うつ病やパニック障害の治療で用いられるジェイゾロフト(セルトラリン)の効果とは?副作用についても解説

公開日: 2025/10/17 更新日: 2025/10/17
「ジェイゾロフトってどのくらい効果があるの?」 「なんとなく副作用が怖い」 知らない薬が初めて処方されたときは、効果や副作用について確認したくなりますよね。 ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)は、うつ病やパニック障害などの治療に使われる薬です。 気分の落ち込みや強い不安をやわらげる効果が期待できますが、正しく理解しないまま服用を続けるとかえって不安が大きくなるかもしれません。 この記事では、ジェイゾロフトの効果や副作用についてくわしく解説します。 服用するうえでの注意点についてもお伝えしますので、薬への理解を深め安心して治療と向き合っていきましょう。
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ジェイゾロフト(セルトラリン)の効果

ジェイゾロフトは気分の落ち込みや不安な気持ちをやわらげる作用をもち、おもに以下の症状に処方されます。[1]

  • うつ病・うつ状態

  • パニック障害

  • 外傷後ストレス障害

ジェイゾロフトは抗うつ薬のなかでも「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)」というタイプに分類されます。

SSRIは、脳のなかにある「セロトニン」という気分を安定させる物質の効果を長持ちさせる薬です。[1]

セロトニンは神経細胞から出てきてもすぐにとり込まれてしまうため、十分に働けないことがあります。

SSRIはセロトニンがとり込まれるのを防ぎ、セロトニンが長く働けるようにします。その結果セロトニン濃度が高まり、気分の落ち込みや不安が少しずつおだやかになるのです。

また「うつ病・うつ状態に対する再燃抑制効果」が確認されており、飲み続けることで再び症状が出るのを防ぐ効果もあります。[1]

ジェイゾロフトは気分を安定させる薬で、症状の再発を防ぐ目的でも処方されることがあると認識しておきましょう。

ジェイゾロフトの特徴

即効性はありませんが、少しずつ効果を発揮するのがジェイゾロフトの特徴です。

このほかの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 1日1回服用のため飲み忘れにくい[1]

  • OD錠やジェネリックなどの選択肢がある

  • SSRIのなかでは吐き気の副作用がみられにくい[2]

  • 薬物相互作用が少ない[1]

  • 比較的離脱症状が起こりにくい

ジェイゾロフトは、個人差はありますが従来の抗うつ薬に比べて吐き気や眠気といった副作用がみられにくい薬です。

SSRIのなかでも肝臓の代謝酵素(CYP)へ影響しにくく、持病で併用薬がある人に使いやすい特徴もあります。

服用を急にやめたときに起こる「離脱症状」が起こりにくいといわれていますが、長く服用していた人が服用をやめるときは徐々に服用量を減らす必要があります。

症状が悪化する場合があるため、体調が良くなったり自分に合わないと思ったりしても自己判断で中止や減量しないようにしましょう。

ジェイゾロフトは効くまでにどれくらいかかる?

ジェイゾロフトの効果がみられるには、およそ1週間程度かかります。[3]

抗うつ薬の効果がみられるのには時間がかかることも多く、効果がみられはじめるまでに約13日、十分な効果を発揮するまでに約20日かかるといわれています。[4]

ジェイゾロフトの効果発現がほかの抗うつ薬に比べて特別に遅いわけではないため、効果がみられなくても過度に心配しないようにしましょう。

また通常は少量から服用を開始することも、飲みはじめに効果を感じられない原因のひとつです。

経過を見ながら医師の判断で増量するケースもありますので、自己判断で服用をやめないようにしましょう。[2]

ジェイゾロフトの副作用

服用開始から1〜2週間に「吐き気」の副作用がみられることがありますが、ほかのSSRIに比べると頻度は少ないです。[2]

飲み続けるうちに慣れていく場合も多く、臨床試験によると投与初期に副作用がみられた人では9日以内に副作用がなくなったというデータがあります。[1]

ただし食事や水分摂取がしにくくなるほどひどい場合は、服用を中止することもあるため早めに医師に相談しましょう。

ジェイゾロフトの服用中は、吐き気のほか以下の副作用がみられる可能性もあります。

どのような症状が副作用の症状なのか、以下の表でチェックしておきましょう。[1]

神経系の症状

日中に眠気がある、夜に眠れない、頭痛やめまいがある

消化器系の症状

口のなかが乾きやすい、下痢・便秘・腹痛がある、食欲が低下する

そのほか

心臓がどきどきする、身体のだるさがある、汗をかきやすい、身体に赤いぶつぶつができる

副作用のような症状がみられたからといって、自己判断で服用をやめるとかえって不安感が悪化することもあります。

副作用が気になる場合は早めに医療機関を受診し医師に相談しましょう。

ジェイゾロフトの使用によって性格や気分に影響が出ることはある?

性格そのものが変わることはありませんが、症状が軽くなり本来の自分らしさが戻ったように感じることはあります。

一方で飲みはじめや増量後には体調が揺れやすく、そわそわ・不安・寝つきにくい・いらいらするなどの症状が強くなるかもしれません。[1]

服用量を減らしたり中止したりといった対処が必要な場合もありますので、我慢せずに医療機関を受診しましょう。

またうつ状態から気分が上がった状態へ急激に変わる「躁転(そうてん)」によって、性格が変わったと感じるケースもあります。[1]

珍しい副作用ですが、寝不足でも元気でいられる、話が止まらない、浪費が続くなどの症状があらわれたときには受診が必要です。[5]

性格や気分が以前と比べて大きく変わったと感じたら、副作用の可能性も考えましょう。

ジェイゾロフトを服用する際の注意点

飲み合わせの悪い薬や服用できないケースなど、ジェイゾロフトには副作用を予防するための注意点があります。

安全に服用できるように、以下の項目に該当しないかチェックしましょう。

服用できない場合[1](禁忌)

  • セロトニンの分解が遅れ、セロトニン濃度が過剰になる可能性があるため「MAO阻害剤」を服用中の人や中止後14日以内の人はジェイゾロフトを服用できません。

  • 有効成分の「セルトラリン」でアレルギーを起こしたことがある人は、重いアレルギー症状を起こす可能性があるためジェイゾロフトを服用できません。

薬の飲み合わせ[1]

(薬物相互作用)

  • 痛み止め・咳止めの一部、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)の含まれるサプリメントなどとジェイゾロフトを併用すると、セロトニンの作用が強くなりすぎる場合があります。

年齢による注意点[1]

  • 24歳以下では「楽になりたい」「消えてなくなりたい」といった気持ちが一時的に増えることが報告されています。

  • 6~17歳の「大うつ病性障害」や「PTSD」の人には有効性が確認されていないため、医師が必要だと判断した場合に限って処方されます。

日常生活での注意[1]

  • 運転・危険作業をおこなう人は、眠気・めまいの副作用により操作ミスを起こす可能性があります。

  • 自己判断で服用をやめると離脱症状(めまい、不安、頭痛など)がみられることがあります。

  • 妊娠・授乳中の人は、赤ちゃんに薬が影響する可能性があります。

薬の飲み合わせによっては、ジェイゾロフトのセロトニンを増やす作用が強まり、高熱・震え・混乱・けいれんといった症状を起こすことがあります。

併用中の薬や持病がある場合は必ず医師に伝えておきましょう。

24歳以下の人がジェイゾロフトを服用する場合は、生きることへの意欲の低下や、消えてしまいたいといった気持ちが強くなっていないかなど、変化を観察する必要があります。家族や周囲の人に協力してもらいながら経過観察し、不安が強くなった場合は受診日を待たずに医療機関を受診しましょう。

運転や危険をともなう作業は禁止ではありませんが、操作ミス防止のため眠気やめまいが起きていないか十分に体調を観察する必要があります。

また妊娠・授乳中の人は、赤ちゃんへの影響がわかっていないため医師の判断により服用できるか決められます。

ジェイゾロフトの効果に影響したり副作用の原因になったりするのを防ぐため、併用薬やサプリメントなどの細かい情報についても医師に伝えるようにしましょう。

ジェイゾロフトが合わないと感じやすい人

以下に当てはまる人は、ジェイゾロフトが合わないと感じやすい傾向があります。

  • 適応症以外の精神疾患をもつ人

  • 薬の代謝が遅く副作用が強く出やすい人

  • 不安や焦りが強い人

双極性障害(躁うつ病)などジェイゾロフトの適応症以外の精神疾患をもつ人では、服用後に症状が悪化したと感じることがあります。

医師の判断によっては適応症以外でも処方されますが、合わないと感じた場合は早めに相談すると安心でしょう。

肝機能が弱い人や高齢者などでは薬の代謝・排出が遅くなり、副作用が強く出ることがあります。[1]

また「賦活症候群(ふかつしょうこうぐん)」といって、飲みはじめや増量後に一時的に不安感や焦りが悪化することがあり、もともと不安や焦りが強い人は合わないと感じるかもしれません。[6]

ただし副作用がみられた場合でも、自己判断で服用中止すると症状が悪化する可能性があり危険です。

服用がつらいと感じたら服用量を調節するなどの対策をとる場合もありますので、一人で解決しようとせず医師に相談してみましょう。

よくある質問

ジェイゾロフトについてよくある質問にお答えします。安心して治療を続けるためにぜひ参考にしてください。

ジェイゾロフトは不安感を改善しますか?

ジェイゾロフトは、臨床試験で不安をやわらげる効果が確認されている薬です。

脳内には「セロトニン」という神経伝達物質があり、気分をコントロールする役割をもっています。[7]

このセロトニンの働きが乱れると感情が揺れやすく、不安やうつ症状を起こす原因になると考えられています。

ジェイゾロフトにはセロトニンの効果を長持ちさせる作用があり、服用を続けるうちに不安や緊張が少しずつやわらいでいくのです。[1]

効果はすぐにあらわれるわけではありませんが、続けて服用することで次第に気持ちが安定し日常生活が過ごしやすくなるでしょう。

ジェイゾロフトの効果はいつから出る?

1週間ほどで体内のジェイゾロフトの量が安定し、少しずつ不安が和らいでいきます。[3]

ただし服用開始初期には「賦活症候群」により不安や焦りが一時的に強まることがあり、悪化したと感じられるかもしれません。

このような場合でも服用量の調整をすれば症状が落ち着き、安心して服用を続けられるケースもあります。[6]

服用をはじめて間もない時期に症状が悪化した場合は、医師に相談すると安心でしょう。

ジェイゾロフトの注意点は?

特定の年齢に当てはまる人や、妊娠・授乳がある人では副作用が起きたり、効果がみられなかったりする場合があります。

以下の項目に該当する人は、どのようなリスクがあるかチェックしてみましょう。[1]

24歳以下

一時的に「楽になりたい」「消えてなくなりたい」などの気持ちが増える可能性があります。

6~17歳の大うつ病性障害や外傷後ストレス障害(PTSD)

海外で実施された試験によると有効性が確認されなかったと報告されています。

高齢者

肝機能が低下することで薬の代謝が遅くなり、副作用が起こる可能性が高まります。

妊娠・授乳中

妊娠中に服用する場合、赤ちゃんへどのくらい影響があるのか完全にはわかっていません。また母乳中に薬が混ざることがわかっています。

上記に該当する場合でも、不安やうつ症状がありジェイゾロフトの服用が必要だと判断されれば処方されるケースがあります。

以前よりも感情が落ち込んでいないか、気になる体調変化がないかなど経過をよく観察しながら服用するようにしましょう。

また妊娠中の安全性が正確にはわかっていないため、今後妊娠する可能性がある人にはあらかじめジェイゾロフト以外の薬を選ぶこともあります。

気になることがあれば、遠慮せず医師に相談するようにしましょう。

まとめ:ジェイゾロフトの効果や注意点を確認し正しく使用しましょう

ジェイゾロフトは、うつ病やパニック障害などによる気分の落ち込みや不安をやわらげる薬です。効果があらわれるまでに1週間ほどかかりますが、続けて服用することで再発を防ぐ効果も期待できます。

ただし飲みはじめには吐き気の副作用が起こる可能性があり、服用を続けるのが不安になる人も珍しくありません。

安心して服用するには、自分だけで不安を抱え込まず医師に相談することが大切です。

ジェイゾロフトについてわからないことや、体調で気になることがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

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参考文献

[1]ジェイゾロフト インタビューフォーム

[2]小川 朝生. 新しい向精神薬を活用する―ジェイゾロフト・ロゼレム・エビリファイ. 緩和ケア. 2011;21:606–10.

[3]U.S. Food and Drug Administration. ZOLOFT(sertraline hydrochloride) Tablets and Oral Concentrate:prescribing information [Internet]. FDA; 2014

[4]Machado-Vieira R, BaumannJ, Wheeler-Castillo C, LatovD, HenterID, SalvadoreG, etal.The Timing of Antidepressant Effects: A Comparison of Diverse Pharmacological and Somatic Treatments. Pharmaceuticals (Basel). 2010 Jan 6;3(1):19-41.

[5]双極性障害(躁うつ病)|国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

[6]賦活症候群|京都府薬剤師会

[7]セロトニン|厚生労働省

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。

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