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インフルエンザと新型コロナの同時感染
インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染は「重複感染」と呼ばれる場合もあります。
インフルエンザと新型コロナウイルスの抗原検査をして両方とも陽性の場合、同時感染の可能性が高いです。しかし、どちらかが偽陽性の場合もあります。
その際は、新型コロナウイルスのPCR検査をするとはっきりと分かるでしょう。同時感染が起こるのは、インフルエンザと新型コロナウイルスだけではありません。
RSウイルスやアデノウイルスなどと同時に感染する場合も考えられるため、自分でできる感染予防対策をしっかりしておきましょう。
インフルとコロナ同時感染の症状や検査、治療
インフルエンザと新型コロナウイルスに同時感染した場合の症状や検査、治療について解説します。
インフルとコロナの同時感染時の症状
インフルエンザと新型コロナウイルスの主な症状は以下の通りです。
インフルエンザの症状 |
新型コロナウイルスの症状 |
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このように、インフルエンザと新型コロナウイルスの症状は非常によく似ています。
そのため、症状だけでどちらのウイルスに感染したのか、また同時感染を起こしているのかは判断できません。
インフルとコロナの同時感染時の検査
インフルエンザと新型コロナウイルスは、同時に検査できます。
市販のインフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの同時検査キットが、ドラッグストアや調剤薬局で売られています。
一回の検体採取で済み、同時に検査ができるのでおすすめです。
購入の際は、パッケージに「体外診断用医薬品」や「第1類医薬品」と書かれたものを購入しましょう。
「研究用」と書かれた検査キットが売っていますが、こちらは国が販売を認めたものではなく、正しい検査結果が出ない可能性があります。
インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行に備えて、自宅に常備しておくと安心です。検査キットで結果が陰性でも、症状がある場合は医療機関の受診をおすすめします。
受診の際に、市販の検査キットで検査した旨を伝え、結果も一緒に伝えておくと受診がスムーズです。
インフルとコロナの同時感染時の治療
インフルエンザと新型コロナウイルスは、それぞれ治療薬が違います。
インフルエンザ |
新型コロナウイルス | |
治療方法 |
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薬剤名 |
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抗インフルエンザウイルス薬は、48時間以内の発症早期に服用することで効果が発揮されます。
そのため、発症から時間が経っている場合、抗インフルエンザウイルス薬は使用せず、対症療法のみ行うことがあります。
また、新型コロナウイルスの治療に使われる「抗炎症薬」「抗ウイルス薬」「中和抗体薬」も、必ずしも服用するとは限りません。
症状や重症化リスクを踏まえ、医師が診察した結果、必要と判断される場合に使用することになるでしょう。
抗インフルエンザウイルス薬は保険適応です。保険に応じた割合を支払う必要があります。
新型コロナウイルスの治療薬は、公費負担でしたが、2023年10月から保険に応じた割合の窓口負担が生じます。[1]
3割負担 |
9,000円 |
2割負担 |
6,000円 |
1割負担 |
3,000円 |
この金額を超える部分は、公費負担されます。
インフルとコロナ同時感染する確率
インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染率は、成人で0.3%、小児で2.2%であると研究結果が発表されています。[2]
アメリカやイギリスなど、海外でもインフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染は報告されています。
日本でも、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染は起こるでしょう。研究の結果では、子供は成人に比べて同時感染の確率が高くなっています。
子供の場合、大人と比べて感染症に対する知識や認識も低く、マスクを正しく着用できなかったり、いろいろな物に触れて口に入れてしまったりします。
また、子供は学校や幼稚園、保育園など、集団の中で過ごす時間が長いです。
感染症が流行し始めると上記のような特性から子供の間で広がりやすいため、同時感染の確率が高くなっていると考えられます。
インフルとコロナの同時感染したときの療養期間
インフルエンザも新型コロナウイルスも5類感染症に位置付けられています。
学校保健安全法で、学校には「出席停止期間」が定められており、この期間は登校することができません。
インフルエンザの場合、出席停止期間は「発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日間経過するまで」です。[3]
幼児の場合は「発症後5日を経過し、かつ解熱後3日間経過するまで」とされています。
新型コロナウイルスの場合「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」が出席停止期間です。[4]
日数の数え方は、発症日が0日目となるので、間違えないようにしましょう。
また、社会人の場合、勤務している会社によって対応は異なります。勤務している会社の規定がどのようになっているのか、確認しましょう。
インフルエンザも新型コロナウイルスも、発症後5日間はウイルスの排出があり、他人へうつすリスクがあります。
体調が回復し、出社や外出が必要な場合は、しっかりマスクをして周りへうつさないよう配慮が必要です。
インフルとコロナの同時感染しないための予防対策
インフルエンザと新型コロナウイルスの感染予防対策は、同じと考えて良いでしょう。
2つのウイルスの主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」です。
換気が悪く、空気が停滞しているような場所では「エアロゾル感染」や「空気感染」が起こります。
普段から取り組める感染予防対策は以下の通りです。
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外出時のマスクの着用
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手洗いうがい
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手指消毒
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換気
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ワクチンの接種
順番に解説します。
外出時のマスクの着用
マスクの着用は、感染予防に非常に効果的です。
自分が感染しない、または、周りに感染させないためにも有効です。
また、家族がインフルエンザや新型コロナウイルスに感染した場合、家の中でもマスクをすることで家族内感染を防げる可能性があります。
手洗いうがい
手洗いとうがいは感染予防の基本です。
インフルエンザや新型コロナウイルスだけでなく、RSウイルスやアデノウイルスなど他のウイルスの予防にもつながります。
手洗いは石鹸と流水で指の間までしっかり洗いましょう。
うがいは、口の中に入ってきたウイルスを出すために効果があり、喉の乾燥予防にもなります。
手指消毒
インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスは、エタノールに弱い性質があります。
そのため、エタノールでの消毒は感染予防として効果的です。
公共のものに触ったあとや、食事をする前などに、手指消毒をすることで、手についたウイルスに効果があり、体内への侵入を防ぐことができます。
換気
定期的な換気で、空気中に漂ったウイルスを外に排出します。換気は窓を少し開けて常時換気するか、窓を全開にして30分に1回数分の換気をしましょう。
窓が複数ある場合、対角線にある窓を開けると空気の流れができ、効果的に換気ができます。窓がひとつしかない場合は窓を開け、換気扇をまわしましょう。
この場合、窓から空気を取り入れ、換気扇から排気するという空気の流れになります。
24時間換気システムがある住宅では常にオンにしておきましょう。
換気はウイルスを外に出すだけでなく、ダニやカビの発生も防ぎます。
ワクチンの接種
ワクチンの接種は感染の予防効果だけでなく、重症化を防ぐ効果もあります。
新型コロナウイルスのワクチンは、インフルエンザワクチンと同時接種することができます。それぞれのワクチンを別の日に接種しても、接種間隔の制限はありません。
ただし、新型コロナウイルスのワクチンは、インフルエンザワクチン以外のワクチンとは同時に接種できません。
安全性や効果について十分な知見が得られていないためです。
新型コロナウイルスワクチンとその他のワクチンの接種間隔は、2週間空けることが推奨されています。
他のワクチン接種を控えている方はワクチンスケジュールを確認の上、どちらを先に接種するか、かかりつけ医に相談しましょう。
インフルエンザの予防接種は、自費接種のため医療機関により異なりますが、3,000円〜5,000円程度かかります。
また、子供の場合、生後6カ月から接種することができ、13歳未満までは1シーズンにつき2回接種する必要があります。[5]接種間隔は2〜4週間空けましょう。
新型コロナウイルスのワクチンは、令和6年(2024年)3月31日まで全額公費負担で接種できます。[6]
生後6か月から接種ができ、10歳までの子供で1回目2回目の接種が終わっている場合、3回目の接種が推奨されています。
Q&A
インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染に関連した、よくある質問を紹介します。
インフルとコロナの同時感染は重症化しやすい?
インフルエンザと新型コロナウイルスに同時感染すると、重症化しやすい傾向であることが分かっています。[7]
重症化リスクがある方はもちろんですが、若い人でも同時感染を起こすと重症化する恐れがあります。
重症化を防ぐためにも、ワクチンの接種をして自分でできる感染予防対策を実施しましょう。
インフルとコロナの同時感染は公費負担で治療できる?
インフルエンザの治療に関しては公費負担はありません。保険によって個々の負担額が異なります。新型コロナウイルスの治療に関しては、一部公費負担があります。
公費負担の対象は以下の通りです。
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入院医療費の一部
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新型コロナウイルス治療薬の薬剤費の一部
入院医療費の一部公費負担には手続きが必要です。
加入している健康保険から高額療養費制度の認定証の交付を受け、医療機関の窓口に提示すると、入院費の一部公費負担を受けることができます。
新型コロナウイルス治療薬の薬剤費の一部公費負担を受けられるのは、入院費が一部公費負担にならなかった場合と外来診療で薬が処方された場合です。
一部公費負担になる治療薬は以下の薬に限られます。
経口薬 |
点滴薬 |
中和抗体薬 |
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一緒に処方された対症療法薬や処方箋料、手数料は公費負担の対象になりません。
インフルとコロナに同時感染したら治療薬はなにを使う?
同時に感染してしまった場合も、抗インフルエンザウイルス薬と新型コロナウイルス治療薬の両方を服用することができます。
ただし、医師が診察を行い、薬が必要と判断された場合に限ります。
抗インフルエンザウイルス薬は、薬剤の種類によって金額は異なりますが、3割負担の場合2,000円〜5,000円程度かかります。
新型コロナウイルス治療薬は、保険に応じた割合の窓口負担が必要です。
3割負担 |
9,000円 |
2割負担 |
6,000円 |
1割負担 |
3,000円 |
上記金額を超えた部分は、公費で負担されます。命にはかえられませんが、経済的な負担になることも事実です。費用について心配な方は、その旨を医師に伝えておきましょう。
まとめ
インフルエンザと新型コロナウイルスが同時に流行する時期では、同時感染が懸念されます。同時感染を起こすと重症化しやすい傾向であることが分かっています。
感染した場合の症状は、インフルエンザも新型コロナウイルスも、似たような症状があらわれるため検査をしないと見分けることはできません。
両方の抗原を検出することができる検査キットが市販されています。いざというときのために、市販でも売られている検査キットを自宅に常備しておくと良いでしょう。
感染予防対策は、インフルエンザも新型コロナウイルスも同様です。
感染しないことが一番なので、マスクの着用や手洗い、換気など、できることから感染対策をしていきましょう。
【参考サイト】
[1]新型コロナウイルス感染症の治療薬について令和5年10月から窓口での負担が生じます|厚生労働省
[4]新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について|厚生労働省
[7]新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの重複感染が 肺炎の重症化と長期化につながる可能性を論文発表|長崎大学
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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。