熱中症による後遺症の種類
熱中症により脳がダメージを受けると、めまいのような軽い後遺症だけでなく、日常生活に大きく影響するような重い後遺症が残ることもあります。
軽い後遺症 |
重い後遺症 |
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軽めの後遺症の倦怠感やめまいは、回復するまで数週間から半年かかります。場合によっては数年続くことがあるので、注意しましょう。[1]
より深刻になるとあらわれるのが、中枢神経障害のような重い後遺症です。[2]
中等度から重度の熱中症で生じることがあり、10年以上にわたる長期的な治療が必要なケースもあります。
中枢神経障害とは
中枢神経障害とは、脳や脊髄の神経が傷ついてしまうことをいいます。
具体的には高次脳機能障害、嚥下(えんげ)障害、小脳失調、失語症などの症状があらわれます。
高次機能障害は脳機能の一部に問題が起きて、記憶や思考、注意などの複雑な認知機能が低下している状態です。
日常生活や仕事でうまくできないことが増えたり、人間関係でもトラブルが起きやすくなったりと生活に大きな支障をきたすおそれがあります。[3]
高次機能障害の症状 |
症例 |
記憶障害 |
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注意障害 |
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遂行機能障害 |
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社会的行動障害 |
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嚥下障害や小脳失調、失語症があらわれると今までできていた行動ができなくなり、けがの危険やコミュニケーションに影響をもたらすおそれがあります。
専門家の指導のもとリハビリテーションをおこなうことで、症状の改善がみられるケースもあります。
症状 |
症例 | |
嚥下障害 |
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小脳失調 |
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失語症 |
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熱中症による後遺症はなぜ起こる?
熱中症によって体温が高くなると脳はダメージを受け、後遺症が起こります。
脳の神経細胞はとてもデリケートなため温度変化に影響を受けやすく、高温にさらされるとうまく機能しません。
高温状態が数分から数十分ほどの短時間であっても神経細胞は損傷を受け、長期間にわたって回復が困難となり、後遺症が残っている状態になります。[7]
熱中症により体が42℃以上の高温状態になると、過剰な炎症反応が起きたり、血液中のタンパク質が変形したりします。[8]
これらの変化は繊細な神経細胞を傷つけ脳の機能に影響を及ぼすため、重症な後遺症につながります。
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ホルモンが過剰に作られて機能障害が起きる
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血栓ができて脳梗塞・心筋梗塞が起きる
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動脈硬化を起こし、脳卒中をおこす
それぞれの反応について、詳しく解説します。
ホルモンが過剰に作られて機能障害が起きる
体が高温状態になると、体の炎症反応に関係する「サイトカイン」というホルモンが過剰に作られ機能障害※の原因となります。
※機能障害とは、心理的、生理的、解剖学的な構造または機能の何らかを失った状態や、異常を生じた状態のことです。[9]
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心理的:心や感情、思考に関する機能
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生理的:呼吸、消化、血液循環、ホルモン分泌などの体が正常に機能するために必要な機能
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解剖学的:骨や筋肉、臓器の位置や形などの体の構造や形態に関すること
熱中症では高次脳機能障害、嚥下(えんげ)障害、小脳失調、失語症などの機能障害がみられます。
サイトカインは炎症を促したり、反対に炎症を鎮めたりするホルモンです。
普段はバランスが保たれていますが、熱中症で高温状態になるとサイトカインが過剰につくられ、バランスが崩れます。そしてより炎症がひどくなり、脳にも影響が出て機能障害の原因となります。
血栓ができて脳梗塞が起きる
体温が高温になると「血栓(けっせん)」ができ、脳梗塞が起きやすくなります。
血栓ができやすくなる理由は2つです。
①タンパク質が固まるため
体内のタンパク質は、体温が42℃以上で凝固(ぎょうこ:固まること)しやすくなります。
卵を加熱すると、白身や黄身が固まるイメージです。
血液や細胞もタンパク質を含むため、高温の影響を受けると固まりやすく血栓の原因になります。
高温の影響を受ける器官 |
血栓ができる流れ | |
血液 |
血液中のタンパク質が変性して凝固しやすくなり、血栓ができる | |
細胞 |
※細胞障害:細胞の機能が低下したり細胞が死んでしまったりすること |
②汗をかいて水分不足になると、血が固まりやすくなるため
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熱中症で汗をたくさんかく
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水分不足で血液がドロドロになる
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血液の流れが悪くなる
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血液を固めるはたらきをもつ血小板が集まりやすくなり血栓ができる
①、②の流れでできた血栓が細い血管につまると、脳への血流をさまたげ脳梗塞(のうこうそく)を引き起こします。
動脈硬化を起こし、脳梗塞をおこす
暑さにさらされると血管内皮細胞がダメージを受けて動脈硬化をおこし、脳梗塞を引き起こしやすくなります。[10]
※血管内皮細胞とは:血管の内側をおおっている薄い細胞の層で、全ての血管に存在する。酸素や栄養素を細胞に届ける、血中の不要な物質を取り除く、血管の拡張や収縮を調整するなどの働きをもつ。
暑さで脳梗塞を引き起こす4つのステップ
- 暑さにさらされる
- 血管内皮細胞がダメージを受ける
- 動脈硬化がおきる
- 脳梗塞が起きる
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳細胞がダメージを受けたり死んでしまったりする病気です。
動脈硬化が起こると、血管の壁が厚くなり血液の通り道が狭くなります。
そして脳に十分な酸素やエネルギーがいきわたらなくなり、脳梗塞が引き起こされます。
後遺症が残りやすい要因
低血圧や高齢などの身体的な要因と、熱中症による体への負担が合わさることで後遺症が残りやすくなります。
身体的要因 |
おこっていること |
血圧が低い |
血圧が低いと全身に十分な血液を届けることができない。 脳にも血液を届けられないため必要な栄養や酸素が行き渡らず、脳がダメージを受ける。 |
脈が速い |
頻脈があると血液のめぐりが不安定になりやすい。そこに熱中症による脱水症状が加わるとさらに血液の供給が不十分になり、脳や他の臓器に十分な酸素や栄養が行き渡らずダメージを受ける。 |
年齢が高い |
年齢が高くなると体温を調節する機能が低下して汗をかきにくくなるため、体内の熱を効果的に放散できなくなる。 さらに体力の低下や持病などによって熱中症に対する抵抗力が弱くなっているため、後遺症が残りやすい。 |
さらに、重度の熱中症で以下の3つの症状があらわれると脳への負担が大きくなり、後遺症である中枢神経障害が残りやすいです。
①体温が高い状態がつづく
重度の熱中症におちいると高熱状態が続き、脳の神経細胞は高熱によるダメージを受けます。
②意識がはっきりしない
意識がはっきりしなくなるほどの重度の熱中症では、脳の血流が不足し酸素や栄養が行き渡らない状態におちいっています。
③循環器がうまく機能していない
脱水によって血の流れが悪くなり心臓などの循環器系がうまく機能しなくなると、脳に十分な酸素や栄養が供給されません。
これらの症状が改善しないままだと神経細胞へのダメージは進行し、脳への負担は大きなものに。その結果、回復が困難な状態となって後遺症が残りやすくなります。
熱中症と自律神経系の関係は?
自律神経は熱中症の発症に大きく関係しています。
暑さを感じると、血管を拡張させ体内から熱を放出して体温を下げたり、汗を出すように指令したりするのが自律神経の役割です。
しかしストレスや睡眠不足などの原因によって自律神経が乱れると、体温調節がうまく機能しません。
体温調節機能がうまく機能しないと、2つのことが起こります。
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少しの暑さでもすぐに体に熱がこもる
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汗が出せず体を冷やせない
この状態が続くと体温を下げられないため、熱中症を引き起こしやすくなります。
体温調節機能を損なわないためにも、ストレスや睡眠、生活リズムに気を付けて自律神経を整えることが熱中症を予防するうえで大切です。[11]
熱中症に なりやすい人
熱中症になりやすいのは次の特徴がある人です。[12][13]
熱中症になりやすい人 |
熱中症になりやすい要因 |
高齢者 |
体温調節機能が低下しているため、暑さに対する耐性が弱い |
子ども |
体温調節機能が未発達であり、体温が上がりやすい |
肥満の人 |
体脂肪が多いと熱がこもりやすく、体温が上がりやすい |
からだに障害がある人 |
障害の種類によっては、体温調節が難しい場合や適切な予防や対策が取りにくいことがある |
普段から運動をしていない人 |
体力や暑さに対する耐性が低かったり、効率的に汗をかけなかったりして体温調節が難しい |
過度な衣服を着ている人 |
熱がこもり汗が蒸発しにくいため、体温調節が難しい |
このような方々はとくに、暑い日には涼しい環境で過ごしこまめな水分補給や休憩を心がけることが重要です。
周囲の人も見守りや声かけをして、熱中症予防につとめましょう。
また暑さに慣れていない人は、汗をうまくかけないため熱中症になりやすいです。
そのため日常生活の中で運動や入浴をすることで汗をかき、体を暑さに慣れさせることが重要です。個人差もありますが、数日から1週間ほどかけて体が暑さに慣れていきます。
暑さに体が慣れることを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」といいます。
暑熱順化がすすむと、発汗量や皮膚の血流量が増え体の熱を逃がしやすくなり熱中症が起こりにくくなります。
運動や入浴は個人の体質や体調、その日の気温や室内環境に合わせて無理のない範囲でおこなってください。
天気や気温、室温などの環境の変化にも注意し、水分や塩分をこまめに補給しながらおこないましょう。
認知機能障害の人は熱中症になりやすい
認知機能とは、物事を正しく理解・判断し、適切に行動するための機能のことです。
認知機能障害の人は認知機能が低下するため、暑さや喉の渇きを感じにくく熱中症になりやすいです。
熱中症になりやすい認知機能のある人 |
なりやすい要因 |
高齢者 |
暑さやのどの渇きをを感じづらく、熱中症への対処が遅れる |
精神疾患の人 |
汗をかきにくくする副作用の向精神薬を使用していると、暑くても汗が出せず体温を下げにくい |
認知症の人 |
認知機能の低下により、暑く不快な状況を自分で対処できない |
認知症の人が「間違えて暖房のスイッチを入れていた」という報告もあり、認知機能の低下は熱中症になりやすい環境をつくりかねません。
また認知機能障害を持っている人は、高温多湿な環境にいるだけでも注意が必要です。
たとえ運動をしていなくても熱中症に陥る危険があり、認知機能の低下によって予防策が正しくとれないため重篤化しやすい傾向にあります。
熱中症になりやすい人に対しては「外出していないから」といって油断せず、周囲の見守りやサポートが必要です。[15]
熱中症に一度なると再度なりやすくなる?
熱中症に一度なったのちに、回復していないまま運動をしたり、熱中症の予防策が不十分だったりすると、再度なりやすくなります。
一度熱中症になったのちに、再び熱中症になる可能性が高い要因は以下の3つです。
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熱中症になったあと、回復していないまま作業や運動をした
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熱中症を予防する対策がとれていない
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高齢者や乳幼児、肥満など、熱中症になりやすいリスクがある
熱中症になった場合は、まずはゆっくり休むことが大切です。
また、熱中症になった原因を考え、しっかりと対策をとる必要があります。
生活環境や普段の行動を見直し、熱中症を再発しないよう心がけることが大切です。
関連記事:熱中症を予防する方法を詳しく解説!熱中症にならない体づくりとは?
関連記事:熱中症の原因|一度なるとなりやすい理由やなりやすい人の特徴とは
熱中症による後遺症は治るのか
熱中症の後遺症には治る症状と治らない症状の2つに分かれます。
熱中症の治る後遺症(軽い症状) |
熱中症の治らない後遺症(重い症状) |
倦怠感やめまいなど |
中枢神経障害 |
後遺症を治すためには適切な休息や体のケアが大切ですが、重い症状は治らないため熱中症にそもそもならないことが大切です。
水分や塩分をしっかり補給し室内の温度を見直しましょう。かたよりのない食事や十分な睡眠を心がけることも必要です。
なかなか症状が改善されず後遺症があらわれている場合は、早めに医師に相談しましょう。
後遺症はどれくらいで治るのか
後遺症は軽度なものだと数週間で治りますが、症状によっては数ヶ月から数年かかるものまであります。
これらの後遺症を治すためには、継続的な通院やリハビリが必要となります。
熱中症による後遺症を治す方法
めまい・失神などの軽度後遺症の場合、ゆっくり休んだり水分・塩分補給をこまめにおこないましょう。
中枢神経障害を治す根本的な治療法は今のところ見つかっていません。
ただし対症療法や専門家によるリハビリテーションを継続的におこなうことで、症状を和らげたり機能の改善が期待できます。
熱中症による後遺症は何科を受診すればよいか
倦怠感のように体のだるさが残る場合は、内科を受診してください。
めまいがあらわれたり、飲み込みが困難だったりする場合は、三半規管や咽頭に異常があるため耳鼻咽喉科を受診します。
うまく言葉が出てこない場合や、手足の動かし方がいつもと違って気になるときは、脳に異常をきたしている可能性があるため神経内科を受診しましょう。
症状ごとに受診すべき診療科をまとめたので、参考にしてください。
症状 |
診療科 |
倦怠感 |
内科 |
めまい |
耳鼻咽喉科、神経内科 |
中枢系障害 |
神経内科 |
嚥下障害 |
耳鼻咽喉科、リハビリテーション科 |
失語症 |
神経内科、リハビリテーション科 |
小脳失調 |
神経内科、リハビリテーション科 |
子どもの場合は小児科でも構いません。できるだけ早めに受診することが重要です。
経過や症状を医師に説明できるよう、メモをとって行くとよいでしょう。
熱中症による後遺症を防ぐためには
熱中症にならないよう予防すること、重症化を食い止めることが大切です。
喉が乾く前に水を飲んだり、室内を快適な温度に保ったり、日頃から熱中症予防を心がけてください。
熱中症は適切に対処すれば回復できるため、早めの対応が必要です。
めまいや失神など、軽度の症状があらわれた際はすぐに休息し、水分と塩分を補給しましょう。
軽度の症状しっかりと対処することが、重症化を食い止めることにつながります。
中度の症状があらわれたときは、すぐに医療機関を受診して冷却や体温管理などの措置を受けてください。
重度に進行した場合でも、対応が早いほど後遺症を防ぐことができます。
その場で救急車を呼び、入院にて体内や血管内の冷却や呼吸管理などを受けることが必要です。
熱中症を予防する
こまめな水分・塩分補給や体内に熱をこもらせないことが重要です。
水分補給のタイミングは、喉の渇きを感じる前におこないましょう。
水分をとるだけでなく、塩分も併せて補うことが大切です。
汗をかくと体に必要な塩分が失われ、体内の水分と塩分バランスが崩れてしまいます。
また体に熱をこもらせないためにも、室内を涼しくしたり、衣類で体温を調節したりします。
エアコンを使って室温を28℃にし、快適な温度を保つよう心がけてください。
関連記事:熱中症を予防する方法を詳しく解説!熱中症にならない体づくりとは?
熱中症の重症化を防ぐ
Ⅰ度の症状はすぐに治ることが多いですが、症状がなかなか改善しないこともあります。
その場合、自己判断はせず医療機関を受診するのが重要です。
たとえ見た目に異常がなくても、体の内側では深刻な臓器障害を起こしている可能性もあります。[18]
中等度度や重度の症状があらわれた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
Q&A
熱中症になるとどんな後遺症が残りますか?
重症度によって異なりますが、軽症であれば、倦怠感やめまいなどが残り、重症の場合は意識障害や血圧低下の循環障害などが残ります。
脳への影響はありますか?
重度の熱中症になると脳はダメージを受け、傷ついた場所によってさまざまな後遺症が残る可能性があります。
傷ついた脳の部位 |
症状 |
症 例 |
前頭葉 |
注意障害 |
ぼんやりしていてミスが多い |
遂行機能障害 |
| |
社会的行動障害 |
| |
側頭葉 |
記憶障害 |
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延髄、大脳 |
嚥下障害 |
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小脳 |
小脳失調 |
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大脳 |
失語症 |
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歩行障害が残ることはありますか?
重度の熱中症によって小脳の血管内の細胞がダメージを受けると歩行障害が残り、歩行時にふらついたり普段のように歩けなくなることがあります。
熱中症の回復期間はどれくらいですか?
軽症の症状があらわれている場合は、すぐに回復します。
中等症の症状で数日から1週間程度、重症になると数ヶ月以上かかることもあります。
軽い熱中症はどのくらいで治りますか?
適切な対処をすれば、すぐに治ります。
めまいや失神などの症状があらわれたら、涼しいところで安静に過ごしてください。
水分だけでなく、塩分の補給をおこなうことも大切です。
熱中症は脳を破壊するというのは本当ですか?
熱中症により脳細胞が破壊されることがあります。
高体温が続くと、脳細胞が直接ダメージを受け、高次脳機能障害や小脳失調を引き起こす可能性があります。
脳細胞を壊さないためにも、熱中症の重症化を防ぐことが重要です。
まとめ|重症度に応じて素早く適切に対応することが大切
熱中症は後遺症が残る可能性もあるため、重症度に応じて素早く対応することが大切です。
熱中症が治ったと思っても、軽い倦怠感やめまいなどの症状があらわれている場合は、軽めの後遺症が疑われます。
回復した後も油断せず、こまめな水分・塩分補給をおこなって、体を労わりましょう。
熱中症が悪化した場合、脳へ直接ダメージを与える重症な後遺症につながる危険があります。
症状がなかなか改善されない場合は、すぐに医療機関を受診してください。早めに対応することで重症化を避けられ、後遺症を防ぐことができます。
何より大切なのは、熱中症にならないように予防することです。
こまめに水分補給をしたり、室内の気温を涼しくしたりと、日頃から熱中症対策を心がけましょう。
熱中症は、気付いた時にはかなり脱水症状が進行していたり、判断が遅れて重症化するケースがあります。
ファストドクターのオンライン診療では、熱中症が疑われる症状への対応が可能です。
緊急性の判断などにもご利用いただけます。
もしものときに備えてアプリをインストールし、情報登録までしておくと安心です。
参考文献
[9]「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について (mhlw.go.jp)
[14] 熱中症のメカニズム | 熱中症ゼロへ - 日本気象協会推進
[17]摂食嚥下障害患者に対する接触嚥下訓練の効果とその効果に影響する因子
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。