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乾いた咳が続くが熱はない原因は?
咳はもともと体内から病原体や異物を体外に出すための反射で起こります。
熱はなくても気道粘膜の炎症が起き、気道の過剰な分泌物などを排出しようとして咳が起こっていると考えられます。
長期間咳が続いている場合はさまざまな病気が隠れている可能性がありますので、咳の原因を突き止め治療をすることが大切です。[1]
大人の原因となる病気は?
。感染症の影響によるもの、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などが代表的なものですが、肺結核や肺がんなどといった命に関わるような深刻な病気の可能性もあるため軽視はしないようにしましょう。[2]
以下に乾いた咳が続く可能性がある疾患についてまとめました。[3][4][5][6]
疾患 |
原因 |
疾患の詳細・症状・特徴 |
感染症の影響によるもの |
ライノエンテロウイルス、RSウイルスなどの咳を伴う症状があるウイルス |
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気管支喘息 |
ハウスダスト、ペットのフケ、カビなどのアレルゲン |
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COPD(慢性閉塞性肺疾患) |
タバコなどの有害物質 |
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胃食道逆流症(GERD:ガード) |
肥満、食べ過ぎや早食い、加齢による変化 |
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副鼻腔炎(蓄のう症) |
鼻風邪が長引くことで起こる |
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マイコプラズマ肺炎 |
マイコプラズマという細菌に感染することで起こる |
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肺がん |
肺に発生した悪性腫瘍 |
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肺結核 |
肺結核という細菌が肺に感染することで起こる |
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それぞれ症状は少しずつ違いますが長く続く咳が特徴であげられます。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は一度壊れてしまった肺胞はもとの状態に戻ることはできず、病気が進行しないように早期発見が重要です。
また肺結核は空気感染により他の人に感染してしまう恐れがあります。感染を広めないためにも早めの受診が大切です。
2週間以上咳が止まらない場合や、上記の表にあげた症状がみられる場合は医療機関を受診し、医師に相談しましょう。
子どもの原因となる病気は?
子どもは大人に比べると気道が細いため、少しの気道の炎症や異物に対しても反応して咳が出やすいといった特徴があります。
子どもに多い病気ではクループ症候群や咳喘息、気管支喘息、気道異物などがあげられます。
以下に子どもの原因となる病気についてまとめました。[7]
疾患 |
原因 |
疾患の詳細・症状・特徴 |
クループ症候群 |
ウイルスや細菌の感染によって咽頭周囲に炎症が起きることが原因 |
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咳喘息 |
花粉症やハウスダストなどのアレルギー反応によって気道が敏感になっている |
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気道異物 |
なんらかの異物が空気の通る咽頭や気管、主気管支に詰まってしまった状態 |
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子どもの咳の場合は自分で呼吸苦や違和感を伝えることが難しいため、周りの大人がしっかりと観察する必要があります。
咳があっても活気があり、食事や睡眠がしっかり取れていればすぐに医療機関を受診する必要はありません。
以下のような症状がみられる場合は速やかに医療機関を受診してください。 [8]
-
会話ができない
-
胸やのどの下のあたりがベコベコしている
-
顔色や唇の色が悪い
また気道異物が疑われる場合は元気そうにしていても、異物がなにかのタイミングで移動してしまうと窒息の恐れがあるため、医療機関を受診しましょう。
乾いた咳が続くが発熱はないときの受診目安
風邪で他の症状は治ったのに咳だけ長引いてしまっている場合や、熱がないのに咳症状だけある場合で2週間以上咳が続くときは医療機関を受診するのがよいでしょう。
咳が2週間以上続く場合、適切な治療を必要とする病気の可能性があります。
また子どもの場合自分で苦しいなど伝えることが難しいため、大人がよく観察してあげることが重要です。
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鎖骨や肋骨の下などが呼吸をするとベコベコしている(陥没呼吸)
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活気がない
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食事や水分がとることができない
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ヒューヒュー、ゼイゼイする音が聞こえる
上記症状がみられるときは2週間以上咳が続いていない場合でも速やかに医療機関を受診しましょう。
受診する診療科は?
咳症状がひどい場合は呼吸器内科を受診するのがよいでしょう。
もちろん一般内科や子どもであれば小児科でみてもらうことも可能です。
住んでいる地域に呼吸器内科がない場合は、かかりつけの医師に相談してみるとよいでしょう。
ただし呼吸器内科を受診すれば専門家に診てもらえるため、咳の原因が判明しやすくなります。
乾いた咳が続くが発熱はないときの治療方法は?
乾いた咳が続くが熱がない場合の治療方法は発症している疾患によって異なります。
市販の咳止めなどでは効果が出ず、多くの病気がきちんと治療をする必要があります。また大きな病気が隠れている可能性も否定できません。
原因がみつかった場合は薬を処方されることもあるため、医師の指示に従いましょう。
気管支喘息
喘息治療の基本は吸入ステロイド薬を継続して使用します。吸入薬は気道の炎症を抑え、喘息の発作が出ないように予防をする薬です。
吸入ステロイド薬以外にも気管支が狭いときには気管支拡張薬や咳や痰がひどい場合には抗コリン薬を症状に応じて使用することがあります。
喘息の発作が起こった場合は発作を止めるために使用する発作治療薬を使用します。
この薬は気管支を広げる役割があり、すぐに効果は出ますが、気道の炎症を抑える働きはないため喘息の根本的な治療とは言えません。
また症状がひどいときにはステロイド投与などもおこないます。
喘息治療で一番重要なのは症状がないときでも治療を継続しておこなうことです。症状がなくなったら喘息は治ったと思われがちですが、気道の炎症は続いています。
炎症が続いていると、また咳などの症状が出てしまいかねません。日頃から炎症を抑える吸入ステロイド薬を使って予防をしていく必要があります。
ステロイドを聞くと不安に思う人もいるかもしれませんが、適切に使用すれば副作用の心配はありません。
途中で治療をやめてしまうとウイルス感染などをきっかけに発作がおきてしまい状態が悪くなるおそれがありますので自己判断で治療はやめずに医師の指示に従いましょう。[9]
咳喘息
治療は喘息とほぼ同じで吸入ステロイド薬が第一選択となります。
そのほかにも咳喘息の原因はアレルギー性の炎症が関係しているため抗アレルギー薬や気管支拡張薬を使用することもあります。
咳喘息の約30%は喘息へ移行するとされているため定期治療・通院が必要です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD患者の壊れてしまった肺胞は元に戻ることはできません。治療としては元の状態に戻すことではなく、今より状態が悪くならず現状を改善していくことが目標になります。
COPDにはいくつかの治療があります。薬物療法だけではなく、呼吸リハビリテーションなどさまざまな治療をおこなうことで病気の進行を防ぐことが可能です。
COPDの代表的な治療を以下にまとめました。[10]
治療 |
内容 |
禁煙 |
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薬物療法 |
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呼吸リハビリテーション |
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酸素療法 |
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COPDは生活習慣病の1つであり、生活習慣の見直しをおこなうことが重要です。
喫煙習慣のある方は禁煙や呼吸リハビリテーションをおこなうことで肺の機能が低下しないようにしていく必要があります。
肺がん
肺がんの治療に関しては病期(ステージ)によって決定されますが大きく以下の3点に分けられます。[11]
治療 |
内容 |
手術 |
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放射線治療 |
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薬物治療 |
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胃食道逆流症(GERD:ガード)
胃食道逆流症は生活習慣が関連しています。そのため生活習慣の改善が最も大切です。
肥満の人の減量や遅い夕食の回避や胃酸分泌が増える脂肪分の多い食事やアルコール、カフェイン摂取、甘いものを控えるのも重要です。
薬物療法としては胃酸分泌抑制剤が最も使用されており、そのほかにも消化管機能改善薬や胃食道粘膜保護剤などが使用されています。
副鼻腔炎(畜のう症)
急性副鼻腔炎の場合自然治癒することもありますが、症状が長引く場合は鼻汁の吸引や抗生剤が入ったネブライザー治療(霧状の薬剤を鼻や口から吸入する)、抗生剤や除痰剤などの内服薬を使用します。
また重度の慢性副鼻腔炎の場合には内視鏡を使用した副鼻腔手術をおこなう場合もあります。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎の治療では病原体を体から減らすため抗生剤を使用することがあります。
抗生剤は最後まで飲み切らないと効果が充分に発揮されません。抗生剤が処方された場合には必ず飲み切るようにしましょう、
それ以外にも症状に応じて除痰剤や咳止め、発熱がある場合には解熱剤が使用されます。また重症化した人では入院して酸素投与が必要な場合もあります。
乾いた咳が続くが発熱はないときの自分でできる対処方法は?
対処方法は以下の5点です。
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うがい・手洗い、マスクなどを活用し風邪を予防する
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疲労やストレスをためない
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高機能の空気清浄機を設置したり掃除をこまめにしホコリ、花粉、植物、ペットの毛といったアレルゲンを取り除く
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加湿器などを使用し部屋を加湿する
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水分をこまめにとったり、飴を舐める
咳が続く場合の対策として一番重要なのはのどの乾燥を防ぐことです。水分をとったり、うがいやマスクの着用をすることで風邪を予防するだけではなくのどの潤いを保つことができます。
また咳の原因となるアレルゲンを取り除くことも重要なポイントです。
まとめ
本記事では乾いた咳が続くが熱はないのはどうしてかについてまとめました。
咳は体内から病原体や異物を体の外に出すための反射で起こります。
熱はなくても気道粘膜の炎症が起き、気道の過剰な分泌物などを排出しようとして咳が起こります。
病気によっては専門的な治療が必要になるので2週間以上の咳が続くときは医療機関を受診しましょう。
受診する場合は呼吸器内科を受診するのがおすすめです。
子どもの場合は苦しそうな呼吸(陥没呼吸)や活気がない、水分や食事が取れないといった場合は2週間以内であっても医療機関を受診しましょう。
咳の治療の場合、症状がなくなっても気道などで炎症が続いていることがあります。治療は自己中断せずに医師の指示に従うようにしてください。
早期発見によって早期の治療につながることもあるため、気になる場合は「咳だけだから大したことはない。大丈夫。」などと自己判断せず、医療機関へ相談しましょう。
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参考文献
[2]かぜ症候群とその周辺疾患〜かぜ症候群を極める〜 J-Stage
[4]慢性閉塞性肺疾患(COPD) 一般社団法人日本呼吸器学会
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。