鼻水と痰が続いているのはコロナのせい?
鼻水や痰が長引いている場合、新型コロナウイルス感染症の初期症状の一部としてあらわれているケースや罹患後症状(りかんごしょうじょう)が考えられます。
新型コロナウイルス感染症の初期症状は、通常風邪やインフルエンザと似た症状があらわれます。
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咳
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発熱
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鼻水
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倦怠感
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のどの痛み
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腹痛・嘔吐
2024年10月時点でもっとも流行していた「KP.3」や流行の兆しを見せている「XBC」は、のどの痛みを訴える患者が多いものの、あらわれる症状はこれまでの変異株と同じです。[1]
新型コロナウイルスの罹患後症状でも、同じく鼻水と痰があらわれます。
鼻水と痰の原因に新型コロナウイルスが考えられる場合、症状だけでは風邪やインフルエンザと区別がつきにくいため、医療機関での検査が必要です。
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鼻水と痰が続いているコロナ以外の原因とは
鼻水と痰が続いている原因として新型コロナウイルス感染症をはじめとする急性の病気を考えがちですが、それ以外にも考えられる原因がいくつかあります。
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急性・慢性鼻炎
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アレルギー性鼻炎
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副鼻腔炎
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上咽頭炎(風邪)
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逆流性食道炎
それぞれの病気の特徴を知ると、自分の症状からどの病気か予測がつきます。
あてはまる症状が多かったら、医療機関の受診を検討しましょう。
急性・慢性鼻炎
急性鼻炎や慢性鼻炎は鼻の粘膜が炎症を起こす病気で、ウイルスや細菌の感染よって引き起こされます。
長期的に鼻水が続き、慢性化すると1週間以上症状が出ることも少なくありません。
鼻炎の原因がウイルスや細菌である場合、病原体を痰で排出しようと痰の量が増え、咳が誘発されます。[2]
ほとんどのケースで自然治癒しますが、鼻炎になった患者の免疫力が低下していたり、二次的に細菌感染したりすれば、まれに以下の病気を合併することもあります。[2]
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肺炎
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中耳炎
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喘息の悪化
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細菌性副鼻腔炎
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海綿静脈洞血栓症
鼻水や痰の量が増えたり、症状が長引いていたりする場合は、耳鼻科や内科を受診しましょう。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに対するからだの過敏反応です。
鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどがみられ、アレルゲンがある限り症状は続きます。症状の改善にはアレルゲンを除去する必要があるため、原因を特定して対応することが望ましいです。[3]
アレルギー性鼻炎は、近年子どもに増えているといわれています。子どもは症状を訴えられないことも多く、口呼吸であることや鼻をこすることで判明するケースがあります。[3]
気管支喘息を合併している子どもでは、アレルゲンが喘息を悪化させ、ひどい咳につながることもあるのです。
アレルギー性鼻炎は、症状が長引くと頭痛やだるさなど全身症状があらわれやすいです。
医療機関での適切な処置が必要であるため、アレルギー性鼻炎が疑われたら内科を受診しましょう。
副鼻腔炎
副鼻腔炎は、鼻のなかにある副鼻腔が感染によって炎症を起こす病気です。
副鼻腔炎になった直後は、以下の症状があらわれます。[4]
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発熱
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鼻づまり
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顔やまぶたの腫れ
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ほほや鼻周囲、おでこの痛み
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ニオイのあるドロドロした鼻水
一時的に落ち着いても、なんとなくすっきりしない場合は、副鼻腔炎が慢性化しているかもしれません。
以下の症状があらわれたら、医療機関に再度相談しましょう。[4]
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頭痛
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鼻づまり
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ニオイを感じない
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ねばねばした鼻水
副鼻腔炎が慢性化すると抗菌薬の使用や痰の喀出をうながす治療がおこなわれます。それでも症状が改善しない場合、内視鏡を用いた手術が必要です。[4]
症状が悪化する前に耳鼻科を受診してください。
上咽頭炎(風邪)
上咽頭炎は風邪の一種で、ウイルスや細菌が上咽頭に感染し炎症を引き起こします。
鼻の奥にある上咽頭に病原体が付着することで炎症反応が起き、いわゆる「のど風邪」を発症します。これを急性咽頭炎とよび、病原体がいなくなったあとも上咽頭に炎症やうっ血が残っている状態が慢性咽頭炎です。
上咽頭炎によって鼻水や痰の症状が長引いている場合は、慢性化している可能性が高いです。
以下の症状があるか確認してみてください。[5]
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朝起きると痰がからむ
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のどのイガイガが治らない
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鼻やのどの奥が詰まった感覚がある
確定診断には医療機関での検査が必要であるため「風邪が長引いている」と感じたら、耳鼻科や内科を受診するとよいでしょう。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流することにより、食道に炎症を起こす病気のことを逆流性食道炎といいます。
胃酸の逆流によって、のどの違和感や咳、痰の症状があらわれ、食後や寝ているときに症状が悪化することが多いです。[6]
通常、飲食物を摂取したあとは下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)とよばれる筋肉が、胃の入口をしめて逆流を防ぎます。
しかし下部食道括約筋が以下の原因によってゆるむと、胃酸が逆流しやすくなるのです。[6]
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加齢
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肥満
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早食い・食べ過ぎ
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衣服による締めつけ
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脂肪の多い食事の摂取
放置すると、食道がんのリスクが高まったり飲み込みがうまくできなくなったりと、健康被害が大きくなります。[7]
あてはまる症状や原因が多かったら、消化器内科や内科に相談してみましょう。
鼻水と痰は何日でよくなる?
通常、風邪による鼻水や痰の症状は7〜10日、長くても1〜2週間で改善します。
症状がそれ以上続く場合は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(りかんごしょうじょう)やほかの病気を疑い、医療機関での診察を検討しましょう。
鼻水と痰がのどに張り付くのはなぜか
鼻水と痰がのどに張り付くのは、からだの水分不足が原因です。[8]
鼻水や痰の90%は水分といわれており、十分な水分が含まれることでのどへの張り付きが軽減されます。痰がやわらかければ外に出しやすく、楽に呼吸できるでしょう。
しかし水分が不足すると痰がのどに張り付き、うまく外に出せず違和感が生じます。
鼻水や痰をスムーズにからだの外に出すには、十分な水分摂取が必要です。
鼻水と痰が黄色くても学校へ行ってよい?
発熱やひどい咳などの感染症の症状がない限り、基本的には学校にいっても問題ありません。
鼻水や痰が黄色くにごるのは、からだの免疫システムがウイルスや細菌と戦った証拠であるためです。
戦ったあとに力をなくした病原体を鼻水や痰としてからだの外に排出しようとしているため、黄色や緑色の色がつくのです。
ただし新型コロナウイルスの感染が疑われる場合は、発症後5日間は感染力があるため、自宅療養が推奨されます。[9]
微熱やだるさなど日常生活に支障が出る症状が同時にあらわれている場合も、登校は控えましょう。
鼻水と痰が残るコロナの症状を少しでも和らげる方法
新型コロナウイルス感染症による鼻水と痰の症状を和らげるには、以下の方法を試してみましょう。
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水分をいつもより多めにとる
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痰が出てきたら積極的に出す
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マスクをつけるなどして加湿する
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去痰薬(きょたんやく)を服用する
鼻水や痰が残っていると、息苦しくてなかなか休めないですよね。
これらの症状は、からだの防御反応によって新型コロナウイルスが体内から排出されるまで続く可能性があります。
正しいセルフケアで少しでも症状を和らげるよう工夫しましょう。
水分をいつもより多めにとる
痰が絡んだり、鼻水にねばり気があったりする場合、からだの水分不足が原因であるため、水分をいつもより多めにとりましょう。
痰や鼻水には病原体が含まれるため、積極的にからだの外に出さなければなりません。
こまめに水を飲むことで鼻水や痰がやわらかくなり、のどの乾燥も防げるため、排出をうながせます。
痰が出てきたら積極的に出す
痰はからだの異物を排出するための防御反応です。自然に出てきた痰は、外に出すようにしましょう。
からだを起こして深呼吸したり、軽い運動で痰の移動をうながしたりすると痰が出しやすくなります。
水分補給をおこないながら、試してみてください。
マスクをつけるなどして加湿する
鼻やのどの加湿が不十分だと、鼻水と痰が張り付き、うまく体外に排出されません。病原体が体内に残ってしまい、増殖して症状の悪化を招きます。
マスクを着用したり、加湿器を使用したりして、鼻やのどの粘膜のうるおいを保ちましょう。
就寝中の乾燥を防ぐために、マスクを装着したまま眠る方もいらっしゃるでしょう。就寝中は、ワンサイズ大きめのマスクを使用すると、息苦しくなく休めます。
子どもの場合は窒息のリスクが高まるため就寝中のマスク装着はやめ、加湿器で湿度を調整してください。
去痰薬(きょたんやく)を服用する
去痰薬は痰や鼻水の性状を改善し、排出を促進して症状を和らげてくれます。
代表的な去痰薬は、以下のとおりです。
種類 |
一般名 |
商品名 |
作用 |
気道粘液修復薬 |
カルボシステイン |
ムコダイン |
痰の質を健康な状態に近づけて量を少なくし、痰を外に押し出す働き(線毛運動)を助ける |
気道粘液潤滑薬 |
アンブロキソール |
ムコソルバン |
肺の表面を保護する物質(肺サーファクタント)を増やし、痰を外に出しやすくする |
気道粘液溶解薬 |
ブロムヘキシン |
ビソルボン |
痰の成分(ムチン)を分解して痰のねばり気をなくし、出しやすくする |
使用する薬剤は、市販薬でも医療機関で処方される薬でも問題ありません。
市販薬を服用する場合は、薬剤師や登録販売者に相談してから購入しましょう。
まとめ|鼻水と痰の原因がコロナでなくても積極的に水分をとろう
鼻水や痰の症状が続く原因には、新型コロナウイルスだけでなくさまざまな要因が考えられます。
いずれの場合も水分をこまめにとることで鼻水や痰の喀出がうながされ、症状の軽減や悪化予防につながります。
症状が1週間以上続いている場合は、医療機関を受診し、適切な処置を受けましょう。
ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。
アプリから往診の待ち時間を見れるだけではなく、チャットや電話での無料の医療相談が可能です。
もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。
参考文献
[1]新型コロナウイルス感染症の動向とその他の感染症について|延岡市医師会
[2]Acute Viral Rhinitis|Tolgahan Çatlı
[6]逆流性食道炎ってどんな病気?|国立長寿医療研究センター
[8]学校における教職員によるたんの吸引等第2章|厚生労働省
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。