適応障害とうつ状態の違いについて知っておこう

公開日: 2025/04/28 更新日: 2025/04/28
「適応障害とうつ状態の違いについて知りたい」 「適応障害はうつ病の一歩手前?進行するとうつ病になるの?」 仕事や学校で環境の変化があった際、ストレスを感じ気分の落ち込みや腹痛・吐き気など体に症状があらわれる場合もあります。精神的なものが関係していると自覚していても「適応障害」や「うつ状態」など、自分はどのような状態にあてはまるのかよくわからないというかたも多いのではないでしょうか。 この記事では、適応障害とうつ状態・うつ病の違いについて解説します。それぞれの違いを理解すると、自身がどの状態であるか把握でき適切な対応ができます。家族や仕事の同僚などが、適応障害やうつ状態になった場合の接し方の理解もできるでしょう。
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目次

適応障害とうつ状態(抑うつ状態)の基本的な違い

適応障害は精神的な「疾患」のひとつであり、うつ状態は適応障害などでもみられる「症状」をさします。「疾患」は病気そのものの診断名で、「症状」はその病気がどのように体にあらわれるかをあらわすものです。

適応障害は、環境の変化などにより強いストレスを受け自分がおかれている状況にうまく適応できなくなった状態です。ストレスから離れると、気分の落ち込みや頭痛・吐き気など不調が改善される特徴があります。

うつ状態は、ストレスだけでなく身体疾患による炎症やホルモン異常、脳内の神経伝達物質のバランス異常などが原因であらわれる症状です。

たとえば、職場で部署異動があり経験したことのない業務を担当することになったとします。最初は慣れようとしていましたが、慣れない業務にストレスを感じるようになり体調面に影響が出始めました。仕事のある朝は起床が難しくなり、出勤時間が近づくと吐き気や腹痛におそわれ気分も憂鬱で優れません。しかし仕事が終わると気分が軽くなり体調も戻ります。

このように、新しい環境に適応しようとしてもストレスが予測する範囲をこえて不調におちいる「疾患」を適応障害といいます。

適応障害の症状にある憂鬱な気分や、身体的疾患に対する不安やホルモン異常などが要因で起こる気分の落ち込みの「症状」がうつ状態です。

どちらとも症状に共通する点が多いため、同じと捉えられるケースがあります。適切な診断と治療を受け早期回復につなげられるよう、精神科や心療内科へ受診しましょう。

また周囲の人が理解し、以下を意識しながらサポートをおこなう点も重要です。

  • 過干渉せず適切な距離をとる

  • 無理をさせない

  • 傾聴と共感

  • 肯定的な言葉かけをおこなう

  • 専門の医療機関へ相談するよう促す

勤務先や学校・家族・医療が連携すると、本人の回復にもよい影響を与えられるでしょう。

適応障害とは

適応障害とは、社会生活などのストレスが原因で個人の適応能力をこえてしまったときに起こる行動や情緒の不調です。[1]

適応障害は誰にでもなる可能性があり、とくに以下のような人がなりやすいとされます。

  • 几帳面で完璧主義者

  • 真面目で責任感が強い

  • 落ち込みやすい

  • 些細なことでイライラする

  • 人間関係に不安を抱えやすい

  • 自分に自信がない

自分の感情をおさえ込み相手を優先してしまう人は、ストレスが溜まりやすく適応障害になる可能性も高いため注意が必要です。気づかない間に適応障害を発症しているケースがあるため、症状があらわれていないか表を参考にチェックしてみてください。

分類[2]

症状[2]

行動面

  • 暴飲暴食

  • 過度な飲酒

  • 無断欠勤

  • 無謀な運転

  • けんか など

情緒面

  • 抑うつ気分

  • 不安

  • 怒り

  • 焦り

  • 緊張 など

身体面

  • 食欲不振

  • めまい

  • 不眠

  • 動悸

  • 頭痛

  • 腹痛

  • 疲労感 など

適応障害は環境の変化やストレスを感じるできごとが起こって3か月以内で発症し、ストレスの原因から離れたあと6か月以内に症状は治まります。下記に適応障害と診断された事例をふたつまとめました。

対象者

原因

詳細

【事例1】

  • 年齢:50代

  • 性別:男性

  • 勤務先:外資系企業

  • 病歴:なし

  • 家族構成:妻、高校生の娘1人

勤務先で配属と業務能力の不適合

企業の方向転換に伴い配属されたプロジェクトチームでは、日常的に英語が必要な状況で英語が苦手な本人には負担に感じた。配属されたばかりのため、本音を相談できる同僚もいなかった。

プロジェクトチームに配属された直後より以下の症状があらわれる。

  • 強い不安感

  • 早期覚醒

  • 抑うつ状態

  • 仕事の能率低下

【事例2】

  • 年齢:20代

  • 性別:女性

  • 勤務先:大手製造業の技術系専門職

  • 病歴:過換気症候群、月経前症候群

  • 家族構成:独身(会社の寮)

専門職として就職したが、入社直後に事業撤退したため専門外の業務に就かざるを得なかった

入社直後、企業の都合で配属先が変更され大学で得た知識と技術が活かせなかった。経験のない業務に慣れようとしたが、思うように進まず焦りを感じていた。周囲の職員も、忙しく支援や協力が得られる状況ではない。上司は本人が無理していることを知りつつ、そのうち慣れると感じていたため気にしていなかった。徐々に以下のような症状があらわれた。

  • 気分の落ち込み

  • 不眠

  • 仕事に集中できない

  • 不安が強く出社できない

これらの事例では、適応障害にいたるまでに以下の要因があったと考えられます。

  • 配属先が変わるなど急激な環境の変化があった

  • 苦手分野の業務に配属された

  • これまで培ってきた専門知識を活かせず焦りを感じていた

  • 相談できる同僚や上司がいなかった

  • 周囲のサポートが受けられなかった

新たな環境で適応しようとしても、知らないうちにストレスやプレッシャーが蓄積し心身の不調につながってしまったと考えられます。

適応障害から回復するためには、本人の状態にあった環境調整や心理療法・薬物療法が鍵となります。環境の変化がある前と比較し、心身に不調を感じた際は産業医や心療内科などの医療機関へ相談してみましょう。

表情の変化で適応障害に気づくことはある?

適応障害の症状のひとつとして、以下のように表情の変化があらわれるケースもあります。

  • 表情に余裕がない(落ち着かない)

  • いつも疲れた表情

  • 不眠から目の下にクマがある

  • 会話中も無表情

  • 目の焦点が合わない

  • ぼーっとする

  • 目に活力がない

  • 食欲低下から顔色が悪い など

表情は自身で気づくのが難しいため、家族や同僚が気づく場合もあります。周囲から「最近表情が険しい」などといわれた際は、適応障害のサインと捉え原因がないか振り返り環境調整するのもひとつの方法です。

もし家族や同僚に適応障害のような表情がみられたときは、過剰に干渉しない点がポイントです。本人のペースにあわせて、話したくなったタイミングで話を聞くようにしましょう。

うつ状態(抑うつ状態)とは

うつ状態は、精神的なストレスやがん・心筋梗塞・リウマチなどの身体的疾患、インターフェロンやステロイド剤の薬による副作用などが原因で起こる症状です。身体的疾患では、疾患の症状や治療に対する不安から心身へ負担がかかりうつ状態となります。

一時的な気分の落ち込みや身体の不調があらわれます。

うつ状態の症状は以下のとおりです。

  • 気分が落ち込む

  • 何もする気が起きない

  • 憂鬱な気分になる

  • 集中力が低下する

  • 人と会いたくない

  • 夕方より朝のほうが体調不良になる

  • 吐き気、腹痛

仕事のストレスが原因のケースでは、出勤前は腹痛や吐き気・憂鬱な気分になりますが帰宅すると症状は軽減します。うつ状態は症状や状態をあらわす言葉であるため、うつ病との違いを理解する必要があります。

うつ状態(抑うつ状態)とうつ病の違い

うつ状態とうつ病の違いは「症状」と「疾患」に分類される点です。

うつ状態は、以下の原因で起こる一時的な気分の落ち込みなどの「症状」をさします。

  • ストレス

  • 脳疾患・心疾患・慢性疾患など身体的疾患

  • 薬剤による副作用

ストレス源から離れたり、身体的疾患の改善や治療法が明確になったりすると不調の改善がみられる特徴もあります。

うつ病は、うつ状態が長く続き生活に支障がでており、苦痛が強い場合に診断される疾患です。1日中気分が落ち込むなどの症状が2週間以上続いている状態で、ストレス源から離れたとしても症状がしばらく続き、回復に時間がかかります。

うつ状態はストレスから離れると元気になるときがあるため周囲の理解が得にくいケースもあります。うつ病やうつ状態は共通する症状があるため、専門医による診断と治療が重要です。うつ状態やうつ病は、アメリカ精神医学会が出版しているDSM-5や、WHOが作成するICD-10によって診断基準が定められています。

DSM-5では、基本となるうつ病の症状である「気持ちが落ち込む」「物事に興味がわかず楽しめない」症状に加え、下記の症状がいくつあてはまるかによって判断します。

  • 集中力や注意力が低下している

  • 自身を責め自分には価値がないと思う

  • 人生の敗北者だと思い家族に申し訳ないと感じる

  • 将来に対して悲観する

  • 自身の体を傷つけ、命を絶ったほうがよいと感じる

  • 眠れない、夜中に目が覚める

  • 食欲が低下した

出典:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

 

うつ病の基本症状を含む上記の症状が4つ以下の場合は、うつ状態の可能性を検討します。

うつ病の基本症状を含む5つ以上があてはまり「症状がほぼ1日中、2週間以上続いている」かつ「強い苦痛を感じたり、社会生活や仕事に大きな支障がでていたりする」場合は、うつ病が疑われます。

うつ状態とうつ病のどちらとも、対応が遅くなると回復するまでに期間が必要になったり症状を繰り返したりするため早期治療が重要です。「無理をして我慢している」「忙しく受診の機会を逃している」というかたもいるかもしれませんが、できるだけ早めに、医療機関への受診を検討しましょう。

適応障害はうつ病の一歩手前?悪化するとどうなるのか

適応障害はうつ病の一歩手前の状態だといわれています。適応障害は通常6か月以内に治まるため、症状が6か月以上続くとうつ病の可能性を疑う必要があるためです。適応障害と診断された患者が、5年後40%以上がうつ病の診断名へ変更されているという研究データもあります。[2]

早い段階で適切な対応をおこなわないと状態が悪化し、うつ病へ移行するケースがあります。

適応障害を悪化させる要因は以下のとおりです。

  • 治療の遅れ

  • アルコールや薬物への依存

  • 仕事へ過度に没頭する

  • 問題ごとを放置したままにするなど

うつ病へ移行しないためには、ストレスの原因をみつけ環境調整やストレス解消をおこなうなど対応しましょう。適応障害は一度発症すると再発する可能性が高く、会社に復職して1年で57.4%、2年で76.5%の人が再度休職しています。[3]

適応障害を疑う症状がでている際は、自分で解決しようとせず早めの医療機関受診をおすすめします。

適応障害とうつ病、どちらの症状が重い?

適応障害とうつ病はどちらが重いとはいえません。共通する症状が多く症状の程度や治療の難しさ、社会生活および仕事への影響は人それぞれ違うためです。適応障害の場合は、カウンセリングや環境調整で症状の軽減をはかるケースがほとんどです。うつ病へ移行する前に、適切な治療を受けたケースでは6か月以内に回復が期待できます。

うつ病も適応障害と同じように、環境調整やカウンセリング、精神療法(心理療法)、薬物療法など本人の状態にあった治療が重要です。適応障害と違うのは、一 度うつ病を発症すると適応障害のように一定期間で症状が治ることは難しい点です。うつ病は治療開始から以下のケースをたどります。

  1. 治療により症状が改善する「反応」

  2. 一定期間、症状がほとんどなくなる「寛解」

  3. 寛解の状態が2か月以上続く「回復」

途中で症状が悪化する「再燃」や寛解から2か月以上経って症状があらわれる「再発」を繰り返すケースもあります。

適応障害とうつ病のどちらも社会生活や仕事への影響をおよぼすため、適切な診断と治療が重要です。

以下に適応障害とうつ病の治療についてまとめました。

病名

治療

内容

適応障害

休養

  • 仕事などストレスの原因から離れて休養

環境調整

  • 規則正しい生活をおこなう

  • 趣味や気分転換活動をおこなう

  • 働き方をかえる

  • 転職や転校を検討する

カウンセリングや精神療法(心理療法)

  • 認知行動療法:

    ストレスに対する認識や対処法の改善

    環境に適応できる能力を身につける

    思考パターンや認知のゆがみを修正

  • カウンセリング:

    ストレスの原因を明確にする

    ストレスへの対処法を学ぶ

    感情のパターンを理解する

    言動などをコントロールできるようになる

薬物療法

  • 抗うつ薬:気分の落ち込みや意欲低下を改善する

  • 抗不安薬:不安や緊張状態をおさえる

  • 睡眠導入剤:不眠症状を改善し生活のリズムを整えるサポートをする

うつ病

休養

  • ゆっくり横になって過ごす

  • ストレスから離れる

  • 十分な睡眠をとる

環境調整

  • 規則正しい生活とバランスのとれた食事をする

  • 転職や転校を検討する

  • 勤務時間や残業時間を短縮してもらう

  • 家事を分担する

精神療法(心理療法)

  • 認知行動療法:困ったことが起きた際の悲観的な捉え方や考え方を改善

  • 対人関係療法:

    ・うつ病の要因となった人間関係に対して問題 解決をする

    ・自分を変えることではなく今のままで人間関 係を構築する方法を検討する

薬物療法

  • 抗うつ薬:気分の落ち込みや意欲低下を改善する

  • 抗不安薬:不安や緊張状態をおさえる

  • 気分安定剤:感情の高まりや行動をおさえる

  • 睡眠導入剤:不眠症状を改善し生活のリズムを整えるサポートをする

  • 非定型抗精神病薬:抗うつ薬の効果を高める目的で使用

その他の治療

  • 運動療法:有酸素運動を薬物療法と組み合わせておこなう

  • 高照度光療法※一部保険適応外:通常より明るい光を約1~2時間/1日照射する

  • 経頭蓋磁気(けいとうがいじき)刺激法:特殊な機器で磁場を発生させ神経細胞を刺激する

  • 修正型電気けいれん療法:脳に数秒間の電気刺激を与える

環境調整では、主治医に協力を得て仕事や学校・家庭の環境調整をおこないましょう。適応障害やうつ病の人をサポートする立場のかたは、適切な環境整備などの対応について本人や家族・主治医と話し合うことをおすすめします。

適応障害とうつ病の診断基準

適応障害とうつ病の診断には、アメリカ精神医学会が作成したDSM-5と世界保健機関が作成したICD-10/11を用います。

ここではDSM-5の診断基準をもとに解説します。以下の表は、適応障害とうつ病の診断時に判断材料として使用されている診断基準の内容です。

 

DSM-5診断基準

適応障害

※診断基準を全て満す

  1. ストレスの原因が明確にある

原因となるストレスにさらされて3か月以内に症状があらわれる

  1. ストレスが予測される範囲をこえる

  2. 社会的、職業など生活面で重大な機能障害がある

  3. 他の精神疾患では適切に説明できない

  4. 既存の精神疾患の悪化ではない

  5. ストレスの原因から離れると6か月以内に症状が改善する

うつ病

※1と2を含む5つ以上が該当する

  1. 気持ちが落ち込む

  2. 物事に興味がわかず楽しめない

  3. 著しい食欲の低下(増加)、体重減少(増加)

  4. 眠れない、寝すぎる

  5. 会話や動作が鈍くなる、苛立ち落ち着きがない

  6. やる気がでない、疲れやすい

  7. 自分を責めるような気持ちや価値観がないと感じる

  8. 考えがまとまらず集中力が低下するため決断できない

  9. 自分自身を傷つけ、死にたいと考えたり計画を立てたりする

適応障害とうつ病についての診断は、医師による診断が重要です。最初は適応障害だと診断されていても、症状の経過からうつ病と診断され治療方針の変更が必要となるケースもあるためです。表の項目はあくまでも目安とし、適切な治療を受けるために医療機関を受診しましょう。

適応障害とうつ病の診断方法

適応障害とうつ病は、DSM-5の指標をもとに診断されるのが一般的です。診断基準の問診に加え表情や様子の観察をおこない、場合によっては血液検査などをしたうえで総合的に診断されます。

適応障害やうつ病はレントゲン検査など見た目では判断できません。とくに適応障害のケースでは、症状に加え適応障害にいたった原因を明確化し他の精神疾患が隠れていないか慎重な判断が必要です。

問診のほかDSM-5の診断基準と照らし合わせるため、患者に質問が記載された用紙への記入をしてもらい、医師の指示のもと血液検査をおこなう場合もあります。血液検査はうつ病そのものを直接診断するわけではなく、原因や関連疾患を見極めるための補助検査です。

適応障害のかたが抱かれがちな誤解

適応障害は、原因となるストレスから離れると体調が回復することも多いため、周りの人からさまざまな誤解を受けてしまうケースがあります。

  • 適応障害でも元気に見える?

  • 適応障害は甘えで誰にでもあてはまるのでは?

元気そうに見えていても本人はつらい思いをしています。どのような症状や思いを抱えているのかを理解し、早期回復できるようサポートしましょう。

適応障害でも元気に見える?

休日やストレスから離れたところでは、楽しむことができたり表情が明るくなったりすることもあるため、周囲からは元気そうに見えるかもしれません。

適応障害は、1日中体調が悪いわけではないため周囲から気づかれにくく誤解されやすいです。

適応障害と診断された際は、症状の特徴を上司や同僚へ説明し理解してもらいましょう。伝えにくい場合は医師に記載してもらった診断書や、診察の際に説明を受けたメモを見せるのもひとつの方法です。家族や同僚などが適応障害の場合は「元気だから治った」「仕事のときだけ手を抜いているのでは」と安易に考え接すると、症状が悪化する可能性もあります。周囲の人は見た目や思い込みで判断せず、本人や担当医から現状を確認しながら対応をすすめましょう。

適応障害は甘えで誰にでもあてはまるのでは?

適応障害はストレスの影響が大きく、通常の範囲をこえた反応のため「甘え」「単なる悩み」とは違います。また適応障害は診断基準が設けられており、医師が判断するため誰にでもあてはまるというわけではありません。ただし、誰でも適応障害になる可能性はあります。

またストレスの感じ方は個人差が大きく、ストレス反応がプラスに働く場合と過度に反応することで心身に負担をかけるケースがあります。急性ストレス反応は、適応障害と違い4週間以内に症状の改善をみる点が特徴です。

ストレスは誰にでもありますが、ストレス反応に対する影響は一人ひとり違うため「甘え」と考えるのではなく産業医や本人と話し合いの場を設けるなど適切な対応をおこないましょう。

よくある質問

適応障害とうつ状態の違いについて、よくある質問にお答えします。適応障害は、早期に適切な治療を受けることが重要です。うつ病との違いや、適応障害が悪化するとどのようになるか理解しましょう。

うつと適応障害の違いを簡潔に教えてほしい

うつ病と適応障害は、ストレスから離れたときに抑うつ状態が継続するかどうかが大きな違いです。症状が似ているため混同されるケースもあり、専門の医療機関による診断と早期の治療が重要です。自己判断はせず、医療機関を受診して医師による診断を受けましょう。

うつ病とうつ状態の違いを簡潔に教えてほしい

うつ病は心身のストレスや身体疾患などが要因となり、脳の機能がうまく働かない状態です。1日中気分が落ち込み、不安を強く感じ不眠症になるなどの症状があらわれます。ストレスから離れても、症状が改善しないところも特徴のひとつです。

うつ状態は適応障害の1つの症状で、一時的な気分の落ち込みや頭痛などの身体の不調などの状態をいいます。うつ状態を一時的なものだと思い放置すると、症状が悪化し日常生活や社会生活へ深刻な影響を与えるため早期に対応しましょう。

適応障害が悪化するとうつになる?

適応障害が悪化するとうつ病へ移行するケースもあります。医療機関の治療だけではなく、会社や家族の協力を得ながら残業時間や勤務時間を短時間にするなど環境調整をおこなうことが重要です。

まとめ:適応障害とうつ状態の違いを知って適切な対応をとろう

適応障害はストレス反応が強いことで起こる状態です。その1つの症状としてあらわれる、一時的な気分の落ち込みなどをうつ状態といいます。

環境の変化によるストレスが原因で、気分の落ち込みや頭痛・腹痛など体調不良があらわれた際は早めに医療機関へ受診しましょう。早期に適切な対応をおこなうと、症状の悪化やうつ病への移行を防げます。適応障害は原因となるストレスから離れると、元気に見えるため周囲からの理解が難しい疾患です。

周囲の人は「甘え」「誰にでもある」状態ではない点を理解する必要があります。適応障害と思われる症状がある際は、心療内科や精神科を受診し適切な診断と治療を受け、状態の改善へつなげましょう。

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参考文献

[1]厚生労働省こころの耳「適応障害」

[2]厚生労働省「適応障害 / 統合失調症 」

[3]厚生労働省「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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