい症状をやわらげるための手段です。

睡眠障害の原因はやタイプは人によってさまざまです。

  • なかなか眠りにつけない(入眠障害)

  • 何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)

  • 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)

症状のあらわれ方にも違いがあり、原因がはっきりとしないことも少なくありません。

薬を使った治療は「眠れない」「眠ってもすぐ起きてしまう」などのつらい症状の軽減につながります。

薬の処方は医師の判断によります。また、実際に薬を服用した際の効く効かないは個人差があるため医師と相談しながら薬物治療を進めるとよいでしょう。[4][6]

薬のタイプ

薬の商品名

特徴

オレキシン受容体拮抗薬

ベルソムラ

「覚醒をつかさどる」物質オレキシンの働きを抑えて眠気を促します。

メラトニン受容体作動薬

ロゼレム

睡眠リズムを整えるホルモン「メラトニン」の働きを助ける作用があります。

非ベンゾジアゼピン系

  • マイスリー

  • アモバン

  • ルネスタ

脳の活動を抑え眠りやすくします。依存性が比較的少ないタイプです。

ベンゾジアゼピン系

  • ハルシオン

  • デパス

  • サイレース

  • ダルメート

など

即効性がある薬です。ただし、長期間の使用や自己判断で量を増やすと依存のリスクもあります。医師の指示を守って使用しましょう。[5]

薬に頼ることに抵抗がある方もいるでしょう。

眠れない状態が続くと集中力の低下やミスの増加、気分の落ち込みなど日中のパフォーマンスが低下し生活に支障がでることもあります。

最近では、依存性の少ない薬も増えており、薬に抵抗がある人でも取り入れやすいです。

薬を服用するときは次のポイントに気をつけましょう。[6]

  • 服用後は車の運転や危険な作業はしない

  • 医師に指示された量や飲み方を守る

  • 自己判断でやめたり増やしたりしない

服用の注意点を守れば、薬は睡眠障害の症状をやわらげるサポートとなるでしょう。

薬物治療について不安なことがあれば、医師に相談しながら進めると安心です。

睡眠障害のタイプと原因

睡眠障害は6つのタイプにわけられます。

  • 不眠症

  • 睡眠関連呼吸症候群

  • 中枢性過眠症群

  • 概日リズム睡眠覚醒障害群

  • 睡眠随伴症群

  • 睡眠関連運動障害群

「夜なかなか眠れない」「寝ても疲れがとれない」「急に強い眠気がくる」など睡眠障害は症状も人によって異なります。

自分の症状がどのタイプに当てはまるかを知ることで、原因や対処法が見つけやすくなるでしょう。

タイプによって受診する診療科が異なる場合もあります。そのため、症状に合わせた受診先を選ぶことが大切です。

もし「何科を受診したらいいのか分からない」と悩んでしまうのであれば、まずは心療内科や精神科、メンタルクリニックなどへ睡眠に関する相談をしてみるとよいでしょう。

担当医師により原因が分かれば、適切な治療を受けられるでしょう。

診察の結果、必要と判断した場合は適切な受診科を紹介してくれるはずです。

睡眠障害の6タイプを紹介

睡眠障害は大きく6タイプに分類されます。自分の症状がどのタイプに当てはまるかを知ることで、原因や対処法が見つけやすくなります。

「眠れないのか」「眠っても休めないのか」「日中に眠くなるのか」など、自分の睡眠障害の症状と照らし合わせながら確認してみましょう。[3]

タイプ

症状(例)

特徴

不眠症

  • 入眠障害

  • 中途覚醒

  • 早朝覚醒

「布団に入ってもなかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早くに目覚めてしまう」など。疲れているのに眠れない。

睡眠関連呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(いびき・寝ている間に呼吸が止まる)

代表的なのが「睡眠時無呼吸症候群」。いびきが大きく、寝ている間に呼吸が止まる。日中に強い眠気があることも。

中枢性過眠症群

  • 過眠症

  • ナルコレプシー(日中の過度な眠気・制御できない眠気を繰り返す)

たっぷり眠っても日中に強い眠気があり突然寝てしまうこともある。「いつも眠い」と感じる方が多い。

概日リズム睡眠覚醒障害群

体内時計の乱れ

「夜ふかしがやめられない」「朝起きられない」といった生活リズムのズレ。夜勤や夜型生活の方に多い。

睡眠随伴症群

  • 睡眠時遊行症

  • 夜驚症

  • レム睡眠行動障害

寝ぼけて歩いたり、大声をあげたり、寝言や夢の中で体を動かしたりする。周囲の人から指摘されて気づくケースもある。子どもに多い。

睡眠関連運動障害群

  • むずむず脚症候群(足がムズムズして眠れない)

  • 周期性四肢運動障害(寝ている間に足がピクピク動く)

足の不快感やピクッと動くことで眠りが浅くなる。

たとえば眠りが浅いと感じている場合でも、ただの不眠ではなく「睡眠関連運動障害群」や「睡眠関連呼吸症候群」が背景にある可能性があります。

生活習慣を改善するためのセルフケアも大切ですが、自分の睡眠障害の状態を知っておくことも大切です。無理をせず医療機関への相談も考えましょう。

睡眠障害となる主な原因

睡眠障害の原因はさまざまです。ひとつだけでなく、いくつかの原因が重なっておこるケースもあります。当てはまる原因があるかを確認してみましょう。[7]

  • ストレスや悩み

  • 不規則な生活リズム

  • アルコールやカフェインの摂取

  • 環境(光・音・温度)

  • 薬の副作用

  • 体の病気や精神的な疾患

日常生活での行動が気づかぬうちに睡眠障害の原因となっていることもあります。

たとえば仕事や家庭の悩みが無意識にストレスとなり、脳が休まらなくなっているケースもあるでしょう。

カフェイン入りの飲み物を寝る直前まで飲んでいたり、寝室が明るすぎたりすることも原因になりえます。

また、服用している薬の副作用など自分では気づきにくいこともあるのです。

原因がよくわからないと感じている方は、生活習慣や体調の変化、環境の変化を一度見直してみましょう。

日常生活の行動を見直しても改善しない場合は、なんらかの病気や精神的な疾患が隠れている可能性があります。自己判断せず、はやめに医療機関を受診しましょう。

重症度ってわかるの?

睡眠障害は、専門的なチェックシートを使って睡眠の質を評価します。

睡眠に関する悩みがあっても、自分の睡眠の状態は判断しづらいものです。医療機関では「ピッツバーグ睡眠質問票」という評価が用いられることが多いです。[8]

  • 寝ついた時間や目覚めた時間

  • 睡眠時間

  • 睡眠の質

  • 日中の眠気

  • 睡眠薬服用の有無

自分の睡眠について、上記のようなチェック項目を点数化して睡眠の質を評価します。

点数が高いほど睡眠の質が悪いと評価され、治療が必要かどうかの目安になります。[9]

睡眠の悩みが続く場合は放置せず、医療機関で睡眠の質を評価してもらうのもよいでしょう。

睡眠障害が改善する きっかけはあるの?

睡眠障害では、原因に合った対処や治療が治るきっかけとなります。

睡眠障害の多くの場合、一人ひとりに合った方法で少しずつ改善するものです。早めに原因に気づき、対処しましょう。

たとえば、ストレスや生活リズムの乱れが原因の睡眠障害は、環境を整え、就寝前にリラックス習慣を取り入れると改善するケースもあります。

睡眠時無呼吸症候群など原因がわかっている場合は、生活習慣の改善や医療機器での治療が治るきっかけとなるでしょう。

突然治ることはあるの?

基本的に睡眠障害が突然治ることはあまりありません。

睡眠障害の多くの場合は、ストレスや生活リズム、環境など複数の原因が少しずつ影響しているためです。

「ある日突然ぐっすり眠れるようになった」という方もいますが、まれなケースです。

知らず知らずのうちに生活習慣の改善や適切な治療を継続してきた結果として、症状が少しずつ改善しているといった可能性もあります。

焦らず生活習慣を整え、症状に応じて医療機関で医師に相談しながら段階的に改善につなげましょう。

よくある質問

睡眠障害の治し方について「何から始めたらいい?」と疑問に思うことも多いでしょう。

睡眠障害の治し方についてよくある質問をまとめました。

睡眠障害を自分で治す方法はありますか?

睡眠障害を自分で改善する方法はあります。

もし生活リズムが乱れているのであれば、ストレスやカフェイン、アルコール摂取が原因である可能性が高いです。

毎日気にせずにおこなっていた習慣が、実は睡眠障害に繋がっているということもあるため、ご自身の生活ルーティンも見直してみましょう。

  • 毎朝同じ時間に起きて日光を浴びる

  • 夜はスマホを見すぎない

  • 夕方以降はカフェインを控える

日常生活の基本的な習慣を整えると睡眠の質が改善されるケースがあります。まずは自分にできることから実践してみましょう。

ただし体の病気や精神的な疾患、薬の副作用などが原因の場合は生活習慣の見直しだけでは改善が難しいこともあります。

高血圧や糖尿病、心疾患と言った生活習慣病が原因で睡眠障害が起きている可能性も否定できません。

また精神的な疾患で言えば、うつ病などを併発しているケースもあるため、体調に少しでも違和感があるなら無理をせず医療機関に相談することも大切です。

不眠症の治し方で いいツボはありますか?

東洋医学では「神門(しんもん)」「失眠(しつみん)」などのツボが不眠の緩和に効果があると期待されています。

  • 神門(しんもん):手首の内側・小指側の腱の内側

  • 失眠(しつみん):足のうら・かかとの中央の窪み

ツボはリラックスにつながるものの、効果には個人差があります。

ツボだけで不眠症が治るというよりリラックスするひとつの手段としてとらえましょう。

不眠症の治し方で食べた方が良い食べ物はなんですか?

海外の研究では「地中海パターン(魚、野菜、果物、ナッツ・豆類を中心とした食事)」が睡眠の質改善によい影響を与える可能性があると報告されています。[2]

ただし睡眠改善に効果が期待できる特定の食品は明らかになっていません。

まとめ|睡眠障害の原因を知り自分のペースで治していこう

睡眠障害の治し方は生活習慣の見直しや薬物療法があります。

睡眠障害は6つのタイプに分類され、それぞれ症状や原因も異なります。まずは、自分の睡眠障害がどのタイプに当てはまるかを知ることが大切です。

原因に合った対処が、睡眠障害を治すきっかけとなります。

ただし、急に睡眠障害が治ることはあまりありません。焦らず生活習慣を整え、自分のペースで治すことが大切です。

生活リズムや睡眠環境の見直しをおこなっても睡眠障害が改善しない場合は、無理せず医療機関に相談しましょう。

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参考文献

[1]睡眠がメンタルヘルスに与える影響に関する研究動向と今後の展望

[2]健康づくりのための睡眠ガイド 2023

[3]身体運動によるストレスへの対策

[4]睡眠障害ガイドライン わが国における睡眠問題の現状

[5]重篤副作用疾患別対応マニュアル 令和3年3月 厚生労働省

[6]睡眠薬の適正な使⽤用と休薬のための診療療ガイドライン ー出⼝口を⾒見見据えた不不眠医療療マニュアルー

[7]成人のためのGood Sleepガイド

[8]ピッツバーグ睡眠質問票

[9]重症患者の睡眠管理

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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