認知症とは?種類ごとの特徴と治療方法を解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
認知症というと、年配の方がなりやすい病気。 なんとなく私たちとは無縁の病気のようなイメージをお持ちかもしれません。 しかしながら、認知症は私たちが高齢になるにつれて、誰もがなり得る病気です。 認知症についてもっと深く理解することで、認知症に対する見方が変わるかもしれません。 この記事では、認知症とは何か、どのような種類があるのか、どう診断され、どのようにケアすればよいのか、そして家族はどうサポートすればよいのか、などを分かりやすく解説していきます。 一緒に学び、認知症に対する理解を深めていきましょう。

認知症とは?

認知症とは、日常生活を送る上で必要な思考や記憶、判断力、会話能力などの脳機能が、徐々に衰えていく病気です。

原因としては、脳の老化すなわち脳神経細胞が損傷し、その働きが低下することとされています。

認知症にはいくつか種類があり、その原因もさまざまです。その中でも最も一般的なタイプはアルツハイマー病で、全体の60~80%を占めるとされています。

認知症の症状は、最初は軽度で、忘れ物が多くなったり、道に迷ったり、お金の計算が難しくなったりといった形で現れます。

しかし、この状態が進行すると、人は自分が何をしていたのかを思い出せなくなったり、身の回りの世話が難しくなったり、場所や時間感覚を失ったりします。

最終的には、自己の存在すら忘れてしまうこともあります。

認知症は、まだ治療法が確立されていない病気の一つです。

しかし、症状の進行を遅らせる治療法は存在しますし、生活の質を改善するためのケアやサポートもあります。

そのためにも、病気について理解を深め、早めに対策をとることが大切です。

認知症の種類とそれぞれの特徴

認知症にはアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症など、さまざまな種類があり、それぞれ異なる症状や進行のパターンがあります。

以下は、一般的な認知症の種類とその特徴を表にまとめたものです。

種類主な症状特徴

アルツハイマー型認知症

記憶障害、思考困難、言葉の混乱認知症の中で最も一般的。

脳内に「アミロイドβ」というたんぱく質が蓄積し、神経細胞が次第に損傷する。

血管性認知症注意力の低下、情報処理速度の遅れ、行動の変化脳への血液供給が低下し、神経細胞が酸欠状態になることで発症する。
レビー小体型認知症視覚幻覚、思考困難、運動制御の問題「レビー小体」と呼ばれるタンパク質が脳の神経細胞に蓄積することが原因。

パーキンソン病と共通の症状を持つことが特徴。

前頭側頭型認知症人格や行動の変化、言語能力の低下脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで発症する。

若年者にも見られ、言語や行動に大きな影響を及ぼすことが特徴。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は最も一般的で、全体の認知症患者の60%から80%を占めます。

この病気は脳の神経細胞が徐々に老化していくため、記憶、思考、判断力などの能力が次第に低下していきます。

最初の症状として、新しい情報を覚えるのが難しくなるのが特徴的です。

血管性認知症

血管性認知症は、脳への血流が阻害され、特定の脳部分の神経細胞が壊死してしまうことで発症します。

一般的には、心臓病や脳卒中のリスクが高い人々に見られます。

このタイプの認知症の症状は、一部の認知能力(例えば、注意力)が衰える一方で、他の能力(例えば、記憶)が比較的保たれるという症状がまだらという特徴があります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳内の特定の神経細胞に「レビー小体」というタンパク質が蓄積し、神経細胞の機能が低下することで発症します。

この病気は、思考と行動だけでなく、身体の動きにも影響を及ぼし、パーキンソン病と類似の症状(手足の震えや硬直など)を起こすことがあります。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで発生します。

この部位は、私たちの人格、行動、言語に密接に関連しています。

したがって、この病気は行動や感情、対人関係、言語能力に大きな影響を及ぼすことがあります。

認知症の種類について知っておくことは、自分自身や家族が経験している症状の理解、または将来の予防に役立ちます。

また、正確な診断は治療計画を立てる上で非常に重要です。

認知症の診断:どのように認知症が診断されるのか? 

認知症の診断は患者の身体的、神経学的、心理学的評価を通じて行われます。代表的な診療の流れは以下の通りです。

  • 病歴の確認
    患者の症状、病歴、家族の病歴、ライフスタイル(喫煙や飲酒の習慣、食事、運動習慣など)についての情報を確認します。
  • 身体的評価
    一般的な健康状態をチェックし、認知症と同じような症状を起こしうる他の疾患(例えば、甲状腺機能異常やビタミンB12欠乏症)を除外します。
  • 神経学的評価
    反射、筋力、感覚、バランス、調整、視覚空間認識力などの項目をチェックします。認知症の種類を推測するのに有用です。
  • 精神状態の評価
    認知能力を測定するテストを行い、記憶、問題解決能力、注意力、計算能力、言語スキルなどを評価します。
  • 画像診断
    脳のMRIやCTスキャンが行われることがあります。

これらのテストは脳の構造を詳細に表示し、アルツハイマー病や血管性認知症などの特定の認知症の診断に役立ちます。

認知症の治療とケア 

認知症は現時点では完治する疾患ではありませんが、さまざまな治療法とケア方法があり、これらは症状の管理や生活の質の向上に役立ちます。

認知症の治療では、薬物療法と非薬物療法の大きく二つに分けられます。

薬物療法

コリンエステラーゼ阻害薬:脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの量を増やすことで、記憶力を改善する効果があります。

主なものには、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンがあります。

メマンチン:NMDA受容体拮抗薬と呼ばれる薬で、脳内のグルタミン酸の作用を調節することで、思考の明瞭さを保つのに役立ちます。

抗うつ薬や抗不安薬:認知症の症状として現れるうつ病や不安を管理するのに役立ちます。

非薬物療法

非薬物療法は主に生活習慣の改善や認知機能を刺激する活動を中心に行われます。

適切な栄養:バランスの良い食事は、全体的な健康と認知機能の維持に役立ちます。

特にオメガ-3脂肪酸、ビタミンE、ビタミンDなどは認知機能に良い影響を与えるとされています。

運動:定期的な運動は心臓血管系の健康を保つと共に、脳の健康も維持します。運動はまた、気分を良くし、ストレスを減らすこともできます。

認知訓練:パズルやゲーム、芸術活動など、思考力を必要とする活動は認知能力を刺激し、維持するのに役立ちます。

社会的な交流:社会活動に参加することは、精神的にも体力的にも健康を保つのに役立ちます。また、他人との関わりは感情的なサポートにつながります。

認知症と家族へのケア

認知症は患者だけでなく、その家族にも大きな影響を及ぼします。

その一方で、患者家族のサポート体制がうまく行けば、患者の生活の質を維持し、進行を遅らせることも可能です。

理解と忍耐: 認知症患者は往々にして繰り返し同じ質問をしたり、一度覚えていた事柄を忘れてしまったりします。

これは家族にとって時にストレスの要因にもなりますが、患者はこれをコントロールすることはできません。

そのため、家族は忍耐強く、病気に対して理解をすることが重要です。

簡潔で明確なコミュニケーション: 認知症患者に対するコミュニケーションは、短くて簡単な文を使用し、分かりやすいメッセージを伝えることが効果的です。

日常生活の支援: 認知症患者は食事の準備、身の回りの整理、排泄、入浴など日常生活を送るのに人の助けが必要なことがあります。

安全な環境体制: 家の中を歩き回る際の転倒を防いだり、キッチンでの事故を避けるために、家の中を安全にすることも重要です。

まとめ

今回は、認知症の一般的な症状と種類、診断・治療方法、そして家族がどのようにサポートできるかについて説明しました。

認知症の理解は、私たち自身や家族の健康を守る上で重要です。

認知症を早期に発見することで、治療の効果を最大限発揮することができます。

また、家族が認知症の特性を理解し、対応する方法を学ぶことは、患者の生活の質を維持し、家族自身のストレスを管理するのに不可欠です。

「認知症」について何か疑問や相談したいことがある方は、ぜひ一度当院にお越しください。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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