診察とカウンセリングを組み合わせるとどんないいことがある?

カウンセリングで悩みの根本解決を目指す

メンタルクリニックでの診察を受けていて「薬以外の治し方もあるのかな」「生きづらさを感じること自体をなんとかしたい」と不安に感じたことはありませんか?

診察で処方された薬は、今のつらい症状を抑えたり、消耗したこころと体を回復させるために大切な役割を果たします。ですが、この症状を引き起こしたストレスなどの原因を根本的に見直してくれるものではありません。

頭の中から離れないつらい過去やこれからの不安は、カウンセリングで解決していく必要があるでしょう。カウンセラーとの対話を通して、自分自身とじっくり向き合うことが大切です。

診察とカウンセリングを組み合わせることで、症状を抑えながら根本的な解決へ導きます。薬による治療を終えた後も自分らしく過ごせるようになるでしょう。

診察とカウンセリングの違い

まずは、精神科・心療内科での診察とカウンセリングは何が違うのかを見ていきましょう。

診察
(薬物療法主体)
カウンセリング
(心理療法)
特徴医師判断のもと、身体や脳に働きかける薬が処方される。目の前の症状を抑えるためのアプローチカウンセラーとの対話から、考え方や感情へ働きかける。考え方を柔軟にするなど、将来を見据えたアプローチ
効果実感までの期間薬によって服用後数時間~数週間などさまざま。ほとんどの場合、一定期間の服用が必要対話を重ねる中で少しずつ効果を実感する。必要な回数には個人差がある
副作用体質や薬により副作用が起きる大きな副作用はない。自分や過去と向き合うことにストレスを感じる場合がある

診察では薬の処方による症状のコントロール、カウンセリングでは対話による考え方の見直しを行います。

診察でできること

精神科や心療内科の診察では、医師があなたの症状に合わせた薬を処方します。事前問診や診察時に、つらいと感じていることを伝えてみましょう。

処方される薬は、飲んですぐに効果が出るものばかりではありません。基本的には数週間コツコツと服用を続けることで症状を和らげていきます。不安感が強く出る場合には、毎日飲み続ける薬にプラスして即効性のある頓服の薬が処方されることもあるでしょう。

また、仕事や勉強、育児などができないほどに症状がつらい方は、医師による診断書や傷病手当金申請書を書いてもらうこともできます。休職や休学、お子さんの預け入れを検討している方は、まずクリニックでの診察を受けてみましょう。

診察の費用は基本的に保険が適用されますが、診断書やオンライン診療の利用料など一部保険適用外の料金もあります。

カウンセリングでできること

カウンセリングは公認心理師や臨床心理士の資格を持つカウンセラーと一対一で対話をしていき、現在の悩み事を整理していきます。診察で行う薬物療法に対し、カウンセリングを心理療法と呼ぶこともあります。

心理療法の中でもよく使われるのが「認知行動療法」です。認知行動療法では、実際に起こった出来事の捉え方を柔軟にしていき、現実をバランス良く受け止められるような考え方を身につけていきます。

例えば、何事も悲観的に考えてしまう人がポジティブな視点でも物事を考えられるようにして、日常生活の不安やストレスを自分で軽減できるようにしていきます。

カウンセリングはクリニック以外で行われることが多く、ほとんどの場合で保険は適用されません。しかし、本人の希望や同意にもとづいて通院中のクリニックと連携ができるカウンセリングもあります。

診察とカウンセリングを組み合わせてできること

診察とカウンセリングを組み合わせることにより、現在のつらい症状を薬で抑えながらカウンセリングで根本解決につなげていけます。休養と治療が十分に進んだ後もスムーズに復帰できるでしょう。

前向きに治療を続けていく

カウンセリングでは、クリニックでの治療を前向きに続けていくサポートができます。

診察で処方された薬を飲み続けると、つらい症状が徐々にやわらいでいきます。症状が無くなると薬を止めたくなりますが、急に飲む量を減らすと症状の再発や不安・不眠などの離脱症状を引き起こしやすくなります。そのため、薬は医師の指示により適切な方法でゆっくり止めていくことが必要です。[1]

医師から話された内容をカウンセリングで整理することで、薬での治療も前向きに続けていけるかもしれません。

困りごとに対処しやすくなる

日常生活で困りごとが発生すると、人によっては強い不安感や緊張を覚えるでしょう。不安や緊張で体に症状が出る方は、診察時に医師に相談することをおすすめします。簡単な対処法を教えてもらえたり不安になったときに飲む薬を処方してもらえたりするでしょう。

また、カウンセリングでも困りごとが起こったときの対処法を考えてくれます。対話を通して、じっくり困りごとの原因を考え、あなたに一番合った方法を教えてくれるでしょう。

自己理解を深められる

カウンセリングでは、カウンセラーとの対話を通して自分の過去や性格を深く理解していきます。自己理解を深めて考え方を柔軟にしていけば、ストレスや不安にも対処していけるようになるでしょう。

しかし、自己理解を深めるには、過去のつらいことと向き合わなければなりません。診察で処方された薬で症状を抑えながらカウンセリングを受けると、自己理解を進めやすくなります。

日々のストレスに対処できる

治療が順調に進んでいても、日常生活のストレスによって症状が悪化することがあります。薬で一時的に症状を軽減することもできますが、自力で対処できると嬉しいですよね。

カウンセリングで自己理解を深めて考え方を柔軟にしていくことで、困りごとが起きても自分で対処していけるでしょう。また、カウンセラーに普段の話を聞いてもらうだけでも、ストレスが少し軽くなるかもしれません。

人間関係をより良くできる

現在の症状が人間関係から発生している場合、ぜひカウンセリングを受けてみましょう。カウンセリングを通して自身のコミュニケーションを振り返り、より良いコミュニケーションスキルを身につけられます。

また、合わない人間関係で症状が出ていた場合、周りとのコミュニケーションに不安を感じている方もいるでしょう。このような不安は一時的であれば薬でやわらげることも可能です。医師やカウンセラーに相談して、困りごとの内容や程度にあわせて今の自分に合った方法を選んでいきましょう。

診察では相談しきれなかった
ことも、カウンセラーに
じっくり話してみませんか?

メディカルカウンセリングでは、プロの心理士があなたの悩みにじっくり向き合います

  • 土日祝日や夜間も対応
  • ご自宅からカウンセラーに相談可能
  • 24時間予約受付

カウンセリングが向いている人

ここまで通院とカウンセリングの組み合わせについて説明してきました。しかし、全ての人にカウンセリングが向いているとは限りません。

基本的には、次の条件に当てはまる場合にカウンセリングが適切と判断されます。[2]

・自分について深く考えて話せる状態である
・現在の症状に心理的な原因があると思われる
・カウンセリングを受ける経済的余裕がある
・本人にカウンセリングを受ける意思がある

カウンセリングはカウンセラーとの対話が基本となりますが、ただ話を聞いてもらうだけでは問題は解決しません。対話の中で自分と深く向き合い、考え方を柔軟にしていくことが必要です。また、カウンセリングは1回で完結することは少なく、定期的にくり返すのが一般的です。

そのため、上記の条件に当てはまらない場合には、まずは診察を通して症状の改善を目指していきましょう。

一方で「困りごとはあるけれど症状はないから薬は使いたくない」という方もいるでしょう。そのような方は一度カウンセリングを受けてみて、カウンセラーから「診察を受けてみては?」とアドバイスされたらクリニックの受診を検討してみてはいかがでしょうか。

診察とカウンセリングを組み合わせた場合の流れ

診察とカウンセリングを組み合わせた場合、基本的には「診察で出された薬で症状を抑え、カウンセリングで考え方を変えていく」という流れで治療を進めていきます。

うつ病を治療中の方

うつ病を治療中の方は、薬での治療や休養を続けながらカウンセリングで自身の考え方を柔軟にしていきます。

うつ病は簡単に言うと、脳内でセロトニンやノルアドレナリンの量が減り気分の落ち込みが続いている状態です。そのため、休養をしながら薬を使ってセロトニンやノルアドレナリンの量を徐々に回復させていきます。

自分について話すことができる程度まで回復したら、カウンセリングの適応になります。カウンセリングでは、まず現在の症状や生活状況をカウンセラーに話して、見直した方が良い点について話し合います。気分の変化を記録する「コラム法」や徐々に活動範囲を増やす「行動活性化」、自分の意見を上手に伝える「アサーショントレーニング」など、あなたに合った解決方法を教えてくれるので、少しずつ実践してみましょう。[3]

不安を感じやすい方

不安を感じやすい方は、カウンセリング(認知行動療法)で不安を悪化させてしまう考え方を修正していきます。不安によって動悸や呼吸困難などの症状が強く出る場合は薬を処方してもらい、カウンセリングと組み合わせると良いでしょう。

不安の種類によりカウンセリングの進め方も異なりますが、基本的には少しずつ不安を体験しながら自信をつけ、プラスのイメージに書き換える作業を行います。

例えば、人前で発表をするときに赤面と声の震えで緊張してしまう場合、カウンセラーと一緒にロールプレイしている姿を撮影し、撮影した映像を見て「思っているより赤面も声の震えもなかった」と確認することで自己評価を書き換えていきます。[4]

不眠症を治療中の方

不眠症の治療を受けている方は、薬を続けながらカウンセリングも検討してみましょう。不眠症の薬は依存性の少ないものも多く、急に止める必要はありません。医師の指示やカウンセラーのアドバイスに従いながら、徐々に薬に頼らなくても眠れるような習慣を身に付けましょう。

カウンセリングでは、主に「寝床では睡眠以外をしない・眠れない場合は寝床を離れる」という「刺激制御法」に基づいて、対話しながらその人に合わせたアドバイスを行っていきます。[5]

不眠の症状がある場合、うつ病のような精神疾患やむずむず脚症候群などの睡眠関連疾患が隠れていることも多いため、診察がまだの方はなるべく早めに受けてみましょう。

復職を目指している方

うつ病や適応障害などで職場を休職・退職していた方は、復帰を目指せる段階になったら診察を受けながらカウンセリングも活用していくと良いでしょう。

診察では復職するための診断書を書くこともできます。医師に相談しながら必要書類を書いてもらいましょう。また、再発防止のため、復職後も薬の服用はしばらく続けたほうがよい場合もあります。薬を止めるタイミングも医師の指示に従いましょう。

復職した後に症状の再発を防ぐために、復帰前からカウンセリングを上手く活用するのがおすすめです。復職にあたって不安なことをカウンセラーに話したり、ストレスへの対処法を教えてもらったりできます。

まとめ

診察(薬物療法)とカウンセリング(心理療法)を組み合わせると、つらい症状を抑えるだけでなく根本的な改善につなげることができます。

対面でのカウンセリングが怖い方やカウンセリングを受けるための移動が不安な方、時間がなかなか取れない方はオンラインでのカウンセリングもおすすめです。

診察では相談しきれなかった
ことも、カウンセラーに
じっくり話してみませんか?

メディカルカウンセリングでは、プロの心理士があなたの悩みにじっくり向き合います

  • 土日祝日や夜間も対応
  • ご自宅からカウンセラーに相談可能
  • 24時間予約受付
参考資料

[1]厚生労働省|催眠鎮静薬、抗不安薬及び抗てんかん薬の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)
[2]厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」|Q5:カウンセリング効果の実際は?:専門家が事例と共に回答~職場のメンタルヘルス対策Q&A
[3]厚生労働省|うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル
[4]厚生労働省|社交不安障害(社交不安症)の 認知行動療法マニュアル (治療者用)
[5]宗澤岳史、三島和夫|不眠症に対する認知行動療法|精神保健研究、第55号、2009 年、p72

ファストドクターアプリ

ドクターのオンライン診療・往診アプリ

オンライン診療も往診も
アプリから便利に相談

App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう