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毎日の血圧測定で健康管理!正しい測定3ポイント

血圧を測る習慣がある方は多いのではないでしょうか。

あなたは血圧とはどのようなものか知っていますか?正しい方法で測れているでしょうか?

血圧は毎日測ることで自分の体の状態が分かる手軽な方法ですが、測定方法を間違うとその記録は意味のないものになってしまいます。

こちらの記事では正しい測定方法を知り、毎日測定することで健康管理につなげていくことを目的としています。

記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

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血圧は毎日測ることが大切!

血圧は身体や環境などのちょっとした変化に影響を受けて、値が変わってしまいます。

身体的な影響は、睡眠時間がいつもより少ない、測定する前にトイレに行った、いつもは食前に測定するのに食後に測定した、心配事がある、などがあげられるでしょう。

環境による影響は、冬や夏など季節、気温の違いや、朝・夜の時間帯の違いがあげられます。

血圧を測定する場所は自宅や病院、健診会場、商業施設などがありますが、場所によっても測定した値に違いがでてきます。

定期的に受診する病院や、1年に1回の健康診断で血圧の値がよかったからといって安心してはいけません。

毎日同じ環境で測定する、自宅の血圧の変化を見逃さないことが重要です。

大切なのは毎日同じ時間、同じ環境で測定し記録をとることです。

病院や健診会場では意識していなくても緊張状態になることがあります。

この緊張状態が血圧の値に微妙な変化を生み出してしまうのです。

そのため自宅という自分が落ち着ける環境も大事です。

毎日記録をとることで血圧の変化に気づくことができ、病気を早期発見することにもつなげましょう。

血圧ってそもそもなに?

血液は心臓から全身に向けて送り出されますが、送り出された血液が流れるときに、血管にかかる圧のことを「血圧」といいます。

血圧は、例えば「120/80」のように表記されます。120の部分を「上の値」、80の部分を「下の値」と表現する方も多いでしょう。

ではこの「上」「下」は何を意味するのでしょうか?

まず、血液が全身を流れる仕組みについて説明します。

血液は血管の中を流れて必要な栄養や酸素を全身に届けます。そしていらなくなった二酸化炭素などの不要なものを回収する役目も果たしているのです。

そして血液を全身に送り出すポンプの役割をしているのが「心臓」です。

心臓がギュッと縮むことで血液が全身に送り出されます。そして戻ってきた血液により心臓がふくらんで、次に送り出す血液が心臓の中に貯まった状態となります。このくり返しで血液は全身を流れるのです。

心臓が縮んで血液が全身に送り出されるとき、多くの血液が流れる血管は広がって強い圧がかかった状態になります。

この圧が血圧の「上」と表現される値で、医療用語で「収縮期血圧」といいます。

反対に心臓がふくらんで次に血液を送り出す準備をしている状態のときは、血管を流れる血液の量が落ち着いている状態なので広がっていた血管は元の状態に戻るのです。

この状態が血圧の「下」と表現される値で、「拡張期血圧」といいます。

血圧から分かる体のこと

血圧を測ることで、血液が血管にかけている圧がどのくらいなのかを知ることができます。

測定した血圧の値が高いと「高血圧」、低いと「低血圧」となります。

高血圧

高血圧とは血液が血管にかけている圧が高い状態、つまり血管に負担をかけているということです。

この状態が続くと血管はいつも張りつめた状態となり、次第に血管壁が厚く、硬い状態となります。

この状態を「動脈硬化」といいます。

動脈硬化は大きい小さい関係なく全身どの血管にも起こるのです。

動脈硬化が進むと、脳梗塞や狭心症・心筋梗塞、腎臓の病気などを発症する危険が高くなります。

動脈硬化により血液の通る道が狭くなることで、血栓とよばれる血の塊が詰まって脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険性が高まるのです。

血液を栄養としている腎臓は、動脈硬化により血液の流れが悪くなり腎臓の機能が低下することがあります。

ほかにも命の危険のある大動脈瘤や脳出血、眼底出血などの原因にもなります。

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低血圧

低血圧とは血液が血管にかけている圧が低い状態で、WHO(世界保健機関)では収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下と定義しています。

原則として症状がない低血圧は治療の必要はありません。

しかし、めまいや失神などの症状がある場合は治療対象となります。

血圧が低すぎる状態は全身に十分な血液が届かず、酸素や栄養、二酸化炭素や老廃物の受け渡しが難しい状態となります。

そのため臓器が正常に機能せず、損傷を受けたりショック状態となる可能性があるのです。

正しい血圧測定の方法とは?

では正しい血圧測定の方法とはどのようなものでしょうか?

NG行動も含めて解説していきます。

正しい血圧測定5ステップ

血圧計には「上腕式血圧計」「アーム式血圧計」「手首式血圧計」があります。

これらの正しい測定方法を解説します。

上腕式血圧計

上腕式血圧計は肘の上の部分で測定するタイプの血圧計です。

腕で測定する血圧計の中で、家庭で使用されているタイプはこちらが一般的になっています。

  1. 椅子に座った状態で背もたれに背中をつけ、リラックスした姿勢になりましょう。そのままの姿勢で数分安静にします。
  2. 薄手の洋服または素肌に血圧計を巻きます。腕に巻く部分を「カフ」とよびます。カフの下の端が、肘の2~3cm上にくるようにします。カフはギュッと締め付けすぎず、指が1~2本入るくらい余裕をもちましょう。
  3. カフの中心を心臓の高さと同じにします。カフの位置が低い場合は、本などを置いて腕の高さを調整しましょう。
  4. 腕の力は抜いた状態で、掌を天井に向けて測定します。
  5. 1~2分の間隔をあけて、2回目の測定をします。

アーム式血圧計

  1. 椅子に座った状態で背もたれに背中をつけ、リラックスした姿勢になりましょう。そのままの姿勢で数分安静にします。
  2. 薄手の洋服または素肌の状態で血圧計の中に腕をいれます。腕帯とよばれる腕をいれる部分の端が、肘の2~3cm上にくるようにします。
  3. 腕帯の中心が心臓と同じ高さになることが理想です。椅子の高さを調整できるようであれば、腕帯が心臓の高さになるよう調整をしましょう。
  4. 腕の力は抜いた状態で、手のひらを天井に向けて測定します。
  5. 1~2分の間隔をあけて、2回目の測定をします。

手首式血圧計

  1. 椅子に座った状態で背もたれに背中をつけ、リラックスした姿勢になりましょう。そのままの姿勢で数分安静にします。
  2. 素肌に血圧計を巻きます。カフを巻く位置は、手首から1㎝程離れた場所です。カフの端を引っ張り、ぴったりと手首に巻きましょう。
  3. 血圧計の高さは心臓の高さと同じにします。ひじをテーブルに置き、曲げることで高さを調整しましょう。
  4. 手の力は抜いた状態で、手のひらを天井に向けて測定します。
  5. 1~2分の間隔をあけて、2回目の測定をします。

血圧平均値の計算方法

2回測定した血圧の値の平均値が、その時の血圧の値となります。

平均値の出し方は収縮期血圧(上の値)と拡張期(下の値)の2回分をそれぞれ足し、それを2で割ります。

例)1回目の血圧が120/80、2回目の血圧が122/76だった場合

収縮期血圧→(120+122)÷2=121

拡張期血圧→(80+76)÷2=78

      ↓

平均値は121/78となります。

血圧を測るのは右?左?

血圧を測る際に左右どちらの腕で測ればよいのか迷う方もいるでしょう。

一般的には利き手と逆の腕で測定します。

聞き手が右の場合は左で測ることが多いですが、うまく測れなかったなど再度測る場合は右で測るというパターンもあります。左手・右手で測る理由というのは大きな理由は特にありません。

しかし、血圧測定を初めて行う方は左右差がある可能性があるため何度か左右両方とも測定してみましょう。

もし左右差がある場合は、高い数値が出る方の腕で測定をします。

どちらの腕で測定をするか決めたら、なるべく同じ腕で計測をするようにしましょう。

血圧測定のNG

・足を組んだり、あぐらの姿勢や床に座った状態での測定はやめましょう。

足の血管が圧迫されることで血液の流れが滞り、血圧の値が高く出る可能性があります。

椅子がない場合は寝た状態で測定することをおすすめします。

・カフの中心が心臓より上になったり、下になるのは避けましょう。

カフが心臓より上になると血圧は低く、下になると血圧は高くでる可能性があります。

・洋服をまくり上げてカフを巻く場合、まくり上げた部分が腕を圧迫しないようにしてください。

まくりあげた洋服で腕を圧迫してしまっている場合は、1枚脱ぐなど調整をしましょう。

・血圧測定の30分前からタバコ、カフェインが含まれる飲み物は避けましょう。

・血圧計の寿命は多くのもので5年もしくは30,000回といわれています。古い血圧計は値が高くなったり、低くなったりと正確な数値が出ないことがあります。

・血圧測定の測りすぎに注意しましょう。血圧測定をして何回目が正しいのか混乱してしまうので複数回測るのは避けましょう。

機械式の血圧測定器がないときに血圧は測れる?

機械式の血圧測定器がない場合、手動で測定する血圧計もあります。

手動血圧計はカフを腕に巻いた状態で、ゴム球から自身で空気を入れてカフを膨らませて血圧を測定する方法です。

この方法は慣れるまで少し練習が必要となりますが、一度コツをつかめば簡単に測定をすることが可能です。

正しい血圧測定をするために知っておきたい3つのポイント

血圧測定を正しくおこなうためにおさえておきたい3つのポイントをお伝えします。

血圧測定をする時はリラックスしよう

測定をする5分前からリラックスした状態を意識しましょう。

緊張して思わず息を止めてしまうなどの行動をしてしまう人もいるかもしれませんが、それでは正しい血圧値を図ることはできません。

また、運動、タバコ、カフェインの入った飲み物などは避け、安静にすることを心がけましょう。

正しい姿勢で血圧測定をしよう

カフを巻く位置は間違っていませんか?カフの中央が心臓の高さと同じになっていますか?

椅子に座りリラックスをして、測定前に正しい姿勢になっているか確認しましょう。

椅子がない状態で血圧測定を床で座って行う際には、壁などを背もたれ代わりにし、背もたれがある状態で測るようにしてください。

血圧測定をする時間を決めよう

血圧の値は1日の中で変化します。同じ人が測定していても、朝と夕方では値に変化がみられます。

測定する時間を決めて、なるべく毎日同じ時間に測定をしましょう。

血圧測定をする前にいつもと違う行動をとった場合は、5分ほどリラックスする時間をとりましょう。

血圧測定の時にドキドキしない方法ってあるの?

診察室や健康診断の会場で血圧を測られるときに、ドキドキしていつもより高い血圧になった経験はありませんか?

血圧は少しの環境の変化、体調の変化に敏感です。

病院までの道のりを歩くことで身体は運動していると感じます。

自宅ではないいつもと違う環境に緊張状態となります。

このような自身でも気づかないことが、血圧に影響してくるのです。

測定前に安静にする時間を数分とり、深呼吸をしてから測定をしてみましょう。

深呼吸をしてリラックスした状態で測定しても血圧が高くなってしまう方は「白衣高血圧」の可能性があります。

白衣高血圧は自宅での血圧が正常にもかかわらず、診察室で測定するときだけ血圧が高くなる高血圧です。

白衣高血圧は、緊張することで自律神経が乱れ一時的に高血圧になることが原因です。

高血圧の方の15~30%にみられ、女性、高齢者、非喫煙者、睡眠時無呼吸症候群の方などに多いといわれています。

自宅での血圧が安定している場合は治療の必要はありませんが、将来的に高血圧に移行しやすいというデータがあるため経過をみていく必要があります。

病院での血圧が高い状態であっても、自宅で毎日測定した血圧記録を提出することで「白衣高血圧」であること、治療の必要がないことを医師が判断できるため受診時には日頃の血圧の記録を持参しましょう。

血圧を測るたびに値が変わるのはなぜ?正しい測定回数について解説

血圧測定は1度に2回測定し、その平均値をとることが推奨されています。

しかし測定した血圧が高い場合、気になって何度も測りたくなってしまうでしょう。

しかし何度も測っていると、本当の血圧の数値が分からなくなってしまう可能性があります。

また、不安な気持ち、体への負担などから正しい値とは違う高い血圧が測定結果としてあらわれる可能性があります。

また測定時にカフが締め付けるため腕はうっ血状態となり、測定のたびに血圧の値が上昇することも考えられます。

数回にわたり測定する場合は、時間をあけて測定をしましょう。

何回目の血圧が正しい値?

血圧は1日に2度、朝と夜に2回ずつ測定することが推奨されています。その平均値をその時の血圧の値としています。

朝と夜に測定する理由は、血圧が高くなる時間帯に違いがあるためです。

高血圧の方の中には朝に血圧が高くなる方、夜に血圧が高くなる方と時間帯によって血圧に違いがでることがあります。

このように時間帯によって血圧の値に違いがある場合、使用する薬や内服タイミング等に違いがでるのです。

血圧は1回目よりも2回目の方が高い値が出る傾向があるといわれています。

これは血圧を測定する際にカフがギュッと締まることでうっ血状態となるためです。

続けて測定する場合は手を「グーパー」と閉じたり開いたりして1分位間隔をあけるようにしましょう。

2回目以降は値が高くなる傾向があるため、2回分の測定結果の平均を出すことが推奨されています。

もし測定結果が気になり2回以上測定する場合は、少し時間をあけて測定していきましょう。

毎日の血圧管理方法 おすすめ3種類

自宅での血圧測定を毎日継続して行うことが重要との話をしてきましたが、結果はどのように管理していけばよいのでしょうか?

おすすめの方法3種類を紹介します。

血圧ノート

手書きで管理する方法がよい方におすすめなのが血圧ノートです。

毎日の血圧の値を数字で記入するものや、表に記載していくグラフ形式のものもあります。

グラフ形式のものであれば、パッと見て血圧の推移が分かります。

血圧ノートは病院や薬局から無料でもらうことができる場合もありますので、聞いてみましょう。

今は100円ショップなどにも売っているため、手軽にどこでも購入できます。

血圧ノートを購入しなくても、ご自身で紙に記入するだけでもよいでしょう。

エクセル

パソコンで管理をしたい方におすすめなのが、エクセルでの血圧管理方法です。

自身でエクセルで作成することもできますが、様々なサイトで無料の血圧管理エクセルを配布しています。

数値を入力すると自動でグラフに変換してくれたりと便利な機能のものがあります。

アプリ

スマホで管理をしたい方におすすめなのが、アプリでの血圧管理方法です。

アプリの種類によっては血圧だけでなく、内服している薬や体重、そのほかの検査結果の管理までできる総合健康管理アプリもあります。

最近ではスマホで血圧測定できるアプリも存在しています。

血圧測定アプリを起動し、指をAndroidやiPhoneに置くだけで無料で測定できるため便利です。アプリの便利な点は病院に受診する際にスマホを出すだけでよいので、血圧の表を忘れたということがない点です。

無料で測定できるアプリも多いため、気になる方は試してみましょう。

Q&A

血圧測定に関してよくある質問について答えていきます。

家庭内血圧の正常値はいくつですか?

日本高血圧学会では「高血圧治療ガイドライン2019」の中で、家庭で測定する血圧は115/75mmHg以下が正常値としています。

また、診察室での血圧は120/80mmHg以下が正常値となっており、自宅の血圧より少し高めの値となっています。

血圧の正しい測り方は?

朝は、起床後1時間以内に排尿を済ませた後、1~2分安静にして測定します。

朝食、薬の内服は血圧測定の後にしましょう。

夜は就寝前の落ち着いた状態の時に、1~2分安静にした後に測定します。

椅子に座ってリラックスした状態で測定しましょう。

血圧計は手首と腕どっちがいい?

手首と腕どちらも正しく血圧測定ができます。

両方とも、カフと心臓の高さを同じにすることが大切です。

血圧はいつ測るのが一番いいですか?

血圧を測る時間は朝と夜1日2回が理想ですが、その時間帯に測定が難しい方は毎日同じ時間、条件で測定を続けることが大切です。

まとめ

血圧測定は身近で手軽にできる健康管理の一つです。

しかし、自身では気づかない程度の体調の変化、環境の変化によって値が変わってしまいます。

1度測っただけでは自身の体の状態を知ることは難しく、継続して記録を残していくことが必要となります。

長期的な血圧の経過をみることで、自身の体の不調にすぐに気が付くことができるでしょう。

毎日正しい測定方法で血圧測定をおこない、健康管理をしていきましょう。