ヘルペスの治療薬は?塗り薬や飲み薬、薬がない場合の対処法について解説

公開日: 2025/01/25
「口の周りにプツプツとできものが出てきた。もしかしてヘルペス…?」 「ピリピリチクチクして、またヘルペスが出る予感がする。市販薬でなんとかならない?」 口の周りにできものができ「ヘルペスかもしれない」と心配になっていませんか? 口唇へルペスを発症した経験がある人は「また再発か…」と悩むことも多いでしょう。 ヘルペスは水ぶくれ状の小さな発疹があらわれるウイルス性の病気です。一度発症すると再発しやすいのが特徴です。 繰り返す口唇ヘルペスで症状が軽い場合、市販薬で対応できます。 ただしはじめて症状があらわれた場合やひどい場合は、医療機関を受診しなければなりません。性器ヘルペスの場合は、再発であっても適切な治療が必要です。 本記事では、ヘルペスの特徴や治療方法、適切な受診の判断について詳しく解説します。 薬を使う際の注意点や、日常生活で気をつける点についてもお伝えしますので、ヘルペスを早く治したいと思っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
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ヘルペスとは

ヘルペスとは皮膚や粘膜に小さな水ぶくれ状の発疹があらわれる、ウイルス性の感染症です。

単純ヘルペスウイルス(HSV)により引き起こされ、おもに2つの型があります。[1]

  • 1型(HSV-1):おもに上半身(とくに口の周り)に感染。口唇ヘルペスなどを引き起こす。(最近では性器への感染も増加傾向。[2]

  • 2型(HSV-2):おもに下半身(とくに性器)に感染。性器ヘルペスなどを引き起こす。

 

口唇ヘルペス[3]

性器ヘルペス[3][4][5]

原因ウイルス

  • おもに1型(HSV-1)

  • 1型(HSV-1):初感染の約70%。再発は少ない傾向[6]

  • 2型(HSV-2):再発する可能性が高い

症状

  • 口の周りや唇に、水ぶくれ状の発疹やただれ

  • ピリピリ、ちくちくとした痛み・かゆみからはじまる

  • 焼け付く痛みを感じることもある

  • 性器や肛門周囲に、水ぶくれ状の発疹やただれ

  • ヒリヒリ感、むずむずしたかゆみ

  • 強い痛み、発熱、倦怠感、排尿時の痛みをともなうこともある

感染経路

接触感染

  • 感染者の水ぶくれに直接さわる(直接接触)

  • キスにより唾液を介す(直接接触)

  • 唾液が付着した食器やタオルなどを介す(間接接触)

飛沫感染

  • 感染者のくしゃみ、咳に含まれるウイルスを吸い込む

接触感染

  • 性行為(HSV-2)

  • 感染者の性器や水ぶくれにふれる

  • 便座やタオルを介す(頻度は少ない)

  • HSV-1がオーラルセックスにより性器に感染することもある

特徴

  • 再発しやすい

  • 通常2週間程度で自然に治る[7]

  • 感染しても発症せず無症状の場合が多い(70~80%)

  • 適切に治療しなければ治るまでに2~4週間かかる

  • HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染リスクを高める恐れもある

口唇ヘルペスは「ピリピリ」「チクチク」といった痛みやかゆみからはじまり、強い痛みを生じることもあります。

性器ヘルペスは性器や肛門周囲にヒリヒリ感やむずがゆさを感じ、激しい痛みや発熱をともなうこともあります。放置すると尿が出にくくなるケースもあり注意が必要です。[8]

口唇ヘルペスや性器ヘルペスが厄介なのは、再発しやすいことです。

通常体の中にウイルスや細菌が侵入すると、免疫がはたらき排除しますが、ヘルペスウイルスには免疫が反応しません。

ヘルペスウイルスは神経細胞の中に隠れたり、姿を変えたりして免疫の働きを妨害するためです。

一度感染すると体内に潜み、疲れやストレスで免疫が低下したときに再び症状を引き起こします。

ヘルペスを発症した場合は、再発にも備えて治療法や予防策を理解することが大切です。

ヘルペスの治療薬は?

ヘルペスの治療薬には「抗ヘルペスウイルス薬」が使用されます。

抗ヘルペスウイルス薬は、体内でヘルペスウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぎます。症状があらわれたらできるだけ早く治療をはじめることが大切です。

以下はおもに使われるヘルペス治療薬の種類とその特徴です。

《抗ヘルペスウイルス薬の種類》

成分名(商品名)

飲み薬の有無

塗り薬の有無

市販薬の有無

成分の使用例

アシクロビル

◯(塗り薬のみ)

  • 口唇ヘルペス、性器ヘルペスどちらにも使用される

  • 市販薬は再発した口唇ヘルペスのみ使用できる

ビタラビン

◯(塗り薬のみ)

  • 市販薬は再発した口唇ヘルペスのみ使用できる

バラシクロビル

  • 口唇ヘルペス、性器ヘルペスどちらにも使用される

ファムシクロビル

  • 口唇ヘルペス、性器ヘルペスどちらにも使用される

アメナメビル

  • ヘルペスの再発時のみ使用される

飲み薬は全身に作用してウイルスの増殖をおさえるため、塗り薬よりも効果的です。

再発した口唇ヘルペスで症状が軽い場合は、市販薬の塗り薬で対応できますが、はじめてヘルペスが疑われる場合は使用できません。

必ず医療機関を受診し、処方薬で治療を受けましょう。初感染では症状が重くなることが多く、医師による正しい診断と治療が必要です。

また初感染時の適切な治療には、以下のメリットもあります。

  • 体内に潜むウイルスの量を減らせる

  • 再発頻度をおさえられる

  • 再発した場合も、症状の緩和が期待できる

性器ヘルペスは、再発であってもきちんと治療しなければなりません。症状の悪化や長引く場合もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

繰り返しやすいヘルペスは、受診が難しいこともあるでしょう。

ヘルペスを繰り返す人には「PIT療法」という治療がおこなわることもあります。

PIT療法とは初期症状を感じた段階で、あらかじめ医師から処方された薬を自分の判断で服用し、症状の進行を防ぐ治療法です。

すぐに薬を服用し悪化を防げるため、再発を繰り返す人にとってメリットの大きい治療といえます。

《PIT療法》[9]

使用される薬

ファムシクロビル、アメナメビル

処方条件

  • 再発性のヘルペスであると医師が判断した場合

(例:1年間に3回以上ヘルペスを繰り返す)

  • 患者が再発の初期症状を正しく判断できる

服用タイミング

初期症状があらわれてから6時間以内

メリット

  • 初期症状があらわれてすぐ服用できるため、悪化を防げる

  • 症状が出たときに慌てて受診する必要がない

ヘルペスは適切な治療によって再発のリスクを減らし、症状を軽くすることも期待できます。

とくにはじめて発症した場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

口唇ヘルペスに効く塗り薬

口唇ヘルペスに効く塗り薬は、医療用だけでなく市販薬もあります。

ただし市販薬は「口唇ヘルペスと診断された経験があり、再び同じ症状があらわれた場合」にのみ使用できます。

《口唇ヘルペスの再発に使用される市販薬》

商品名(市販薬)

成分名

用法

注意事項

アラセナS・アラセナクリーム

ビダラビン

1日1〜4回

  • 再発性の口唇ヘルペスのみ

  • 6歳未満は使用できない

  • 症状を感じはじめたら、できるだけ早いタイミングで塗布を開始する

  • 5日間使用しても症状がよくならない場合や悪化する場合は、医療機関を受診する。

アクチビア軟膏[10]

アシクロビル

1日3〜5回

ヘルペシアクリーム

ヒフールAC

ピリピリやチクチクした違和感を覚えたら、できるだけ早く薬を使いはじめましょう。

再発を繰り返す多くの人は「またヘルペスが出てきそう…」と予兆を感じることが多いです。早いタイミングで薬を使用すると、症状の悪化を防ぎ、回復も早くなります。

アシクロビル配合の「アクチビア軟膏」「ヘルペシアクリーム」「ヒフールAC」は、1日3〜5回の塗布と決められています。

飲食によってはがれることを防ぐため、食後や寝る前に塗ると効果的です。

ビダラビン配合の「アラセナS」は1日1〜4回の使用とされています。

ビダラビンは体の中で作用する時間が長いため、1日1回でも持続的に効果が得られます。少ない回数で使用したい場合はアラセナSが適するでしょう。

市販の口唇ヘルペスの治療薬は「第一類医薬品」に分類されており、薬剤師がいる薬局やドラッグストアで購入できます。

口唇ヘルペス治療薬の使用が適している症状か、薬剤師に判断してもらう必要があります。

市販のヘルペス治療薬を購入する際は、以下の点を薬剤師に伝えましょう。

  • いつから症状が出ているのか?

  • どのような症状があるのか?(例:ピリピリ感、かゆみ、水ぶくれなど)

  • これまでに口唇ヘルペスと診断されたことはあるか?

  • 現在使用している薬や持病はあるか?(とくにほかの抗ウイルス薬や免疫抑制剤など)

不適切にヘルペス治療薬を使用してしまうと、症状が悪化するリスクもあります。薬剤師に相談し説明を受けた上で適切に使用してくださいね。

口唇ヘルペスに効く飲み薬

口唇ヘルペスに効く飲み薬は、医師の処方が必要な医療用薬です。

飲み薬は成分が血液にはいり、全身に作用することでウイルスの増殖を抑えます。塗り薬よりも高い効果が期待できます。

《口唇ヘルペスに使用される飲み薬》

成分名

成人における一般的な用法・用量(個人差はあり)

特徴

バラシクロビル

1回500mg、1日2回、5日間

  • 1日2回の服用でもっとも服用回数が少ない

  • 初感染では10日間服用することもある

ファムシクロビル

1回250mg、1日3回、5日間

(再発は1回1000mgを2回)

  • 錠剤が小さく飲みやすい

  • PIT療法にも使われる

アシクロビル

1回200mg、1日5回、5日間

  • もっとも古くから使用されている

アメナメビル

1回1200mgを1回のみきり

  • 再発性の口唇ヘルペスのみ

  • 必ず食後に服用する(空腹時に飲むと効果がおちるため)

  • PIT療法にも使われる

口唇ヘルペスの飲み薬も、口元に「ピリピリ」「チクチク」といった違和感を覚えた時点で飲みはじめると、ウイルスの広がりを抑え、症状の悪化を防げます。

腎臓が弱い人や高齢者は副作用が起こりやすいため、通常よりも少ない量で処方されることがあります。

一般的に5日間とされているヘルペス治療薬であっても、症状の程度によっては服用する日数が異なることもあります。

自分に処方された薬を医師の指示に従って正しく服用しましょう。

性器ヘルペスに効く薬は?

性器ヘルペスの治療は、全身に作用する飲み薬を使用します。

性器ヘルペスの治療には口唇ヘルペスと同じ薬が使用されますが、飲み方や飲む量が異なる場合があります。処方された薬は医師の指示どおり正しく服用しましょう。

《性器ヘルペスに使用される飲み薬》

成分名(商品名)

飲み薬の有無

塗り薬の有無

市販薬の有無

特徴

バラシクロビル

  • 服用回数が少ない(1日2回)

  • 再発を防ぐためにも使われる

ファムシクロビル

  • 錠剤が小さく飲みやすい

  • PIT療法にも使われる

アシクロビル

  • 再発を防ぐためにも使われる

アメナメビル

  • 再発した性器ヘルペスに使用される

  • 1回の服用で治療終了

性器ヘルペスは再発することが多く、日常生活にも影響を与えることがあります。

国立感染症研究所によると、性器ヘルペスの再発頻度は年に1〜2回から月に2〜3回まで、個人差があると示されています。 [5]

繰り返し発症することで、精神的に負担を感じる人も少なくありません。

頻繁に再発する人には「再発抑制療法(さいはつよくせいりょうほう)」という、再発を予防する治療法が推奨される場合があります。

口唇ヘルペスにも適用される場合もありますが、現在はおもに性器ヘルペスに使用されています。

《再発抑制療法》[4]

使用される薬

バラシクロビル、アシクロビル

処方条件

おおむね年 6 回以上の頻度で再発する人

服用期間

6か月~1年間

服用例

バラシクロビル500mg を1日1回服用

メリット

  • 再発の頻度を減らせる

  • 再発による痛みや不快感、精神的な苦痛を軽減できる

  • パートナーへの感染リスクを減らせる

一部の研究では、再発抑制療法を受けた人のうち約75%が、5年後も再発しなかったというデータがあります。[11]再発頻度を減らせる有効な手段といえるでしょう。

性器ヘルペスも、口唇ヘルペスと同じように再発する可能性が高い病気です。

しかし適切な治療を受けることで、再発頻度を減らし症状をコントロールできます。症状があらわれたら速やかに医療機関を受診しましょう。

ヘルペスの治療薬を使用する際の注意点は?

ヘルペスの治療薬を使うときは、以下の4つのポイントに注意して使用しましょう。

  • 用法用量を守る

  • 副作用があらわれたときは使用をやめる

  • ほかの薬も使うときは医師・薬剤師に相談する

  • 改善しない場合は医療機関を受診する

用法用量を守る

ヘルペスの治療薬は、飲み薬も塗り薬も用法用量を守って使用しましょう。

正しく使用することで薬の効果が最大限に発揮され、ヘルペスウイルスの増殖を抑えられます。

飲み薬の場合、症状が軽くなっても途中で服用を止めてはいけません。

たとえば、よく使われるバラシクロビルは通常5日分処方されます。5日以内に服用を中断すると、十分な効果が得られず、ウイルスの活動をしっかりと抑えられません。

とくに はじめて感染したときの治療が不十分だと、再発時に症状が重くなることもあります。

「再発したときのために少し残しておきたい」と考える人もいるかもしれませんが、必ず処方された薬を飲みきることが大切です。

再発を繰り返すため、予備の薬を持っておきたい場合は「PIT療法」について医師に相談するとよいでしょう。

塗り薬の場合も、薬の種類によって使用回数が決まっています。

必要以上に使うと、症状の悪化やかぶれを引き起こす恐れがあります。必ず決められた回数を守って使用してください。

副作用があらわれたときは使用をやめる

ヘルペスの薬を使用している途中に副作用があらわれた場合は、ただちに使用を中止して医師に相談してください。

そのまま使い続けると症状が悪化する可能性があるため、早めの対応が大切です。

抗ヘルペスウイルス薬には以下のような副作用が報告されています。

 

《抗ヘルペスウイルス薬のおもな副作用》

 

アシクロビル

バラシクロビル

ファムシクロビル

アメナメビル

共通するおもな副作用

  • 消化器症状:下痢、吐き気、腹痛など

  • 頭痛、めまい

  • 発疹、湿疹

  • 重いアレルギー反応

  • 腎臓のはらたきがわるくなる

特有の副作用

(一部)

  • 貧血

  • 幻覚(げんかく)錯乱(さくらん)

  • 意識障害

  • 幻覚、錯乱

  • 口の乾き

  • 動悸(どうき)

  • 眠気

  • 赤い発疹、発熱

ヘルペス治療薬を服用して副作用が起こる可能性は、それほど高くはありません。

ただし全ての方が安心できるわけではないため、服用中は体調変化に気をつけましょう。とくに腎臓の働きがおとろえる高齢者は、副作用を起こしやすいため注意が必要です。

飲み薬の副作用には、おもに発疹や下痢、吐き気などがあります。

通常一時的なもので、薬の使用を中止すると改善されます。服用中に体調の変化を感じたら、受診した医療機関に相談し、薬を続けるか相談しましょう。

塗り薬の場合も副作用の可能性は低いですが、塗った部分にかぶれや刺激感が起こることもあります。

使いはじめてから症状が悪化する場合は、使用を中止し医療機関へ相談してください。

ほかの薬も使うときは医師・薬剤師に相談する

ヘルペスの治療薬と一緒にほかの薬も使いたい場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

薬の飲み合わせが悪いと十分な効果が得られなくなったり、作用が強まって副作用があらわれたりする可能性があります。

たとえば、以下のような薬やサプリメントには注意が必要です。

《併用に注意が必要な薬の例》

併用が注意な薬・サプリメント

注意点

  • ステロイドの塗り薬

ヘルペスの発疹が悪化することがある

  • 免疫を抑える薬

ヘルペス治療薬の効果が弱まることがある

バラシクロビルやアシクロビルの作用が強まり、副作用が出やすくなる場合がある

  • クラリスロマイシン(抗生剤)

  • セント・ジョーズ・ワート(サプリメント)

アメナメビルの作用が強まり、副作用が出やすくなる場合がある

  • ニフェジピン(血圧の薬)

  • ブロチゾラム(睡眠薬)

アメナメビルの作用が弱まり、十分な効果が得られない場合がある

とくにやりがちなのが、ステロイドの塗り薬を使用してしまうことです。

ステロイド薬には過剰な免疫反応を抑え、炎症やかゆみをしずめる作用があります。

しかしヘルペスはウイルスが原因の発疹であるため、ステロイドを塗布しても効果は期待できません。

それどころか、免疫力を抑えることでウイルスが活発になり、症状が悪化する可能性があります。

「早く治したい」と 考え、常備しているステロイド薬をヘルペスに塗るのは避けましょう。

「併用注意」とされる飲み薬であっても、医師が必要と判断した場合は一緒に飲むこともあります。

現在服用中の薬は必ず医師に伝え、そのうえで処方してもらうことが大切です。

市販薬やサプリメントについても自己判断で使用せず、医師や薬剤師に相談しましょう。

改善しない場合は医療機関を受診する

ヘルペス治療薬を使用しても症状が改善しない場合は、すぐに医療機関を受診してください。

悪化する可能性やヘルペス以外の病気も考えられるため、再度医師の診察が必要です。

受診の目安は以下のとおりです。

  • 処方された飲み薬を飲みきったあとも症状が改善しない

  • 市販の塗り薬を5日間使用しても改善傾向がみられない(再発口唇ヘルペスの場合)

  • 発熱が続く

  • 痛みが強まり、日常生活に支障をきたす

  • 水疱が増える、周囲に拡がっていく

症状の経過を慎重に観察しましょう。とくにはじめて発症した場合は、症状がひどくなる可能性もあるため、早めの対応が肝心です。

ヘルペスの薬がない場合はどうする?

症状が軽度の口唇ヘルペスの場合、薬で治療しなくても2週間程度で自然に治ります。[7]

ただし周囲の人に移してしまう可能性や、悪化して痕 (あと)に残る可能性もあるため、薬できちんと治療することが推奨されます。

どうしてもすぐ薬で治療できない場合は、以下の点に気をつけて過ごしましょう。

  • 患部を清潔に保つ

  • 患部をなるべくさわらない

  • 自然に乾燥するのをまつ

  • 免疫を高める(休養、睡眠、バランスのよい食事)

  • ストレスをためない

ほかの細菌やウイルス感染を防ぐために、患部を清潔に保ちましょう。よく泡立てた石鹸でやさしく洗うことがポイントです。

水ぶくれはなるべくさわらないようにしてください。やぶれてしまうと、ウイルスを周りの人に移してしまう可能性があります。家族間でタオルやコップの共用もひかえてください。

患部は自然に乾燥し、かさぶたができるのをまちます。刺激となることがあるため、自己判断による保湿剤の使用は控えてください。

かさぶたができはじめても、かさぶたの下の皮膚にはウイルスが残っています。皮膚が元の状態に戻るまでは、はがしたりふれたりしないように気をつけてください。

ヘルペスウイルスに対抗するためには、免疫を高めることがもっとも大切です。十分な休養と睡眠をとり、栄養バランスのある食事を心がけしましょう。

再発予防のためにも、日頃からよい睡眠やストレス管理を心がけてください。

よくある質問

はじめてヘルペスが疑われる場合、どんな治療を受けるのか疑問ですよね。

「できれば市販薬で治したいけど、病院に行くべき?」と迷う方もいるでしょう。

以下では、ヘルペスに関するよくある質問にお答えします。

ヘルペスには何の薬が効く?

ヘルペスの治療には「抗ヘルペスウイルス薬」が有効です。

抗ヘルペスウイルス薬は、ヘルペスウイルスを完全に排除することはできませんが、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぎます。症状があらわれてから、できるだけ早く開始することが大切です。

抗ヘルペスウイルス薬には、以下の種類があります。

【処方薬(飲み薬)】:全身に作用するため、塗り薬より効果的

  • アシクロビル

  • バラシクロビル

  • ファムシクロビル

  • アメナメビル(口唇ヘルペスの再発時のみ)

【処方薬(塗り薬)】:内服と組みあわせて使用するケースが多い

  • ビダラビン

  • アシクロビル

【市販薬(塗り薬)】口唇ヘルペスの再発時のみ使用できる

  • アラセナS・アラセナクリーム

  • アクチビア軟膏

  • ヘルペシアクリーム

  • ヒフールAC

はじめて感染が疑われる場合や症状がひどい場合は、飲み薬でウイルスを十分に抑える必要があります。医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。

ヘルペスは市販薬で治せる?

口唇ヘルペスの再発に限り、市販の塗り薬での治療が可能です。

再発とは「過去にヘルペスと診断されたことがある人で、再び同じ症状が出た場合」です。

ただし5日間使用しても改善がみられない場合や症状がひどい場合は、医療機関を受診してください。

はじめて感染が疑われる場合、市販薬は購入できません。必ず受診して診察を受けましょう。

口唇ヘルペスは手足口病や口角炎などの皮膚疾患とまちがえやすいため、本当にヘルペスかどうかを医師に診断してもらう必要があります。

性器ヘルペスについては、再発であっても市販薬で対応できません。医師の適切な診断のもと治療を受けてください。

口唇ヘルペスを1日で治す方法は?

口唇ヘルペスは1日で治すことはできません。ただし症状が出はじめた段階で治療を開始すれば、治りを早めることが期待できます。

症状が軽い場合、口唇ヘルペスは2週間程度で自然に治るとされています。ヘルペス治療薬で治療すれば、さらに早い回復が期待できます。

適切な治療は症状の悪化を防ぐだけでなく、周囲への感染を防ぐためにも大切です。

「ピリピリ」「チクチク」といった違和感があれば、できるだけ早く治療をはじめましょう。

まとめ

ヘルペスは、一度発症すると再発しやすい病気です。

ヘルペスの治療薬は、ヘルペスウイルスを完全に排除することはできませんが、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぎます。

ヘルペスの症状があらわれたら、できるだけ早く治療をはじめることが大切です。

再発した口唇ヘルペスに対しては、市販薬が使える場合もあります。

ただし症状がひどい場合やはじめて感染が疑われる場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

性器ヘルペスの場合は、再発であっても市販薬では治せないため、再発のたびに医療機関を受診してください。

ヘルペスの治療薬は、用法用量を守り使用しましょう。

とくに飲み薬は途中で服用をやめてしまうと、ウイルスの増殖を十分に抑えられません。処方された薬を全て飲みきってください。

最近では再発ヘルペスに対する治療法もあります。再発に悩む人は、PIT療法や再発抑制療法も選択肢に入れて医師に相談するとよいでしょう。

ヘルペスの予防には、普段から免疫力を高めることが大切です。しっかり休養をとり、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。ストレスをためない生活も再発を防ぐポイントです。

ヘルペスは正しい治療やセルフケアによって再発を最小限に抑え、うまくつき合っていける病気です。

はじめて発症した疑いがある人もヘルペスを繰り返している人も、ぜひこの記事を参考に、適切に対応してくださいね。

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参考文献

[1]1. 単純ヘルペスウイルス

[2]Characterizing the transitioning epidemiology of herpes simplex virus type 1 in the USA: model-based predictions | BMC Medicine

[3]2017年|単純ヘルペス、性器ヘルペス (ファクトシート)

[4]性器ヘルペス再発抑制療法の現状と問題点

[5]性器ヘルペスウイルス感染症とは

[6]ヘルペスと帯状疱疹 Q4 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)

[7]日本臨床皮膚科医会-ひふの病気

[8]性器ヘルペス - 13. 感染性疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

[9]再発性の単純疱疹に対するアメナリーフのPITによる単回投与の特徴

[10]どうやって使うの?|口唇ヘルペスの再発治療薬

[11]性器ヘルペスに対する 再発抑制療法(Suppressive therapy)の終了の指針および 終了すべきでない症例について

[12]抗ウイルス化学療法剤 日本薬局方 アシクロビル錠

[13]抗ウイルス化学療法剤 日本薬局方 バラシクロビル塩酸塩錠

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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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