フルロナとは?発症事例や、症状、予防方法を解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/29
フルロナ(英語:Flurona)とは「インフルエンザ」と「コロナ」からなる造語で、コロナウイルスとインフルエンザの同時感染のことを意味します。 この記事では、フルロナの発症事例や、症状、今後の日本での流行予測や予防方法などについてお伝えします。 重症化率は高くなるなどの報告がありますが、必要以上に恐れる必要はないので、まずは安心してください。 これまで通りの予防行動や早めの予防接種を行うことで、十分にフルロナの感染は対策できます。
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目次

フルロナの意味や由来

フルロナ(英語:Flurona)とは「インフルエンザ」と「コロナ」をもとにした造語です。

コロナウイルスとインフルエンザの同時感染のことを意味します。

新ウィルスではなく、コロナとインフルの同時感染

フルロナは、人がコロナとインフルの2つのウイルスに、同時・あるいは短期間に連続して感染することを意味しています。

コロナウイルスとインフルエンザウィルスが結合した新たなウィルスのことを意味していると捉えている方もいますが、そうではありません。

詳しくは後述しますが、コロナとインフルの同時感染は過去にも既に報告されており、慌てるものではありません

2020年にイスラエルの医療チームがつけたことが由来

「フルロナ」の名称は日本人がつけた名前ではなく、2020年にイスラエルの医療チームがつけたことが発端と言われています。[1]

ネット上では「マスコミが作った造語ではないか」など声もありますが、フルロナ自体は以前から呼ばれており、決して不安を煽るために作られた造語ではありません。

インフルとコロナの同時感染は過去にも起きている

人は、同時に複数のウイルスに感染することがあるものです。

医療関係者にとっては少しも驚くべきことではありませんので、まずは安心してください。

フルロナは、今年の1月ごろに海外で同時感染が報告されたため話題となりましたが、もっと以前から重複感染は報告されていました。

インフルエンザ以外にも、「RSウイルス」や「アデノウイルス」などとの同時感染は、過去にも確認されています。

中国(武漢)でのフルロナの発症事例

中国の武漢は、コロナウイルスが最初に発見された場所です。

武漢で行われた調査では、307人のコロナウイルス患者のうち、57.3%もの患者がインフルエンザウイルスに重複感染していたという報告がされています。(COVID-19発生時)

イギリスでのフルロナの発症事例

イギリスでは、コロナ患者約7000人を調べたところ、約3%の患者がインフルエンザウイルスにも感染していたという報告があります。

(調査期間:2020年2月~2021年12月)

同時感染ウイルス感染割合
インフルエンザウイルス227人 (3.2%)
RSウイルス220人 (3.1%)
アデノウイルス136人 (2.0%)

SARS-CoV-2 患者6965例について、583人(8.4%)の患者でウイルスの同時感染が検出

データ:Multivariable model of the effect of co-infection compared with SARS-CoV-2 monoinfection

このように、フルロナと呼ばれるインフルとコロナの同時感染は過去にも起きており、新たに起きている現象ではありません。

日本でのフルロナの発症状況と今後

日本でもフルロナの感染が報告されていますが、まだ症例はごくわずかです。

その理由は、昨シーズン(2020-2021年)まで、インフルエンザの流行は激的に抑えられていたからです。

昨シーズンまでインフルエンザの流行は激減していた

こちらは、コロナ前とコロナ後のインフルエンザの流行マップの比較になります。

コロナ前の2019年とwithコロナ時代だった2021年を比較すると、年間のインフルエンザの報告者数は1750分の1まで減少しています。

コロナ前と、コロナ後ではこのようにインフルエンザの発生は大きく抑えられています。

この傾向は日本だけでなく世界各国でも見られており、その原因は

  • 国民がマスク着用、手洗いに努めるなど、感染意識が高まった結果
  • ウィルス干渉によるもの

の2つの要因があると言われています。

ウィルス干渉とは

ウイルス干渉とは、あるウイルスが他のウイルスの流行を抑制することです。

ウイルス干渉が起きる仕組みとしては、主に3つの機構があります。

例として、ウィルスAが、ウィルスBの発生を抑制しているケースでは

  • ウィルスAが吸着に必要なレセプターを占領あるいは破壊してしまうため、ウィルスBが吸着できなくなる
  • ウィルスAが増殖に必要な成分を先に消費するので、ウィルスBが利用できなくなる
  • ウィルスBの増殖を阻害する因子を、ウィルスAが放出している

などのメカニズムが考えられています。

コロナ後にインフルエンザウィルスの発生が抑制されたという結果に対して、「感染対策の意識が高まったから」という原因も当然考えられますが、「インフルエンザとコロナの間でウィルス干渉が起きた」ことが原因という可能性もあります。

今シーズンは流行が予想される3つの理由

インフルエンザの発生が抑制されていた2019年/2020年シーズンと比べて、今シーズンは状況が少し異なっています。

具体的には、

  • 渡航制限の解除によって、多くの外国人が来日している
  • 2年間インフルエンザが流行していないので国民の免疫力が低下している
  • オーストラリアにて、過去2シーズンなかったインフルエンザの流行が今年は見られている

これらの理由によって今シーズンは日本でもインフルエンザの流行が予想されます。

渡航制限の解除によって、多くの外国人が来日している

令和4年11月現在では、日本に入国する際は

  • ワクチンの接種証明書(3回)
  • 出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書

のいずれかがあれば、自宅又は宿泊施設での隔離をする必要がありません。[2]

世界的にも渡航規制は緩和されてきているので、人の往来が増えればそのぶんウィルスの感染リスクは増えます。

さらに最近は円安の影響でインバウンド需要が増えているので、外国人の流入は増えると予想されます。

2年間の流行抑制による免疫力が低下している

過去2シーズンでインフルエンザが流行しなかったことで、抗体持っている人の割合はコロナ前に比べて少なくなっていると考えられます。

実際、毎年行われているインフルエンザの抗体保有率を調べた調査結果は、この考えを裏付ける結果を出しています。

2020年と2021年で比較した結果、インフルエンザA(H3N2)亜型の抗体保有率は低くなっていることがわかります。

(抗体保有率:HI抗体価1:40以上(感染リスクを50%に抑える目安と考えられている)を持つ人の割合)

参考:国立感染症研究所

2021年のインフルエンザA(H3N2)型抗体保有状況
2020年のインフルエンザA(H3N2)型抗体保有状況

オーストラリアにてインフルエンザが流行している

南半球のオーストラリアでは北半球の日本と季節が逆になるため、日本の夏の時期がオーストラリアの冬の時期となります。

オーストラリアでもインフルエンザは冬に流行するので、1年うちで先にインフルエンザの流行時期を迎えているオーストラリアの状況を知ることで、日本での流行を予想することができます。

オーストラリアでは、インフルエンザの流行が日本と同じく過去2シーズンなかったのですが、今年は流行が見られています。[3]

流行のレベルとしては、コロナ前と同じかそれに近い程度でした。

以上のような理由から、今シーズンは日本でもインフルエンザの流行が見られると予想されます。

現在のインフルエンザとコロナの発生状況

現在のインフルエンザとコロナの発生状況は、こちらのサイトから最新情報を確認できます。

データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報|厚生労働省

インフルエンザの発生状況について|厚生労働省

インフルエンザ流行レベルマップ|国立感染症研究所

記事執筆時点の11月13日では、インフルエンザ定点当たり報告数の総数は270件で、昨年同期の23件より大幅に増えています。

インフルエンザの発生状況や予防接種については、こちらの記事もご参考にしてください。

【2022-2023年最新】インフルエンザとは?今年の発生状況や予防接種、コロナや風邪との違いを解説

フルロナの症状の違いや重症化リスクについて

「フルロナ」ことインフルエンザとコロナの同時感染は、症状の違いから同時感染しているか見分けるのは非常に難しいと言えます。

また、同時感染は重症化リスク・死亡率を悪化させることが報告されています。

インフル・コロナとフルロナを症状の違いから見分けるのは難しい

 インフルエンザコロナ
症状

発熱(通常38℃以上の高熱)

喉の痛み

頭痛、倦怠感、筋肉痛など

発熱(通常37℃以上)

せき、頭痛、倦怠感、

味覚障害、食欲不振

発症突然現われるゆるやかだが、急変化する場合もある
治療方法

対症療法

抗インフルエンザ薬

対症療法

コロナワクチン

原因インフルエンザウィルスコロナウィルス
潜伏期間1~3日間7〜12日間

インフルエンザとコロナウィルスの症状の大きな違いは、「症状が現れるスピード」です。

コロナウィルスに感染した場合は基本的にゆるやかに症状が出ますが、インフルエンザは38℃以上の急激な発熱が起こります。

加えて、全身の筋肉痛、関節痛があるのもインフルエンザの特徴です。

インフルエンザかコロナウィルスかどうかは、症状の現れ方である程度判別できます。

しかし、同時感染のフルロナの状態になっているかどうかは、見分けが難しいと言えます。

フルロナの重症化率や死亡率について

イギリスの研究チームによると、フルロナ(インフルエンザとコロナ)に感染した場合はコロナ単体で発症した場合に比べて、死亡率が2.35倍高いと報告しています。[7]

同時感染ウィルスコロナ単体と比較した死亡率
インフルエンザウィルス2.35倍
アデノウィルス1.53倍
RSウィルス0.60倍

院内死亡率(コロナ単体で発症した場合に比べて)

参考:SARS-CoV-2 co-infection with influenza viruses, respiratory syncytial virus, or adenoviruses

中国の研究チームの研究では、コロナとインフルエンザ(B型)重複感染患者は予後不良となる割合が高いという結果が出ています。[8]

また、コロナウイルスとインフルエンザ(A型)の同時感染は、単独感染に比べて肺の損傷が大きく重症化したことが報告されています。[4](※動物実験による調査)

いずれの研究結果でも、コロナウイルスとインフルエンザは単独感染より重症化しやすくなる傾向が現れています。

感染予防のために私たちができること

フルロナに感染しないために私たちができることは、シンプルですが

  • 手洗い・マスクの着用・こまめな換気を心がけること
  • ワクチンによる予防接種を行うこと

こちらの2点になります。

手洗い・マスク・こまめな換気など、昨シーズン同様の感染対策を

2019年、2020年シーズンでインフルエンザの流行が抑制された原因は、マスクの着用、手洗い、消毒、換気などの国民一人一人の努力によるものと考えらえています。

つまり、今までのコロナ対策を引き続き意識することがインフルエンザの予防につながり、フルロナの染症予防となります。

コロナのワクチン接種とインフルエンザの予防接種

コロナのワクチン接種とインフルエンザの予防接種は、感染対策だけでなく重症化のリスクを下げることにもつながります。

同時接種しても問題ありませんが、副作用が怖くてコロナワクチンを受けたくない方は、インフルエンザワクチンだけでも良いので接種することをおすすめします。

インフルエンザの予防接種については、こちらの記事もご参考にしてください。

【2022-2023年最新】インフルエンザとは?今年の発生状況や予防接種、コロナや風邪との違いを解説

感染の疑いがある場合の検査方法

インフルエンザやコロナの症状が見られた場合など、感染の疑いがある時は

  • 重症化リスクの高い人(小学生以下の子供、妊婦、高齢者、基礎疾患のある人)
  • 重症化リスクの低い人(上記以外の人)

で対応が分かれます。

重症化リスクの高い人はすぐに医師に相談を

小学生以下の子ども、妊婦、高齢者、基礎疾患のある人などの重症化リスクのある方は、すぐに医師に相談してください。

検査結果が新型コロナ陽性の場合は、重症化リスクがあると診断した方については、新型コロナの治療薬等を処方してくれます。

検査結果がインフル陽性の場合は、投与の必要性があると判断した方については、抗インフルエンザ薬を処方してくれます。

特に、インフルエンザの場合は初期対応の早さによって抗インフルエンザ薬の効果が違います。

症状が現れた場合は、速やかに地域の発熱外来やかかりつけ医を予約・受診してください。

急ぎの場合や夜間で診療所が対応していない場合は、24時間対応のファストドクターをご利用ください。

夜間でも、コロナ・インフルの検査から抗インフルエンザ薬の処方まで、自宅で一貫して行うことができます。

重症化リスクの低い人はキットでの自己検査を

重症化リスクの低い人は、感染拡大防止の観点から。まずは新型コロナのキットでの自己検査を行うことが推奨されています。

ただし、症状が重いと感じる場合などは、すぐにかかりつけ医に相談してください。

こちらも急ぎの場合や夜間で診療所が対応していない場合は、24時間対応のファストドクターをご利用ください。

また、自己検査で陽性となった場合の受け皿となる「健康フォローアップセンター」という施設が各都道府県にあります。

お近くに健康フォローアップセンターにある場合は、こちらに相談してください。

各都道府県の健康フォローアップセンター

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アプリから往診の待ち時間を見れるだけではなく、チャットや電話での無料の医療相談が可能です。

もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。

参考文献

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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