マイコプラズマ肺炎においての入院基準
マイコプラズマ肺炎に感染し、発熱や全身倦怠感、頭痛、咳などの症状が続くと、「どの程度の症状まで自宅で様子をみていいのだろう」と悩みますよね。
マイコプラズマ肺炎は一般的に予後は良好とされており、抗菌薬で状態は改善しますが、まれに重症化することもある病気です。[1][2]
ここでは、マイコプラズマ肺炎はどれくらいの症状が出ると入院になるのか、また自宅での症状の判断基準について解説します。
どれくらいの症状が出たら入院になるの?
マイコプラズマ肺炎で入院になるケースが多いのは、閉塞性細気管支炎や低酸素血症、呼吸困難を起こしている場合です。
※閉塞性細気管支炎...炎症によって肺の気道が閉塞され、息がしづらくなる状態
※低酸素血症...血液中の酸素が不足した状態
自宅での判断基準としては以下の通りです。[6]
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40℃ 近い高熱が数日下がらない
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自力で食事や水分が取れない
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呼吸するのが苦しい
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胸や肺が痛い
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意識がもうろうとする
最初から入院レベルの症状が出ている方は少ないですが、
一度病院でマイコプラズマ肺炎と診断され、指定の薬を飲んでいるにもかかわらずつらい症状がよくならない・悪化している場合での入院が多いです。
通常マイコプラズマ肺炎は系抗菌薬で治療・改善しますが、稀に抗菌薬が効かない「耐性菌」に感染していることがあり、薬を飲んでいるのに一向に症状が良くならないケースが稀にあります。
一度受診して薬をもらっているにもかかわらず症状が良くならない場合は再受診することをおすすめします。
マイコプラズマ肺炎で入院になった場合
マイコプラズマ肺炎での入院はどのような治療をするのか、入院は個室になるのか、子どもの場合は付き添い入院ができるのか不安な点が多いでしょう。
マイコプラズマ肺炎に感染し入院となった場合、以下の疑問点を抱く方がいるのではないでしょうか?
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入院期間
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入院中の治療内容
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入院時は個室なのか
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付き添い入院はできるのか
それぞれについて詳しく解説します。
入院期間
マイコプラズマ肺炎での入院期間は、ほとんどが1~2週間程度です。
ただし、重症化して細気管支炎になったり、胸膜炎・心筋炎・髄膜炎などの重い合併症を起こしたりすると1か月近く入院する場合もあります。[7]
入院中の治療
マイコプラズマ肺炎の治療法は主に、抗菌薬の投与やステロイド点滴、酸素吸入などです。入院中は、ミノサイクリン系などの抗菌薬を7〜10日間点滴します。[8]
小児ではマクロライド系の抗菌薬が第一選択薬となっており、効果は投与後2~3日以内に熱が下がれば薬の効果があったと判断されます。 [9][10]
抗菌薬を投与しても重症で十分な効果が得られない場合は、ステロイドで治療することがあります。重度の呼吸不全がみられる場合は、人工呼吸器での管理になる場合もあります。[11]
入院は個室?
マイコプラズマ肺炎による入院は個室部屋になる場合が多いです。
病院側で個室の用意ができなかった場合は、同じマイコプラズマ肺炎にかかっている人と同じ部屋での入院になる可能性もあります。
入院する際には着替え・タオル、洗面用具・歯ブラシ・コップなどを持参するとよいでしょう。
またマイコプラズマ肺炎での入院費用としては日数にもよりますが、10万円以上かかることが通常です。
しかし入院になり費用が高額になった場合でも高額療養制度を利用すれば、後で医療費の一部が払い戻されるケースがあります。
入院時の医療費助成に関する制度をあらかじめ調べておくと安心です。
付き添い入院はできる?
マイコプラズマ肺炎では、病院の判断によって付き添い入院ができることがあります。
とくに、未就学児の子どもの場合は病院側から付き添い入院をお願いされるケースが多いです。
一般的に15歳までは小児科の対象とされていますが、中学生以上の場合は病院によって付き添いができるところとできないところがあるため、入院を検討している場合は確認しましょう。
また付き添い入院をする場合、保護者は簡易ベッド・寝具代などで数百円~数千円/日を請求されることがあります。
付き添い入院費用は病院によって異なるため、事前に病院に問い合わせておくと安心です。
自宅療養で治療する場合
マイコプラズマ肺炎と診断され、自宅療養にて治療する場合、どのように日常生活を送れば良いのか疑問ですよね。
通院治療なら出勤してもいいのか、入院しなかった場合に症状が悪化することはないのか詳しく解説します。
通院で治療する場合は会社にいってもいいの?
通院で治療する場合は、会社に出勤しないようにしましょう。[5]
マイコプラズマ肺炎は咳やくしゃみなどの飛沫感染、ウイルスがついた手からの接触感染でうつります。同じオフィスで長時間働く人にうつしてしまう可能性は十分にあります。
症状が治ったあとも4〜6週間はウイルスの排出が続くため、リモートワークができる環境の人はなるべくリモートワークに切り替えましょう。
入院しなかった場合、症状は悪化する?
通常、受診して処方された薬を飲んでいれば症状は自然に治っていき、重症化するケースはまれです。
しかし、マイコプラズマ肺炎は治療し始めるのが遅くなったり、治療方法が誤っていたりすると重症化するリスクが高まります。
入院するかしないかよりも、発症してからどれだけ早く・正しく治療を開始できるかが重症化を防ぐポイントです。[6]
症状が悪化している場合はどうする?
処方された薬を飲んでいるのに悪化していると感じた場合、このまま過ごしていいのか不安になりますよね。
薬を飲んでいるのに最初に診断を受けた時よりも明らかに症状が悪化している場合、最初にかかった病院を受診しましょう。
マイコプラズマ肺炎の中には従来の薬が効かない耐性菌といったものがありますが、薬を変えることで、悪化し続けていた症状がよくなることもあります。
重症マイコプラズマ肺炎になると、5日間以上持続する38℃以上の高熱や、呼吸困難などの症状があらわれます。[9]
受診して処方された薬を飲んでいるにもかかわらず2〜3日以上症状が治らない、また悪化している場合はもう一度受診し、意識障害や呼吸ができないほど苦しくなった場合は迷わず救急車を呼びましょう。[13]
・薬を飲んでも頑固な咳症状が治らない
そんな場合はマイコプラズマ肺炎の可能性が高いです。
マイコプラズマ肺炎は市販の咳止めが効かないため、抗菌薬で治療する必要があります。
24時間スマホで診察ができるファストドクターのオンライン診療では、医師の診察後にマイコプラズマ肺炎用の抗菌薬を処方し、自宅にお届けすることができます。
以下オンライン診療ページの「内科」を選択し診察に進んでください。
マイコプラズマ肺炎かも?と疑っている方のための症状チェックシート
自分の症状がマイコプラズマ肺炎かもしれないと不安な方のために、チェックシートを作成しました。以下の症状がある人はマイコプラズマ肺炎の可能性があります。
✓発熱した後に咳が出るようになった
✓乾いたような咳から、だんだん痰が絡む咳になった
✓早朝や夜に激しく咳こんでしまう
✓夜になると熱が上がる
✓全身がだるい
✓耳が痛い
✓下痢や嘔吐をしている
✓頭痛
✓胸痛
受診した際は問診、視診、胸部聴診、血液検査、抗原検査などを行い診断されます。
マイコプラズマ肺炎は市販薬が効かず、適切な治療を早く受けることが重要なため、上記の症状がある場合は内科・呼吸器内科を受診しましょう。
まとめ
マイコプラズマ肺炎は、軽症で済むことが多い感染症ですが、まれに重症化し入院が必要になることもある感染症です。
処方された抗菌薬を飲んでも症状がおさまらず、状態が悪化している場合は再受診しましょう。
マイコプラズマ肺炎での入院期間は約1~2週間で、入院中は抗菌薬やステロイド、酸素投与などで治療します。
個室での入院がほとんどですが、同じマイコプラズマ肺炎で入院中の人と同じ部屋での療養になることもあります。
付き添い入院は、病院によって可能なところとできないところがあるため確認が必要です。
マイコプラズマ肺炎の感染経路は接触感染および飛沫感染です。学校や職場で集団感染が起こりやすいため、休みましょう。
周囲へ感染させないための咳エチケットやマスク、手洗いなどの対策も重要です。
自分がマイコプラズマ肺炎に感染したかもと不安な方は、症状チェックシートを活用してみてくださいね。
・咳が出ているけど、マイコプラズマ肺炎なのかコロナなのかインフルエンザなのかわからない
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参考文献
[1] IASR|マイコプラズマ肺炎 2023年現在(IASR Vol.45 pl-2,2024年1月号)
[2] 長崎大学医学部第2内科|ステロイド投与が臨床的に有効であったマイコプラズマ細気管支炎・肺炎の1例
[3] 難病情報センター|診断・治療方針(医療従事者向け)|閉塞性細気管支炎(指定難病228)
[4] 日本内科学会生涯教育講演会|平成22年度|4.閉塞性細気管支炎の病態と治療|長谷川好規
[5] NIID 国立感染症研究所|マイコプラズマ肺炎とは|臨床症状
[6] IASR 28-2 マイコプラズマ肺炎, M. pneumoniae
[7] 徳洲会グループ|病気の治療|呼吸器内科の病気|マイコプラズマ肺炎
[8] 日本マイコプラズマ学会|肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針
[9] 一般社団法人日本感染症学会|公益社団法人日本化学療法学会| JAID/JSC 感染症治療ガイド・ガイドライン|―呼吸器感染症―|p47
[11] IASR 2011年流行時におけるMycoplasma pneumoniae 感染症による入院患者の臨床的検討
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。