タミフルの効果と副作用について知ろう|服用方法や副作用対策について解説 

公開日: 2023/12/16 更新日: 2024/09/13
インフルエンザの治療薬と言えばタミフルですが、服用のタイミングや副作用について気になる方は多いのではないでしょうか。タミフルは大人にも子どもにも有効なインフルエンザ治療薬ですが、インフルエンザと診断後に処方ができる期間は決まっています。 今回は、インフルエンザ治療薬タミフルについて、処方可能な期間と対象者、注意すべき副作用・副作用への対処法についてお伝えします。
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タミフルとは?

タミフルの概要と作用機序

タミフルはインフルエンザに対する治療薬で、A型インフルエンザまたはB型インフルエンザと診断された患者さんが、医師の処方により服用できる治療薬です。

タミフルの主成分は「オセルタミビルリン酸塩」で、インフルエンザウイルスが細胞外に増殖するときに必要な酵素の増加を邪魔する成分です。したがって、タミフルを服用することで、インフルエンザウイルスの増殖が抑えられ、症状が悪化したり長引いたりすることを防げます。

体内に今いるインフルエンザウイルスを死滅させる薬ではないため、内服してすぐにインフルエンザが治癒する薬ではありません。主に重症化予防や症状が出る期間の短縮をする目的で服用します。

タミフルの服用対象者と服用期間

【インフルエンザ治療薬として服用する場合】

医療機関でインフルエンザA型またはB型と診断された方で、発熱してから48時間以内の方であれば大人も子どもも処方可能です。大人の場合は1回75㎎を1日2回で、5日間の服用です。子どもの場合は体重によって服用量は異なりますが、5日間処方されます。

子どものタミフルに関しては2017年から1歳未満の小児が服用できるようになり、乳児用のシロップも処方薬としての規格があります。しかし1歳未満の乳児で臨床試験は行っていないため、小児科医によっては「服用は1歳以上になってからがよい」「インフルエンザ脳症の予防のため、1歳未満でも服用したほうがよい」など意見が分かれるところです。実際には診察した医師が個々の子どもの状態によって判断することとなります。

一般的にインフルエンザに罹患して発熱後48時間以上たつとウイルスの増殖はピークを越えており、内服しても効果は期待できないため服用対象外です。

【インフルエンザ予防薬として服用する場合】

同居家族がインフルエンザに罹患している場合や、罹患者に長時間接触した場合などにタミフルを予防投与目的で処方される場合があります。予防投与の場合、処方には保険がきかないため患者さんの自費支払いです。

 

予防投与の対象は「65歳以上の高齢者」「呼吸器疾患または代謝性疾患または慢性心疾患を持つ方」などで、医師の判断により処方がされます。小児の場合、予防薬としての処方では体重が37.5Kg以上であることが条件です。

大人は1回75㎎を1日1回、5日間服用、子どもは体重から服用量が計算されます。

インフルエンザ薬タミフルの効果 

タミフルの効果が表れるのはいつから?

タミフルを服用後、いつから効果が表れるのかは患者さんの病態や現在出ている症状などによります。服用前からあったウイルス量が減少した時や個々の患者さんの免疫力や体力にもよるため、一概に「タミフルを服用後何時間で効果がある」とはいえないでしょう。

しかし平均的には、服用開始から2日ほどで解熱効果の表れることが多いようです。たとえ解熱したとしても途中で内服を辞めることはせず、処方されたタミフル5日分は飲みきるようにします。解熱後もウイルス排出は続いているためです。安易に途中でやめると、再びウイルスが体内で増殖し、再発熱のリスクもあります。

インフルエンザ症状が出る期間の短縮

タミフルはインフルエンザウイルスが増殖のピークを迎える前に服用するため、ウイルスの増殖を抑え、発熱や頭痛などインフルエンザの症状が出る期間を短くします。

インフルエンザに罹患してもタミフルを内服しない場合の罹病期間は平均3.8日ですが、タミフルを服用した場合は罹病期間が一日短縮されるというデータがあります。解熱も早い傾向です。

またウイルスの排出期間も短くなるため、同居家族への感染リスクを低下させます。子どもの場合、解熱は早まり出席停止期間が短くなるメリットもあります。

合併症・重症化の予防

タミフルを服用することで、インフルエンザの重症化や合併症の予防が期待できます。インフルエンザの重症化や合併症の例としては、インフルエンザ脳症や肺炎があります。

インフルエンザ脳症は、重症化した小児で起こるリスクがある合併症で、ときに致死的な状況になる場合や、インフルエンザの治癒後も脳に障害を残す場合があります。

肺炎は呼吸器の合併症で、とくに高齢者でリスクが高く、こちらもときになくなる方もいる病気です。

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タミフルの副作用

タミフルの主な副作用一覧

タミフルの主な副作用としては以下のようなものが挙げられます。

アナフィラキシーショック

顔面蒼白・蕁麻疹・喉が腫れて息苦しい・喘鳴・気分不快・血圧低下・意識レベルの低下

精神神経系症状

めまい・頭痛・不眠・幻覚・妄想・悪夢・異常行動

消化器系症状

嘔気・嘔吐・悪心・腹部膨満・下痢・食欲不振

呼吸器系症状

気管支炎・咳・鼻血

その他

肝機能数値増加・タンパク尿・眼痛・耳痛

 

タミフルの服用を中止する時

副作用が出現した場合は自己判断で服用を中止せず、まずは処方された医療機関へ相談してみましょう。そのうえで、必要があれば受診をお願いします。症状の強さにもよりますが、副作用の種類や経過によっては、タミフルを服用することの方がメリットが高まり経過をみながら継続することもあります。気になった際にはお気軽にご相談ください。

タミフル副作用のうち異常行動の注意点

タミフルの異常行動は10歳〜19歳に最も多く、大人にはほとんど現れません。過去には道路に飛び出す、ベランダから飛び降りるなどの行動がニュースなどでも取り沙汰されました。

しかし、その後の研究結果によると「タミフルの異常行動について因果関係は不明(タミフルが原因とは現時点で断定できない)」と結論付けられています。

ただしタミフルとの因果関係は不明でも、インフルエンザの症状の1つとして異常行動がみられている可能性があります。タミフル服用中はインフルエンザから発症2日以内と初期でもあります。そのため、厚生労働省からも、この期間は異常行動が起こりやすいため、10代の子どもにタミフルを服用させる間は「玄関・窓のカギは施錠する」「できる限り1階で寝かせる」「家族が近くで観察する」などの注意が必要と換気されています。

タミフルの副作用が出現する時期

タミフルの副作用で比較的出現しやすい食欲不振や吐き気、下痢・腹痛などの副作用は、出現する時期などについて個人差があります。いつ頃出現し、いつまで続くのかは一概にいえません。副作用が出現して気になる場合は、早めに処方医や薬剤師に相談しましょう。

インフルエンザに罹患した時は発熱やけん怠感で食欲が低下し、食事もとれていないことが多いものです。空腹で内服を服用すると、吐き気などの消化器症状が表れやすくなる場合もあります。タミフル内服の前におかゆなど何かお腹に入れてから薬を服用する、一緒に白湯などをコップ1杯以上のむなどの工夫をしましょう。

まとめ

今回は、インフルエンザ治療薬タミフルについてお伝えしました。タミフルはインフルエンザA型・B型ともに罹病機関の短縮に効果がある治療薬であり、服用するには発症から48時間以内と制限があります。また、条件さえ合致すれば、タミフルは医師の判断により予防投与も可能です。異常行動や胃腸障害などの副作用が出る場合もありますが、自己判断で服用を中止せず、医師に相談しましょう。

参考資料

静岡県薬剤師会(タミフルは解熱後も服用する旨を記載)
https://www.shizuyaku.or.jp/soudan/2422/

 

中外製薬(タミフル異常行動に関する記載)
https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/notice/2022/20221021_01.pdf

 

薬事日報(タミフル異常行動が19歳以下に多いと記載)
https://www.yakuji.co.jp/entry2697.html

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