うつ病とはどんな病気?うつ病の症状と治療方法について解説

公開日: 2024/06/26 更新日: 2024/06/26
「最近、息抜きだった趣味も楽しめないな」 「疲れているのに眠れないし、頭痛や肩こりもひどい」 「頭が働かなくてミスばかりする。自分はなんてダメな人間なんだろう」 このような状況が続いていませんか? 落ち込みや憂うつな気分、すぐ疲れる、食欲がない、眠れないなどの症状が何日も続く場合は、うつ病、もしくはうつ病の一歩手前の状態かもしれません。 日本では、100人中約6人が生涯のうちにうつ病を経験すると言われています。うつ病は休養や服薬、カウンセリングなどの治療を通して改善できる病気ですが、適切な治療を受けないと症状が長引くため、早めに専門家に相談することが大切です。 この記事では、うつ病の原因と症状、治療方法について解説します。また、自宅からビデオ通話等で気軽に診察が受けられるオンライン診療についても解説します。

うつ病ってどんな病気?

うつ病は、「ストレスや疲労などを背景に、脳が上手く働かなくなってしまった状態」です。気分の落ち込みのようなこころの症状だけでなく、眠れない・頭痛・胃の不快感など、身体の症状もあらわれます。まずは、うつ病の原因や症状について見ていきましょう。

うつ病の原因

うつ病の原因は、実はまだはっきりとわかっていません。ですが、こころを落ち着かせるセロトニンや、やる気を出すノルアドレナリンという神経伝達物質が、何らかの原因で脳から減ってしまう病気であると言われています。[1]


セロトニンとノルアドレナリンは、精神的・身体的な「ストレス」が背景となって減少するのではないかと考えられています。

辛く悲しい出来事だけでなく、結婚・出産・就職・昇進・引っ越しのような、一見嬉しい出来事でもストレスや疲労を感じることがあるでしょう。そのため、ライフステージの変化がきっかけでうつ病になってしまう方もいます。


また、近年の研究で、セロトニンが減ってしまう原因の一つに女性ホルモンの分泌や減少が関係していることがわかりました。そのため、うつ病になる女性は男性と比べ1.6倍近く多く、特に産後や更年期にうつ病を発症する女性が多いと言われています。[2]

うつ病の精神症状

うつ病では、次のような精神症状があらわれてきます。

  • 悲しく憂うつな気分が一日中続く
  • これまで好きだったことをしても楽しくない
  • 何でも悪い方ばかりに考えてしまう
  • イライラする、焦りを感じる
  • 疲れやすく、何もやる気になれない
  • 自分には価値がないと思う
  • 集中力がなくなる、物事が決断できない
  • 死にたい、消えてしまいたいと思う

日常生活の中でも、落ち込んだり、悲しい出来事があったりすると、このような症状が一時的にあらわれる場合もありますよね。


しかし、うつ病になるとこれらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障が出ます。

また、個人差はありますが「朝にひどく夕方にかけて改善してくる」などのように、一日の中で気分が変動するパターンを示す場合が多いです。

うつ病の身体症状

うつ病では精神症状だけでなく、以下のような身体症状もあらわれやすいです。

中には精神症状より身体症状が強くあらわれる方もいます。

  • 食欲がない、もしくは食欲が異常に増す
  • 眠れない、もしくは寝すぎてしまう
  • 性欲がない
  • 胃の不快感、便秘や下痢などの消化器症状
  • 体がだるく疲れやすい
  • 頭痛や肩こり
  • 動悸、めまい

上記の症状も、2週間以上続く場合はうつ病を疑う必要があります。

身近な人がうつ病?周りも気付けるうつ病のサイン

うつ病の症状は、自分だけでなく周りが気づくケースもよくあります。

身近な人に次のような変化がある場合、体調を気にかけておくと良いかもしれません。

  • 表情が暗いことが多い

  • 自分を責める言葉を発したり、涙もろくなったりしている

  • 以前より反応や動作が遅い

  • 以前より食べる量が極端に増えた/減った

  • 落ち着きがないように見える

  • 以前より飲酒量が増えている

日本では、100人中約6人は生涯のうちにうつ病を経験すると言われていて、自分や大切な人がうつ病にかかってしまう可能性は大いにあります。

無理に気分転換を促すと相手を消耗させてしまうこともあるため、上記のようなサインを見逃さず「あなたのことを心配しているよ」と相手に寄り添い、安心して休養を取れるような対応をしていくことが必要です。[3]

うつ病にはどんな治療方法がある?

うつ病の治療では「休養」をベースとして「薬物療法」や「カウンセリング」を組み合わせていきます。ここでは、うつ病の治療方法である休養・薬物療法・カウンセリングについて見ていきましょう。

休養

まずは、疲れてしまった脳や体をしっかり休ませてあげることが何より大切です。

例えば働いている方は、残業を減らす、業務内容を軽いものに変えてもらう、いったん休職するなど、ご自身の状況に合わせた休み方をしていきましょう。

食事を取る気力もない場合や、自宅ではゆっくり休めないという場合には、一時的に入院して休養することもあります。


うつ病でやる気が出ないことは、決して怠けているわけではありません。

むしろ、頑張りすぎて脳がエネルギー切れになっている状態だと考えてください。

今まで頑張ってくれた脳の回復を待って、ゆっくりと休ませてあげましょう。

焦って無理に気分転換しようとする必要はありません。

ぐっすり眠り、ご自身がほっとできる環境を整えましょう。

薬物療法

うつ病の症状が重かったり、より効果的な治療を求めたりする場合にはお薬の力を借りて症状を改善していきます。

うつ病の薬物療法では、主治医の判断により、減ってしまったセロトニンとノルアドレナリンを増やす効果のあるお薬を使います。

主なうつ病の治療薬

種類作用の仕方特徴
三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)の再取り込みを防いで働きを改善させる。初期に作られた薬で効果も高いが副作用(口渇、便秘など)も出やすい。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)セロトニンのみの再取り込みを防ぐ。三環系・四環系より副作用が少ない。
効果が現れるのはややゆっくり。
1日1回の服用で良いものもある。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを防ぐ。
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)セロトニンとノルアドレナリンの分泌を増やす。副作用が少ない新しいタイプのお薬。 1日1回服用するものが多い。

お薬の効果が感じられるまでには2週間から1か月かかると言われています。

主治医の指示に従い、決められた量をコツコツ飲んでいくことが大切です。

副作用やうつ病の身体症状を防ぐため、吐き気止めや睡眠導入剤を併用することもあります。

副作用について心配な場合は早めに主治医に相談しましょう。

カウンセリング

うつ病の治療では、休養や薬物治療と一緒にカウンセリングによる精神療法を組み合わせることが多いです。

特に認知行動療法と呼ばれるカウンセリングの技法はうつ病の治療や再発予防に高い効果があることが証明されています。

カウンセリングでは「頑張りすぎてしまう」「ストレスを抱えやすい」「偏った考えをしてしまう」などといったご自身の思考のパターンやクセを見直して、今より柔軟な考え方ができるようにすることでうつ病の再発予防に役立てていきます。


ただし、症状の程度によってはカウンセリングが適切でない場合があります。

うつ病治療の一環としてカウンセリングをしたいときは、まずは主治医にカウンセリングを受けても良いか相談してみることをおすすめします。

うつ病の治療にオンライン診療でできること

「うつ病かもしれないけど、いきなり病院へ行くのには抵抗がある」

そんな方は、精神科・心療内科を取り扱っているオンライン診療を受診してみてはいかがでしょうか。


精神科・心療内科のオンライン診療では、スマホやPCから受診でき、ビデオ通話で直接医師と話してご自宅でうつ病の診察と治療が受けられます。


ここでは、うつ病の治療のためにオンライン診療でできることを、メリット・デメリット・オンライン診療の流れとともに解説します。

オンライン診療のメリット

心療内科・精神科のオンライン診療でうつ病の治療をするとき、メリットと感じられるのは次のような特徴でしょう。


・スマホやパソコンがあれば診察予約・診察・会計まで完結できる
・土日祝や夜間でも受診できる
・自宅のようなリラックスした環境で診察してもらえる


オンライン診療では、受診の予約から会計まで、すべてオンラインで完結します。

予約の際に医療機関へ電話する必要がなく、スマホアプリやWebサイトから24時間いつでも予約できることが特徴です。


また、対面診療のクリニックや病院は土日祝・夜間は休診のことが多いですが、オンライン診療では対面診療が休診のときにも受診可能な場合もあります。

平日昼間は仕事や学校の授業を受けているという方も多いですよね。

仕事や学校を休みたくないという方は、オンライン診療を検討してみると良いでしょう。


また、オンライン診療では、自宅のようなリラックスした環境で受診できることが大きなメリットです。

外出するのが怖い方や病院だと緊張してしまう方にとっては、おすすめの受診方法と言えます。

オンライン診療のデメリット

一方、心療内科・精神科のオンライン診療を受けるうえで、次の点はデメリットと感じるかもしれません。


・顔を見せながら落ち着いてビデオ通話できる環境が必要
・聴診などの検査ができない


オンライン診療では、患者さんの話す内容に加えて、顔色や表情も見たうえで病状を判断していきます。

そのため、患者さんの顔が見えない状態でのオンライン診療はできないため注意しましょう。


そして、心療内科・精神科でも、身体の状態を把握するため患者さんの体に触れる「触診(しょくしん)」や、心音や呼吸の音を聴く「聴診(ちょうしん)」など、身体の病気がないか調べるための検査をすることがあります。

オンライン診療ではその場でこのような検査ができないため、必要に応じて対面診療を勧める場合があります。

心療内科・精神科のオンライン診療の流れ

ここでは、夜間・休日も全国エリアで対応しているファストドクターのメンタルクリニックを例に、心療内科・精神科のオンライン診療を受ける流れについて解説します。

※医療機関がない離島在住の方はご利用になれません。

 

①予約

予約サイトにある「診察予約する」または「予約する」を押して、画面の表示にしたがって必要情報を入力します。入力後に届く仮予約メール到着後、30分以内にURLをクリックすると予約が完了します。

 

②事前問診

予約完了画面に問診ボタンが表示されるので、画面の表示にしたがって保険証やお薬手帳の画像をアップロードしていきましょう。

 

③診察

診察時間の30分前にビデオ通話用URLがメールで届きます。診察時間になったらURLをクリックして入室します。

まずは診療前相談をした後、診察がスタートします。

※診察前相談の結果、オンライン診療を行わない場合は診療費用は発生しません。

 

④お会計

診察の翌日以降、お会計についてのメールが届きます。クレジットカードで支払いをします。

※クレジットカードを持っていない場合は、口座振込での支払いも可能です。相談してみると良いでしょう。

 

職場などへ診察を受けた証明を提出する必要がある場合、診断書を発行することもできます。医師と相談したうえで、休職を希望する場合は、診断書や傷病手当金申請書など、各種申請書・証明書の発行も対応しています。

 

当院指定書式の診断書を希望された方にはご診察後3日以内を目安に【PDFファイル形式(メール添付)】にてお送りします。ご希望の場合は事前問診および診察時にその旨をお知らせください。



※当院指定書式以外の診断書を希望される場合には、診察希望日の7日以上前までに[email protected]にPDFファイル形式で当該のフォーマットをお送りください。

事前相談なく診察当日に依頼いただいても対応できかねますのでご留意ください。

 

※最終的な発行可否は医師の医療的判断によります。

書類によっては継続的な診察を通して発行可否を判断するものもございますため、初診時に発行できない場合もございますことをご了承ください。

まとめ

この記事では、うつ病の原因・症状・治療方法について解説しました。

うつ病は脳のセロトニン・ノルアドレナリンの不足によって気分の落ち込みのような精神症状や眠れないといった身体症状が続き、日常生活に支障が出る病気です。

うつ病は、誰でもかかる可能性のある病気ですが、放置してしまうと症状がどんどん深刻になってしまいます。

気の持ちようで治る病気ではないため、専門家に相談して症状が悪化する前に速やかに適切な治療を受けていきましょう。

 

参考資料


[1]厚生労働省『こころもメンテしよう〜若者を支えるメンタルヘルスサイト』
うつ病|こころの病気について知る

[2]厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修『女性の健康推進室ヘルスケアラボ』
産後のトラブル

[3]国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所『知ることからはじめよう こころの情報サイト』うつ病|こころの情報サイト

[4]厚生労働省『働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳』
うつ病の治療と予後

[5]厚生労働省オンライン診療の適切な実施に関する指針平成 30 年3月 (令和5年3月一部改訂)

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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以下の症状が見られる場合は、お近くの病院で対面での受診をおすすめします。
  • 自傷他害のおそれがある場合
    • 自分を傷つけたいと思う
    • 具体的に死ぬ方法について考えている
  • 身体疾患が強く疑われる場合
    • 高熱がある
    • 呼びかけてももうろうとしている
    • 意識がない
  • 緊急性が認められる場合
    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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