インフルエンザ発症から48時間以上経過した場合の治療とケアのポイント

公開日: 2023/12/06 更新日: 2024/09/29
インフルエンザを発症した場合「48時間以内に病院へ行く必要がある」と耳にした事があるかもしれません。実際、ほとんどのインフルエンザ治療薬は、発症から48時間以内に使用するように推奨されています。 では、土日を挟んだなどの理由で受診の機会を逃してしまった場合は、どう対処したらよいのでしょうか?今回は、「48時間以内」が1つの目安になっている理由と、48時間以上経過した場合の対処法をご紹介します。 ご自宅で療養している際の参考にしてください。
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発症から48時間が基準になっている理由とは?

まずはなぜ「発症から48時間」を1つの区切りとしているのか、理由を説明します。

発症後のウイルス排出量は1〜3日目がピーク

インフルエンザは、ウイルスが体内にはいったあとに増殖し、一定以上の量になると発症します。インフルエンザウイルスが体内に入ったとしても、必ず発症するわけではありません。

 

発症した後もウイルス量は増えますが、発症から1〜3日目を境に、ウイルス排出量が低下に転じます。そして、一般的には、ウイルス排出量の低下に伴い、徐々に発熱やだるさといった症状が和らいでいき、回復に向かいます。

 

時間が経つと治療薬を使うメリットが少ない

インフルエンザの治療薬を使えば、症状を1日程度早く回復させることが可能です。ですが、発症から48時間以上経過している方は、すでに自然と回復に向かう段階にさしかかっていると考えられるため、治療薬を使うメリットが少ないといえます。

 

したがって、48時間経過したあとに治療薬を使う意味があるかどうかについては、まだ議論の分かれるところです。ご高齢で持病のある方では、48時間以上経過していたとしても、治療薬を使うことで「日常生活に戻れるまでの日数」が2〜3日短縮されるという報告もあります。

持病のある方、体力のない小さな子ども、症状がなかなか良くならない方などは、時間が経過していたとしても治療薬を使った方がよい場合もありますので、個別の判断が必要です。

 

48時間以上経過したときの対処法

48時間以上経過してしまったら、どう対処するのがよいでしょうか?基本的には、体調によって判断することになります。

症状が回復傾向にある場合

症状が回復傾向にある場合や、解熱薬などの対症療法でしのげそうな場合は、受診せずに自宅療養でも問題ありません。

以下のような対処をしながら、回復を待ちましょう。

 

・消化のよいものを無理なく食べる

インフルエンザを発症すると、高熱で倦怠感が強く食欲がなかったり、下痢や吐き気で食べられなかったりすることがあります。

食欲があるのなら普段通りの食事でよいですが、食欲がないときは消化の良いものを選んで食べましょう。

主食は、おかゆやうどんが向いています。タンパク質は、脂身の少ないもの(白身魚、卵、豆腐など)が食べやすいです。野菜は細かめに切り、しっかり煮込むことで消化がよくなります。フルーツゼリーやブリンなど、喉越しがよくさっぱりしたものもおすすめです。

 

・こまめに水分補給をする

高熱を出していることや、寝ている時間が長いことなどから、脱水になりやすいです。枕元に水やフルーツジュース、スポーツドリンクなどを置いておき、目が覚めたら少しずつ飲むようにしましょう。

 

・1日1回は体温を測定する

回復してきているかどうかの指標になりますので、体温は測定しましょう。1日2.3回測定できると、経過がわかりやすくなります。

 

・換気をする

部屋の空気を、外の新鮮な空気と入れ替えることで、室内に漂うウイルス量を減らすことに繋がります。同居家族がいる場合には、感染拡大の予防にも有効ですので、1日に数回、短時間でかまいませんので換気をおこないましょう。

 

・解熱剤や咳止めなどは使用方法を守る

解熱剤は、飲んだとしても平熱まで下がるわけではありません。平均的には、1度ほど体温が下がるだけです。咳止めも、咳が全く出なくなるほどの効果を得るのは難しいです。

薬は、たくさん飲めば効果が高まるものではないので、服用量や服用間隔は守りましょう。

 

症状がよくならない場合

2〜3日経っても症状がよくなっていない、高熱が続いてぐったりしているというような場合には、受診を検討しましょう。

 

とくに、小さな子どもの場合は、まれに急性脳症や肺炎を合併したり、脱水によるトラブルが起きることもあるため、以下に当てはまる場合は48時間以上経過していたとしても受診をご検討ください。

また、重症化のリスクが高い方は、症状が改善しない場合は積極的に受診しましょう。

 

<子どもの受診目安>

  • 高熱が5日以上続いていて下がらない
  • 水分がとれない
  • おしっこが出ない、少ない
  • けいれんを起こした
  • 呼吸が早い、息苦しそうな様子をしている
  • ぐったりしている、意識がぼんやりしている

 

<重症化のリスク要因>

  • 呼吸器の疾患がある方(喘息、COPDなど)
  • 心臓の疾患がある方(心不全など)
  • 免疫の弱い方(透析中、糖尿病、免疫抑制剤を使用しているなど)
  • がんの方
  • 妊婦

 

検査は必須ではない

「学校を休むのに、インフルエンザの検査をしなくてはいけない」とおっしゃる方もいますが、検査自体は必須ではありません。陰性だからといってインフルエンザではないとは言い切れませんし、検査によって「治癒」したことを証明するのは難しいためです。

周りでインフルエンザが流行していて、発熱や体の痛みなどの症状があれば、インフルエンザだと判断して療養するのもよいでしょう。

 

とはいえ、学校や保育園から検査を求められることもまだ多いです。発症から12時間以上経過していれば、おおむね正しく検査ができます。ファストドクターでも、往診でインフルエンザの迅速検査をおこなっていますので、お困りの際にはご相談ください。

 

まとめ

今回は、インフルエンザの治療薬が「発症48時間以内」に使用するよう推奨されている理由と、48時間以上経ってしまった場合の対処法についてご紹介しました。

インフルエンザは、発症から2〜3日経過したところからウイルスの排出量が低下し、回復に向かうことが多いです。自然と回復すると考えられ、治療薬を使うメリットが少なくなるといえます。

症状がよくなってきているのであれば、ご自宅で療養を続けましょう。症状がよくなっていない、何かお困りのことがあるという場合には、発症から時間が経っていても受診をご検討ください。

 

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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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