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寒くなってからの止まらない咳は寒暖差による自律神経の乱れが原因
暑い夏が過ぎ、気温が下がってきている現在、医療機関やクリニックでは夏頃に比べて長引く咳症状を訴える患者が増えています。(2024年11月時点)
長く続いた暑さで体力が落ちていること、急激な気温の変化で自律神経の乱れが引き起こされていることが原因です。
体温調節機能を持つ自律神経が乱れることで、普段なら軽い風邪ですむところが気管支や肺にまで炎症が及んでしまい、咳が長引いていると考えられます。
自宅では体を十分に休め、栄養バランスのよい食事を意識してとりましょう。体がきついようであれば医療機関を受診し、必要に応じて飲み薬や吸入薬などで対処しましょう。
止まらない咳・・・一般的な風邪との見分け方は?
一般的な風邪の咳は3週間以内に自然に治ります。そのため風邪との見分け方は、咳が3週間以上続くかどうかで判断しましょう。3週間以上続くようなら風邪以外の原因が考えられます。咳は持続期間によって「急性咳嗽(がいそう)」「まん延性咳嗽」「慢性咳嗽」の3種類に分けられます。[1][2]
それぞれの咳の原因となり得る病気について表にまとめました。
持続期間による咳の分類 |
原因となる病気 |
急性咳嗽(3週間以内) |
風邪 |
まん延性咳嗽(3-8週間) |
感染後咳嗽、マイコプラズマ肺炎、新型コロナウイルス感染症 |
慢性咳嗽(8週間以上) |
咳喘息、アトピー咳嗽、 副鼻腔炎に伴う後鼻漏、胃食道逆流症、慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
急性咳嗽は一般的な風邪が原因で、自然に治ることが多いです。
一方、まん延性咳嗽、慢性咳嗽はマイコプラズマ肺炎、コロナウイルス感染症などの感性性疾患や、咳喘息、アレルギーなどの感染症以外の原因によって起きている可能性が考えられます。
長引く咳の原因となる病気と特徴
長引く咳の原因には細菌・ウイルスの感染や、アレルギー、生活習慣が関わっているものなどさまざまあります。
それぞれの原因によって治療も異なるため、原因となる病気にはどのようなものがあるか、咳や症状の特徴もあわせて表で説明します。
原因となる病気 |
病気の説明 |
咳や症状の特徴 |
感染後咳嗽 |
風邪症状(鼻汁、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰など)が長引き、咳症状(とくに痰の出ない乾いた咳の症状)が続く。[2] |
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咳喘息 |
アレルギーによって気道の炎症が引き起こされて、一時的に気道が狭くなることで咳が出る。[3] 喘息と異なり呼吸をするときに、ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がしない。 |
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アトピー咳嗽 |
気管や気管支にアレルギー性の炎症が起きることや、気道に存在する咳を出すセンサーが過剰に反応することで咳が出る。[4] |
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副鼻腔炎に伴う後鼻漏 |
多量の鼻水や粘り気を持つ鼻水がのどに流れることでのどや気管を刺激して咳が出る。 細菌やカビ、ウイルスによる感染が主な原因。[5] |
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胃食道逆流症 |
胃酸や胃の内容物が胃から逆流し、気管支やのどを直接刺激することで咳が出る。 胃の内容物が食道に逆流しないように防いでいる筋肉の機能低下が原因。 |
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マイコプラズマ肺炎 |
「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することで起こる呼吸器感染症。長引く咳を引き起こす。[6] |
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コロナウイルス感染症 |
「新型コロナウイルス」に感染すること で起こる呼吸器感染症 。 後遺症として咳が続くことがある。 |
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慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
気管支やその先にある酸素と二酸化炭素の交換をおこなっている肺胞(はいほう)の炎症によって咳が出る。 おもにタバコの煙など、有害物質が含まれる空気を長期間にわたって吸い込むことが原因。[8] |
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症状からみる長引く咳の原因として考えられる病気
長引く咳とひとくちにいっても、実際には乾いた咳や痰がらみの咳、のどがムズムズして咳き込む……など症状はさまざまです。
この理由は、咳の原因となっている病気が異なるためです。咳以外の症状に目を向けると、原因を見つけ出す診断の手助けになります。咳に伴う症状と原因として考えられる病気について表にまとめましたので、ご自身の症状に当てはめて参考にしてみてくださいね。
症状 |
原因となる病気 |
痰がらみの咳 |
副鼻腔炎、COPD |
のどがムズムズ、イガイガした咳 |
アトピー咳嗽 |
熱はなく、乾いた咳だけが出る |
咳喘息、アトピー咳嗽 |
発熱後、咳が続く |
感染後咳嗽、マイコプラズマ肺炎、コロナウイルス感染症 |
胸やけ、声枯れなどを伴う咳 |
胃食道逆流症 |
咳の他にどのような症状を伴っているかによって原因となる病気は異なります。
ついつい咳ばかりに気を取られがちですが、自分の体調をよく観察し受診の際、医師に伝えられるようにしておきましょう。
咳が止まらないときの受診の目安
咳が2週間以上続く場合、まずは呼吸器内科を受診しましょう。長引く咳の原因として考えられる病気は呼吸器内科で治療できる場合が多いためです。
風邪に伴う咳は3週間以内に治まるのが一般的です。しかし、回復傾向にない咳が続く場合は2週間でもかなり体力を消耗します。無理せず早めに受診しましょう。
以下の6つの病気の場合、呼吸器内科で治療できます。
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感染後咳嗽
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咳喘息
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アトピー咳嗽
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マイコプラズマ肺炎
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コロナウイルス感染症
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)
粘り気のある鼻水がのどに流れる後鼻漏(こうびろう)や、胃食道逆流症など呼吸器領域以外の病気が原因と考えられる場合は、専門医への受診案内を受けられます。まずは呼吸器内科で問診や検査をしてもらいましょう。
子どもの場合は悪化しやすいため1週間以上続く咳や異変を感じたら、すぐにかかりつけの小児科やクリニックを受診してください。
2週間以上続く場合は受診を
長期間咳が長引くと夜間寝付けなかったり、体力の消耗につながったりするため早めに医療機関を受診することが重要です。
単なる風邪が原因ではなく、咳喘息やアレルギー咳嗽、マイコプラズマ肺炎などの病気が隠れているかもしれません。
受診の目安は以下のとおりです。
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2週間以上回復傾向にない咳が続いている
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咳の症状が悪化している
ただし、子どもの場合は悪化しやすいため1週間以上続く、苦しそうにしているなど異変を感じたらすぐに受診しましょう。
まずは呼吸器内科を受診
呼吸器内科でまずは問診や検査をしてもらいます。長引く咳の原因となる病気は呼吸器内科が専門のものが多いからです。
具体的に以下のような病気が挙げられます。
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感染後咳嗽
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咳喘息
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アトピー咳嗽
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マイコプラズマ肺炎
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コロナウイルス感染症
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)
診断は、次のような診察、検査を経ておこなわれます。
まずは問診でいつから咳が続いているか、どのような咳か、周りで流行っている感染症はあるかなどを確認します。聴診は、肺の音を確認して異常がないかを調べる方法です。必要に応じて血液検査、検体採取、レントゲン検査、肺機能検査などの専門的な検査をおこないます。
もし問診や検査で副鼻腔炎や胃食道逆流症が原因として疑われる場合は、耳鼻科や消化器科など専門となる診療科への案内を受けられるので、指示に従い受診しましょう。
子どもは小児科を受診
子どもの場合はかかりつけの小児科や、もともと風邪症状でみてもらっているクリニックを受診しましょう。
これまでの経過を含め全身の状態を総合的に判断して診断してもらえます。ただし副鼻腔炎が原因で起こる咳など専門的な治療が必要な場合は、耳鼻科を受診するように案内されるため指示に従いましょう。
受診の前にはあらかじめどのような咳なのか(乾いた咳、痰が絡んだ咳)や、どのタイミングで咳が出やすいのか(夜間、日中、運動時)把握しておくことをおすすめします。診察時に症状をスムーズに伝えられるためより正確な診断につながります。
咳が止まらないときの治療
咳が止まらないときの治療薬には以下の種類があります。
【飲み薬】
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抗菌薬
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咳止め
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抗アレルギー薬
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ステロイド
【吸入薬】
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気管支拡張薬
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ステロイド
咳の原因となる病気によって使用する薬は異なります。
感染症の場合と感染症にかかった後の場合、感染症でない場合に分けてどのような薬を使用するのかをみていきましょう。
感染症の場合(マイコプラズマ肺炎)
マイコプラズマ肺炎の場合はマクロライド系抗菌薬を内服します。
通常の肺炎で処方されるようなペニシリン系やβラクタム系抗菌薬では効果がありません。それまで飲んでいた抗菌薬からマクロライド系の薬に変えると、ずっと続いていた咳が治まるということはよくあります。
咳が治まったからといって安心せず、処方された抗菌薬はすべて飲み切るようにしましょう。
マクロライド系抗菌薬は苦みのある薬で、とくにスポーツ飲料やジュースなどの酸性飲料と一緒に服用すると、より強く感じます。
子どもの場合で飲みにくいときには、練乳をかける、プリンやアイスクリーム(とくにチョコレート味)に薬を練り込んで食べさせるなどすると飲みやすくなります。ポイントは薬に混ぜる作業を直前におこなうことです。長時間混ぜた状態にしておくと、コーティングがはがれて苦みの成分が出てきてしまうため作り置きは控えましょう。
感染症にかかった後の咳が続いている場合(風邪、コロナウイルス感染症)
風邪や感染症にかかったあとの長引く咳には咳止めなどの対症療法をおこないます。対症療法とは病気に伴う症状をやわらげる、または抑えるための治療です。
根本的な病気の原因に対する治療ではありませんが、咳が止まるだけで夜間にしっかりと睡眠をとれて免疫力が向上するため効果的です。
感染症でない場合
感染症による咳でない場合には、原因となる病気に効果のある薬を内服または吸入します。
それぞれの咳の原因となる病気と使用する薬を以下にまとめます。[1]
咳の原因となる病気 |
使用する薬 |
副鼻腔炎 |
マクロライド系抗菌薬、去痰薬 |
咳喘息 |
気管支拡張薬、吸入ステロイド |
アトピー咳嗽 |
気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬 |
胃食道逆流症 |
胃酸を抑える薬 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
吸入型の気管支拡張薬、ステロイド |
これらの治療をおこなっても咳の症状が改善しない場合には、原因となる病気が複数存在する可能性もあるため、主治医と相談しながら次の治療を進めましょう。
咳が止まらないときの自宅でできる対応は?
自宅でできる咳を緩和させる方法は次の2種類があります。
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のどを乾燥させないようにする
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寝る姿勢をととのえる
咳が止まらず困っているときに試してみると症状をやわらげることができます。いずれも簡単にできる方法なので医療機関を受診する前に試してみるとよいでしょう。
のどを乾燥させないようにする
のどが乾燥するとウイルスや細菌などの異物の侵入を防ぎ体を守ってくれる機能が弱くなり、少しの刺激に反応して咳が出やすくなります。
そのため乾燥させないようにすることが重要です。
具体的な方法は以下の4種類があります。
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水分補給
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マスク着用
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のど飴をなめる
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部屋を乾燥させない
加湿器を利用して部屋の湿度を上げたり、水分補給やのど飴をなめて常に潤いを与えることで乾燥を防げます。
マスクの着用は就寝中や鼻詰まりで口呼吸になってしまっても、口やのどの湿った空気が外に出てしまうのを防ぐため、のどが乾燥しにくく効果的です。
寝る姿勢をととのえる
少し高さのある枕を使って頭の位置を高くすることや、横向きで寝ると気道が開いて呼吸が楽になります。
寝ている間に咳が続くと十分な睡眠がとれず、体が休まりませんよね。
まずは自宅で寝る姿勢を変えてみましょう。咳がやわらぎ、続けて睡眠がとれるようになるはずです。
子どもの 咳が止まらないときの対応
子どもの咳が止まらないときの対応も基本的には大人の場合と同様です。
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のどが乾燥しないようにする
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寝る体勢をととのえる
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病院を受診する
どの種類の咳であっても共通してできることですのでこのようなホームケアをおこない、改善しないまたは悪化するようであれば迷わず受診してください。
のどが乾燥しないようにする
のどが乾燥するとウイルスや細菌などが侵入しやすくなるため、対策が必要です。
冬場は乾燥しやすくなるため、加湿器があれば使用し、部屋の湿度を上げましょう。自宅に加湿器がない場合は、濡れたバスタオルなどを室内に干しておくのもよいでしょう。
水分をこまめにとり、のどが乾燥しないようにするのも効果的です。お茶もしくは水を入れた水筒やベビーマグなどを寝室に置いておき、子どもが起きたタイミングで少しずつ飲ませましょう。
のど飴は誤飲の危険性があるため、子どもでは避けた方がよいでしょう。
寝る体勢をととのえる
鼻水が多く出ている場合、上体を起こして寝ることも効果的です。
通常の寝る姿勢では溜まった鼻水がのどに垂れて咳き込みにつながります。頭から背中にかけてクッションやバスタオルを入れるなどして、上半身を少し高くした姿勢で寝ると咳が緩和されます。
もし咳き込みが続く場合は、子どもを抱っこした状態で寝かせるのも上体が起き上がり呼吸が楽になるので試してみるとよいでしょう。
病院を受診する
発熱や鼻水などの風邪の症状から痰がらみの咳が長く続いている場合は、肺炎になっている可能性があります。38度以上の高熱が5日以上続いたり、脈が速くなる、息苦しさがある場合は早急に医療機関を受診しましょう。
子どもは風邪から喘息や肺炎につながることがあるため、大人以上に注意が必要です。
とくに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音のする咳をしている場合は気管支喘息が疑われます。
気管支喘息とは、気管支が狭くなって空気が通りにくくなり呼吸困難を引き起こす病気です。
小児の気管支喘息の約9割の原因は、ダニやハウスダストといったアレルゲンが原因で、風邪が原因となることは少ないです。しかし、風邪などのウイルス感染後の長引く咳を放置していると気管支喘息へと進行し、重症化するおそれがあります。
そのため、咳が続く場合には早めに医療機関を受診しましょう。
長引く咳の原因を理解して早く治すための対応をしよう
長引く咳の原因には風邪の他に次のような病気があります。
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ウイルスや細菌の感染後咳嗽(がいそう)
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咳喘息
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アトピー咳嗽
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副鼻腔炎に伴う後鼻漏
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胃食道逆流症
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)
原因となる病気はさまざまで、咳の続く期間や咳の様子から原因となる病気が推測できます。
苦しくてつらい場合や咳が2週間以上続く場合は呼吸器内科を受診し、咳の原因となっている病気の治療をおこないましょう。
子どもの場合は風邪から喘息や肺炎へと悪化することがあるため、大人よりも早めの行動をおすすめします。目安としては咳が1週間以上続く場合は医療機関へ受診するとよいでしょう。
自宅でできる咳をやわらげる対応法は次のようなものがあります。
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のどを乾燥させないようにする
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寝る姿勢をととのえる
どちらも手軽にできる方法なので、少しでも咳をやわらげられるよう参考にしてみてください。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。