インフルエンザとは?
インフルエンザとはインフルエンザウイルスによる感染症です。日本では寒い時期、おもに11月ごろから5月ごろに流行し、短い期間で多くの人に感染しやすい感染症です。そのため適切な感染拡大の予防と治療が必要です。
インフルエンザの主な症状
インフルエンザは以下のような症状が現れます。
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咳
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のどの痛み
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鼻水
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発熱
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全身の倦怠感
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関節痛
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頭痛
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食欲不振
風邪に症状が似ていますが、インフルエンザは症状が急激に現れるのが特徴です。
インフルエンザで重症化しやすい方
インフルエンザは重症化しやすく、肺炎や急性脳症などの合併症を発症しやすい病気です
下記はインフルエンザ合併症のハイリスクの方です。
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5歳未満の小児
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65歳以上の高齢者
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長期間アスピリンによる治療を受けている小児と青年(6ヶ月〜18歳)およびライ症候群のリスクのある人
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喘息、慢性肺疾患、慢性心疾患、血液疾患、肝疾患、神経疾患、糖尿病などの代謝疾患を持つ人
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免疫抑制状態にある小児や成人
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妊婦、およびインフルエンザ流行中に妊娠する可能性がある人
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養護施設や長期療養型施設の入居者
とくに、小さな子どもは急性脳症、高齢者は肺炎などの合併症を引き起こしかねません。そのため、インフルエンザ合併症のハイリスクの方は、発症後すぐに医療機関を受診することが重要です。
インフルエンザ薬はいつまでに飲む?ゾフルーザの飲み方や効果について紹介
「ゾフルーザ」は2018年4月にインフルエンザ薬として販売が開始されたお薬です。インフルエンザ薬にはいくつか種類がありますが、ここではゾフルーザについて詳しく説明していきます。
ゾフルーザの効果は?
ゾフルーザは従来のタミフルやイナビルより早い効果を期待できるインフルエンザ薬です。A型、B型いずれのインフルエンザウイルスにも作用します。お薬を飲んだ翌日には、タミフルに比べウイルス量が1/100に低下するともいわれます。
インフルエンザウイルスは、からだの細胞の中で数を増やし、他の細胞へ移っていくことで感染を広げるウイルスです。タミフルやイナビルは「ノイラミニダーゼ阻害剤」という種類で、細胞から細胞へウイルスが移ることを防ぎます。
一方、ゾフルーザは「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤」という種類で、細胞の中でウイルスそのものが増えないように働きます。そのため、ゾフルーザを飲むことでウイルスの数を抑えることができ、症状が改善され、周りへの感染を防ぐことができます。
すぐに飲み始める
インフルエンザの症状が現れたら、できる限りすぐにゾフルーザを飲むことが重要です。ゾフルーザは症状が現れてから「48時間以内」に飲むことで、効果を期待できます。熱が続く期間を1〜2日ほど短くでき、鼻や喉からのウイルスの排出量が減ります。また、症状が落ち着くだけでなく、周りの人への感染予防も期待できます。
1回飲むだけで完結
ゾフルーザはたった1回飲むだけでよいお薬です。医療機関で処方され薬局で受け取ったあとすぐに飲むだけで治療が完結します。食事の有無も関係なく、食前でも食後でも飲むことができます。
タミフルのように「1日2回、5日間飲み続ける」という負担がないという点がメリットです。他に、1回使用すればよいインフルエンザ薬はゾフルーザ以外にも吸入薬のイナビルがあります。しかし、粉末を吸い込まなければいけないため、高齢者や小さなお子さんなどは上手く服用できないことがあるようです。ゾフルーザは錠剤のお薬を処方後すぐに1回飲むだけで、効果が期待できます。
値段
ゾフルーザは他のインフルエンザ薬に比べ、少し値段が高いお薬です。下記にまとめていますが、体重40kgの方が服用する場合、タミフルは3割負担で約800円(1日2回、5日分)に対し、ゾフルーザは約1500円(1回分)になります。
製品名 |
お薬の型 |
用法 |
1治療あたりの値段(3割負担) |
タミフル |
内服薬 |
1日2回、5日間 |
約800円 |
リレンザ |
吸入薬 |
1日2回、5日間 |
約880円 |
イナビル |
吸入薬 |
1回 |
約1300円 |
ラピアクタ |
静脈注射薬 |
1回 |
約1800円 |
ゾフルーザ |
内服薬 |
1回 |
約1500円 |
新しい薬は一般的に発売当初は価格が少し高いことも多く、現状他のインフルエンザ薬に比べゾフルーザの値段は割高です。しかし、前述したようにたった1回の服用で高い効果が得られることは、ゾフルーザのメリットです。費用対効果という点も考慮したうえで、医療機関と相談してみてください。
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インフルエンザ薬ゾフルーザの副作用について解説
はじめてお薬を飲む時には、副作用について気になりますよね。以前に、タミフルの服用後に飛び降りたということがニュースが話題になりました。
副作用が出た場合、タミフルであれば途中でお薬を飲むことを中断できますが、ゾフルーザは1回の服用であるため中断が不可能です。そのため、ゾフルーザの副作用について理解しておき、症状が出た場合にはすぐに対応することが大切です。
副作用の症状
ゾフルーザはインフルエンザウイルスの数を短期間で減らすことができるお薬ですが、副作用には注意が必要です。下記はゾフルーザの注意すべき副作用です。
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アナフィラキシー(顔面蒼白、呼吸困難、かゆみ)
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異常行動(急に走り出す、ウロウロする)
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虚血性大腸炎(腹痛、下痢、血便)
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吐き気
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鼻血
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血尿
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頭痛
下痢や吐き気は100人に1人と比較的頻度の高い副作用です。ゾフルーザの半減期はおよそ4日間で、その間にはある程度からだに薬が残っているため、副作用に注意しておきましょう。
2日以内は異常行動に注意
因果関係ははっきりしていませんが、インフルエンザ感染時に異常行動が現れたという報告があります。タミフルの服用後に飛び降りたということがありましたが、ゾフルーザや他のインフルエンザ薬の服用との関係ははっきりしていません。
そのため現状では異常行動の出現に注意をして、症状をみていくという姿勢が必要です。異常行動には以下のような行動が挙げられます。
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急に立ち上がる
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興奮する
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高いところから飛び降りようとする
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話しかけても応えない
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誰かに襲われると思う
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意味不明なことを言う
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泣き出す
とくに就学以降の子どもや未成年の男性に症状が出やすいといわれています。また、インフルエンザの症状が出てから2日以内が注意すべき時期です。ドアや部屋の鍵をかける、ベランダのある部屋で寝かせないなどの工夫をし、周りの人もできる限り協力して異常行動による事故が起きないようにしましょう。
インフルエンザの小児に飲ませてはダメ?ゾフルーザの服用を注意する場合を紹介
ゾフルーザはインフルエンザに効果の高いお薬ですが、誰でも安全に使えるというわけではありません。ゾフルーザはまだまだ十分なデータがそろっていないため今後、使い方などが変わる可能性がありますが、ここでは現時点で服用に注意が必要な方について紹介します。
12歳未満の小児
日本小児科学会によると、12歳未満の子どもへのゾフルーザの使用は「積極的な投与を推奨しない」となっています。12歳未満の子どもへの使用が推奨されないのには、2つの理由があります。
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データが少ない
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薬剤耐性ウイルスの出現の可能性
1つ目の理由は、これまでに12歳以下の子どもがゾフルーザを使用したという報告が少ないことです。使用したことがある子どもには良い効果が認められていますが、まだ積極的に推奨できるほどのデータはそろっていないようです。
2つ目の理由は、薬剤耐性ウイルスが出現する可能性があるからです。薬剤耐性ウイルスとは、通常の治療法が効かなくなるウイルスのことです。つまり、ゾフルーザを飲むことでインフルエンザ薬が効かないウイルスが生み出される可能性があります。
以上の理由から、12歳未満の子どものゾフルーザの服用は積極的には行われていません。
重症患者および免疫不全患者
重症患者や免疫不全の患者では「ゾフルーザ単独での積極的な服用は推奨しない」と日本小児科学会で発表されています。免疫不全の患者は自分がもっている免疫機能の働きが弱いため、耐性ウイルスが排泄しにくい可能性があるからです。また、重症患者に対しては他のお薬と併用して使用することも考えられていますが、比較的新しい薬でもありまだまだ検討の余地がありそうです。このあたりは今後の研究を期待したいところですね。
まとめ
今回はインフルエンザ薬ゾフルーザの効果や飲み方、副作用について説明しました。ゾフルーザはたった1回飲むだけで、ウイルスの数を抑え、周りへの感染を防ぐことができるインフルエンザ薬です。
とくに、発症後48時間以内に服用することで高い効果を期待できます。そのため、できる限り早めに服用することが重要です。副作用に注意しながら、正しく服用するようにしましょう。
インフルエンザは合併症が引き起こされやすい感染症です。高齢者などのハイリスクの方だけでなく、ふだん健康状態に問題がない方でも重症化することが考えられます。そのため、症状が出た場合は早めに医療機関を受診し、治療を開始することが大切です。
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【参考文献】
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呼吸器の病気|一般社団法人 日本呼吸器学会
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インフルエンザ治療薬up to date|厚生労働省
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インフルエンザ様疾患患者の隔離期間に関する推奨|国立感染症研究所感染症情報センター
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新医薬品一覧表|厚生労働省
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2019/2020シーズンのインフルエンザ治療指針|日本小児科学会
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インフルエンザ診療の最前線|第 118 回日本内科学会講演会
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。