インフルエンザの2024年における流行状況と予防を解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/29
2023年は本来インフルエンザが流行するタイミングとは異なり、早いタイミングからインフルエンザが流行していることが話題となっています。 10月時点でのインフルエンザ感染者はこれまでの感染者数と比較しても多く、今後も増え続けることが予想されているため注意が必要です。 本記事では、インフルエンザの2023年における流行状況について詳しく解説します。 また、新型コロナウイルス感染症とのダブル感染が危惧されているなか、少しでもインフルエンザを予防できるように、インフルエンザの予防方法もあわせて詳しく解説します。 インフルエンザの感染を避け健康的に過ごしたいという方はぜひ参考にしてみてください。
【発熱】の気になる症状について教えてください
症状の重症度と、適切なファストドクターの診療サービスをご案内します
目次

インフルエンザの本来の流行時期は?何型が流行しやすい?

インフルエンザの早期流行と言われているものの、本来はいつ流行する感染症であるのかを解説します。

また、インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型といった方がありますが、今年は何型が流行しやすいのでしょうか。

インフルエンザの本来の流行時期は?

国立感染症研究所によると、日本におけるインフルエンザの流行時期は、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まるとされています。

そして、徐々に患者数が増加し翌年の1~3月頃にピークを迎え、4~5月にかけて減少していくパターンが一般的です。

ただし、一概にこの経過をたどるわけではなく、夏季に患者が発生し、インフルエンザウイルスが分離されることもあります。[1]

つまり、流行の程度とピークの時期はその年によって異なるといえるのです。

インフルエンザは何型が流行しやすい?

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があります。

この中でインフルエンザとして猛威を振るうのはA型、B型が多く、A型は人畜共通に感染するウイルスです。よく話題に上がる鳥インフルエンザはA型に部類されます。

C型は症状が軽いことから軽い風邪として捉えられがちで、検査を受けずに軽快していくことが多いです。[2]

A型は季節性インフルエンザとして大流行することが多く、数年から数十年に一度大流行を引き起こす傾向にあります。[1]

2023年のインフルエンザの流行状況

本来のインフルエンザの流行状況が分かったところで、ここからは2023年におけるインフルエンザの流行状況がどうなっているのかについてくわしく解説していきます。

2023年のインフルエンザの流行時期

冒頭でもお伝えした通り、2023年のインフルエンザの流行は本来の流行時期よりも早い時期から流行がスタートしていることが大きな特徴です。

2023年においては特に9月を過ぎてからインフルエンザが猛威を振るっており、関東地方と九州地方では「流行注意報基準」である定点あたり10.0人を超えている地域が多くみられています。

特に、9月を過ぎてからは沖縄県において感染者数が多い傾向にあるようです。[3][4]

2023年のインフルエンザの流行は何型?

国立感染症研究所によると、2023年9月時点では全国的にA型インフルエンザの発生が続いていると発表がありました。[5

ただし、インフルエンザ流行のピークをまだ迎えていないことや、新型コロナウイルス感染症が第5類に引き下げられた影響で、

渡航者や海外からの観光客が増えていることを考えると、今後、別の型が流行する可能性も0ではありません。

あくまで、9月時点での発表と捉えて経過を見ていくことが重要となるでしょう。

2023年のインフルエンザが早期流行している理由

実は専門家の間では2023年におけるインフルエンザ早期流行は早い段階から予想されていたことでした。[6]それでは、なぜインフルエンザが早期流行したのか。

その理由は次の通りです。

新型コロナウイルス感染症が落ち着き国内外への移動が増えた

大きな理由として考えられるのが新型コロナウイルス感染症が落ち着き国内外への移動が増えたことです。

現在日本で流行しているインフルエンザA型は外国で発生が続いている型です。

新型コロナウイルス感染症が落ちついたことで国内外への移動が増えた結果、A型インフルエンザウイルスが日本各地に散らばり、早い段階から流行したと予想されています。

また、現在流行しているインフルエンザは「A香港型」と呼ばれる型です。

A香港型が流行するとインフルエンザによる死亡や入院が増加することが知られているため、日本感染症学会では特に注意を促しています。[7]

感染対策の大幅な緩和

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に引き下がったことを受けて、感染対策が大幅に緩和されました。

それまでアルコール消毒やマスクの着用でインフルエンザウイルスをシャットアウトできていましたが、こうした感染予防をする人も減っています。

インフルエンザへの抵抗力がない状況の人たちがマスクの着用をしない、感染対策をしなくなったことで、感染のリスクが高まったと考えられるのです。[6]

異常気象

世界保健機関(WHO)が9月に発表した世界のインフルエンザ流行状況を見てみると、アジアの熱帯や亜熱帯地域で患者数が大きく増加していることが分かっています。[6][8]

今年の日本の夏は例年よりも気温が高く、雨も多い異常気象となりアジアの亜熱帯に近い気候となりました。

くわえて、この暑さにより外出が難しく屋内で過ごす人も増えました。この2つの要因が組み合わさって流行につながったのではと考えられています。

インフルエンザの今後の流行予測

本来のインフルエンザが流行する時期は11月以降であり、ピークは1月頃とされています。

つまり、早期に流行はしているものの現時点ではまだピークに達していない可能性があります。そのため、今後もまだまだ感染者数が増えると考えられています。

具体的にどのくらい感染者数が増えるのかについての指標は上がっていませんが、引き続き感染者数の動向を注視していく必要があるといえるでしょう。

インフルエンザの予防方法

インフルエンザはまだこれからピークになる可能性があるため、適切に予防をしていく必要があるといえます。インフルエンザの予防方法についてくわしく解説します。

手洗いうがい

インフルエンザの感染経路は2種類あります。

1つはウイルスの付着した手で食べ物を食べたり、手を口に入れたりすることによって起こる接触感染。

もうひとつはウイルスを保有している人のくしゃみや咳などのしぶきを浴びることによって起こる飛沫感染です。

これらの対策として最も効果的なのが手洗いうがいです。しかし、正しい手洗い方法を熟知している人は少ないといえます。正しい手洗い方法は次の通りです。[9]

  1. 流水でよく手を濡らしてから石鹸をつけて手のひらをこする

  2. 手の甲を伸ばすようにこする

  3. 指先、爪の間を念入りにこする

  4. 指の間を洗う

  5. 親指と手のひらをねじり洗いする

  6. 手首も洗う

  7. 流水でしっかりと石鹸を流す

  8. 清潔なタオルまたはペーパータオルで水けをふき取る

手洗いを食事の前後や外出後に必ず行いましょう。

免疫力を高める生活

免疫力を高めておけばインフルエンザの感染を防げるかもしれません。

免疫力を高めるためには栄養のある食事を摂り、適度に身体を動かし、たっぷりと睡眠をとるなどが必要です。

免疫力を高める生活を意識しながら生活習慣を整えていきましょう。

予防接種を受ける

厚生労働省によると、インフルエンザワクチンの予防接種は「感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効」としています。

インフルエンザウイルスを全く感染させないということは難しいものの、症状を発症する可能性を低減させることは不可能ではありません。

特に高齢者や子供・基礎疾患がある方においては、健常な人よりも免疫力や抵抗力が弱いことからインフルエンザワクチンの接種が推奨されています。[10]

インフルエンザワクチンの免疫効果は約5か月といわれているため、ピークとなる12~1月までには接種しておくことがおすすめです。[11]

2023年は9月の時点ですでにインフルエンザワクチンは前年度を上回る供給量となっており、さらに2023年度を通して、前年度よりもワクチンを多く確保しています。[12]

とはいえ、インフルエンザワクチンが不足している年もあることから、早めのワクチン接種が望ましいといえるでしょう。

インフルエンザの流行に関するQ&A

インフルエンザ流行に関して気になる情報をまとめました。インフルエンザ流行に関してさらに気になることがあるという方はこちらをご参照ください。

インフルエンザ 今年の流行何型か?

インフルエンザの2023年の流行型は9月時点での情報ではA型とされています。今後、B型の流行がA型を上回る可能性も否定できず、状況を注視していくことが必要です。

マスクで感染は予防できるか?

ウイルスを持っている人がマスクをすることにより、感染拡大を少しでも防止することができると言われています。

しかし、残念ながらウイルスから身を守るための感染予防の手段として使用しても効果がないとされています。ウイルスは乾燥した環境には強く、湿度に弱いです。

マスクをつけて口元を加温加湿することでウイルス感染を予防できる可能性が示されているため、健康な人のマスク着用も感染予防として決して無駄ではないでしょう。[13]

予防接種をすれば流行期のインフルエンザを避けられるか

インフルエンザウイルスはあくまで感染後の発症予防となるため、感染を避けることはできません。

また、インフルエンザワクチンを成人が1回接種することでおよそ50%の確率で発症を予防できるとしています。

そのため、インフルエンザワクチンの予防接種のみでインフルエンザの感染を避けられるとは限らず、手洗いや生活習慣の見直しをあわせて行うのが重要と言えるでしょう。[14]

まとめ

今回は、2023年のインフルエンザの流行状況や感染予防について解説しました。

  • 2023年は早い段階からインフルエンザが流行しており、多いのはA型

  • 流行の理由は感染対策が大幅に緩和して国内外への移動が増えた人が多いことや異常気象

  • 予防は手洗いうがい、免疫力を上げる、予防接種を受ける

今年のインフルエンザ流行は早い段階から専門家も予測していたことです。

しかし、現段階ではピークにも至っておらず今後インフルエンザはますます流行する可能性があるでしょう。

インフルエンザを予防するためには適切な手洗いと、マスクの着用、そしてインフルエンザウイルスのワクチン接種が効果的です。

特に抵抗力が弱い高齢者や子供、持病のある方においては、ワクチン接種により重症化を予防できます。

適切な方法でインフルエンザを予防しながら、インフルエンザを発症せずに過ごしていきましょう。

参考

1:国立感染症研究所|インフルエンザとは

2:大幸薬品|健康情報局

3:厚生労働省|インフルエンザの発生状況について

4:厚生労働省|インフルエンザ流行レベルマップ

5:国立感染症研究所|IDWR 2023年第3号<注目すべき感染症> インフルエンザ

6:時事メディカル|なぜインフルエンザの流行が秋に起きているのか

7:一般社団法人日本感染症学会|一般社団法人日本感染症学会 提言 2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について

8:渡航者医療センター|海外感染症流行情報

9:内閣府大臣官房広報室|インフルエンザの感染を防ぐポイント|「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」

10:厚生労働省|インフルエンザQ&A

11:横浜市|高齢者インフルエンザ予防接種

12:厚生労働省|2023/24シーズンのインフルエンザワクチンの供給等について

13:健栄製薬|マスクって意味あるの?インフルエンザの効果的な予防・対策法

14:養命酒製造|インフルエンザ、予防接種の効果は?ワクチンの発症予防率と有効期間



看護師に現在の症状を相談してみませんか?

ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。

アプリから往診の待ち時間を見れるだけではなく、チャットや電話での無料の医療相談が可能です。

もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

FastDoctor
ドクターの往診・オンライン診療アプリ
往診もオンライン診療も
アプリから便利に相談
App Storeからダウンロード
Google Playで手に入れよう
TOP医療コラムインフルエンザの2024年における流行状況と予防を解説