インフルエンザの検査方法やベストなタイミングを詳しく解説

公開日: 2024/10/04 更新日: 2024/10/24
「インフルエンザの検査ってどうやるの?」 「検査を受けるベストなタイミングは?」 「検査は痛いの?子どもでも大丈夫?」 急に高熱が出て倦怠感があらわれたら、インフルエンザにかかったのではないかと心配になりますよね。 検査をして早く結果を知りたい、というかたも多いでしょう。 インフルエンザは普通の風邪より症状が重く、重症化のリスクがある疾患です。 検査を受けてインフルエンザの感染が確認できれば、適切な治療や対処をおこない症状の悪化を防止できます。 本記事ではインフルエンザの検査に関する疑問や不安を解消するだけでなく、検査にかかる費用、市販の検査キットについても詳しく解説します。 インフルエンザかもしれないと思ったとき適切な対応ができるよう、本記事を読んで参考にしてみてください。
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目次

インフルエンザの検査方法

一般的におこなわれている検査方法は「抗原検査」です。

「抗原検査」はウイルスのタンパク質部分(抗原)が検査キットの抗体と結合する抗原抗体反応を利用したもので、2つの調べ方があります。

  • 抗原があるかを調べる「定性検査」

  • 抗原の量を調べる「定量検査」

医療機関や検査センターなどで広く用いられているのが「定性検査」です。

簡単な検査キットを使って、迅速に結果を得られることが特徴です。

しかし検査をするタイミング次第では、インフルエンザにかかっていても陰性となり、感染を見逃す可能性があります。

「定量検査」は専用の機械を使用して抗原の量を調べ、陰性・陽性を判定する方法です。

抗原の量を数値として測定するため、検査の時点では陰性判定でも、のちに陽性判定になる可能性を予測できます。したがって「定性検査」より精度が高い点が特徴です。

実際に検査はどのようにおこなわれるのでしょうか。

検査の流れや検査中の痛み、注意点を知っておくと、検査をスムーズに受けられて安心です。

検査について知っておきたいポイントを、詳しく解説していきます。

  • 検査の流れ

  • 検査中の痛み

  • 陽性ラインが薄い場合の判定

  • 検査の注意点

どうやって検査するの?検査の流れ

インフルエンザの検査は以下の手順でおこなわれます。[1]

  1. 綿棒で鼻やのどの奥の粘膜をこすりとる

  2. 検体処理液に綿棒を浸したあと、処理液を検査キットに滴下する

  3. 10~15分で検査キットに陽性ラインがあらわれる

  4. 陽性ラインの有無で陽性・陰性を判定する

子どもや赤ちゃんでも、検査方法は大人と同じです。大人と同様に鼻やのどの奥をうまく拭えないと必要な量の検体がとれず、陰性になる可能性があります。

痛みはある?

綿棒で粘膜をこすり取るため、人によっては痛みや違和感があるかもしれません。

しかし検査は一瞬で終わるため、あまり心配しなくてよいでしょう。

子どもは恐怖心から嫌がったり泣いたりして、痛みに敏感になることがあります。

事前に検査の必要性や方法をわかりやすく説明してあげることで、恐怖心は和らぎます。

例:「おくちを大きくあーんして、綿棒でこちょこちょしてもらうよ。ちょっとだけ変な感じがするかもしれないけど、あっという間に終わるからね。」

検査は一瞬で終わることを伝えて子どもに寄り添った声かけをするようにしましょう。

検査が終わったあとは抱きしめたり、たくさん褒めたりして、心のケアをすることも大切です。

陽性ラインが薄い場合の判定はどうなる?

陽性ラインが薄くても、多くの場合は陽性として判断されます。

こすりとった検体の量が少ない、もしくは適切な検査のタイミングを逃してしまうと検査に必要な量のインフルエンザウイルスがとれません。

そのため、陽性ラインが薄くなったり細くなったりすることがあります。

陽性ラインが薄くても体内にウイルスは存在し、鼻やのどからウイルスを排出する可能性があるのです。

このような場合は、症状(発熱、倦怠感など)や流行状況から判断して治療を進めることが一般的です。

場合によっては、医師から再検査や他の検査を受けるように指示されることもあります。[2]

検査結果の注意点

検査結果が「陰性」でも、インフルエンザにかかっている可能性があります。

なぜなら検査のタイミングや採取した検体の量によっては、「偽陰性(ぎいんせい)」となることがあるためです。

「偽陰性(ぎいんせい)」とは、実際は陽性であるにもかかわらず誤って陰性と判断されることを指します。

インフルエンザに感染している場合でも、陰性と判断されてしまうことがあるのです。

陰性となっても症状や流行の状況(家族が感染している、職場や学校で流行しているなど)、他の検査結果をふまえて感染の可能性を判断することが大切です。

発熱や倦怠感、頭痛、咳・くしゃみなどの症状がある場合は以下の基本的な感染対策をおこない、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。[3][4]

  • マスクを着用する

  • 手洗いや手指の消毒をする

  • 換気をおこなう

  • 高齢者や妊婦、持病のある人など重症化のリスクがある人とは十分な距離を取る

インフルエンザの検査はいつおこなうのがベスト?

インフルエンザの検査をおこなう最適なタイミングは、症状が出始めてから12時間~48時間以内です。[5]

インフルエンザウイルスが検査に必要な量まで増えるには発症してから12時間ほどかかり、発症48時間以降はウイルス排出量が減ります。このため発症後12時間未満、48時間以降は陰性となってしまう可能性が高いです。[6]

また抗インフルエンザ薬は、症状が出始めてから48時間以内に服用することで最大限の効果を発揮します。

検査は発熱などの症状が出て半日くらい待ってからおこなうようにしましょう。

症状がつらいとすぐに医療機関を受診したくなりますよね。

ただ、せっかく医療機関へ行っても検査ができなかったり、治療がおこなえなかったりすることもあります。

まずは水分をしっかり補給して、睡眠を十分にとりましょう。

高熱が出る、呼吸困難や息切れがするなどの場合は発症から12時間待たず、早めに医療機関を受診してください。[7]

インフルエンザの症状は、比較的急速に全身症状としてあらわれるのが特徴です。[8]

  • 38℃以上の発熱

  • 頭痛

  • 関節痛

  • 筋肉痛 など

これらの症状と一緒に、普通の風邪症状であるのどの痛みや鼻水、鼻づまり、咳なども多くみられます。

インフルエンザの検査はどこでできる?

インフルエンザの検査は、主に医療機関の以下の診療科で受けられます。

  • 内科

  • 小児科

  • 耳鼻咽喉科

  • 呼吸器内科 など

コロナ流行後は発熱している患者の受け入れを制限している医療機関が多くなりました。

インフルエンザであらわれる発熱などの全身症状は、コロナの症状と似ているためです。

2024年9月現在も新規患者は電話予約のみ受け付けている医療機関もあるため、ホームページなどを確認してから受診しましょう。

事前確認が必要な場合がある

持病がある、妊娠している、症状が重いなどの理由で事前確認が必要な場合があります。

発熱患者を受け入れている医療機関は、インフルエンザやコロナにかかっている人が多く来院します。

感染症による重症化リスクが高い人の来院を制限するために、予約を求められる場合があるのです。

インフルエンザやコロナの流行状況によっても変わってくるため、受診する前に電話で確認するとよいでしょう。[9]

事前確認が必要な場合

対応方法

発熱患者の診療をしている医療機関がどこにあるかわからない

保健所や自治体などに設置されている発熱相談センターに電話をして相談する

発熱患者の診療をしている近隣の医療機関がわかっている

医療機関に電話をして受診時間などを聞く

慢性疾患などがあってかかりつけ医がいる

かかりつけ医に電話をして受診時間などを確認する

妊娠している

かかりつけの産科医師に電話をして受診する医療機関の紹介を受ける

呼吸が苦しい、意識がもうろうとしているなど症状が重い

なるべく早く入院設備のある医療機関を受診する

必要ならば救急車(119)を呼ぶ

必ずインフルエンザの症状があることを伝える

インフルエンザの検査にかかる値段は?

インフルエンザの検査のみの自己負担額は、3割負担で数百円から1,000円程度です。

通常は診察料や検査料などが別途加算されます。

ただし、医療保険が適用されるのは医師が抗原検査を必要と判断した場合のみです。

症状はないがインフルエンザにかかっているのかを知りたい場合は自費となり、全額自己負担になります。

家族のなかでインフルエンザ感染者がいて不安なかたは、無症状でも検査は可能ですが負担額については注意しましょう。

インフルエンザの検査は必ずしたほうがいい?

インフルエンザの疑いがあるときは、なるべく検査をしたほうがよいでしょう。

「寒気や熱だけだから大丈夫」「まだ流行していないし大丈夫だろう」と思っていても、いつあなたの体にインフルエンザウイルスが入ってくるかは誰にもわかりません。

検査をするべき理由は、以下の4つがあげられます。

  • 症状だけではインフルエンザにかかっているか判断できない

  • 早期に抗インフルエンザ薬を服用することで発熱の期間が短くできるほか、鼻やのどから排出するウイルス量を減少させられる

  • 重症化を予防できる

  • 家族や同僚など、周囲の人への感染を予防できる

発症から12時間未満ではウイルス排出量が少ないため正確な判定ができず、検査を受けるタイミングには適していません。

抗インフルエンザウイルス薬の効果を発揮できるのは発症から48時間以内に治療を開始した場合であるため、検査は発症後12時間~48時間以内に受けるようにしましょう。

インフルエンザの検査キットについて

すぐに医療機関を受診できないときや、症状は出ていないがインフルエンザにかかっているか確かめたいときは、市販の検査キットを使うと便利でしょう。

ただし、インフルエンザの検査は症状があらわれたときに医療機関で受けるのが最適とされています。

市販の検査キットは自分で検査をおこなうため正確な結果が出ず、治療が遅れて症状が長引いてしまうことがあるためです。医療機関では医師が必要と判断すれば保険適用で検査ができるほか、結果がわかればすぐに適切な治療を受けられ、症状の悪化を防ぐメリットがあります。

医療機関で検査を受ける場合と自分で検査をする場合、それぞれにメリットとデメリットがあります。

内容を確認し、どちらを選択するか検討しましょう。

 

メリット

デメリット

医療機関で検査を受ける

  • 保険適用(症状がある場合のみ)

  • すぐに治療や薬の処方を受けられる

  • 正確な結果が得られる

  • 医療機関まで出向く必要がある

  • 持病や症状により医療機関へ事前確認(電話)が必要な場合がある

自分で検査をする

  • 事前に検査キットを購入して準備しておける

  • 場所、時間を選ばず検査ができる

  • 発症していない場合でも気軽に検査ができる

  • 自費(保険適用外)で検査キットを購入する必要がある

  • 手技によっては正確な結果が出ない

  • 検査キットにより精度が異なる

  • 結果はあくまでも参考程度で、診断にはならない

インフルエンザの検査キットは薬局で購入できる?

インフルエンザの検査キットは薬局で購入できます。ドラッグストアやインターネットでも購入が可能です。

2024年9月時点では在庫があり購入できますが、インフルエンザやコロナが流行期を迎えると品薄になる可能性があります。流行前に購入を検討しておくとよいかもしれません。

検査キットの購入には医療保険が適用されないため、全額自己負担になります。

市販の抗原検査キットは、厚生労働省が承認した「体外診断用医薬品」または「第一類医薬品」を選びましょう。

インターネットで検索すると「研究用」と書かれたものが多く出てきますが、研究用は厚生労働省が承認したものではないため選ばないように注意してください。

個人で購入できるのはコロナウイルスとインフルエンザウイルスが同時に検査できるキットのみです。(2024年9月時点)[10]

インフルエンザのみを検査できるキットで厚生労働省に承認されているものは市販されていません。

インフルエンザとコロナの検査方法の違いは?

インフルエンザとコロナの検査方法は「抗原検査」が主流で、大きな違いはありません。(2024年9月時点)

コロナは2023年5月8日に5類感染症に移行したことから、PCR検査より迅速で手軽な抗原検査が広く用いられるようになりました。

検査方法はインフルエンザもコロナも同じで、綿棒で鼻またはのどの奥をこすって抗原を採取しておこないます。

抗原検査キットは市販されており、薬局やドラッグストア、インターネットで購入が可能です。

ただし、インフルエンザやコロナの流行が始まると品薄になる可能性があります。

場所や時間を選ばず検査できるため、前もって市販の検査キットを自宅に常備しておくとよいでしょう。

自分でおこなった検査はあくまでも参考で診断とはなりません。感染が疑われるときは速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

Q &A

インフルエンザの検査についてよくある質問にお答えします。

インフルエンザの検査はいつするのがベストですか?

症状が出始めてから12時間~48時間におこなうのがベストです。

インフルエンザウイルスの量は発症から12時間未満では検査に必要な量に到達せず、48時間以降では排出量が減ってしまいます。

そのため、感染していても陰性判定となる可能性があります。

また抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に服用を開始すると、効果が最大限に発揮されることがわかっています。

それ以降になると効果はほとんど期待できないため、症状が出てから12時間~48時間以内に検査をおこなうことが大切です。

インフルエンザは発熱後6時間で診断できますか?

正確な診断はできません。

発熱後6時間ではウイルス量が少なく感染していても陰性となる可能性があります。

陰性判定になっても症状や流行の状況からインフルエンザが強く疑われれば、時間をおいて再検査をおこないます。

検査は、症状が出始めてから12時間~48時間でおこなうようにしましょう。

インフルエンザかどうかの検査方法は?

一般的に「抗原検査」をおこないます。

綿棒で鼻やのどの奥をこすって採取した検体(抗原)を検査キットの抗体と反応させる検査方法です。

鼻やのどの奥をこするため人によっては痛みや違和感をいだく場合がありますが、一瞬で終わるのであまり心配はいらないでしょう。

子どもや赤ちゃんでも、大人と同じ方法でおこなわれます。

検査結果は10~15分程度でわかります。

検査キットが市販されており個人でも検査は可能ですが、正しく判定できないことがあるため医療機関で検査を受けるほうが確実です。

インフルエンザで陽性になるのはいつからですか?

インフルエンザに感染している場合、抗原検査では症状が出始めてから12時間以降に検査をおこなえば陽性となります。

症状が出てすぐに検査をすると、インフルエンザウイルスの排出量が足りず偽陰性になることがあり注意が必要です。

検査を受ける場合は、発熱などの症状が出てから半日程度待って受けるようにしましょう。

ただし症状が重い、つらいときは受診を待つ必要はありません。

早めに医療機関にかかって、医師から適切な指示を受けましょう。

まとめ

インフルエンザの検査について、検査方法や費用、検査をするタイミングについてご紹介しました。

インフルエンザの検査は適切なタイミングで受けることが大切です。

抗原検査では、症状があらわれてから12~48時間後に検査をするのがベストなタイミングです。

検査をするときに綿棒で鼻やのどの奥をこするため痛みを感じることもありますが、検査は数秒で終わるためあまり心配はいらないでしょう。

医療機関で検査を受けると正確に診断できるため、速やかに治療を開始できるメリットがあります。

一方、市販の検査キットを常備しておけばいつでも気になったときに検査ができ便利でしょう。

市販の検査キットを購入するときは厚生労働省が承認した「体外診断用医薬品」または「第一類医薬品」を選んでください。

市販の検査キットで陽性が疑われるときは、早めに医療機関を受診しましょう。

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参考文献

[1]エスプラインSARS-CoV-2&FLU A+B(一般用)添付文書|小林製薬

[2]アドテストSARS -Cov-2/Flu(一般用)|医薬品医療機器情報提供ホームページ

[3]インフルエンザ診断マニュアル(influenza20190116.pdf)

[4]令和5年度 今シーズンのインフルエンザ総合対策について|厚生労働省

[5]日本感染症学雑誌第95巻第1号 (jst.go.jp)

[6]インフルエンザ検査って?|山陰労災病院

[7]インフルエンザ(季節性)対策 | 首相官邸ホームページ

[8]令和5年インフルエンザQ&A|厚生労働省

[9]インフルエンザかな?症状がある方へ|厚生労働省

[10]新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報|厚生労働省

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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