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インフルエンザに漢方薬は効くの?飲んでも大丈夫?
インフルエンザにかかった時、漢方薬を服用しても問題ありません。
漢方薬は免疫力を高め、ウイルスの増殖を抑えることで悪寒や発熱、頭痛などのつらい症状を緩和する効果を期待できます。
インフルエンザに適応のある漢方薬もいくつかあり、症状に応じて保険適応で処方されるケースもあります。
また、インフルエンザと確定診断される前に症状に合わせて服用することも可能です。[1]
漢方薬は効き目がマイルドで、子どもから高齢者まで幅広い世代で服用可能です。
また、抗インフルエンザウイルス薬は発症して48時間以内に服用しないと、薬の十分な効果を期待できません。
一方で漢方薬の場合、発症から48時間以上経過していても使用でき、回復期まで症状に合わせた漢方薬を服用可能です。[2]
インフルエンザに効果のある漢方薬は?保険適応はあるの?
インフルエンザに効果のある漢方薬はいくつかありますが、保険適応のある漢方薬は以下の3つです。
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麻黄湯(まおうとう)
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柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
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竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)
漢方薬は、体質や症状に合ったものを選択しなければ期待通りの効果は得られません。
そのため、保険適応されている漢方薬に加えて、インフルエンザに伴う症状や体質に合わせて処方されるケースも少なからずあります。
万が一体質に合わなかった場合、副作用が起こる場合もありますので、受診の際に主治医とよく相談しましょう。
インフルエンザに効果を期待できる主な漢方薬について詳しく紹介します。
麻黄湯(まおうとう)
インフルエンザにかかったとき最も処方される漢方薬は「麻黄湯(まおうとう)」です。
麻黄湯はインフルエンザへの効能・効果が認められており、インフルエンザ治療薬「タミフル」と同程度の効果を期待できます。
初期のインフルエンザに対して保険適応されています。
麻黄湯は「麻黄(まおう)」「桂皮(けいひ)」「杏仁(きょうにん)」「甘草(かんぞう)」の4つの生薬を含んでおり、総合的にインフルエンザに効果的ですが、各生薬に以下のような作用があります。
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麻黄(まおう):発汗・発散して解熱へと導きます。痛みを和らげる作用もあります。
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桂皮(けいひ):発汗・発散作用があり、麻黄と組み合わせるとより効果を期待できます。
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杏仁(きょうにん):咳や痰を和らげます。
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甘草(かんぞう):痛みや炎症の緩和作用に加え、生薬の調和をします。
麻黄湯には交感神経を刺激する作用があるため、高血圧や心疾患のある方への服用は推奨されていません。
また、麻黄に含まれる「エフェドリン」と呼ばれる物質の作用によって胎盤への血流が低下する恐れがあるため、妊娠中の服用も避けてください。
麻黄湯を服用する時は、ご自身の体質や症状に合っているかを主治医に相談しましょう。[3]、[4]
葛根湯(かっこんとう)
「葛根湯(かっこんとう)」は風邪をひいてしまった時に処方された経験がある人も多いのではないでしょうか。
葛根湯には抗ウイルス作用があり、インフルエンザへの効果も期待できます。
また、インフルエンザ感染時に発熱を促す物質の産生を抑えることで、解熱作用も期待して良いでしょう。
麻黄湯と同様に、初期のウイルス量が少ない段階で服用すると症状も軽症ですむケースが多いです。[1]
竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)
竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)は、インフルエンザを発症してから3日程度経過しても症状が改善していない時や回復期に服用する漢方薬です。
保険適応となる症状は以下の通りです。
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熱が2〜3日続いている
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咳や痰が多く眠れない
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平熱でも気分がさっぱりしない
回復に時間がかかる高齢者や体力が低下している人が服用すると、より効果的だといわれています。[5]
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は、鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどに効果があり、インフルエンザを発症した際の症状緩和に用いられます。
虚弱体質な人にも有効で、発症初期に処方される漢方薬です。[2]
ただし、小青竜湯は「麻黄」を含むため、胃腸が弱い人や汗をかきやすい人は主治医に相談のうえ、長期連用は避けた方が良いでしょう。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
咳が長引いている場合には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」を用いて症状を緩和します。
肺を潤し咳を抑える効果を期待できるため、乾いた咳が続く際に服用すると良いでしょう。
また、痰の切れが悪い人や顔が赤くなるまで咳き込んでしまう人にも適しています。[2]
症状によって漢方薬の切り替えを
インフルエンザの症状緩和に有効な漢方薬はいくつかありますが、発症時期や症状に合わせて服用することが大切です。
漢方薬を処方されて飲み続けているにも関わらず、あまり効果を実感できない場合は体質や症状に適していない可能性もあります。
むやみに長期服用するのではなく、主治医や薬剤師に相談しましょう。
例えば、麻黄湯はインフルエンザの発症初期に効果的な漢方薬です。
その麻黄湯をインフルエンザが治るまで飲み続けることは、推奨されません。
発症初期に服用して発熱が落ち着いたら、症状に合わせて他の漢方薬に切り替えると良いとされています。
ただし、自己判断ではなく主治医と相談しながらインフルエンザの症状や体質に応じた漢方薬を服用してください。
子どものインフルエンザに漢方薬は使える?
子どもでもほとんどの漢方薬は服用することができます。
しかし、体質や体重によって処方される漢方薬や用法・用量が異なる場合があります。服用方法について医師と十分に相談し、保護者が見守りながら服用するようにしましょう。
漢方薬の中には苦味を感じるものもあるため、子どもに飲ませる際に苦労する保護者も多いようです。
なるべく苦味を感じないように、工夫して飲ませてあげると良いでしょう。
例えば、子どもの好きなプリンやヨーグルトに混ぜる、服薬補助ゼリーを使用すると比較的飲みやすくなります。[6]
- タミフルやイナビルは副作用が心配だから漢方薬を飲みたい。
- 早くインフルエンザを治すためにも漢方薬を併用したい。
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そんな方は、ファストドクターのオンライン診療をご利用ください。
必要に応じて症状に合った薬を処方することができます。
インフルエンザの治療方法は?
インフルエンザを治療するうえで最も大事なのは、水分をしっかりとって休息をとることです。
体力のある人であれば、風邪と同様に薬などによる治療をしなくても1週間程度で症状がおさまるケースもあります。
ただし、基礎疾患のある人や妊婦、幼児、高齢者などはインフルエンザにかかると重症化するリスクが高く、自然治癒を期待して放置していると危険です。
医療機関を受診するようにしましょう。
また、インフルエンザの薬物療法には以下2つの方法があります。
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原因療法:抗インフルエンザウイルス薬を使用
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対症療法:症状を和らげるための薬を使用
それぞれどのような治療方法なのか詳しく解説していきます。
原因療法
インフルエンザの原因療法ではインフルエンザウイルスの増加を防ぐために、抗ウイルス薬を服用して治療をします。
インフルエンザの主な抗ウイルス薬は以下の通りです。
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タミフル(飲み薬)
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ゾフルーザ(飲み薬)
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リレンザ(吸入薬)
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イナビル(吸入薬)
抗ウイルス薬はインフルエンザウイルスが増加するのを防ぐ働きがあります。
ウイルスがかなり増えてから服用しても効果を期待できません。
できるだけ早めに治療を開始することが望ましく、48時間以内に服用することが重要です。
48時間を過ぎたら絶対に抗ウイルス薬を使えないわけではありませんが、なるべく早めに服用を開始してインフルエンザウイルスの増加を抑えることが原因治療の肝となります。[7]
抗ウイルス薬は年齢や症状に応じて異なるため、用法用量を守って服用しましょう。
対症療法
対症療法はインフルエンザによる発熱や咳、鼻水などの症状を緩和させる治療法です。
原因療法で用いる抗ウイルス薬には、つらい全身症状を抑える効果は期待できません。
そのため、抗ウイルス薬と一緒に解熱鎮痛剤や喉の炎症を和らげる薬などが処方されます。
症状に合わせて処方されるため、受診する際には医師に症状をしっかり伝えておきましょう。
インフルエンザの際の解熱鎮痛剤としては、アセトアミノフェンや麻黄湯が安全とされています。
自己判断で服用せず、症状を緩和させたい時は医師や薬剤師に相談しましょう。[7]
関連記事:スピード回復!インフルエンザを最速で治すには
効果が注目される「漢方薬」
「麻黄湯」をはじめとする漢方薬が、抗ウイルス薬「タミフル」と同程度の効果を期待できるとして注目されています。
漢方薬は、比較的副作用が少なく薬価が安い、子どもから高齢者まで幅広い年齢で服用できるなどのメリットがあります。
漢方薬はタミフルなどの抗ウイルス薬のように、インフルエンザウイルスに直接作用するわけではありません。
体の免疫を高めてウイルスに抵抗するといわれています。
また、全身に作用するため、発熱や頭痛、関節痛などの症状の緩和も期待できます。
また、抗ウイルス薬の使い過ぎによって、薬が効きづらくなるインフルエンザウイルスの耐性化も指摘されています。
漢方薬であれば、体の免疫を高めて治癒へと導くため、抗ウイルス剤耐性株のウイルスであっても対応可能です。[2]
症状や体質に合わせて、抗ウイルス薬とうまく併用しながら服用すると良いでしょう。
抗ウイルス薬と漢方薬は併用OK!相乗効果もあり
抗ウイルス薬と漢方薬は併用しても問題ありません。タミフルなどの抗ウイルス薬との飲み合わせで問題となる漢方薬はありません。
また、タミフルと葛根湯を併用すると解熱を早めるなどの相乗効果も期待できるとの報告があります。
ただし、複数の漢方薬を同時に服用する場合は注意が必要です。特定の生薬が多くなりすぎてしまうと副作用が現れる恐れもあります。[8]
自己判断で併用することは避けましょう。
解熱鎮痛剤と漢方薬は併用OK?
医師の診察のもと処方された解熱鎮痛剤と漢方薬は併用しても特に問題はありません。
しかし、漢方薬の中には解熱鎮痛剤と同じ働きをするものもあります。
例えば、葛根湯は体温をあげて体の防御機能を活発にすることで初期の風邪症状を緩和させる働きがあります。
解熱鎮痛成分を含む薬と併用すると、互いに効果を打ち消し合い十分に作用しません。解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンと葛根湯を併用した場合と、併用しなかった場合とでは解熱効果に差はなかったいう研究報告もあります。[9]
飲み合わせについては、医師や薬剤師に相談して確認しましょう。
葛根湯はインフルエンザの予防に効果があるの?
風邪の初期段階で葛根湯の服用を始めるとウイルスの増殖を抑え、頭痛や発熱などの風邪症状に効果を発揮するとされています。
インフルエンザでも同様に、症状が現れ始めた初期段階で服用すると効果的でしょう。
ただし、予防を期待して全く症状がないのに服用することは推奨できません。
あくまでも、症状を軽症で抑える効果が期待できると考えて良いでしょう。
一方で、インフルエンザ患者と濃厚接触をした妊婦が葛根湯を服用して発症を抑えられたとの報告もあります。インフルエンザにかかると重症化リスクの高い妊婦は、予防のために葛根湯を服用しても良いでしょう。[10]
しかし、予防目的の場合は保険が適用されないことがあります。
万が一、家族がインフルエンザになった、濃厚接触者になったという場合は主治医に相談しましょう。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)はインフルエンザの予防効果あり!
体が弱っている時に体力を回復させる効能をもつ「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」の服用がインフルエンザ予防効果を期待できると報告されています。[11]
補中益気湯は、体が弱っている時や胃腸が弱っている時に体力を回復させる「補剤」の一つとして用いられます。
また長期間服用でき、免疫力を高める効果も期待できます。
体のエネルギーを増やし体力をつけることができるため、インフルエンザの予防に繋がったのでしょう。
特に、高齢者や体が弱っている人が服用すると効果を期待できます。
また、病後の衰弱にも効果を期待できるためインフルエンザの回復期にも有効です。
まとめ:漢方薬はインフルエンザに効果あり!
漢方薬は、体が本来備えている「自己治癒力」を高めてインフルエンザウイルスの増殖を抑え、全身症状を緩和する効果を期待できます。
特に「麻黄湯」はタミフルと同程度の効果を期待でき、インフルエンザの初期症状に有効です。
一般的に処方される抗ウイルス薬と漢方薬の併用もできるため、症状に合わせながら治療を行うことが望ましいです。
また、インフルエンザの予防には補中益気湯が効果があるとの報告もあり、適切な漢方薬を選ぶことで予防から治療まで対応できます。
漢方薬は体質に合ったものを選んで取り入れると、つらいインフルエンザの症状をより効果的に回復へと導いてくれます。
インフルエンザに適応する漢方薬があると知ったことで、治療の選択肢の幅が広がったのではないでしょうか。
様々な漢方薬があるため、効果効能や服用するタイミングなど少し難しく感じてしまうかもしれません。
まずは、医師や薬剤師に相談して上手に漢方薬を取り入れていきましょう。
高熱や関節痛などのつらいインフルエンザの症状。 症状がでてから受診予約をしたり、病院に行くのは大変ですよね。
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参考文献
[1]風邪に対する漢方薬の考え方,使い方② インフルエンザ診療を中心に/Vol.1 No.2(2)
[2]順天堂メディカルジャーナル|感冒・インフルエンザと漢方薬
[3]The efficacy of ma-huang-tang (maoto) against influenza
[4]https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhgmwabun/5/2/5_5/_pdf/-char/en
[6]https://jpsom.org/theme/syouni_touyou/img/common/case1.pdf
[7]成人の新型インフルエンザ 治療ガイドライン 第 2 版
[8]インフルエンザに対する オセルタミビルと葛根湯の相乗効果
[9]Pharmacokinetic study on acetaminophen: interaction with a Chinese medicine
[10]インフルエンザ患者に濃厚接触した妊婦への葛根湯の予防投与について
[11]KAKEN — 研究課題をさがす | 補中益気湯による抗インフルエンザ作用機構の解明 (KAKENHI-PROJECT-23659386)
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。