睡眠障害の特徴とは?症状の種類・診療科の選び方・治療法を解説

公開日: 2025/06/28 更新日: 2025/06/28
「なかなか寝つけない」 「夜中に何度も目が覚める」 「日中に眠くて仕方がない」 そんな睡眠の悩みを感じていませんか。 実は睡眠の悩みを抱えている方は少なくありません。 実際に、厚生労働省の報告によると日本人の約5人に1人が「睡眠で休養を取れていない」と感じた経験があるとされています。 睡眠の悩みを持つ人は多いですが、実は一時的な疲れではなく睡眠障害などの病気が隠れている場合があります。 睡眠障害は不眠だけでなく、過眠や睡眠中の異常行動など60種類以上の病気の総称です。 放置すると、体や心にさまざまな不調をもたらす可能性もあるため早めの対処が大切です。 本記事では、睡眠障害の特徴や種類、受診すべき診療科や治療方法について解説します。 最近なんとなく眠れないという方も、睡眠障害の特徴が当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
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睡眠障害の特徴4つ

睡眠障害は「眠りに関するさまざまな病気」の総称で、おもに4つの特徴があります。[1]

睡眠障害の特徴

具体例

睡眠時間に問題がある

  • 眠れない

  • 途中で目が覚める

  • 寝過ぎてしまう

睡眠の質が悪くなる

いびきや無呼吸などでぐっすり眠れない

睡眠中に異常行動があらわれる

  • 寝ぼけて歩く

  • 大声を出す

  • 夢の内容に反応して体が動く

日中のパフォーマンスが低下する

  • 強い眠気

  • 集中力の低下

  • 気分の落ち込み

「不眠症=睡眠障害」と思われがちですが、実は不眠症は睡眠障害のひとつの病気にすぎません。

ほかにも睡眠障害には過敏症や睡眠時無呼吸症候群など60種類以上の病気が含まれます。

睡眠障害の特徴に1つでも当てはまると、日常生活に支障をきたす可能性があります。

睡眠時間に問題がある

人間の体と心は適切な時間、質の良い睡眠をとることでバランスを整えています。

しかし、睡眠障害があると「十分に眠れない」「逆に寝過ぎてしまう」といった状態となり、日常生活にさまざまな支障があらわれるのです。

「十分に眠れない」状態には以下のようなパターンがあります。

  • 寝つきが悪い(入眠困難)

  • 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)

  • 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)

  • 多忙で睡眠時間が確保できない

一方「寝過ぎてしまう」状態には以下のような原因が考えられます。

  • 疲労回復のため長時間睡眠

  • 病気や薬の影響

  • 時差ぼけ

短時間睡眠でも元気に過ごせる「ショートスリーパー」や長時間眠る体質の「ロングスリーパー」は、本人の体質であれば問題ありません。

また一時的な睡眠障害や寝過ぎであれば心配ないでしょう。

しかし慢性的に睡眠時間の問題が続き日中の生活に支障をきたしている場合は、睡眠障害の可能性があるため早めに医療機関に相談しましょう。

睡眠の質が悪くなる

しっかり眠ったつもりでも「疲れが取れない」「日中に強い眠気を感じる」と感じる場合、睡眠の質が悪くなっている可能性があります。

睡眠の質を悪くするおもな原因は、以下のような睡眠中の無意識な行動にあります。

  • いびきや一時的な無呼吸

  • 歯ぎしり

  • こむら返り

  • 寝相の悪さ

睡眠が何度も妨げられ、途中で目が覚め浅い眠りが繰り返されることで、ぐっすりと眠ったという実感を得にくくなります。

とくにいびきや呼吸の中断、歯ぎしりといった睡眠障害は、本人が自覚しにくいのが特徴です。

自分では普通に寝ていると思っていても、家族から「いびきがひどい」「寝ているときに息が止まっていた」と指摘されて初めて気づくことも少なくありません。

自覚症状だけで判断せず、家族やパートナーの観察も重要です。

睡眠中に異常行動などがあらわれる

睡眠中の叫び声や暴力など、通常では起こりえない行動も睡眠障害の一つです。たとえば、以下のような行動も睡眠障害の一部です。

  • 寝ている間に突然叫び声をあげる

  • 無意識のうちに食べ物を食べている

  • 寝ている家族に殴りかかってしまう

夜尿症や夜間頻尿、金縛り、悪夢なども睡眠中に生じる症状の一例です。

症状が繰り返されると結果として睡眠の質が低下し、日中の体調や集中力に悪影響を及ぼします。

とくに過眠症の場合、入眠時にリアルな悪夢を見たり、金縛りにかかったりする症状があらわれやすいとされています。

日中のパフォーマンスが低下する

睡眠障害は夜間の眠りに問題があるだけでなく、日中の生活にも大きな影響を及ぼします。

その結果、十分な休息がとれず、集中力の低下や感情の不安定さなど、日常生活に支障をきたすような不調があらわれるのです。

  • 頭がぼんやりして集中できない

  • 眠気が取れず、仕事や家事にやる気がでない

  • いつもより怒りっぽくなる、イライラが増える

  • 逆に興奮して落ち着きがなくなる(子どもに多い)

睡眠障害のタイプによって、日中にあらわれる症状は異なります。

不眠タイプ

  • 倦怠感

  • 集中力の低下

  • イライラ

  • 意欲の低下

  • 不安や心配

過眠タイプ

  • 強い眠気

  • 仕事中や会話中でもうとうとする

  • 起きられない

子どもに多くみられる

  • 不機嫌

  • 多動

  • 集中力の低下

  • 成績の不振

過眠症の場合、自分ではコントロールできないような眠気が毎日続き、会話中や打ち合わせ中でさえ眠ってしまうこともあるのです。

子どもの場合、落ち着きがなかったり、すぐに癇癪(かんしゃく)を起こしたりすると、睡眠がうまく取れていないサインかもしれません。

眠そうに見えないため気づきにくいですが、学校の成績や日常生活に影響が出ている場合は注意してみてあげるとよいでしょう。

睡眠障害の種類とそれぞれの特徴

睡眠障害には60種類以上もの病気が含まれています。症状も「眠れない」だけでなく「寝過ぎてしまう」「寝ている間に異常な行動をとる」などさまざまです。[1]

代表的な睡眠障害の種類と特徴を以下の表にまとめました。症状の特徴や原因をチェックしてみて「自分にも当てはまるかも?」と感じた方は、受診やセルフケアなど早めの対策を検討しましょう。

[2][3][4]

睡眠障害の種類

症状の特徴

おもな原因

不眠症

  • 夜なかなか眠れない

  • 夜中に目が覚める

  • 朝早く目が覚める

  • ストレス

  • 生活習慣の乱れ

  • 不安

  • うつ

過眠症

  • 日中に強い眠気が続く

  • 突然眠ってしまうこともある

  • ストレス

  • 脳の働きの異常

  • 薬物

概日リズム睡眠障害

寝る時間や起きる時間がずれてしまう

  • 夜勤

  • 時差ぼけ

  • 不規則な生活

睡眠呼吸障害

  • 寝ている間に呼吸が止まる

  • いびきがひどい

睡眠時無呼吸症候群

周期性四肢運動障害

寝ている間に足がピクピク動く

原因不明のことが多い(鉄不足や神経の異常なども関係するケースがある)

むずむず脚症候群

足がムズムズして眠れない

  • 鉄不足

  • 神経の異常

睡眠時遊行症・夜驚症

寝ぼけて歩いたり、大声をあげたりする

原因不明のことが多い(子どもに多い。ストレスや睡眠不足が関係するケースがある)

レム睡眠行動障害

夢の内容にあわせて体が動いてしまう

原因不明のことが多い(脳の異常やパーキンソン病と関連することもある)

睡眠障害のなかでも最も多くの人が経験しているのが「不眠症」です。[5]

厚生労働省の報告によると、日本人の約5人に1人が「睡眠で休養を取れていない」と感じた経験があり、不眠の悩みは身近なものとなっています。[6]

「病気」と聞くと特徴的なサインがあるように思われますが、睡眠障害は「たまたま疲れているだけかも」と見逃されがちです。

上表のような症状がみられる場合は、睡眠の質やリズムを見直してみましょう。

睡眠障害を放っておくとどうなる?

睡眠障害を放っておくと、体や心にさまざまな不調を引き起こす可能性があります。[7]

睡眠障害は高血圧や糖尿病、うつ病の原因となることがわかっています。逆に、病気が原因で睡眠の質が悪くなるという悪循環に陥ってしまうケースもあるのです。

人の体は、眠っている間に血圧や血糖値を調整したり、ホルモンバランスを整えたり、免疫力を回復させたりといったメンテナンス作業をおこなっています。[8]

睡眠が足りない、または質が悪いと、体にとって重要な働きが妨げられてしまうのです。

その結果、体のバランスが崩れ、生活習慣病や心の不調につながってしまいます。

ぐっすり眠ることは、健康の大切な要素です。睡眠障害は生活習慣の見直しや医療機関への相談で改善できるケースも多いため、早めに相談すると良いでしょう。

睡眠障害はまず何科を受診すれば良い?

睡眠障害の症状に応じて「心療内科」「精神科」「呼吸器内科」などの診療科や「睡眠外来」などの診療科を受診するとよいでしょう。

確認しておくべきことは「睡眠以外に気になる症状があるかどうか」です。

たとえば、眠れないだけでなく気分の落ち込みや不安がある場合は心療内科や精神科が適しています。

心療内科や精神科を含む「メンタルクリニック」を受診するのも選択肢のひとつです。

いびきがひどく、寝ている間に呼吸が止まっているかもしれない場合は呼吸器内科を受診するとよいでしょう。

また生活習慣病などの持病がある人は、まずはかかりつけ医に相談するのも一つの方法です。

「睡眠外来」や「いびき外来」など、睡眠障害を専門に診療する医療機関も増えています。近隣の医療機関を調べてみるのもよいでしょう。

どこの診療科を受診したらよいか悩んでいるうちに症状が長引いてしまうこともあります。

まずは気になる症状を整理して、身近な医療機関やオンラインのメンタルクリニックなどに相談するとよいでしょう。

睡眠障害の治し方

睡眠障害を治すためには、医療機関での治療と生活習慣の見直しが大切です。

症状に応じた適切な治療を受けることが改善への第一歩ですが、日々の習慣を少し変えるだけでも睡眠の質改善につながります。

  • 寝る前のスマホやカフェインを控える

  • 毎日同じ時間に寝て起きる

  • ストレスをためない

  • リラックスタイムを作る

  • 適度に体を動かす

ただし睡眠障害にはさまざまなタイプがあり、人によって適切な治療法や対処法は異なります。

自分にはどんな対処法が合っているかを知るためにも、症状がつらいときや長く続く場合は医療機関を受診しましょう。

医療機関での治療法

医療機関では睡眠障害の種類に応じて薬物治療や外科的な処置をします。睡眠衛生指導や認知行動療法などが行われる場合もあります。

治療法

特徴

薬物療法 [9]

不眠に対して睡眠薬などが処方されます。

近年の睡眠薬は依存性の少ない新しいタイプのものもあります。

睡眠薬に不安なイメージがある方は医師に相談しながら治療を進めるとよいでしょう。

CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)[10]

睡眠時無呼吸症候群の治療に用います。睡眠中に鼻に空気を送る機器を装着して、気道を確保します。

マウスピースや手術

気道の形状や口内環境によって、歯科的な処置や外科的な対応が選ばれることもあります。

睡眠衛生指導

睡眠や生活習慣、寝室環境を見直したり、日中の活動量を調整するなど、日常生活の中でできる対策について指導を受けながら改善を目指します。

精神療法(認知行動療法)

医師やカウンセラーの指導のもと、睡眠に関する考え方や行動を見直すことで改善を目指します。

不眠が続いている場合には薬物療法、いびきや無呼吸がある場合はCPAP療法やマウスピースが選ばれるなど、症状や原因によって適した治療法は異なります。

まずは医師に相談し、自分に合った治療を受けましょう。

自分でできる対処法

自分でできる対処法は生活習慣を見直すことです。睡眠の質は日々の過ごし方や環境に左右されます。日常で取り入れやすい工夫で睡眠の質が改善されるケースもあります。[11]

対処法

内容

毎日同じ時間に寝て起きる

体内時計が整い、自然な入眠につながります。

寝る前のスマホやカフェインを控える

スマホの光やコーヒーなどは脳を興奮させてしまい、寝つきが悪くなります。

ストレスをためない

イライラや不安があると脳が休まらず睡眠の質が下がります。

リラックスタイムを作る

寝る前に音楽を聴いたり、読書をしたりリラックスできる時間をとると良いでしょう。

適度に体を動かす

日中に軽く体を動かすと、夜ぐっすり眠れる体につながります。

生活のなかで少し気をつけるだけで、睡眠は変わってきます。自分でできる対処法を試してみるとよいでしょう。

睡眠障害のよくある質問

睡眠障害について、おもな症状や日常生活への影響について、疑問に思うことも多いでしょう。睡眠障害についてよくある質問をまとめました。

睡眠障害の主な症状は?

睡眠障害でよくみられる症状のひとつが「不眠」です。不眠の場合、おもに4つの症状があらわれます。

  • 入眠困難:布団に入ってから眠るまで30分〜1時間以上かかる

  • 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める

  • 早朝覚醒:朝早く目が覚めてしまい、そこから眠れない

  • 熟眠障害:眠ったはずなのに寝た感じがしない

不眠だけでなく過眠の方でも日中に眠気が強くなるのが共通した症状です。「会議中にうとうとしてしまう」「育児をしていても眠くなる」など日中の活動に支障があるケースもあります。

睡眠障害で一番多いのは何?

一番多い睡眠障害は不眠症です。

ただし一時的な不眠の場合は、治療の必要はありません。

目安として、1か月以上不眠状態が続いていて日中の生活に支障がある場合は、早めに医療機関の受診を検討しましょう。[2]

睡眠の質が悪くなるとどうなる?

睡眠の質が悪いと、朝起きても疲れが取れず、日中のパフォーマンスにも影響がでます。

質のよい睡眠は、朝起きたときにスッキリ感があるかどうかが一つの目安です。

たとえば、毎晩6時間寝ているのに「だるさが抜けない」「集中力が続かない」と感じる方は、睡眠の質が悪い可能性もあります。

何時間寝たかではなく、質のよい睡眠が取れたかどうかを意識するとよいでしょう。

まとめ|満足に眠れない、または日中の眠気が続く場合は睡眠障害の可能性あり

睡眠障害は「眠れない」「寝過ぎてしまう」「寝ている間に異常な行動をとる」など、さまざまな症状があらわれます。

不眠症や過眠症、睡眠時無呼吸症候群など60種類以上もの病気が含まれ、原因や治療法もさまざまです。

睡眠障害のおもな特徴は4つです。

  • 睡眠時間に問題がある

  • 睡眠の質が悪くなる

  • 睡眠中に異常行動があらわれる

  • 日中のパフォーマンスが低下する

放置すると日常生活に支障をきたすだけでなく、高血圧や糖尿病、うつ病などの病気につながる可能性もあるのです。

睡眠に関する悩みが続いているときは「ただの疲れ」や「年のせい」と思わず、早めに医療機関に相談しましょう。

近年では睡眠障害を専門とする睡眠外来などもあるため、自分にあった医療機関を選ぶことも大切です。生活習慣の見直しとあわせて、適切な治療を受けましょう。

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参考文献

[1]睡眠障害の症状:本多真

[2]健康づくりのための睡眠ガイド 2023

[3]睡眠関連運動障害 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部

[4]標準的神経治療:Restless legs症候群

[5]健康づくりのための睡眠指針検討会報告書

[6]令和4年 国民健康・栄養調査結果の概要

[7]生活習慣病と睡眠障害

[8]睡眠と循環器疾患

[9]Evidence‐based insomnia treatment strategy using novel orexin antagonists: A review - PMC

[10]睡眠障害の治療

[11]成人のためのGood Sleepガイド

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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