休職中の給与はもらえる?休職中に申請できる手当についても解説

公開日: 2025/05/16 更新日: 2025/05/16
「休職したら給与はもらえるの?生活が心配」 「休職中に申請できる手当を知りたい」 病気や怪我で休職が必要となった際、収入が減り生活に対して不安が大きくなりますよね。 制度があることを知っていても自分が対象となるのか、申請方法がわからない方もいるのではないでしょうか。 この記事では休職中の給与支給と申請できる傷病手当金について解説します。 傷病手当金の対象となる条件や申請方法・支給期間についても解説していますので、休職を検討している方はぜひ参考にしてください。
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休職中の給与について

休職期間中に勤務先が休職者に対して給与を支払う義務はありません。

勤務先によっては給与保障制度があり、給与保障がない場合は傷病手当金の条件を満たしていれば受給が可能です。

企業側の都合で休業する場合は、企業が休業手当(=平均賃金の60%以上)の支払いをおこなう必要があります。

休職中の給与の支払額などについては、企業ごとに違うため就業規則を確認しましょう。

うつや適応障害で休職するときに給与はもらえる?

うつや適応障害などメンタルヘルスの不調で、休職する場合は給与をもらえない可能性があります。

勤務先が原因ではない病気や怪我は「私傷病」に該当するため、休職期間中の保障内容に関して法律で定められていません。

休職期間中の給与については、企業独自で決めているところもあり、給与保障をしているケースもあります。

休職が必要となった場合、休職申請を開始する前に給与について調べることが大切です。

休職中のボーナスはどうなる?

休職中のボーナスも、給与と同じように法律で定められていないため企業によって違います。

算定期間中に休職に入れば、出勤している期間はボーナス支給されるケースがあります。

一般的にボーナスは仕事の成果に対して支払われるため、算定期間中に成果として評価されなければボーナス支給をされません。

給与支給含め、休職に入る際はボーナス支給についても就業規則を確認しましょう。

休職中の休業手当はどれくらいもらえる?

企業側の都合で仕事ができない休業の場合は、平均賃金の6割以上が休業手当として支払われます。[1]

休業期間中の休業手当支払いについては休職と違い、労働基準法で支払い義務が定められているためです。

休業中に支払われる休業手当の平均賃金とは、休業に入る前の3か月間に支払われた給与の総額から算出されます。

表にまとめた平均賃金算出では、控除する期間と賃金が決められているため企業へ確認するとよいでしょう。

休業した状況事例

休業手当平均賃金算出方法

休業手当の計算

例1:月給※賃金締切:毎月20日

9月21日から10月20日まで20日間の勤務予定であったが、9月29日に会社の都合により1日間休業とした。(他の19日は勤務)

275,000円(月給)+6,330円(交通費)=281,330円

休業前3か月の暦日数(92日)と給与を合計して計算する

843,990円(3か月分の給与)÷92日(暦日数)=9,173円804347....

⇒9,173円80銭※銭未満は切り捨て

9,173円80銭×0.6(支給される割合)×1(休業日数)=5,504.28円

※円未満四捨五入で50銭未満は切り捨て50銭以上は切り上げ

【支給額】

5,504円以上

傷病手当金とはなにか

傷病手当は健康保険に加入している人が病気や怪我で休職した際に、本人や家族の生活を保証するための制度です。

「給与が支払われない」「給与の十分な支払いがない」場合にのみ支給されます。

対象者は健康保険加入者本人のみのため、扶養家族や国民健康保険加入者には該当しません。

傷病手当金を受給するためには、申請できる条件や期間・申請手順を理解する必要があります。

傷病手当金の申請条件

傷病手当金の支給には、表にまとめた4つの条件に全て該当する必要があります。

申請条件[2]

内容[2]

①業務とは関係ない病気や怪我

  • プライベートでの怪我や病気

  • 健康保険を使わず医療機関受診した場合でも対象

  • 美容整形手術など保険適用外の治療による療養は対象外

②療養のため働けない

  • 業務ができない状態であるかの判断は主治医がおこない傷病手当金支給申請書へ記載する

③4日以上仕事を休んでいる

  • 怪我や病気が原因で連続して3日間休んだあと4日目以降も仕事を休んだ

  • 連続して休んだ3日間は待期期間であるため、傷病手当金は支給されない

  • 待期期間は有給休暇を当ててもよい

④給与の支払いがない

  • 休職期間中給与が支払われない

  • 給与の支払いがあっても傷病手当金より少ない場合、傷病手当金から給与分を差し引いた額の支給

傷病手当金の給付は前提として業務に関係のない怪我や病気のため、業務が要因の怪我や病気は労災保険の申請をしましょう。

傷病手当金支給額の算定法は以下のとおりです。

ー傷病手当金算定方法ー

1日あたり支給される金額【支給開始月以前12か月間の各標準報酬月額の平均額】(※)÷30日×(2/3)

(※)支給開始月以前の月数が12か月間に満たないケースでは、次のうちで低い額を使って計算します。

  1. 支給開始月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額

  2. 全被保険者の標準報酬月額の平均額:32万円(支給開始日が令和7年4月1日以降)

今回は協会けんぽを一例として解説しています。

傷病手当金の申請条件は加入している健康保険により違うため、詳細は自身が加入している健康保険相談窓口へ確認してください。

傷病手当金の申請の流れ

傷病手当金の申請の流れは下記の通りです。

申請してから支給まで約1か月間かかるため、申請書類などは休職が判明次第取り寄せることをおすすめします。

手順

内容

1.会社へ長期間の休職が必要であることを報告

  • 休職に入ることに加え傷病手当金の申請希望を伝える

2.連続して3日間の待期期間を満たす

  • 休職が判明次第申請に必要な書類を取り寄せる

  • 3日間の待期期間に有給を使える

  • 4日めから受給期間へ入る

3.傷病手当金申請書へ必要事項の記載と必要書類があれば添付

  • 主治医や事業主に記載してもらう項目があることにも注意

4.書類がそろったら申請

  • 申請期間は毎月、給与の締切日を過ぎてからそれまでの分を申請する

  • 加入している健康保険が健康保険組合の場合は会社の担当部署、協会けんぽの場合は加入支部あてに会社または本人が郵送

傷病手当金の申請は仕事ができなくなった次の日から2年以内までが請求期間です。

例えば2025年3月20日に休職した分の傷病手当金は、2027年3月20日が申請期限となります。

期限を過ぎると傷病手当金をもらう資格が消失するため、申請忘れのないよう注意が必要です。

また傷病手当金の支給期間は、同じ怪我や病気について支給開始日から1年6か月と定められています。

退職した後も傷病手当金は受け取れる?

退職後、会社の健康保険の資格を喪失したとき、以下の条件を満たしていれば傷病手当金を受け取れます。[3]

  • 健康保険加入期間が継続して1年以上ある

  • 退職前日まで連続して3日以上仕事を休んだ

  • 退職日も仕事ができず休んでいる

  • 受給期間は1日の空白もなく継続した期間(退職後に不支給となり、再び働けなくなっても支給されない)

  • 失業給付を受けていない

健康保険加入期間に「任意継続被保険者としての加入期間」は含まれないため注意が必要です。

退職した時点で失業給付を申請している人は、傷病手当金と同時に支給されることはありません。

失業給付対象は働く意思や健康状態であるにもかかわらず就職先のないことが条件のため、業務ができない方は支給対象外です。

休職中の給与に関するよくある質問

休職中の給与に関するよくある質問についてお答えします。

生活にかかわる部分のために把握しておくと、安心して療養できるでしょう。

通常の会社員と公務員では補償内容が異なるため参考にしてみてください。

社会保険料を支払う必要がありますか?

休職中も社会保険料は免除されないため支払う必要があります。

社会保険料納付は以下のような方法があります。

  • 毎月自分で会社の指定する口座へ振り込む

  • 会社が立て替え職場復帰後に給与から控除する

  • 会社が立て替え職場復帰後に一括で支払う

企業ごとに違うため、休職する前に人事担当者へ相談しておきましょう。

どれぐらい休業するとクビになりますか?

労働基準法では怪我や病気の原因が会社側にある場合、休職期間中と休職期間が終わった後30日間は解雇することを禁止しています。[4]

例外として、休職開始から3年経過しても状態の回復がなく復職できない場合は、打切補償(平均賃金1,200日分の支払い)をおこなうことを条件に解雇することが可能です。[5]

怪我や病気の原因が会社になく、就業規則に定められた休職期間を経過しても症状が改善されていなければ解雇できます。

解雇にいたるまでの期間や補償は、怪我や病気の原因が会社とどのように関係しているかによって異なります。

雇用契約は生活に大きく影響するため、休職前に補償内容などを理解しておくことが重要です。

公務員が休職する場合のケースはどうなりますか?

公務員が職務に関係のない怪我や病気で休職する際は以下「病気休暇」「傷病手当」が適用されます。

利用できる制度

内容

病気休暇

  • 90日間以内であれば給与100%支給

病気休職(最長3年間)

  • 90日をこえて1年間は給与80%支給

  • 支給開始日直前の12か月標準報酬月額平均賃金支給※公務員共済組合における傷病手当金の場合

  • 支給期間1年6か月(法定給付)+6か月(附加給付金)※公務員共済組合における傷病手当金の場合

最長で3年間の休職を認められていますが、3年経過して怪我や病気から回復しない場合は免職となります。

まとめ

会社が原因でない怪我や病気の休職の場合、事業主が給与を支払う義務はありません。

企業ごとの就業規則で定められているケースがあるため、事前に確認してから休職に入ると経済的な面の不安が軽減されるでしょう。

給与の支払いがない場合は傷病手当金申請をおこなうのも1つの方法です。

傷病手当金申請には4つの条件を満たしているか確認し、申請可能な場合は早めの申請をおすすめします。

収入は生活に影響を与えるため、不安があると療養に専念できません。

休職中に利用できる制度などを活用し、しっかり休養できるよう準備しましょう。

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参考文献

[1]厚生労働省「労働基準法第26条で定められた休業手当の計算について」

[2]全国健康保険協会よくある質問「健康保険給付金について(傷病手当金について)」

[3]全国健康保険協会 「傷病手当金のよくあるお問い合わせQ4」

[4]厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」

[5]厚生労働省「労働基準法(♦昭和22年04月07日法律第49号)」

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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