Language
  • TOP
  • 医療コラム
  • 「血圧測定」正しくできていますか?測定のポイントを解説|オススメの家庭用血圧計も...

「血圧測定」正しくできていますか?測定のポイントを解説|オススメの家庭用血圧計も紹介

「健康管理のために毎日血圧を記録している」

「健康診断で高血圧を指摘されたので自宅で血圧を測っている」

理由は様々ですが、上記のように自宅で血圧を測り記録をしている人も多いのではないでしょうか。

家庭用の血圧計が普及し自宅でも血圧を簡単に測れるようになりましたが、正しく血圧を測ることができているでしょうか。

本記事では、血圧の正しい測り方のポイントとおすすめの家庭用血圧計について解説しています。

この記事を読んでわかること

  • 血圧計の正しい測り方
  • 血圧測定のタイミング
  • 家庭用血圧計の種類と選び方

この記事を読むことで、血圧を正確に測るポイントを知ることができます。

血圧を管理することは、脳卒中や心臓病などの重大な病気を予防をするうえで大切です。

正しい測り方を知り健康管理に役立てましょう。

記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

高血圧でお困りの方は、ファストドクターのオンライン診療を頼ってください。

[高血圧]は
ご自宅での診察(オンライン診療)
もご相談可能です

血圧の正常な数値とは?

血圧は収縮期血圧と拡張期血圧の2種類があり、収縮期血圧は一般的に「上の血圧」と呼ばれ「血液が全身に送り出された時の圧力」を指します。

一方、拡張期血圧とは「下の血圧」といわれており、血液が心臓に戻ってきて「心臓が拡張し、元の大きさに戻る時の圧力」のことです。

血圧を習慣的に測定し記録しておくことで高血圧などの疾患や体調の変化に気づきやすくなります。

高血圧を治療せず放置していると、脳卒中や心臓病などの発症リスクが高まるため血圧を正確に計測し、記録をつけて血圧を管理する必要があります。

血圧の正常値を以下の表にまとめました。

分類収縮期血圧拡張期血圧
正常域血圧正常血圧120未満かつ80未満
正常高血圧120〜129かつ/または80未満

高血圧
高血圧130〜139かつ/または80〜89
Ⅰ度高血圧140〜159かつ/または90〜99
Ⅱ度高血圧160〜179かつ/または100〜109
Ⅲ度高血圧180以上かつ/または110以上
(孤立性)収縮期高血圧140以上かつ90未満

引用:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2019

また、白衣高血圧といって自宅などで測る血圧の値が正常であるにも関わらず、医療機関で医者や看護師などの医療従事者が血圧を測定した場合に血圧が一時的に高くでる高血圧があります。

白衣高血圧の原因は緊張によるものです。

緊張することによって自律神経が優位となり血管が収縮するfことで一時的に高血圧になると考えられています。

白衣高血圧で血圧200以上という数値がでる人もいますが、一時的であればおおむね問題ないです。

しかし、高血圧が続く状態であれば脳卒中や心臓病のリスクがあるため医師に相談し治療を検討してもらうと良いでしょう。

高血圧でお困りの方は、ファストドクターのオンライン診療を頼ってください。

[高血圧]は
ご自宅での診察(オンライン診療)
もご相談可能です

家庭での基本的な血圧の測り方

正しく血圧を測るための基本的な姿勢は、背もたれのある椅子に腰掛けてリラックスした状態で測定します。

家庭用血圧計を用いて習慣的に血圧を計測・記録していても正しく測定できていなければ意味がありません。

そのため、血圧を測るときは直前に運動はおこなわず、椅子に腰掛けリラックスした状態で測るようにしてください。

椅子がない場合は床に腰掛けて血圧を計測しても大丈夫です。

血圧を測る際に緊張してしまう人は、血圧測定前に1〜2分ほど深呼吸をし、体をリラックスさせることをおすすめします。

深呼吸すると気持ちが落ち着くため、血圧測定時にドキドキしないで測定することができるでしょう。

アメリカでは、椅子に座り4〜5分ほど経過してから血圧を測定することが推奨されていますが、日本では1〜2分ほどリラックスした後に血圧を測ることが推奨されています。

血圧は1日の中でも変動しやすく、運動後や精神状態によっても変化するため、測定する際は時間を決めリラックスした状態で2回ずつ計測し血圧の平均を記録すると良いです。

正しく測るポイント

血圧を正しく測定するにはいくつかポイントがあります。

血圧を正しく測るポイントは以下の4点です。

室温が高すぎると、体内の熱を放散させるために血管が拡張するため、血圧の数値が低くなりやすく、逆に室温が低いと体温を逃がさないように血管が収縮するため血圧が高く表示されてしまうことがあります。

尿意や便意を我慢した状態で測定をした場合も血圧が上昇してしまうので排泄を済ませてから血圧を計測してください。

また、血圧測定時に息を止める行為は避けましょう。

息を止めた状態で測定すると心拍数が低下して血圧が上昇してしまう可能性があります。

会話をしながら血圧を測定すると血圧が5mmHgほど上昇するといわれているため、血圧測定をしている時は、会話をしないように気をつける必要があります。

他にも「血圧計の巻き方」や「血圧を測る時の姿勢」も血圧を正しく測るために重要なのでポイントを抑えておく必要があります。

血圧計を巻くポイント

血圧を正しく測るためには、カフを正しく装着する必要があります。

血圧計の腕に巻く帯の名前を「カフ」といい、カフに空気を送り血管を圧迫することで血圧を測定します。

血圧計のカフは正しい位置に巻くことも大切ですが、腕に巻く「強さ」によっても血圧が変動するため、正しく腕に巻きつけるようにしましょう。

カフの巻く強さによる具体的な変化は以下のとおりです。

カフの巻く強さ血圧の数値理由
キツい場合低く測定されるキツく巻きすぎると十分に加圧をする前に、血行が早く止まるため結果として血圧が低く測定されてしまう。
ゆるい場合高く測定されるゆるく巻きすぎると、正確にカフを巻いた時よりもさらにカフを加圧する必要があるため高く測定されてしまう。

上腕で測定する場合、カフと腕の隙間に「指が1〜2本」入るように巻くと血管全体を均一に加圧することができるため、正しい値を測定することができます。

カフを正しく装着しないと、血圧を正しく測定することができません。

血圧計のカフの正しい装着方法のポイントは以下3点です。

  1. カフは素肌か薄手の服(肌着など)の上に巻く。
  2. カフは肌に軽く添わせるようなイメージで巻きつける。
  3. カフを巻く位置は肘の内側から1cm〜2cm程度上に巻く。

血圧計のカフを締めつけすぎると血圧が低く、血圧計のカフを緩く巻くと血圧が高く測定されてしまうため注意が必要です。

カフの位置が正しくないと血圧を測定した際に正しい数値を測定することが難しいため、可能な限り正しい位置で計測しましょう。

血圧を測る時の姿勢

背もたれのある椅子に腰掛けて、心臓と同じ高さに腕を置く体勢が血圧を測る基本的な姿勢になります。

椅子がない場合は、床に座って測定しても構いません。

しかし、血圧測定時に正座をしたりあぐらをかいたりするとお腹や足に圧がかかることから血圧が上がりやすくなるため、正座などはせず足を伸ばすか、椅子から下げた状態で測るとよいでしょう。

また、椅子に座っていてもテーブルが低く身をかがめるような姿勢では腹圧がかかりやすくなります。腕の位置が心臓より低くなってしまうと血圧の数値が高くでる傾向があるため注意してください。

体調が悪く座ることが難しい場合は、寝たまま血圧測定をしても構いません。

「血圧は横になると下がる」と勘違いされている人もいますが、血圧は寝ながら測ると重力の影響で足にいった血液が戻って来やすくなるため高い数値がでやすいことを知っておくとよいです。

反対に、立ったままの姿勢では血圧の数値が低くなりやすいため覚えておきましょう。

姿勢による血圧の変動は重力によって「寝る>座る>立つ」の順で変動していきます。

血圧は測る姿勢によっても変動しやすいため、血圧をきちんと管理したい人は可能な限り毎回同じ姿勢で計測することが重要です。

参考:「Q&Aシリーズ(2)家庭での血圧の測り方、正しいのは?

血圧測定のタイミング

血圧は1日の中でも変化するため、朝と夜の決まった時間に測定することが望ましいです。

時間を決めて測定をおこない、朝と夜に各2回ずつ(計4回)血圧を測定することで、その日の血圧の平均を記録することができます。

日本高血圧学会では血圧測定の時間帯は、朝であれば「起床後1時間以内で朝食・服薬前」が望ましく、夜におこなう際の時間は「就寝直前、トイレを済ませて1〜2分椅子に座ってから」計測することを推奨しています。

血圧測定をする際は食後・飲酒直後は避け、飲食してから1時間以上時間をあけてから測定するようにしましょう。

食直後は、食べたものを消化をするために胃や腸などの消化器系に血流が集中しやすくなったり、消化管ペプチドが放出することで血管抵抗性を下げることから血圧の値が低く測定されやすくなります。

また、血圧は自律神経の影響を受けて変動するため、朝と夜では血圧の値が異なる場合があります。

日中は交感神経が優位になっているため、血管が緊張して血圧が上がりやすく、夜間は副交感神経が優位になっているため、血管が拡張して日中に比べると低い値がでやすいです。

家庭で血圧測定する場合、タイミングについては注意すべき点がいくつかありますが、血圧を測定するための時間帯について明確な時間は推奨されていません。

個人の生活リズムに合わせながら上記に示した起床後や食後、運動直後などのタイミングは避け、リラックスした状態でおこなうとよいでしょう。

参考:「日本高血圧学会」 

家庭用血圧計の種類と使い方

血圧計にはいくつか種類があり、測定する箇所が異なります。

家庭用血圧計の種類は大きく分けて以下の3つをご紹介します。

医療機関でよく使用されている血圧計は「上腕式血圧計」や「アーム式血圧計」で、家庭用のものと比べると性能の違いに大差はありません。

自宅で血圧測定をおこなう際に注意していただきたい点としてマヒや浮腫、透析のシャントがある腕で血圧測定をしないように気をつけてください。

正確に血圧を測定することができないだけでなく、症状を悪化させる可能性があります。

家庭用血圧計は使いやすさと価格等を考慮して自身にあった血圧計を選択しましょう。

上腕式血圧計

上腕血圧計は「カフ」を腕に巻くタイプの血圧計です。

上腕血圧計を正しく使用するためのポイントは以下のとおりです。

  1. カフを素肌もしくは薄手の服の上に巻く(腕に添わせる程度に巻く)
  2. カフを巻く位置は1〜2センチ程度上で手のひらを上に向ける
  3. チューブが腕の中心にくるようにカフの向きを調整する
  4. カフが心臓の高さを同じにする

上記のポイントに加えて、腕の力を抜きリラックスすることでより正確に血圧を測定することができます。

手首式血圧計

手首式血圧計は手首に巻くタイプの血圧計で、比較的コンパクトなデザインのものが多いです。

手首式血圧計を正しく使用するためのポイントは以下のとおりです。

  1. 手のひらを上に向ける
  2. 血圧計を手首に被せ、手のひらから1cmほど血圧計を引いて装着する
  3. 締め付けすぎず、手首に添わせるように巻く
  4. 血圧計と心臓の高さを同じにする
  5. 測定中は指先の力を抜き、装着している方の手首は曲げない

血圧測定中に指先に力を入れていたり、手首を曲げてしまったりすると、正確に測ることができないため、測定中は指先や手首を動かさないようにしましょう。

アーム式血圧計

アーム式血圧計は「腕挿入式血圧計」ともいわれ腕を血圧計の機械に入れ測るタイプの血圧計です。

アーム式(腕挿入式)血圧計を正しく使用するポイントは以下のとおりです。

  1. 肘までしっかりと腕を入れる
  2. 前のめりの姿勢にならないように背筋をのばす
  3. 手のひらを上に向けて、手は浮かせずテーブルなどに置く

正しく測定するために機械の案内に従って、腕を正しい位置まで挿入してください。

血圧計の選び方

自宅で血圧を習慣的に計測し記録するために、まずは「自分が使いやすい」血圧計を選ぶことが大切です。

使いにくい血圧計を購入してしまうと、血圧を測定することが億劫になり測定しなくなる可能性があります。

血圧計の性能は、どの形でも測定の値に大差はないため、購入するうえで見るべきポイントは「自分が使いやすい」か「操作がしやすいか」などが重要です。

例えば血圧計のデザインにより「ボタンが押しづらい」「文字が細かくて見えにくい」といった商品があったり、身体的な面でマヒや機能障害がある場合、血圧計の種類によってはカフを巻くことに苦労する場合があります。

家庭用血圧計を用いて日々の血圧を記録し、体調の変化をチェックすることは、健康的な生活をするうえで重要です。

そのため、自分の状態に合わせて使いやすい血圧計を選択すると良いでしょう。

スマホで血圧測定

スマートフォンのアプリで血圧を記録し、管理することができます。

大学の研究機関では、スマートフォンに指先をかざし「指先の血流から血圧を計測する」といったアプリケーションの開発・研究をしているそうです。

現段階ではスマートフォンを使用した血圧測定で、正確な数値を測定することが難しいため市販の血圧計を購入し、アプリケーションを利用して血圧を記録して管理すると良いでしょう。

スマートフォンを用いた血圧測定とは少し異なりますが、OMRONという会社より、血圧測定が可能なスマートウォッチが販売されています。

オムロンが販売している血圧測定が可能なスマートウォッチの原理は「オシロメトリック法」という方法を採用していることで血圧を測定することを実現しています。

気になるのはスマートウォッチの精度ですが、他の血圧計と比較して大差はないとのことです。

専用のアプリもあるため、血圧をよりスマートに管理したい方にはおすすめです。

よくある質問Q&A

血圧測定についてよくある質問を以下3つにまとめました。

オススメの血圧計だけでなく、血圧計の仕組みも紹介しています。

オススメの血圧計はありますか?

血圧計は、自分が使いやすいものを使用することが1番ですが、比較的使いやすいタイプの血圧計は「上腕式血圧計」です。

血圧計は正しく使用しないと、正確な数値を測定することが難しくなるため自分が使いやすいと感じるものを選ぶと良いでしょう。

また、家族で血圧を管理したい人はメモリーがついているタイプの血圧計もオススメです。メモリーがついていると、家族それぞれの血圧の数値を登録することができるため1台の血圧計で数人分の血圧を管理することができます。

血圧計の種類は主に「上腕式血圧計」「手首式血圧計」「アーム式血圧計」がありますが、どのタイプの血圧計がいいのか悩んでいる人は比較的使いやすい「上腕式血圧計」がオススメです。

装着も簡単で場所をとりにくく、正しい姿勢で測りやすいため正確な値を測定することができます。

操作ボタンが大きいものや、スマートフォンのアプリと連携しているものは操作もしやすく血圧の管理をしやすいためオススメです。

血圧計『オムロン』とは?

『OMRON(オムロン)』は健康医療機器を扱っており、血圧計に関して「家庭で、誰でも簡単に正しく測定できる血圧計」を追求している会社です。

オムロンの家庭用血圧計は日本だけでなく、アメリカや中国など世界中で利用されています。

一昔前は、病院やクリニックで血圧を測ることが当たり前でしたが「家庭で、誰でも簡単に正しく測定できる血圧計」を追求したオムロンは家庭用血圧計を浸透させた会社の一つといえます。

今では当たり前になっている自動で加圧して血圧を測る技術のベースを創りあげたのはオムロンだといわれています。

オムロンを筆頭に家庭用の血圧計が浸透したことで、医療機関を受診しなくても昼夜問わず簡単に血圧を測定することができるようになりました。

オムロンの血圧計は、医療機関などでも使われており信頼できる性能があります。

引用:OMRON

血圧計の仕組みは?

血圧計の測定方法は2種類で「コロトコフ法」と「オシロメトリック法」があります。

コロトコフ法は「聴診器を使用し、心臓から送り出された血流の血管内で発生する音」を判定し、オシロメトリック法は「血管壁の振動を反映したカフの変動」をチェックしています。

コロトコフ法とオシロメトリック法の仕組みの違いを以下の表にまとめました。

コロトコフ法・カフで血管を圧迫し血流を一時的に遮断した後、徐々に減圧させた時に血管から生じる音を聴いて血圧を判定している。
・熟練の度合いにより血圧の値に誤差が生じやすいデメリットがある。
オシロメトリック法・カフを加圧した後、減圧していく段階で生じる脈圧(振動)をチェックしている。
・音の検出が不要であるためノイズに強いという利点がある

血圧計は、カフに空気を入れ血管に圧力をかけることで血流を遮断することで測定することができます。

コロトコフ法とオシロメトリック法は、測定方法が異なるため、特徴を理解したうえで血圧を測定するとよいでしょう。

まとめ

高血圧によって引き起こされる脳卒中や心臓病を予防するための一つの指標として「血圧測定」があります。

血圧を習慣的に測定し、管理することは健康的な生活を送るうえで非常に重要です。

血圧を正しく測定するためのポイントは以下の3つです。

上記3点は基本的な血圧測定の方法であるため覚えておくと良いです。

血圧は身体・精神的な影響を受けやすく、1日の中でも変動するため、自身の平均的な血圧の値を把握したい場合は、決まった時間にリラックスした状態で、2回ずつ測定するとよいでしょう。

血圧を測る前にドキドキしていたり、緊張していると血圧が高く測定されやすくなるため深く深呼吸をして気持ちを整えてから血圧を測定することをオススメします。

最近では、スマートフォンのアプリケーションで測定した血圧を管理している人も多いため、スマートフォンを利用して血圧を管理してみても良いかもしれません。

健康的な毎日を過ごすためにも、家庭で習慣的に血圧測定をおこない、血圧を管理していきましょう。