レクサプロで性格や振る舞いが変わると言うのは本当?戸惑ったときの対処法についても解説

公開日: 2025/10/28 更新日: 2025/10/28
「身近な人に最近怒りっぽくなったねと言われてしまった」 「レクサプロを服用してから、家族への振る舞いが変わったように感じる」 レクサプロを服用し始めてから性格や振る舞いが変わったと言われると、不安や戸惑いを感じますよね。 ましてや怒りっぽくなったと身近な人に言われてしまった場合は、どうしたら良いのか悩んでしまうでしょう。 この記事では、レクサプロを服用すると本当に性格や振る舞いが変化するのかどうかについて、薬の特徴や効果とともに解説します。 服用後にイライラしてしまうときの対処法も紹介するので、自身の変化に戸惑った場合の参考にしてください。
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レクサプロを服用すると「性格が変わる」と感じることはあるのか?

レクサプロを服用しても本来の性格が根本的に変わるわけではありません。

レクサプロは脳内の気分の安定を調整する神経伝達物質であるセロトニンのはたらきを調整し、気分の落ち込みや不安の症状をやわらげる薬です。

薬の効果によって一時的に感情が落ち着かなくなったり、行動の安定化がみられるケースが報告されています。

服薬初期には「アクチベーションシンドローム」と呼ばれる不安感、焦り、イライラ、不眠の症状があらわれることがあります。[1]

その結果、周囲の人から「以前より荒っぽくなった」と感じられてしまうのです。

ただし不安感やイライラ感は、服用している全ての人にあらわれるわけではありません。

またレクサプロのはたらきによって脳内のセロトニン量が増え、気分が安定し、性格が穏やかになったと感じる場合もあります。[2]

性格そのものが変化したのではなく、薬による副作用の一時的な影響や症状の改善によるものと考えられます。

怒りっぽくなる

「怒りっぽくなった」と感じる原因は、レクサプロの服用し始めや用量を増やした直後のイライラや不安、焦りなどの「アクチベーションシンドローム」と呼ばれる症状です。[1]

「アクチベーションシンドローム」はレクサプロによって脳内のセロトニンが過剰に増えると起こります。

もともと穏やかな人でも服用を始めた1〜2週間は「些細なことでイライラする」「感情をコントロールするのが難しい」と感じることがあります。

「アクチベーションシンドローム」のおもな症状は以下のような幅広い症状です。[1]

  • 不安

  • 焦り(焦燥感)

  • パニック発作

  • 眠りにつきにくい

  • イライラ感

  • 落ち着きがない

  • 座ったままでじっとできず動き回ってしまう

  • 気分が高まり怒りっぽくなる

薬の効果が安定してくるにつれて、次第に良くなってくることが多く、長く続くわけではありません。

また個人差で症状があらわれる人もいれば、あらわれない人もいます。

穏やかになる

レクサプロを続けて服用すると、気分や感情を安定させるはたらきをもつセロトニンによって、不安や緊張がやわらぐため穏やかになったと感じることがあります。

レクサプロの効果は神経伝達物質であるセロトニンの取り込みをブロックして、脳内のセロトニン量を増やすことです。

セロトニン量が徐々に増えると以前は不安が強くイライラしやすかった人も、小さなことでも動じなくなり、周囲の人が「表情が柔らかくなった」「落ち着いた印象になった」と感じるのです。

レクサプロの継続的な使用によってセロトニンのはたらきを徐々に整え感情のコントロールをおこなえるようになります。

レクサプロを含むSSRIの特徴や効果について

レクサプロはSSRIという抗うつ薬の一種で、気分が落ち込むうつ病やうつ状態、強い不安や恐怖を感じる社会不安障害などに効果的です。[3]

SSRIとは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」と呼ばれるもので、脳内のセロトニンの回収をブロックする作用をもちます。

この作用によりセロトニンが脳内で長くとどまり、強くはたらくことで気分の落ち込みや不安などの症状の改善につながります。

SSRIの薬を飲み始めて効果が出るまでには、少なくとも2~4週間、場合によっては6週間かかるため、すぐに効果が出てくるわけではありません。[4]

しかし継続して服用すれば効果の持続性が高く、依存性もほかの抗うつ薬と比較して低いためよく治療に利用されています。

レクサプロは気分や感情を安定させて、以下のような効果を発揮します。

  • うつ症状(ゆううつな気分、意欲の低下、何に対しても興味がわかないなど)の改善

  • 不安や緊張、焦燥(しょうそう)感の軽減

  • 対人関係における不安や恐怖、緊張の軽減

  • 不眠症状の改善

SSRIはうつ症状や不安症状に対する治療薬として有効性や効果の持続性が認められており、依存性が比較的少ないため、うつ病などの治療の第一選択薬としても知られています。[5]

レクサプロの副作用

レクサプロの副作用として多くみられるのは眠気や気持ち悪さなどの症状です。

そのほかにも消化器症状や精神症状、循環器症状など幅広い症状が報告されています。[2][6]

副作用の頻度

おもな副作用

5%以上

  • 体のだるさ

  • 日中の眠気

  • 気持ち悪さ

  • ふわふわしためまい

  • 頭痛

  • 口の渇き

1~5%未満

  • あくびが出やすい

  • 不眠症

  • 立ち上がったときのめまい

  • イライラしやすい、焦っている

  • お腹の不快感、腹痛

  • 下痢、便秘

  • 食欲が出ない

  • 吐き気

  • 脈が速くなる

  • おしっこが出にくくなる

  • 射精障害

  • 耳鳴り、ぐるぐるとしためまい

1%未満

  • やる気が起きない

  • 熱っぽい、発熱、寒気

  • 疲れやすい

  • 発疹、じんましん

  • 悪夢や異常な夢をみる

  • 鼻血が出やすい

  • 筋肉痛、関節痛

  • 味覚の異常

レクサプロはほかの抗うつ薬と比べても比較的安全性が高い薬ですが、服用中にはさまざまな副作用が生じる可能性があります。

とくにレクサプロの服用し始めや増量時には、副作用に気をつけながら慎重に服用しましょう。

吐き気はいつまで続くのか

レクサプロを服用し始めたときに生じやすい吐き気は、多くの場合1~2週間程度で次第に軽くなっていきます。

服用開始直後は体が薬に適応していない状態にあり、セロトニンの作用によって消化管や神経系に刺激を与えやすいです。

そのため吐き気などの消化器系の副作用が出やすくなります。

吐き気は頻度が比較的高い副作用の一つですが、薬のはたらきに体が慣れてくれば症状はやわらいでいくケースが多いです。

ただし副作用は個人差があるため、胃への刺激に敏感な方の場合は、吐き気が2〜3週間続くこともあります。

吐き気の症状が3週間以上長引く場合や強い不快感がある場合には、早めに医療機関を受診して医師に相談しましょう。

太る可能性は?

レクサプロで体重が増える可能性はありますが、個人差の影響が大きく必ず太るとは限りません。

体重増加は薬による代謝の変化や食欲の亢進、活動量の変化など複数の要因が重なって生じることがあり、レクサプロの副作用として1%未満の割合で体重増加があらわれることも報告されています。[2]

またレクサプロを52週間投与して、長期投与の安全性や有効性を検討した調査では、短期の投与と比較し体重が増加する割合が多くみられました。[7]

レクサプロによる体重増加は、可能性として完全に否定できないですが、頻度は高くなく必ず起こるものではありません。

服用中に体重の増加が気になる場合は、まずはバランスのとれた食事を心がけたり適度な運動をおこなうと改善が期待できます。

食生活や運動習慣の見直しをおこなっても改善しない場合は、医師に相談して用量を減らしたり、ほかの薬に切り替えたりすると解決につながるでしょう。

レクサプロでイライラする副作用があらわれたときの対処法

レクサプロの服用によるイライラを感じた場合は、すぐに自己判断で中止せず、主治医と相談しながら以下の方法を用いて適切な対処をとることが重要です。

対処法

具体例

レクサプロの減量または漸減中止

レクサプロの量を調整し徐々に減量する。徐々に減らして最終的に服用を中止することもある。

ベンゾジアゼピン系薬剤の併用

初期段階に限り、短期間に併用することが有効とされている。[1]

長期のベンゾジアゼピン系薬剤との併用は依存性が高くなるため、おこなわない。

ストレスの緩和

十分な休息をとりストレスを緩和する。深呼吸、軽い運動、趣味の時間をとるなど、感情の波をやわらげる工夫をする。

イライラや焦燥(しょうそう)感は、抗うつ薬を服用し始めたときや増量したときに、薬の作用に体がついていけず症状が出てしまう「アクチベーションシンドローム」と呼ばれる副作用の一種である可能性があります。

薬の用量が多いために効果が強くあらわれてしまったりするケースも考えられます。

そのため薬の調整やほかの薬を併用しながら治療を続けるなど以下のような対策をおこないましょう。

「アクチベーションシンドローム」は一時的な症状ですが、強い不快感が続いたり我慢できない状態になったりする場合は、必ず主治医に相談してください。

よくある質問

レクサプロやSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の効果についてよくある質問に回答します。

レクサプロの効果に対する不安を解消したい人は参考にしてください。

レクサプロは怒りっぽくなりますか?

レクサプロの服用により一時的に怒りっぽいと感じることがありますが、多くは時間とともに落ち着きます。

服用初期や増量時に脳内のセロトニンが増加し、神経が活発になりイライラ感や衝動性が出ることがあるためです。

症状の多くは数日〜2週間ほどで軽減しますが、強いイライラが続く場合や生活に支障があるときは、自己判断せず医師に相談しましょう。

SSRIは性格を変える傾向がありますか?

SSRIは基本的に性格そのものを変える薬ではありません。

SSRIは脳内のセロトニンを増やして気分の落ち込みや不安をやわらげるもので、人格や価値観を変える作用はないためです。

ただしうつ症状や不安が改善することで、以前の明るさや積極性が戻り「性格が変わったように感じる」ことがあります。

レクサプロが効いている証拠は何ですか?

日常の中で少しずつ前向きな変化を実感できるようになってきていることが、レクサプロが効いている証拠です。

気分の安定や不安の軽減、生活リズムの改善といった前向きな小さな変化が積み重なることで効果を実感できます。

  • 気持ちの落ち込みが少なくなった

  • イライラや焦りが減った

  • 漠然とした不安や緊張感が減った

  • 物事への興味や意欲が少しずつ戻ってきた

  • 睡眠の質が改善され寝つきやすくなった、途中で目覚めにくくなった

  • 以前は負担に感じていたことに取り組みやすくなった

上記のように気分や不安の症状が少しずつ軽くなっていることが、レクサプロが効いているサインです。

まとめ|レクサプロで性格や振る舞いがいつもと変わったと感じたら医師に相談を

レクサプロは性格そのものを変える薬ではありませんが、服用し始めには不安やイライラなどの副作用が出て「怒りっぽくなった」ようにみえることがあります。

レクサプロを継続して服用している場合には、脳内のセロトニンの作用が安定するにつれて、不安がやわらぎ「穏やかになった」と感じられるケースもあります。

これらは一時的な副作用や症状の改善による変化であり、心配しすぎる必要はありません。

強いイライラ感が続き、生活に支障が出ているなどの場合は、早めに医師へ相談することが大切です。

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参考文献

[1]Q:抗うつ薬によるactivation syndromeとはどういうものか?

[2]選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)

[3]総説 うつ病治療におけるSSRIの 意義

[4]抗うつ薬はどの様にうつ病に効果をもたらすか?― SSRI と NaSSA の比較 ―

[5]社交不安症はどこまで薬物療法で治せるか

[6]医薬品インタビューフォーム

[7]レクサプロ錠10mgに関する資料

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。

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    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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