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リレンザとはどんな薬?
リレンザ(一般名:ザナミビル)は、インフルエンザウイルスの感染を治療・予防するための抗ウイルス薬です。
タミフルやイナビル同様、インフルエンザA型およびB型の治療に使用され、吸入するタイプの薬です。[1]
インフルエンザウイルスは体の中で増えるとき、「ノイラミニターゼ」と呼ばれる酵素を使います。酵素が働くとウイルスが細胞から出てほかの細胞に感染を広げてしまうのです。
リレンザは酵素の働きを止めて、ウイルスが増えるのを防ぐ作用があります。
どのくらいで効果があらわれるのか
リレンザの使用を使用すると、通常6日程度続く症状が、平均1日ほど早く症状が改善すると報告されています。
また、発症から30時間以内にリレンザを使い始めた患者は、症状が治るまでの期間がさらに短縮されると確認されています。[2]
リレンザはインフルエンザの発症から48時間以内に使用することで、症状がより早く改善する可能性が高いです。発症したらできるだけ早く医師に相談しましょう。[3]
使い方
リレンザは吸入タイプの薬です。専用の器具を使い、薬を吸い込んで服用します。[4]
治療目的か予防目的かによって用法や服用期間が異なります。
治療目的 |
予防目的 | |
用法 |
1日2回 |
1日1回 |
用量 |
成人及び小児には、ザナミビルとして1回10mg |
成人及び小児には、ザナミビルとして1回10mg |
服用期間 |
5日間 |
10日間 |
基本的にインフルエンザ治療の場合、1日2回、5日間続けて使用します。処方時に医師や薬剤師からの説明を必ずよく聞き、指示どおりに使用しましょう。
【リレンザの使用方法】[5]
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吸入器のカバーを外し、トレーを引き出す。
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吸入器からトレーを取り出し、薬が入ったディスクを4つの穴に収まるようにセット。
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ディスクをセットしたら、トレーを吸入器に押し込み元の位置に戻す。
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吸入器のフタを開けて垂直に立てる。
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息をゆっくり吐き出し、吸入口をしっかりくわえる。
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勢いよく深く薬を吸い込む。
-
吸入後は数秒間息を止め、薬剤がしっかりと肺に届くイメージで吸い込む。
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1回目の吸入を終えたら、1度トレーを引き出して戻し、2回目の吸入準備をする。
吸入は医師に指示された回数を守ることが大切です。また、ほかの人と吸入器を共有することは避けましょう。
保管の際は、直射日光や高温多湿を避け、子どもの手の届かない場所に保管してください。使用方法が不安な場合は、事前に医師や薬剤師に確認しましょう。
子どもや妊婦にも使用できるのか
リレンザは一般的に5歳以上の子どもにも処方されます。0〜4歳の子どもは臨床実験が実施されておらず使用は推奨されていません。
吸入タイプのため、小さな子ども、とくに4歳以下では正しく吸入することが難しいです。5歳以上であっても、子どもが使用する際は保護者が使い方をサポートしましょう。
処方の際に吸入指導をしている薬局もあります。練習用キットがあれば、事前に練習できることもあるため、薬剤師に尋ねるとよいでしょう。妊娠中の薬の服用は赤ちゃんへの影響も心配になるものです。
妊婦もリレンザの使用は可能です。ただし、インフルエンザの重症化リスクを考慮して医師が判断します。吸入タイプであるため、全身への影響がほかの薬に比べて少ないとされています。[6]
また授乳中の使用についても医師の判断が必要です。リレンザの説明書には「授乳婦に投与する場合には授乳は避けさせること」と記載されています。
母乳への薬の移行は少ないとされていますが、服用前に医師に相談しましょう。[4]
リレンザとタミフルなどほかのインフルエンザ薬との違い
インフルエンザの治療薬には、リレンザのほかにもタミフルやイナビルなどがあります。治療薬によって飲み方や対象年齢が異なります。[4]
薬の名前 |
服用方法 |
服用期間(回数) |
対象年齢 |
特徴 |
リレンザ |
吸入 |
1日2回を5日間 |
5歳以上 |
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タミフル |
内服(カプセル・ドライシロップ) |
1日2回を5日間 |
1歳未満から使用可 |
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イナビル |
吸入 |
1回のみ |
年齢制限なし |
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ゾフルーザ[7] |
内服(錠剤) |
1回のみ |
12歳未満の小児も使用可 |
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治療薬の大きな違いとして、服用方法が挙げられます。小さな子どもや吸入が難しい場合は内服薬の方がよいでしょう。
とくに肺や呼吸器疾患のある人は、吸入薬の使用を避けた方がよい場合もあるのです。
インフルエンザ治療薬は、症状や持病に応じて適切な薬を選ぶ必要があります。どの薬もインフルエンザウイルスを完全に死滅させるものではなく、増殖を抑える役割をもちます。
医師と相談して、自分に合った治療薬を処方してもらいましょう。
リレンザの副作用
リレンザは頻度は低いですが副作用を生じることがあります。[8]
【リレンザで報告されているおもな副作用】
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異常行動
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消化器症状(下痢・吐き気・嘔吐)
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発疹・かゆみ
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呼吸器症状
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全身症状(発汗・発熱・背部痛など)
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動悸
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頭痛
とくに小児や未成年者では異常行動が報告されているため、服用後は一人にしないよう注意が必要です。
多くは軽度な症状ですが、まれに重篤な症状があらわれることもあります。アナフィラキシー症状や息苦しさ、意識がもうろうとするなどの症状があらわれた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
異常行動について
インフルエンザ薬の服用後に以下のような異常行動が報告されています。[9]
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突然走り出す
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大声を出す
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高いところから飛び降りようとする
-
ベランダに出ようとする
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自宅から飛び出す
ただし薬の影響なのか、インフルエンザ自体が原因なのかは明確になっていません。異常行動は就学以降の子どもや未成年の男性に多いと報告されています。
異常行動は発熱から2日以内にあらわれる可能性が高いです。そのため、小児・未成年者は服用後少なくとも2日間は一人にしないことが推奨されています。
万が一、異常行動があらわれた場合は慌てず対応し、安全な場所で過ごしましょう。長時間異常行動が続く場合や激しい場合は医療機関に連絡し指示をもらうことも大切です。
その他の副作用
リレンザを使用した際に異常行動以外にも副作用があらわれることがあります。ほとんどは軽度で一時的ですが、まれに重い副作用があらわれることもあります。[4]
副作用の頻度 | 副作用の内容 |
よくみられる(0.1〜1%) |
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まれに発生(0.1%以下) |
|
副作用がとても強く、日常生活に支障がでる場合や重い症状があらわれた場合は、すぐに服用を中止し医療機関を受診してください。
とくに、以下のような重い副作用がみられた場合は早急な対応が必要です。[1]
-
アナフィラキシー症状
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強い胸の圧迫感や動悸
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意識がもうろうとする
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激しいめまいを感じる
-
耐えられないほどの腹痛や嘔吐が続く
リレンザを服用中に異変を感じたら、自己判断せず必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
リレンザは自己判断で中止してもよいのか
自己判断でリレンザを中止することは避けましょう。
リレンザを服用すると症状が軽くなったり、熱が下がったりすることがあります。しかし、ウイルスが完全に消えたわけではなく、増殖が抑えられているだけです。
医師が指示した期間(通常5日間)をしっかり守って服用しないと、ウイルスが再び増殖し症状がぶり返す可能性があります。
また、途中で服用をやめるとウイルスが耐性をもち、薬が効きにくくなるリスクも考えられます。
リレンザを使用する際は自己判断での中止は避け、必ず医師の指示に従いましょう。
よくある質問
リレンザを処方されると「本当に効果があるのか」「ほかの薬とどう違うのか」などさまざまな疑問をもつでしょう。
リレンザに関するよくある質問を参考にしてください。
リレンザを服用後に熱が下がらないことはあるのか
リレンザはインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬であり、服用後すぐに熱が下がるわけではありません。
一般的には、1〜2日で解熱することが多いですが、個人差があります。ウイルスが完全に排除されるまでには時間がかかるため、焦らず医師の指示どおりに服用を続けましょう。
万が一、3日以上高熱が続く、症状が悪化するなどの場合はすぐに医師に相談しましょう。
リレンザとイナビルのどちらがいいですか?
リレンザとイナビルはどちらも吸入タイプのインフルエンザ治療薬です。どちらを処方されるかは医師の判断ですが、吸入のしやすさや治療期間の違いがあります。
イナビルは1回吸入のため利便性の良さが特徴のひとつです。ただし吸入に失敗するとやり直しができません。失敗しやすい小児や高齢者は、何度か吸入できるリレンザの方が安心感があるでしょう。
リレンザ吸入後は何をしたらいいですか?
リレンザを吸入したあとも、無理せず安静に過ごしましょう。
吸入したからといって、すぐに症状が改善するわけではありません。体をしっかり休め、回復を優先してください。
リレンザを吸入後は口やのどに違和感を抱くことがあるため、不快感を解消するために水分をとることや食事をしても特に問題ないことも知っておくとよいでしょう。
まとめ|リレンザのことを理解してインフルエンザを治療しよう
インフルエンザ治療に使われるリレンザは吸入タイプの薬でウイルスの増殖を抑える効果があります。インフルエンザの発症から48時間以内の使用が最も効果的で、発症後速やかに服用するのが望ましいです。
おおむね2日程度で症状が軽くなるケースが多いですが、自己判断で服用を中止すると症状がぶり返すリスクがあります。必ず最後まで使い切ることが大切です。
また、まれに副作用を生じることがあります。万が一、副作用があらわれた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
インフルエンザ治療薬にはいくつか種類がありますが、症状や持病に応じて適切な薬が処方されます。リレンザが処方されたら、正しい使い方を守りインフルエンザのつらい症状から早く回復しましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[3]日本感染症学会提言「~抗インフルエンザ薬の使用について~」
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。